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12 美味しくないですよ!
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「旦那様は泳げるんですか?」
クロフォード家の別荘の一つに、とある地方の森の奥深くにあるけれども、獰猛な動物がおらず、ゆっくりするには、ちょうど良い別荘があると聞き、私がそちらに行きたいと希望しました。
その為、現在は最小人数の使用人と騎士を連れて、その別荘へやって来ています。
騎士に関しては、後から、増員してくれるそうです。
ローラ様やキックス様のせいで、私が離婚したいと言い出すんじゃないかと、お義父さま達が心配されて計画された新婚旅行ですが、のんびり出来そうです。
別荘にやって来た二日目の今は、私は人型の旦那様と一緒に、クロフォード家の別荘の敷地内にある、小さな池の畔にいました。
「泳げるが、君は犬の姿で泳がせようと思っているだろ」
「旦那様は私の考えている事が言わなくてもわかるのですね! すごいです!」
「君がわかりやすいだけだ」
旦那様は大きく息を吐いてから、私達が立っている場所のすぐ近く、シートの上に敷かれたカーペットを指差して、私に座る様に促してくださいます。
「立ちっぱなしも疲れるだろう? 座ってゆっくりしたらどうだ?」
「ありがとうございます」
遠巻きに護衛の人やジャスミンがいたりしますが、一応、二人で初めてランチをする事になりそうです。
私と旦那様の動きを見て、慌てて、ジャスミンや他のメイド達が近付いてきて、お茶や食事の用意を始めてくれました。
二人きりにしようと気を遣ってくれている様ですが、別に邪魔ではないですから、最初から近くに来てくれたら良いのにと思ってしまいます。
私は別に旦那様と二人きりになりたいとかいう願望はありませんので…。
もちろん、犬の姿でしたら別ですが、今、犬になってもらう訳にはいきませんからね。
旦那様だって、私と二人は嫌なはずです。
本当は犬の旦那様と散歩したかったんですが、誰かに見られたら、どうやって、いつ連れてきたのかと疑問に思われる可能性がありますので、それは諦める事にしました。
部屋で二人きりになったら、犬になっていただく予定です。
って、こんな事を考えるなんて、さすがに私も酷すぎますかね。
旦那様は私が思っていたよりも良い人そうですし、歩み寄るべきなのでしょうか…?
ジャスミン達が去っていくと、旦那様が座る様に促すので、大人一人が座れそうな間隔をあけて、カーペットの上に立っている旦那様の隣に座ると、旦那様はその場に腰を下ろしてから聞いてこられます。
「何か言いたそうだな」
「いえ。旦那様もまさか、私と旅行に行かされるだなんて思ってもみなかったのだろうな、と思いまして」
「最初はな。それに、君は俺なんかと旅行なんて行きたくはないだろうと思っていたし」
「あら。では、旦那様は最近では行ってもいいかな、と思い始めてくださっていたという事でしょうか?」
「それはまあ、そういう事になるか…」
「でも、お義父さま達に言われなければ行こうとは思われなかったわけですよね?」
「悪かったよ!」
旦那様があぐらをかいた状態ではありますが、なぜか謝って下さいました。
あまり言い過ぎても、私がただの性格の悪い人間になってしまいますので、ここら辺でやめておこうと思います。
「こちらこそ意地悪を言ってしまってごめんなさい。世間体もありますし、仲の良い夫婦を目指しましょう」
「相性はあると思うがな」
「お互いに一言多いのが問題なのだと思うんですよ。なので、会話を減らすのではなく、言葉を減らしていきませんか」
「どんな風にだ?」
「たとえば、旦那様、明日のご予定ですが」
「何だ?」
「答えて下さい」
「言葉を減らしすぎだろう! 連想ゲームでもするつもりか!?」
旦那様に怒られてしまいました。
「旦那様は中々、面倒な方ですね」
「君もな」
「飼い慣らしていただきませんと」
「君はちょっと変わっているから難しいんだ」
「自分の色は大事だと思うんです」
「美談みたいに言うな」
「良い事を言ったと思いますが?」
笑顔で答えると、旦那様は呆れた顔になった後、用意してもらった飲み物を飲まれた後、私に言います。
「言いたいことを言うのも悪くはないが、相手は選んだ方がいいぞ?」
「公爵夫人になったら、言いたい放題かと思っておりました」
「人を傷付ける事は言うなよ」
「言いませんよ」
「言っている」
「いつですか? 誰を傷付けてます? その方には反省して謝罪致します!」
「目に見えて落ち込むような事はしない様に心掛けてはいるが、俺は傷付いている」
「……」
「黙るな」
だって、まさか旦那様が傷付いているだなんて思ってもみませんでしたから。
「何か気に食わなかったのでしょうか…」
「俺に興味がなさすぎだろう」
「急にかまってちゃんに路線変更ですか!?」
「思っても口にするのを止めろ!」
「そんな日もありますよ。ですが、旦那様があまり良く思われていないのなら気を付ける様に致します。申し訳ございませんでした」
「謝ってほしいんじゃなくてだな」
「それから旦那様、私が旦那様に興味がないと思っておられる様ですが、そんな事はありませんよ! 犬になる旦那様に大変、興味を持っております!」
犬になる…の言葉は小声で言って、周りには聞こえない様に致しました。
「あまり嬉しくない」
「どうしてですか!」
「とにかく食べよう」
「止めて下さい! 私は美味しくないですよ!」
「君の頭の中はどうなってるんだ!? 目の前に食べ物があるんだから、普通は食べ物だと思うだろう!?」
「それは旦那様の思い込みです!」
「一言減らそうと言い出したのは君の方だぞ!?」
記念すべき新婚旅行一日目の昼は、この様にくだらない会話ばかりして、あっという間に過ぎ去っていったのでした。
クロフォード家の別荘の一つに、とある地方の森の奥深くにあるけれども、獰猛な動物がおらず、ゆっくりするには、ちょうど良い別荘があると聞き、私がそちらに行きたいと希望しました。
その為、現在は最小人数の使用人と騎士を連れて、その別荘へやって来ています。
騎士に関しては、後から、増員してくれるそうです。
ローラ様やキックス様のせいで、私が離婚したいと言い出すんじゃないかと、お義父さま達が心配されて計画された新婚旅行ですが、のんびり出来そうです。
別荘にやって来た二日目の今は、私は人型の旦那様と一緒に、クロフォード家の別荘の敷地内にある、小さな池の畔にいました。
「泳げるが、君は犬の姿で泳がせようと思っているだろ」
「旦那様は私の考えている事が言わなくてもわかるのですね! すごいです!」
「君がわかりやすいだけだ」
旦那様は大きく息を吐いてから、私達が立っている場所のすぐ近く、シートの上に敷かれたカーペットを指差して、私に座る様に促してくださいます。
「立ちっぱなしも疲れるだろう? 座ってゆっくりしたらどうだ?」
「ありがとうございます」
遠巻きに護衛の人やジャスミンがいたりしますが、一応、二人で初めてランチをする事になりそうです。
私と旦那様の動きを見て、慌てて、ジャスミンや他のメイド達が近付いてきて、お茶や食事の用意を始めてくれました。
二人きりにしようと気を遣ってくれている様ですが、別に邪魔ではないですから、最初から近くに来てくれたら良いのにと思ってしまいます。
私は別に旦那様と二人きりになりたいとかいう願望はありませんので…。
もちろん、犬の姿でしたら別ですが、今、犬になってもらう訳にはいきませんからね。
旦那様だって、私と二人は嫌なはずです。
本当は犬の旦那様と散歩したかったんですが、誰かに見られたら、どうやって、いつ連れてきたのかと疑問に思われる可能性がありますので、それは諦める事にしました。
部屋で二人きりになったら、犬になっていただく予定です。
って、こんな事を考えるなんて、さすがに私も酷すぎますかね。
旦那様は私が思っていたよりも良い人そうですし、歩み寄るべきなのでしょうか…?
ジャスミン達が去っていくと、旦那様が座る様に促すので、大人一人が座れそうな間隔をあけて、カーペットの上に立っている旦那様の隣に座ると、旦那様はその場に腰を下ろしてから聞いてこられます。
「何か言いたそうだな」
「いえ。旦那様もまさか、私と旅行に行かされるだなんて思ってもみなかったのだろうな、と思いまして」
「最初はな。それに、君は俺なんかと旅行なんて行きたくはないだろうと思っていたし」
「あら。では、旦那様は最近では行ってもいいかな、と思い始めてくださっていたという事でしょうか?」
「それはまあ、そういう事になるか…」
「でも、お義父さま達に言われなければ行こうとは思われなかったわけですよね?」
「悪かったよ!」
旦那様があぐらをかいた状態ではありますが、なぜか謝って下さいました。
あまり言い過ぎても、私がただの性格の悪い人間になってしまいますので、ここら辺でやめておこうと思います。
「こちらこそ意地悪を言ってしまってごめんなさい。世間体もありますし、仲の良い夫婦を目指しましょう」
「相性はあると思うがな」
「お互いに一言多いのが問題なのだと思うんですよ。なので、会話を減らすのではなく、言葉を減らしていきませんか」
「どんな風にだ?」
「たとえば、旦那様、明日のご予定ですが」
「何だ?」
「答えて下さい」
「言葉を減らしすぎだろう! 連想ゲームでもするつもりか!?」
旦那様に怒られてしまいました。
「旦那様は中々、面倒な方ですね」
「君もな」
「飼い慣らしていただきませんと」
「君はちょっと変わっているから難しいんだ」
「自分の色は大事だと思うんです」
「美談みたいに言うな」
「良い事を言ったと思いますが?」
笑顔で答えると、旦那様は呆れた顔になった後、用意してもらった飲み物を飲まれた後、私に言います。
「言いたいことを言うのも悪くはないが、相手は選んだ方がいいぞ?」
「公爵夫人になったら、言いたい放題かと思っておりました」
「人を傷付ける事は言うなよ」
「言いませんよ」
「言っている」
「いつですか? 誰を傷付けてます? その方には反省して謝罪致します!」
「目に見えて落ち込むような事はしない様に心掛けてはいるが、俺は傷付いている」
「……」
「黙るな」
だって、まさか旦那様が傷付いているだなんて思ってもみませんでしたから。
「何か気に食わなかったのでしょうか…」
「俺に興味がなさすぎだろう」
「急にかまってちゃんに路線変更ですか!?」
「思っても口にするのを止めろ!」
「そんな日もありますよ。ですが、旦那様があまり良く思われていないのなら気を付ける様に致します。申し訳ございませんでした」
「謝ってほしいんじゃなくてだな」
「それから旦那様、私が旦那様に興味がないと思っておられる様ですが、そんな事はありませんよ! 犬になる旦那様に大変、興味を持っております!」
犬になる…の言葉は小声で言って、周りには聞こえない様に致しました。
「あまり嬉しくない」
「どうしてですか!」
「とにかく食べよう」
「止めて下さい! 私は美味しくないですよ!」
「君の頭の中はどうなってるんだ!? 目の前に食べ物があるんだから、普通は食べ物だと思うだろう!?」
「それは旦那様の思い込みです!」
「一言減らそうと言い出したのは君の方だぞ!?」
記念すべき新婚旅行一日目の昼は、この様にくだらない会話ばかりして、あっという間に過ぎ去っていったのでした。
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