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第一部
44 親友と鬼 ③
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龍騎に家まで送ってもらっている途中で、美鈴からメッセージが返ってきた。『今日は彼氏が家に泊まりに来てんねん。さっきまでは夜景を見に行ってたんよ。綺麗やったし、また場所教えるな』と書かれていた。
(もしかして、龍騎さんも夜景を見に行こうとしていたのかも)
そう思うと、小鳥は龍騎に申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
「本当にごめんなさい」
「どうしたんだよ」
「せっかく計画を立てたのに駄目になって……」
「小鳥のせいじゃないだろ」
「中止になったのは私のせいです」
小鳥が落ち込んでいると、龍騎は苦笑する。
「悪いと思うんなら気にしないでくれ。途中で中止になったのは残念だが、楽しかったことは確かだから」
「……じゃあ、ご迷惑でなければ、美鈴が素敵な夜景スポットを教えてくれるそうなので、今度一緒に見に行ってくれませんか」
「迷惑じゃない」
信号待ちで車が停車した時、龍騎は笑みを浮かべて小鳥に言った。
「ありがとうございます」
高鳴る胸を押さえたあと、龍騎に非礼をすることを詫びて、小鳥は美鈴にメッセージを返したのだった。
******
週明けの昼休み。小鳥は早速美鈴に探りを入れてみた。
「土曜日は突然メッセージを送ってごめんね。邪魔しちゃった?」
「ぜんぜん! 休みの日に小鳥からメッセージをもらうなんてなかったし、うちは嬉しかったよ」
「なら良かった。考えてみたら、美鈴の彼氏がどんな人なのか聞いたことなかったよね」
「簡単には話してるけど、詳しくは話してへんね」
「差し支えなかったら教えてほしいんだけど」
「なに? ねろてんの?」
「ねろ?」
小鳥が聞き返すと、美鈴は苦笑する。
「ごめん。狙ってんの? って聞いてん」
「そんなんじゃないよ! それに美鈴の彼氏が私を相手にするわけないし!」
「なにを言うてんの。小鳥はうちと違って可愛いし性格もええから好きになってまうよ」
「どっちとも美鈴には敵わないから、彼氏さんは私を好きにはならないと思うけど、褒めてくれてありがとう」
「どういたしまして」
美鈴はおどけたように言うと、持参のお弁当の箱を開けながら話す。
「彼氏は普通の人やで。一般企業の営業をしてる。だから、出張でこっちに来たりするんよ」
「……営業さんなんだ。すごいね。……って、美鈴もそうか」
「そうやで。だから別にすごいってわけやないけど、事務員さんにはすごいってなるんかな? うちにしてみれば、事務員のほうがすごいと思うよ」
美鈴は笑顔で答えたあと首を傾げる。
「何かあったん?」
「……どうして?」
「なんか元気なさそうに見えるから」
(まさかあなたの彼氏が悪いことを考えているかも、なんて言えるわけないよね)
「うーん、そろそろ私も彼氏を作りたいなあって思って」
「え? どうゆうこと? 神津くんと進展したん?」
「違います!」
美鈴の様子がいつも通りで安堵した小鳥は、また話題を美鈴の彼氏の話題に戻した。
小鳥が美鈴から聞き出した内容では、美鈴の彼氏、外間光輝が鬼になっている……、正確には鬼になりかけている理由は掴めなかった。
(会社で嫌な思いをしていて、誰かを恨んでいるとかかな?)
「そうや。良かったら今度、ダブルデートせーへん?」
「相手がいないんだけど……」
「何言うてんの! 神津くんがおるやん!」
「ええっ!?」
驚く小鳥の横で小鬼が嬉しそうに「ピー!」と鳴いたのだった。
(もしかして、龍騎さんも夜景を見に行こうとしていたのかも)
そう思うと、小鳥は龍騎に申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
「本当にごめんなさい」
「どうしたんだよ」
「せっかく計画を立てたのに駄目になって……」
「小鳥のせいじゃないだろ」
「中止になったのは私のせいです」
小鳥が落ち込んでいると、龍騎は苦笑する。
「悪いと思うんなら気にしないでくれ。途中で中止になったのは残念だが、楽しかったことは確かだから」
「……じゃあ、ご迷惑でなければ、美鈴が素敵な夜景スポットを教えてくれるそうなので、今度一緒に見に行ってくれませんか」
「迷惑じゃない」
信号待ちで車が停車した時、龍騎は笑みを浮かべて小鳥に言った。
「ありがとうございます」
高鳴る胸を押さえたあと、龍騎に非礼をすることを詫びて、小鳥は美鈴にメッセージを返したのだった。
******
週明けの昼休み。小鳥は早速美鈴に探りを入れてみた。
「土曜日は突然メッセージを送ってごめんね。邪魔しちゃった?」
「ぜんぜん! 休みの日に小鳥からメッセージをもらうなんてなかったし、うちは嬉しかったよ」
「なら良かった。考えてみたら、美鈴の彼氏がどんな人なのか聞いたことなかったよね」
「簡単には話してるけど、詳しくは話してへんね」
「差し支えなかったら教えてほしいんだけど」
「なに? ねろてんの?」
「ねろ?」
小鳥が聞き返すと、美鈴は苦笑する。
「ごめん。狙ってんの? って聞いてん」
「そんなんじゃないよ! それに美鈴の彼氏が私を相手にするわけないし!」
「なにを言うてんの。小鳥はうちと違って可愛いし性格もええから好きになってまうよ」
「どっちとも美鈴には敵わないから、彼氏さんは私を好きにはならないと思うけど、褒めてくれてありがとう」
「どういたしまして」
美鈴はおどけたように言うと、持参のお弁当の箱を開けながら話す。
「彼氏は普通の人やで。一般企業の営業をしてる。だから、出張でこっちに来たりするんよ」
「……営業さんなんだ。すごいね。……って、美鈴もそうか」
「そうやで。だから別にすごいってわけやないけど、事務員さんにはすごいってなるんかな? うちにしてみれば、事務員のほうがすごいと思うよ」
美鈴は笑顔で答えたあと首を傾げる。
「何かあったん?」
「……どうして?」
「なんか元気なさそうに見えるから」
(まさかあなたの彼氏が悪いことを考えているかも、なんて言えるわけないよね)
「うーん、そろそろ私も彼氏を作りたいなあって思って」
「え? どうゆうこと? 神津くんと進展したん?」
「違います!」
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小鳥が美鈴から聞き出した内容では、美鈴の彼氏、外間光輝が鬼になっている……、正確には鬼になりかけている理由は掴めなかった。
(会社で嫌な思いをしていて、誰かを恨んでいるとかかな?)
「そうや。良かったら今度、ダブルデートせーへん?」
「相手がいないんだけど……」
「何言うてんの! 神津くんがおるやん!」
「ええっ!?」
驚く小鳥の横で小鬼が嬉しそうに「ピー!」と鳴いたのだった。
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