【完結】捨てたものに用なんかないでしょう?

風見ゆうみ

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24 何も知らないのでしょう

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 リミアリアに危害を加えようとしたという名目で、アドルファスはエマオの身柄を騎士隊に拘束させた。
 人を平気で殺めるような人間を野放しにすることはできない。アドルファスの判断に異議を唱える者はいなかった。
 だが、問題もあった。
 エマオの側近たちは全て退職しており、イランデス伯爵家の仕事が滞る事態に陥ったのだ。

 侯爵以上の高位貴族には、すでにエマオの悪行は知れ渡っており、いつかは爵位が剥奪されることはわかっていた。
 そのため、業務を他の貴族に兼任させるという話になった。
 だが、そう上手く話はまとまらなかった。
 というのも、イランデス伯爵領に隣接している領地は現在でも仕事に追われており、領地拡大をする余裕がなかったからだ。

 そこで持ち上がったのは、リミアリアに子爵位を授け、彼女にイランデス伯爵領を任せるということだった。

 元々、エマオが戦地に行っている間は、リミアリアが伯爵家の仕事をしていた。手伝いをしていた側近たちも、リミアリアが戻るのなら再雇用を希望すると口にしたことや、リミアリアに爵位を与えたいという希望が王家から出たことが決め手だった。

 リミアリアに意思の確認があったのは、エマオが捕まってから三日後の昼のことだった。
 
 昼前に王都から戻ってきたアドルファスをリミアリアが出迎えると「話がしたい」と言われた。

 談話室へ移動し、お茶を淹れ終えたメイドが出ていき二人きりになると、アドルファスは、リミアリアに会議の内容を話した。

「私が子爵に? 光栄なことではありますが、女性に爵位を授けるなんて滅多にないことです。私がそこまでの功績を残したとは思えません」

 プリリッツ王国では、女性の当主は存在するが、圧倒的に数が少ない。
 リミアリアが驚くのは当たり前の話だった。

「それはまあ、なんだ。俺へのご褒美だと思ってくれたらいい」
「アドルファス様へのご褒美ですか? 余計に意味がわからなくなってしまうのですが」

 困惑の表情を浮かべるリミアリアを見つめ、アドルファスは苦笑する。

「リミアリアは実家と縁を切って、今は平民なんだろ?」
「はい。絶縁状に署名をしてもらいました」

 フラワに居場所がバレてしまったこともあり、リミアリアのほうから実家に絶縁状を送りつけ、それを認めるサインも返してもらっていた。

「お姉様は私とアドルファス様の仲が良いことを信じていません。ですから、両親には私たちの話を伝えていないと思いました。両親が真実を知る前に絶縁を揺るぎないものにしたかったので、絶縁状を書いて送ったんです。すぐに返ってきましたから、やはり何も知らないのでしょう」
「そうか。それは良かったな」
「ありがとうございます」
 
 リミアリアは微笑むと、それてしまった話題を戻す。

「子爵の爵位を授かるのはとても光栄なことです。ただ、解毒剤の仕事を引き受けてしまっていますから、すぐに仕事にかかることができません」
「そこは大丈夫だ。ただ、仕事でわからないことがあった時は教えてくれないか」
「そ、それは構いませんが、まさか、アドルファス殿下が子爵家の仕事を手伝ってくださるのですか?」
「ああ。そのことで詳しい話をしたいから、一緒に王都に行ってくれないか」
「承知いたしました」

 至急で解毒剤の依頼が来ていたため、その分の仕事を片付け、話をしてから五日後にアドルファスと共に登城した。

 そして、国王から子爵の爵位を授けることと、アドルファスの婚約者にならないかと話をもちかけられたのだった。




エマオの本格的なざまぁは、もう少し先になりますので、少々お待ちくださいませ。
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