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06. 夜会の中庭で…
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学園が休みの日はオーブリーやカトリーヌに聖女の力の使い方を教えてもらうなどしていたから、リリアナは他の聖女2人と上手くやれていると思っていたし、学園生活も仲の良い友達がたくさん出来て、家族にも自分が元気で暮らしている事を手紙に書く余裕も出来てきた頃、フェナンに言われていたパーティーに出席する事になった。
社交場には伯爵令嬢時代に出ていた事もあったが、今回はパートナーが公爵令息という事で緊張していたリリアナだったが、彼女の護衛としてアッシュもパーティーに出席できる事になったので、それだけは心強かった。
アッシュが出席できる理由は、リリアナの護衛であるからという事はもちろんだが、教会の人間達はフェナンの事を女性関係に関しては信用していなかった。
その為、アッシュを傍につけさせてリリアナの貞操を守ろうとしたのだ。
それほど、フェナンの手癖の悪さは教会内では知れ渡っていた。
紺色のシュミーズドレスに身を包んだリリアナは、パーティーが始まると、まずは3の数字を持つ聖女として国王陛下夫妻に挨拶し、フェナンとダンスを踊り、話しかけてきた人に挨拶をしたりと大忙しだったが、ひと通り挨拶が終わると、フェナンはリリアナを置いてどこかへ消えてしまった。
それと入れ違いにアッシュが彼女の傍に来てくれたので、リリアナは退屈する事はなかった。
軽く食事をしたりして、アッシュと一緒にフェナンが戻ってくるのを待っていたのだが、一向に帰ってこない。
「どこに行ったのかしら」
「もう帰りたいか?」
「できれば帰りたい」
リリアナに疲れが見えていた為、アッシュが近くにいた貴族に話しかけ、フェナンを見なかったか尋ねると、中庭での目撃情報があり、リリアナはアッシュと一緒にフェナンを探す事になった。
外灯が照らしているのは中庭の小道だけで、木々が生えている場所は暗くて見えない。
ガサゴソと音が聞こえて、誰かいるのかと見ると、仲睦まじい男女の姿が見えて、慌ててリリアナは目をそらした。
(どうして、こんなところで…? 家に帰ってからやればいいのに…)
16歳のリリアナだが、詳しいことはわからないまでも、男女が暗闇で絡み合っていたら何をしているかは想像がついた。
アッシュは反対側を見ているため気付いていないのか、何も言わないので、リリアナも平静を装う。
並んで歩きながら探していると、オーブリーの夫がリリアナ達が向かっている方向から歩いてくるのが見えた。
「あ、ビリオンさん! あの、フェナンを見ませんでしたか?」
「えっ? あ、ああ、その、フェナン様ならあちらにおられましたよ…。あの、申し訳ありませんが、うちの子供達を知りませんか?」
「え!?」
オーブリーの夫逆にに問いかけられたリリアナとアッシュは声を揃えて聞き返した。
オーブリー達とは別々に行動していた為、子供を連れてきている事を知らなかったのだ。
「お子さんが見当たらないんですか? オーブリーと一緒にいるのではなくて?」
リリアナが尋ねると、オーブリーの夫は首を横に振る。
「まさか、一緒にいたとしたら神経を疑いますよ」
「……どういう事ですか?」
リリアナが聞き返すと、オーブリーの夫は何か言いかけたが口を閉じ、辛そうに目を伏せた後、リリアナ達の方を見て、改めて口を開いた。
「いえ。ただ、もう子供達を連れて先に帰ろうと思いますので…。もし、子供達を見かけたら…」
「わかりました。見つけたらすぐに連絡します」
アッシュは敬語を使えないわけではなく使い分けている。
フェナンとトールには本当は敬語を使いたくないのだが、相手が聖騎士という事で我慢している。
彼の中では、オーブリーの夫は敬語を使うべき人物と判断されているのだとリリアナは思った。
「ありがとうございます。ただ、この先に行かれるのなら、アッシュ様のみが行かれた方が良いと思います」
オーブリーの夫は深々と頭を下げた後、逃げる様に走り去っていく。
「どうかされたのかしら…?」
「さあな…。とにかく、リリアナはここで待ってるか? 何か嫌な予感がする」
「気になるから私も行くわ。それに1人になるなと神官長から言われているの」
「しょうがないな」
アッシュは前髪をかきあげて小さく息を吐いた後、オーブリーの夫が歩いて来た方向に向かって歩いていく。
アッシュの後についていったリリアナだったが、子供の声が聞こえた気がして立ち止まる。
「どうした?」
「今、何か声が…」
リリアナがアッシュに答えた時だった。
「ママぁ! パパのところにいってもいい?」
「もうかえりたい!」
「んっ! 駄目よ、待って、もう少しだからぁっ!」
「だからっ、子供なんて連れて来るなと言ったんだっ!」
子供の声の後にオーブリーの声が、そしてフェナンの声がリリアナとアッシュの耳に届いた。
声のした方向に振り返ると、外灯の明かりがギリギリ届く場所にある木に押し付けられ、フェナンに片足を持ち上げられているオーブリーと、露わになった彼女の胸に貪り付いているフェナンの姿があった。
その事についても驚きだったが、リリアナとアッシュが一番驚いたのは、彼女達の足元にオーブリーの子供達がいた事だった。
「あいつら、ふざけんなよ! 子供のいる前で何してんだ! 頭わいてんのか!?」
アッシュは暴言を吐いた後、リリアナに言う。
「子供達を頼む」
「わかったわ! それにしてもなんて人達なの! 信じられない!」
(子供の目の前で、しかも旦那様以外の人とあんな事をするなんて!)
「あ! アッシュお兄ちゃんとリリアナお姉ちゃん!」
オーブリーの子供達とは何度も顔を合わせているので、子供達はリリアナ達を見て叫ぶと駆け寄ってきた。
3歳と5歳の男の子で、2人共、オーブリーの夫やオーブリーとは違う瞳の色だった。
(まさかとは思うけれど…)
リリアナは嫌な考えを頭から追いやると、子供達に声を掛ける。
「パパが探していたからパバの所に行こうね」
「うん!」
リリアナが二人の手を取って歩き出そうとすると、フェナンの声が聞こえた。
「リリアナ、待ってくれ! 誤解なんだ!」
「何が誤解よ!」
「リリアナ、とにかく子供達を連れて行け」
フェナンに言い返したリリアナだったが、アッシュに言われ頷くと、フェナン達に背を向けて早足で歩き出した。
社交場には伯爵令嬢時代に出ていた事もあったが、今回はパートナーが公爵令息という事で緊張していたリリアナだったが、彼女の護衛としてアッシュもパーティーに出席できる事になったので、それだけは心強かった。
アッシュが出席できる理由は、リリアナの護衛であるからという事はもちろんだが、教会の人間達はフェナンの事を女性関係に関しては信用していなかった。
その為、アッシュを傍につけさせてリリアナの貞操を守ろうとしたのだ。
それほど、フェナンの手癖の悪さは教会内では知れ渡っていた。
紺色のシュミーズドレスに身を包んだリリアナは、パーティーが始まると、まずは3の数字を持つ聖女として国王陛下夫妻に挨拶し、フェナンとダンスを踊り、話しかけてきた人に挨拶をしたりと大忙しだったが、ひと通り挨拶が終わると、フェナンはリリアナを置いてどこかへ消えてしまった。
それと入れ違いにアッシュが彼女の傍に来てくれたので、リリアナは退屈する事はなかった。
軽く食事をしたりして、アッシュと一緒にフェナンが戻ってくるのを待っていたのだが、一向に帰ってこない。
「どこに行ったのかしら」
「もう帰りたいか?」
「できれば帰りたい」
リリアナに疲れが見えていた為、アッシュが近くにいた貴族に話しかけ、フェナンを見なかったか尋ねると、中庭での目撃情報があり、リリアナはアッシュと一緒にフェナンを探す事になった。
外灯が照らしているのは中庭の小道だけで、木々が生えている場所は暗くて見えない。
ガサゴソと音が聞こえて、誰かいるのかと見ると、仲睦まじい男女の姿が見えて、慌ててリリアナは目をそらした。
(どうして、こんなところで…? 家に帰ってからやればいいのに…)
16歳のリリアナだが、詳しいことはわからないまでも、男女が暗闇で絡み合っていたら何をしているかは想像がついた。
アッシュは反対側を見ているため気付いていないのか、何も言わないので、リリアナも平静を装う。
並んで歩きながら探していると、オーブリーの夫がリリアナ達が向かっている方向から歩いてくるのが見えた。
「あ、ビリオンさん! あの、フェナンを見ませんでしたか?」
「えっ? あ、ああ、その、フェナン様ならあちらにおられましたよ…。あの、申し訳ありませんが、うちの子供達を知りませんか?」
「え!?」
オーブリーの夫逆にに問いかけられたリリアナとアッシュは声を揃えて聞き返した。
オーブリー達とは別々に行動していた為、子供を連れてきている事を知らなかったのだ。
「お子さんが見当たらないんですか? オーブリーと一緒にいるのではなくて?」
リリアナが尋ねると、オーブリーの夫は首を横に振る。
「まさか、一緒にいたとしたら神経を疑いますよ」
「……どういう事ですか?」
リリアナが聞き返すと、オーブリーの夫は何か言いかけたが口を閉じ、辛そうに目を伏せた後、リリアナ達の方を見て、改めて口を開いた。
「いえ。ただ、もう子供達を連れて先に帰ろうと思いますので…。もし、子供達を見かけたら…」
「わかりました。見つけたらすぐに連絡します」
アッシュは敬語を使えないわけではなく使い分けている。
フェナンとトールには本当は敬語を使いたくないのだが、相手が聖騎士という事で我慢している。
彼の中では、オーブリーの夫は敬語を使うべき人物と判断されているのだとリリアナは思った。
「ありがとうございます。ただ、この先に行かれるのなら、アッシュ様のみが行かれた方が良いと思います」
オーブリーの夫は深々と頭を下げた後、逃げる様に走り去っていく。
「どうかされたのかしら…?」
「さあな…。とにかく、リリアナはここで待ってるか? 何か嫌な予感がする」
「気になるから私も行くわ。それに1人になるなと神官長から言われているの」
「しょうがないな」
アッシュは前髪をかきあげて小さく息を吐いた後、オーブリーの夫が歩いて来た方向に向かって歩いていく。
アッシュの後についていったリリアナだったが、子供の声が聞こえた気がして立ち止まる。
「どうした?」
「今、何か声が…」
リリアナがアッシュに答えた時だった。
「ママぁ! パパのところにいってもいい?」
「もうかえりたい!」
「んっ! 駄目よ、待って、もう少しだからぁっ!」
「だからっ、子供なんて連れて来るなと言ったんだっ!」
子供の声の後にオーブリーの声が、そしてフェナンの声がリリアナとアッシュの耳に届いた。
声のした方向に振り返ると、外灯の明かりがギリギリ届く場所にある木に押し付けられ、フェナンに片足を持ち上げられているオーブリーと、露わになった彼女の胸に貪り付いているフェナンの姿があった。
その事についても驚きだったが、リリアナとアッシュが一番驚いたのは、彼女達の足元にオーブリーの子供達がいた事だった。
「あいつら、ふざけんなよ! 子供のいる前で何してんだ! 頭わいてんのか!?」
アッシュは暴言を吐いた後、リリアナに言う。
「子供達を頼む」
「わかったわ! それにしてもなんて人達なの! 信じられない!」
(子供の目の前で、しかも旦那様以外の人とあんな事をするなんて!)
「あ! アッシュお兄ちゃんとリリアナお姉ちゃん!」
オーブリーの子供達とは何度も顔を合わせているので、子供達はリリアナ達を見て叫ぶと駆け寄ってきた。
3歳と5歳の男の子で、2人共、オーブリーの夫やオーブリーとは違う瞳の色だった。
(まさかとは思うけれど…)
リリアナは嫌な考えを頭から追いやると、子供達に声を掛ける。
「パパが探していたからパバの所に行こうね」
「うん!」
リリアナが二人の手を取って歩き出そうとすると、フェナンの声が聞こえた。
「リリアナ、待ってくれ! 誤解なんだ!」
「何が誤解よ!」
「リリアナ、とにかく子供達を連れて行け」
フェナンに言い返したリリアナだったが、アッシュに言われ頷くと、フェナン達に背を向けて早足で歩き出した。
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