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12 懲りてないようね
私が動揺しないことに驚いたのか、ラブは焦った顔で答える。
「い、いつって……、その、休み時間だと思います」
「いつの休み時間に、どこであなたのクッキーを粉々にしたと言うのかしら」
「し、知りません! 気がついたらこうなっていたんです!」
「いつどこでかもわからないのに、あなたは私がやったとどうして決めつけるの?」
尋ねると、ラブは何か良いことでも思いついたのか、笑顔になって答える。
「べリアーナ様がクッキーを粉々にしているところを見たという人がいるんです!」
ラブはそう言って私の席の前までやって来ると、彼女の後ろを付いてきた男性を手で示す。
「彼が教えてくれたんです」
ラブが連れてきたのは何度も同じクラスになったことはあるが、会話らしい会話をしたことがない男爵令息だった。あまり人と話したくないように見えたので、他のクラスメイトも彼に積極的に話しかけることはなかった。
「本当に私がクッキーを粉々にしているところを見たのですか? 間違っていた場合はどうなるかわかっていての証言でしょうね」
「え、あ、あの、ぼ、僕はっ」
彼はゲーム内でのモブキャラだと思われる。ラブが彼を生贄に選んだのかはわからないが、彼はラブのために犠牲にさせられるために生まれたキャラなのだろう。今日の私はラブの教室に出入りしたこともない。簡単にバレる嘘をつかせてまで私を貶めようとしてくる、ラブの執念はすごいわ。どちらが悪役令嬢なのかわからない。
「ねえ! 見たんですよね! あなたは私に嘘をついたりなんかしていませんよね?」
「嘘なんてついていたら、どうなるかわかってるんだろうな」
「そ、そんなっ」
辺境伯令息にすごまれた男は今にも泣き出しそうな顔になった。嘘をついたら公爵家が敵になり、つかなかったら辺境伯家が敵になる。男爵家の彼にはどちらも辛いことだ。でも、こういう時は私を頼ってほしいわね。
彼の名前はたしか、バーリンさんだったかな。間違っていたら失礼だし、名前は呼ばずに話しかける。
「正直なことを話してくださいな。答えによりますが、私はあなたやあなたの家族を守ることはできましてよ」
真実を話せば私はあなたの味方になると、暗に伝えてみた。すると、バーリンさんはホッとしたような顔になって口を開こうとした。
「おいお前、まさか嘘をついていたのか!」
「酷い! 騙したんですね!」
ラブと辺境伯令息はバーリンさんが嘘をつかないと悟ったらしく、保身に走ったようだ。自分たちが嘘をつけと言っておいて、ろくでもない奴らね。
「エイク辺境伯令息、クブスさん、たとえ彼がクブスさんのクッキーを私が粉々にしたと言っていたとしても、まずは私を責めるのではなく確認することが普通ではなくって?」
「そ……、それは、私は彼の言葉を信じたから!」
「彼の言葉は信じても、公爵令嬢の私のことは信じられなかったというわけですわね?」
にこりと微笑んで見せると、辺境伯令息とラブは悔しそうな顔になって口を閉ざした。
「バーリン男爵令息」
ラブたちの背後からディーク様がバーリンさんに話しかける。
「もしかして君、エイク辺境伯令息からそんな嘘をつくように頼まれたんじゃないのかな?」
「失礼な!」
辺境伯令息はすぐさま否定したが、ディーク様の後ろから現れた、現在もラブと同じクラスである私の友人たちがラブを見つめて証言する。
「クブス男爵令嬢がバーリン男爵令息を呼び出しているのを見ましたわ!」
「二人で教室を出ていかれましたが、帰ってこられた時にはエイク辺境伯令息も一緒でした!」
ラブは女子に嫌われている。生理的に嫌いなら存在さえも無視だろうが、ラブの場合は自分可愛いアピールがすごいので目立つのだろう。気づかれずに出ていったつもりが周りにはバレバレだったらしい。
目立ちたがり屋の性格が仇になったわね。
「クブスさんあなた、レオン殿下の件があったのにまだ懲りていないようね」
「う、うるさいわね! あんたにはどうせ何もできないくせに!」
ラブはヒステリックになって叫ぶと教室から出ていった。慌ててエイク辺境伯令息が彼女を追いかけていく。
そうなのよ。今のままではラブに罰を与えることができない。彼女もそれをわかっているから好き勝手やっているのね。
「何もできないと言うけど、そうでもないんだよなあ」
ディーク様は私に近づきながら続ける。
「クブス男爵令嬢がチヤホヤされている理由がわからないし、彼女が悪いことをしても罪に問われないのかが謎だね」
「それは私も思っていることですが……」
ゲームの強制力とは言えないので言葉を濁すと、ディーク様は挑戦的な笑みを浮かべた。
「何らかの力が働いてクブス男爵令嬢を裁けないようだけど、ノルン公爵家がなめられたままでは駄目だよ。僕が手を貸そう」
何をやっても無駄かもしれない。でも、何もやらないよりかはいい。私はディーク様の力を借りることにした。
「い、いつって……、その、休み時間だと思います」
「いつの休み時間に、どこであなたのクッキーを粉々にしたと言うのかしら」
「し、知りません! 気がついたらこうなっていたんです!」
「いつどこでかもわからないのに、あなたは私がやったとどうして決めつけるの?」
尋ねると、ラブは何か良いことでも思いついたのか、笑顔になって答える。
「べリアーナ様がクッキーを粉々にしているところを見たという人がいるんです!」
ラブはそう言って私の席の前までやって来ると、彼女の後ろを付いてきた男性を手で示す。
「彼が教えてくれたんです」
ラブが連れてきたのは何度も同じクラスになったことはあるが、会話らしい会話をしたことがない男爵令息だった。あまり人と話したくないように見えたので、他のクラスメイトも彼に積極的に話しかけることはなかった。
「本当に私がクッキーを粉々にしているところを見たのですか? 間違っていた場合はどうなるかわかっていての証言でしょうね」
「え、あ、あの、ぼ、僕はっ」
彼はゲーム内でのモブキャラだと思われる。ラブが彼を生贄に選んだのかはわからないが、彼はラブのために犠牲にさせられるために生まれたキャラなのだろう。今日の私はラブの教室に出入りしたこともない。簡単にバレる嘘をつかせてまで私を貶めようとしてくる、ラブの執念はすごいわ。どちらが悪役令嬢なのかわからない。
「ねえ! 見たんですよね! あなたは私に嘘をついたりなんかしていませんよね?」
「嘘なんてついていたら、どうなるかわかってるんだろうな」
「そ、そんなっ」
辺境伯令息にすごまれた男は今にも泣き出しそうな顔になった。嘘をついたら公爵家が敵になり、つかなかったら辺境伯家が敵になる。男爵家の彼にはどちらも辛いことだ。でも、こういう時は私を頼ってほしいわね。
彼の名前はたしか、バーリンさんだったかな。間違っていたら失礼だし、名前は呼ばずに話しかける。
「正直なことを話してくださいな。答えによりますが、私はあなたやあなたの家族を守ることはできましてよ」
真実を話せば私はあなたの味方になると、暗に伝えてみた。すると、バーリンさんはホッとしたような顔になって口を開こうとした。
「おいお前、まさか嘘をついていたのか!」
「酷い! 騙したんですね!」
ラブと辺境伯令息はバーリンさんが嘘をつかないと悟ったらしく、保身に走ったようだ。自分たちが嘘をつけと言っておいて、ろくでもない奴らね。
「エイク辺境伯令息、クブスさん、たとえ彼がクブスさんのクッキーを私が粉々にしたと言っていたとしても、まずは私を責めるのではなく確認することが普通ではなくって?」
「そ……、それは、私は彼の言葉を信じたから!」
「彼の言葉は信じても、公爵令嬢の私のことは信じられなかったというわけですわね?」
にこりと微笑んで見せると、辺境伯令息とラブは悔しそうな顔になって口を閉ざした。
「バーリン男爵令息」
ラブたちの背後からディーク様がバーリンさんに話しかける。
「もしかして君、エイク辺境伯令息からそんな嘘をつくように頼まれたんじゃないのかな?」
「失礼な!」
辺境伯令息はすぐさま否定したが、ディーク様の後ろから現れた、現在もラブと同じクラスである私の友人たちがラブを見つめて証言する。
「クブス男爵令嬢がバーリン男爵令息を呼び出しているのを見ましたわ!」
「二人で教室を出ていかれましたが、帰ってこられた時にはエイク辺境伯令息も一緒でした!」
ラブは女子に嫌われている。生理的に嫌いなら存在さえも無視だろうが、ラブの場合は自分可愛いアピールがすごいので目立つのだろう。気づかれずに出ていったつもりが周りにはバレバレだったらしい。
目立ちたがり屋の性格が仇になったわね。
「クブスさんあなた、レオン殿下の件があったのにまだ懲りていないようね」
「う、うるさいわね! あんたにはどうせ何もできないくせに!」
ラブはヒステリックになって叫ぶと教室から出ていった。慌ててエイク辺境伯令息が彼女を追いかけていく。
そうなのよ。今のままではラブに罰を与えることができない。彼女もそれをわかっているから好き勝手やっているのね。
「何もできないと言うけど、そうでもないんだよなあ」
ディーク様は私に近づきながら続ける。
「クブス男爵令嬢がチヤホヤされている理由がわからないし、彼女が悪いことをしても罪に問われないのかが謎だね」
「それは私も思っていることですが……」
ゲームの強制力とは言えないので言葉を濁すと、ディーク様は挑戦的な笑みを浮かべた。
「何らかの力が働いてクブス男爵令嬢を裁けないようだけど、ノルン公爵家がなめられたままでは駄目だよ。僕が手を貸そう」
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