【完結】捨てたものに用なんかないでしょう?

風見ゆうみ

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58  無駄です

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 テイランとホリーが訪ねて来た日から十日が経った頃、リミアリアたちのもとへエマオの裁判が王都にある有名な広場で行われるという連絡が入った。
 プリリッツ王国での裁判は公開裁判だが、一般的には裁判所で行われる。
 しかし、今回は被害者や被害者家族の望みで、より多くの人の前で裁判をすることが決まった。
 このようなことは今までになかったことで、特例で実施されることになった。

 執務室で仕事をしながら、リミアリアは同じく仕事中のアドルファスに話しかける。

「エマオさんの処刑が決まれば、公開処刑になりそうですね」
「子供にはあまり見せたくないが、悪いことをすればああなると、わざと見せる親もいるらしいぞ」
「それぞれの家庭で教育方針が違うものなのですね」

(私だったら子供に見せたくないかも)

 アドルファスはどうなのだろうと思い、彼に目を向けたが、仕事が忙しくて、それどころではなさそうだった。

(話す機会は、これからたくさん作れるわよね)

 テイランとホリーは、いまだに自分の罪を認めていない。
 自白はないが、周りの証言により心証は真っ黒なので、近々捕まると予想されているため、しばらくの間、リミアリアは裁判の傍聴などで忙しくなる。

 解毒剤を作る仕事もまだ辞めていないので、時が来るまでは、自分の仕事に集中することにした。

******

 五日後、エマオの裁判の日がやってきた。
 その日は朝から快晴で、肌が痛いほどに日差しの強い日だった。
 公開裁判が行われるイザンダ広場には多くの人が集まっており、簡易に作られた壇上はロープで囲まれ、それ以上は近づけないようになっている。

 リミアリアとアドルファスは関係者席が用意され、護衛騎士たちと共に、用意された木の椅子に座った。

 開始時刻になると、木の机と椅子しか置かれていない壇上に、エマオが連れてこられた。

 心労のせいか、エマオはやせ細り、顔に生気がなかった。
 今日のために髭や髪は整えたようだが、窪んだ目がはっきりと見えて、観衆たちから悲鳴が上がった。

 手枷と足枷をつけて現れたエマオは、抵抗したり逃げ出そうとする気配はない。

(少しは反省したのかしら)

 リミアリアがそう思った時、エマオがリミアリアのほうを振り返った。
 その瞬間、カッと目を見開いたかと思うと、リミアリアに向かって叫んだ。

「リミアリア! 悪かった! 許してくれ! 頼むから、俺を殺さないでくれ!」

 涙を流しながら訴えるエマオに、リミアリアは冷たく答える。

「私に許しを請うても無駄です。それに、私は許すつもりはありません」

 突き放されたエマオは、ブルブルと体を震わせながら、リミアリアを見つめた。
 

 

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