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30 褒めていませんよ
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「何を言っているんですか? どうして私がシークス様に毒を盛らないといけないんです?」
「そう疑われてもしょうがない動きをされていたと聞いたから聞いているんです。一応、これもお聞きしますが、旦那様が亡くなったら、あなたに何かメリットはあるのでしょうか?」
旦那様がいなくなったら、握っている弱味もなくなりますので、家から追い出されるのでは?
そう思いきいてみると、ローラ様が答えます。
「それは、ないと言ったら嘘になります。あ、もちろん、シークス様に死んでほしいとか思っている訳ではありませんので、そこは勘違いしないで下さい」
ローラ様は前置きしてから続けます。
「シークス様が亡くなったら、跡継ぎはキックスしかいなくなりますから、そうなると、私は公爵夫人になれますので、メリットがないとは言えないでしょう。でも、だからといって、先程も言いましたが、シークス様を殺そうだなんて、そんな怖い事は思いませんよ」
「あの、ローラ様。旦那様が亡くなっても、お義父さま達がキックス様に爵位を継がせるとは思えませんが…」
「どうしてですか!?」
「元々は旦那様が公爵になられる際に、キックス様は何らかの爵位をいただく事になっていましたが、ローラ様との結婚をするにあたり、それを放棄させられたはずです。なら、公爵の爵位を継ぐだなんて、そんな事をお義父さま達がさせるとは思えません」
旦那様が死んでしまうだなんて、今の段階では考えたくない話ですが、何かあった時の事を、旦那様達だって考えておられるはずですし、話し合ってもおられるはずです。
ローラ様が公爵夫人になるだなんてありえません。
というか、個人的にさせたくありません。
領民が可哀想です。
「そんなのわからないじゃないですか! そんな事はお義父さま達に聞いてみないとわかりません!」
「それはそうかもしれません。で、話を変えますが、ローラ様のお話は寝室を見たいという事、それだけですか?」
「そうです。見せてもらえたら、すぐに帰ります」
「お断りしますので、部屋にお帰り下さい」
はっきりと告げると、ローラ様は扉を叩きながら叫びます。
「本当に一緒に寝るつもりなんですか!? 違いますよね!? こっちは跡継ぎなんて作られたら迷惑なんです!」
「あなたに迷惑だと言われても、やめておこうという気にならないから凄いですね」
「褒めてもらっても何も出ませんからね!」
「褒めていませんよ」
どれだけポジティブ思考なんでしょうか…。
私の聞きたい話は、とりあえず終わりましたし、会話を切り上げる事にします。
どうせ、このまま話をしても罪は認めないでしょうから。
「お帰りください」
冷たい口調で言うと、不満そうな声が返ってきます。
「義理の妹に対して冷たすぎませんか?」
「旦那様が大変な目にあわれたというのに、旦那様のお見舞いに来るわけでもなく、寝室だけ見せろという義理の妹に優しくできる心は、生憎持ち合わせておりません」
「それって偉そうに言う事ではないんじゃないですか!?」
「そんな事は言われなくてもわかっておりますよ。ですが、あなたが相手だから言っているんです。こんな事は他の方には言いません」
「そんな言い方、酷くないですか!」
「あなたに酷い人間だと思われても気になりません」
さすがのローラ様も、このまま話を続けても、私が扉を開けないと感じ取ったのか「また来ますから」と言って、自分の部屋の方に帰っていったようです。
「相手をさせてすまないな」
ジャスミンに確認してから、ソファーに寝転んでいる旦那様の横に座ると、申し訳無さそうな声で、旦那様は言いました。
「旦那様が謝られる事じゃないですよ。ローラ様が悪いんです。毒を盛っておいて、よくも平気な顔をしていられますよね」
「自分さえ良ければいい人間は、自分が楽になるのなら、他人の事なんてどうだっていいんだ」
「それはそうかもしれませんが、限度ってものがありますよ」
「それがわかるようなら、ローラはこの家にはいないだろう」
旦那様はそう答えてくれた後、起き上がって、私の太腿の上に顎をのせました。
「旦那様は甘えん坊さんになりましたね」
頭を撫でると、私のお腹にスリスリと顔を寄せてきます。
本当に甘えん坊さんというか、こんな積極的に触れてきてましたっけ?
今まではブラッシングさえも嫌がっておられたのに!
困惑していると、声を掛けられます。
「エレノア」
「……なんでしょう?」
「俺が死んでも、爵位をキックスが継ぐ事はない事は確かだ。だからその点は心配しなくていい」
「やはり、ちゃんと考えておられるんですね」
「ああ」
旦那様は肯定した後、お座りをして、私の目を見て言います。
「遺言を残しておこうと思っている。遺言状はすでに用意してあるが、これに関しては書き換えようと思っている」
「書き換えるんですか?」
「ああ。俺が死んだ後は、エレノア、君が公爵を継いでくれ」
「………はい?」
え?
今、私に公爵の爵位を継げと言われました?
この国では女公爵は存在しますが、妻が継いだという話は聞いた事がありません!
聞き間違いですよね?
そんな願いを込めて、聞き返します。
「あの、旦那様、今、なんと仰られたのですか?」
「驚くのも無理はない。もう一度言おう。俺が死んだら、俺の爵位を継いでほしい」
ど、ど、どうやら、聞き間違えではないみたいです!
「そう疑われてもしょうがない動きをされていたと聞いたから聞いているんです。一応、これもお聞きしますが、旦那様が亡くなったら、あなたに何かメリットはあるのでしょうか?」
旦那様がいなくなったら、握っている弱味もなくなりますので、家から追い出されるのでは?
そう思いきいてみると、ローラ様が答えます。
「それは、ないと言ったら嘘になります。あ、もちろん、シークス様に死んでほしいとか思っている訳ではありませんので、そこは勘違いしないで下さい」
ローラ様は前置きしてから続けます。
「シークス様が亡くなったら、跡継ぎはキックスしかいなくなりますから、そうなると、私は公爵夫人になれますので、メリットがないとは言えないでしょう。でも、だからといって、先程も言いましたが、シークス様を殺そうだなんて、そんな怖い事は思いませんよ」
「あの、ローラ様。旦那様が亡くなっても、お義父さま達がキックス様に爵位を継がせるとは思えませんが…」
「どうしてですか!?」
「元々は旦那様が公爵になられる際に、キックス様は何らかの爵位をいただく事になっていましたが、ローラ様との結婚をするにあたり、それを放棄させられたはずです。なら、公爵の爵位を継ぐだなんて、そんな事をお義父さま達がさせるとは思えません」
旦那様が死んでしまうだなんて、今の段階では考えたくない話ですが、何かあった時の事を、旦那様達だって考えておられるはずですし、話し合ってもおられるはずです。
ローラ様が公爵夫人になるだなんてありえません。
というか、個人的にさせたくありません。
領民が可哀想です。
「そんなのわからないじゃないですか! そんな事はお義父さま達に聞いてみないとわかりません!」
「それはそうかもしれません。で、話を変えますが、ローラ様のお話は寝室を見たいという事、それだけですか?」
「そうです。見せてもらえたら、すぐに帰ります」
「お断りしますので、部屋にお帰り下さい」
はっきりと告げると、ローラ様は扉を叩きながら叫びます。
「本当に一緒に寝るつもりなんですか!? 違いますよね!? こっちは跡継ぎなんて作られたら迷惑なんです!」
「あなたに迷惑だと言われても、やめておこうという気にならないから凄いですね」
「褒めてもらっても何も出ませんからね!」
「褒めていませんよ」
どれだけポジティブ思考なんでしょうか…。
私の聞きたい話は、とりあえず終わりましたし、会話を切り上げる事にします。
どうせ、このまま話をしても罪は認めないでしょうから。
「お帰りください」
冷たい口調で言うと、不満そうな声が返ってきます。
「義理の妹に対して冷たすぎませんか?」
「旦那様が大変な目にあわれたというのに、旦那様のお見舞いに来るわけでもなく、寝室だけ見せろという義理の妹に優しくできる心は、生憎持ち合わせておりません」
「それって偉そうに言う事ではないんじゃないですか!?」
「そんな事は言われなくてもわかっておりますよ。ですが、あなたが相手だから言っているんです。こんな事は他の方には言いません」
「そんな言い方、酷くないですか!」
「あなたに酷い人間だと思われても気になりません」
さすがのローラ様も、このまま話を続けても、私が扉を開けないと感じ取ったのか「また来ますから」と言って、自分の部屋の方に帰っていったようです。
「相手をさせてすまないな」
ジャスミンに確認してから、ソファーに寝転んでいる旦那様の横に座ると、申し訳無さそうな声で、旦那様は言いました。
「旦那様が謝られる事じゃないですよ。ローラ様が悪いんです。毒を盛っておいて、よくも平気な顔をしていられますよね」
「自分さえ良ければいい人間は、自分が楽になるのなら、他人の事なんてどうだっていいんだ」
「それはそうかもしれませんが、限度ってものがありますよ」
「それがわかるようなら、ローラはこの家にはいないだろう」
旦那様はそう答えてくれた後、起き上がって、私の太腿の上に顎をのせました。
「旦那様は甘えん坊さんになりましたね」
頭を撫でると、私のお腹にスリスリと顔を寄せてきます。
本当に甘えん坊さんというか、こんな積極的に触れてきてましたっけ?
今まではブラッシングさえも嫌がっておられたのに!
困惑していると、声を掛けられます。
「エレノア」
「……なんでしょう?」
「俺が死んでも、爵位をキックスが継ぐ事はない事は確かだ。だからその点は心配しなくていい」
「やはり、ちゃんと考えておられるんですね」
「ああ」
旦那様は肯定した後、お座りをして、私の目を見て言います。
「遺言を残しておこうと思っている。遺言状はすでに用意してあるが、これに関しては書き換えようと思っている」
「書き換えるんですか?」
「ああ。俺が死んだ後は、エレノア、君が公爵を継いでくれ」
「………はい?」
え?
今、私に公爵の爵位を継げと言われました?
この国では女公爵は存在しますが、妻が継いだという話は聞いた事がありません!
聞き間違いですよね?
そんな願いを込めて、聞き返します。
「あの、旦那様、今、なんと仰られたのですか?」
「驚くのも無理はない。もう一度言おう。俺が死んだら、俺の爵位を継いでほしい」
ど、ど、どうやら、聞き間違えではないみたいです!
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