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28 夫の嫉妬 ①
ティアトレイの代金をジェラス名義で支払い終えたフェルリアは、目の前に並べられたティアトレイを見て悩んだ。
(結構な値段だったわね。店主は定価以下なら他の人に有償で譲ってもいいと言っていたし、そのことを後で伝えなくちゃ)
通行人が物珍しそうにティアトレイを見ていくので騎士に馬車まで運んでもらうことにした。
傷が入っているのなら、少し安くして売ってほしいと言ってきた女性もいたが、ジェラス名義だと伝えると大人しく引き下がった。
(あとで私も一枚買おうかしら)
フェルリアは妻の役目を果たすことで給金をもらっており、そのお金でティアトレイを一枚は買うことができる。
何のために必要なのかと聞かれると、自己防衛のためだと答えるしかない。
(そういえば、王女殿下はティアトレイを手に入れることはできたのかしら。貢物として持っていけば、キックスの情報がつかめるかもしれない)
「フェルリア様、この後はどうされますか?」
ティアトレイを馬車に積み終えた騎士に尋ねられて、フェルリアは我に返る。
「そうね。ミレイラ様たちが戻ってくるまでもう少しかかりそうだから、近くのティールームで待ちましょう」
(ティアトレイのことを考えるのは、ミレイラ様の無事を確認してからにしましょう)
そう決めたフェルリアは一番近いティールームに向かった。
この時のフェルリアは、そう待つことはないだろうと思っていた。しかし、1時間近く待っても、ミレイラとジェラスは戻ってこなかった。
せっかくの紅茶もお茶菓子も、落ち着いて味わうことができない。しびれを切らしたフェルリアが王城の前で待とうかと思い始めた頃、ジェラスがミレイラを連れて、店内に入ってきた。
「ママ!」
「ミレイラ様! おかえりなさい」
駆け寄ってきたミレイラを抱きしめる。無事を確認できて安堵したフェルリアは、ミレイラの服が汚れていることに気がついた。
「土遊びでもしたのですか?」
「いいえ。ちょっとだけ、きたないばしょにいきました」
ミレイラはジェラスにこう言えと言われており、躊躇う様子もなく答えた。
「汚い場所? どういうことです?」
ミレイラを抱きしめたまま、フェルリアは横に立つジェラスを見上げる。
「悪かった。一人になったミレイラがパニックを起こして、城内を逃げ回ったんだ。その時に掃除のいき届いていない所にでも行ったんだろう」
「……そうなんですか?」
今度はミレイラに尋ねた。ミレイラは無言で首を傾げただけで、違うとも言わなかった。
(パニックになったからと言って逃げ回るような子じゃないわ。どちらかというと、ミレイラ様はその場から動けなくなるタイプなのに……)
ジェラスがいる以上、ミレイラも正直な話ができないと考えたフェルリアは、この場では納得したふりをした。
その後、フェルリアたちは急遽城下町で一泊することになった。
ジェラスは一緒の部屋を望むかと思ったが、用事があると言って途中で別れたので、部屋は二部屋にした。
夕食と湯浴みを終え、一つのベッドに横になる。
「はじめての、おとまり!」
「良かったですね。ところで……」
買ったばかりの寝間着を着て、嬉しそうにするミレイラの頬を撫でながら尋ねる。
「今日は本当に城内を逃げ回ったのですか?」
「……うーんと」
ミレイラは困ったような顔をしたあと、突然話題を変えた。
「ママ、おねがいがあります」
「何でしょうか」
「おとうさまにはないしょで、キックスさまの、ごりょうしんにおあいしたいです」
「キックスの? どうして?」
キックスの名前が出てきたことにも驚いたが、両親に会いたいと言い出したのは余計に謎だった。
「おはなししたいです」
「お、お話?」
澄んだ目で話すミレイラを見て、フェルリアは困惑した。
「はい。キックスさまの、おとうさまと、おかあさまと、ミレイラで、おはなしします」
この発言を聞いて、さらにフェルリアの中で疑問が深まった。
(結構な値段だったわね。店主は定価以下なら他の人に有償で譲ってもいいと言っていたし、そのことを後で伝えなくちゃ)
通行人が物珍しそうにティアトレイを見ていくので騎士に馬車まで運んでもらうことにした。
傷が入っているのなら、少し安くして売ってほしいと言ってきた女性もいたが、ジェラス名義だと伝えると大人しく引き下がった。
(あとで私も一枚買おうかしら)
フェルリアは妻の役目を果たすことで給金をもらっており、そのお金でティアトレイを一枚は買うことができる。
何のために必要なのかと聞かれると、自己防衛のためだと答えるしかない。
(そういえば、王女殿下はティアトレイを手に入れることはできたのかしら。貢物として持っていけば、キックスの情報がつかめるかもしれない)
「フェルリア様、この後はどうされますか?」
ティアトレイを馬車に積み終えた騎士に尋ねられて、フェルリアは我に返る。
「そうね。ミレイラ様たちが戻ってくるまでもう少しかかりそうだから、近くのティールームで待ちましょう」
(ティアトレイのことを考えるのは、ミレイラ様の無事を確認してからにしましょう)
そう決めたフェルリアは一番近いティールームに向かった。
この時のフェルリアは、そう待つことはないだろうと思っていた。しかし、1時間近く待っても、ミレイラとジェラスは戻ってこなかった。
せっかくの紅茶もお茶菓子も、落ち着いて味わうことができない。しびれを切らしたフェルリアが王城の前で待とうかと思い始めた頃、ジェラスがミレイラを連れて、店内に入ってきた。
「ママ!」
「ミレイラ様! おかえりなさい」
駆け寄ってきたミレイラを抱きしめる。無事を確認できて安堵したフェルリアは、ミレイラの服が汚れていることに気がついた。
「土遊びでもしたのですか?」
「いいえ。ちょっとだけ、きたないばしょにいきました」
ミレイラはジェラスにこう言えと言われており、躊躇う様子もなく答えた。
「汚い場所? どういうことです?」
ミレイラを抱きしめたまま、フェルリアは横に立つジェラスを見上げる。
「悪かった。一人になったミレイラがパニックを起こして、城内を逃げ回ったんだ。その時に掃除のいき届いていない所にでも行ったんだろう」
「……そうなんですか?」
今度はミレイラに尋ねた。ミレイラは無言で首を傾げただけで、違うとも言わなかった。
(パニックになったからと言って逃げ回るような子じゃないわ。どちらかというと、ミレイラ様はその場から動けなくなるタイプなのに……)
ジェラスがいる以上、ミレイラも正直な話ができないと考えたフェルリアは、この場では納得したふりをした。
その後、フェルリアたちは急遽城下町で一泊することになった。
ジェラスは一緒の部屋を望むかと思ったが、用事があると言って途中で別れたので、部屋は二部屋にした。
夕食と湯浴みを終え、一つのベッドに横になる。
「はじめての、おとまり!」
「良かったですね。ところで……」
買ったばかりの寝間着を着て、嬉しそうにするミレイラの頬を撫でながら尋ねる。
「今日は本当に城内を逃げ回ったのですか?」
「……うーんと」
ミレイラは困ったような顔をしたあと、突然話題を変えた。
「ママ、おねがいがあります」
「何でしょうか」
「おとうさまにはないしょで、キックスさまの、ごりょうしんにおあいしたいです」
「キックスの? どうして?」
キックスの名前が出てきたことにも驚いたが、両親に会いたいと言い出したのは余計に謎だった。
「おはなししたいです」
「お、お話?」
澄んだ目で話すミレイラを見て、フェルリアは困惑した。
「はい。キックスさまの、おとうさまと、おかあさまと、ミレイラで、おはなしします」
この発言を聞いて、さらにフェルリアの中で疑問が深まった。
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