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ラムダ様との話し合いを終えた後は、どっと疲れてしまい、彼が帰られた後、安楽椅子に倒れ込むようにして座ると、寝ていた旦那様が起き上がって、私の所へやって来られました。
「どうかされましたか?」
「いや、抱き上げたいと思って来たんだが、抱き上げたら犬化する事を思い出した」
「どうして私を抱き上げようと思われたんです?」
「疲れているようだから、隣で寝れば良いと思ったんだ」
「限界が来ましたら、自室で休ませてもらいますので大丈夫ですよ。お心遣いには感謝致します」
寝巻き姿の旦那様に笑顔で言うと、旦那様はなぜか寂しそうな顔をされました。
ここ最近、旦那様は表情豊かになられた気がします。
ただ、悲しげな顔をされる事が多いので、私が気付かない内に、旦那様を悲しませる様な事を言っているようです。
となると、今の答えは、どう返せば良かったのでしょうか…。
「ラムダの事なんだが…」
悩んでいると、旦那様が辛そうな表情で私を見つめたまま口を開かれたのですが、途中で言葉を止めてしまわれました。
「どうかなさいましたか?」
座ったまま手を伸ばして、旦那様の右手に触れると、旦那様が私の手に左手を重ねてしまわれました。
「あ」
私と旦那様の声が重なり、気付いた時には旦那様は犬になっておられました。
「しまった…」
「今日は何も考えずにゆっくりお休みして下さいという事ですよ」
苦笑すると、旦那様は私の足に顔を擦り寄せてきます。
「君も一緒に寝ないか?」
「え!? どうしてですか?」
「俺は、その、魔法の解き方がわかった気がする」
「本当ですか!? 何をすればいいんです?」
「それは、たぶん、理解しても難しい事だと思う」
「……? とりあえず、話をしてもらえませんか?」
旦那様が私を見上げて、何か言いたげな目をされた時でした。
部屋の扉が叩かれ、ジャスミンから寝室の準備が出来たと知らされた為、話はそこで途切れてしまったのでした。
そして、犬の旦那様と用意された寝室に向かうと、それはもう気合いを入れられた感じで、私が普段、使っている枕がすでにキングサイズのベッドの上に並べられてありました。
私が枕が変わると寝付けないタイプだと、ここのメイド達も知ってくれているみたいです。
たぶん、枕をこちらに持ってくる事を勝手に許可したのは、ジャスミンの様な気がします。
普通は断りもなしに、部屋から物を移動させたりしないでしょうし。
もちろん、ジャスミンじゃなくても、普通に許しはするのですが。
旦那様は寝室に入ると、ソファーの上に寝転ばれましたので、ベッドで寝る様に促します。
「旦那様、ベッドで寝てください。もし、寂しいようでしたら、近くにおりますので」
「犬の毛がついてしまうだろう。人間に戻った時に寝にくいんだ」
「では、私は旦那様の横に座らせてもらって、本を読ませてもらいますね」
夕食の時間まで、まだ時間はあるので、そう言って旦那様の横に腰掛けた時でした。
「ローラ様、旦那様はまだ身体の調子が良くありません。お話は後日になさってください!」
ジャスミンの声が扉の向こうから聞こえたかと思うと、ローラ様の声が耳に飛び込んできます。
「そんなかたい事言わないでよ。本当に二人が寝室を共にする事にしたのか確認したいだけよ。少しだけ。少しだけ中を見せてもらいたいの」
「寝室なんて、普通は他人に見られたくないものだと、ローラ様は思われないのですか?」
「うるさいメイドね。私達は他人じゃないわ。私は可愛い義理の妹なんだから」
ローラ様は自分の事を可愛いと言わないと納得できない方なのでしょうか。
まあ、自分の事を素直に可愛いと認められるのは悪い事ではないかもしれません。
でも、本人にもお伝えしましたが、今のところ、私は一度もローラ様の事を可愛いと思った事がありません。
ちょうど聞きたい事もあったのと、これ以上、ジャスミンを困らせるのもなんですので、旦那様に話しかけます。
「少し、ローラ様の相手をしてきても良いでしょうか?」
「かまわないが、無理はするなよ」
「好き勝手言わせていただくかもしれませんが、無理はしません」
「好き勝手か…。まあ、ローラ相手ならいいだろう」
「ありがとうございます」
立ち上がってから、旦那様の頭を優しく撫でると、手にすりすりと頬を当ててこられます。
これ、人間の姿だったら、頬ずりされてるって事ですよね。
何だか意識してしまい、慌てて手を離すと、旦那様は首を傾げます。
「どうした?」
「かっ、可愛いです!」
どうして、動物って首を傾げると可愛くみえてしまうんでしょうね!
「お帰りください!」
ジャスミンが厳しい口調で言う。
「嫌よ! ちょっとくらい見させてよ! お義姉さま、可愛い妹がやって来てるんですから、無視してないで扉を開けてください!」
ローラ様の言葉を聞いて、旦那様に尋ねます。
「今、私が扉を開けてしまったら、可愛い義理の妹と認めてしまう事になるのでしょうか」
「そう取られる可能性はあるな」
「では、ジャスミンには申し訳ないですが、もう少し待った方が良いのでしょうか」
「扉を開けずに話をしたらいいんじゃないか?」
「そうですね。そうする事にします」
扉を開けてください、と言われましたものね。
「ローラ様、ちょうど私もお話したい事がありましたので、扉越しに質問させていただいても良いでしょうか?」
「質問したいというのなら、ちゃんと顔を見せてください!」
「顔を見せなくても、お話はできますよ。私の顔がそんなに見たいと言うのならば話は別ですが」
「べ、別にそこまでは…」
「では、このままで。ローラ様、単刀直入に聞きます。どうして、あなたは旦那様に毒を盛ろうとしたのですか?」
「どうかされましたか?」
「いや、抱き上げたいと思って来たんだが、抱き上げたら犬化する事を思い出した」
「どうして私を抱き上げようと思われたんです?」
「疲れているようだから、隣で寝れば良いと思ったんだ」
「限界が来ましたら、自室で休ませてもらいますので大丈夫ですよ。お心遣いには感謝致します」
寝巻き姿の旦那様に笑顔で言うと、旦那様はなぜか寂しそうな顔をされました。
ここ最近、旦那様は表情豊かになられた気がします。
ただ、悲しげな顔をされる事が多いので、私が気付かない内に、旦那様を悲しませる様な事を言っているようです。
となると、今の答えは、どう返せば良かったのでしょうか…。
「ラムダの事なんだが…」
悩んでいると、旦那様が辛そうな表情で私を見つめたまま口を開かれたのですが、途中で言葉を止めてしまわれました。
「どうかなさいましたか?」
座ったまま手を伸ばして、旦那様の右手に触れると、旦那様が私の手に左手を重ねてしまわれました。
「あ」
私と旦那様の声が重なり、気付いた時には旦那様は犬になっておられました。
「しまった…」
「今日は何も考えずにゆっくりお休みして下さいという事ですよ」
苦笑すると、旦那様は私の足に顔を擦り寄せてきます。
「君も一緒に寝ないか?」
「え!? どうしてですか?」
「俺は、その、魔法の解き方がわかった気がする」
「本当ですか!? 何をすればいいんです?」
「それは、たぶん、理解しても難しい事だと思う」
「……? とりあえず、話をしてもらえませんか?」
旦那様が私を見上げて、何か言いたげな目をされた時でした。
部屋の扉が叩かれ、ジャスミンから寝室の準備が出来たと知らされた為、話はそこで途切れてしまったのでした。
そして、犬の旦那様と用意された寝室に向かうと、それはもう気合いを入れられた感じで、私が普段、使っている枕がすでにキングサイズのベッドの上に並べられてありました。
私が枕が変わると寝付けないタイプだと、ここのメイド達も知ってくれているみたいです。
たぶん、枕をこちらに持ってくる事を勝手に許可したのは、ジャスミンの様な気がします。
普通は断りもなしに、部屋から物を移動させたりしないでしょうし。
もちろん、ジャスミンじゃなくても、普通に許しはするのですが。
旦那様は寝室に入ると、ソファーの上に寝転ばれましたので、ベッドで寝る様に促します。
「旦那様、ベッドで寝てください。もし、寂しいようでしたら、近くにおりますので」
「犬の毛がついてしまうだろう。人間に戻った時に寝にくいんだ」
「では、私は旦那様の横に座らせてもらって、本を読ませてもらいますね」
夕食の時間まで、まだ時間はあるので、そう言って旦那様の横に腰掛けた時でした。
「ローラ様、旦那様はまだ身体の調子が良くありません。お話は後日になさってください!」
ジャスミンの声が扉の向こうから聞こえたかと思うと、ローラ様の声が耳に飛び込んできます。
「そんなかたい事言わないでよ。本当に二人が寝室を共にする事にしたのか確認したいだけよ。少しだけ。少しだけ中を見せてもらいたいの」
「寝室なんて、普通は他人に見られたくないものだと、ローラ様は思われないのですか?」
「うるさいメイドね。私達は他人じゃないわ。私は可愛い義理の妹なんだから」
ローラ様は自分の事を可愛いと言わないと納得できない方なのでしょうか。
まあ、自分の事を素直に可愛いと認められるのは悪い事ではないかもしれません。
でも、本人にもお伝えしましたが、今のところ、私は一度もローラ様の事を可愛いと思った事がありません。
ちょうど聞きたい事もあったのと、これ以上、ジャスミンを困らせるのもなんですので、旦那様に話しかけます。
「少し、ローラ様の相手をしてきても良いでしょうか?」
「かまわないが、無理はするなよ」
「好き勝手言わせていただくかもしれませんが、無理はしません」
「好き勝手か…。まあ、ローラ相手ならいいだろう」
「ありがとうございます」
立ち上がってから、旦那様の頭を優しく撫でると、手にすりすりと頬を当ててこられます。
これ、人間の姿だったら、頬ずりされてるって事ですよね。
何だか意識してしまい、慌てて手を離すと、旦那様は首を傾げます。
「どうした?」
「かっ、可愛いです!」
どうして、動物って首を傾げると可愛くみえてしまうんでしょうね!
「お帰りください!」
ジャスミンが厳しい口調で言う。
「嫌よ! ちょっとくらい見させてよ! お義姉さま、可愛い妹がやって来てるんですから、無視してないで扉を開けてください!」
ローラ様の言葉を聞いて、旦那様に尋ねます。
「今、私が扉を開けてしまったら、可愛い義理の妹と認めてしまう事になるのでしょうか」
「そう取られる可能性はあるな」
「では、ジャスミンには申し訳ないですが、もう少し待った方が良いのでしょうか」
「扉を開けずに話をしたらいいんじゃないか?」
「そうですね。そうする事にします」
扉を開けてください、と言われましたものね。
「ローラ様、ちょうど私もお話したい事がありましたので、扉越しに質問させていただいても良いでしょうか?」
「質問したいというのなら、ちゃんと顔を見せてください!」
「顔を見せなくても、お話はできますよ。私の顔がそんなに見たいと言うのならば話は別ですが」
「べ、別にそこまでは…」
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