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39 不審な動き ③
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室内にある壁時計を見ると8時過ぎだった。窓の外は明るくて、太陽の光が眩しい。
ということは、朝の8時ということだろう。
寝間着姿ではないので、この時間だとそろそろ朝食の準備ができる頃だ。
日記帳を確認し、昨日書いたはずの日記が書かれておらず、一昨日で終わっていることから、私は一昨日の朝に戻ったのだとわかった。
事件が起きる前に時戻しができたのはいいものの、どういう状況でパンナが襲われたのかなど、詳しいことはわからない。
あの時の私は、パニックになってしまって、助けなくちゃという気持ちしかなかった。
イライアス様のように感情のコントロールができていないから、無意識のうちに時戻しの魔法を発動してしまったみたいだった。
動揺しすぎては駄目だ。とにかく、状況を整理しましょう。
報告があったのは夕方近かったから、パンナが襲われたのは、明日の昼前から昼過ぎくらいだと考えられる。
それならまだパンナを助ける時間は十分にある。
だけど、それだけではいけない。
相手が通り魔なら、誰かを傷つけさせる前に取り押さえなくてはならない。
このままパンナを助けて、犯人が分かった時点で時戻しをすることも可能だろうけれと、それは最後の手段にしたい。
「ベェェー!」
考え込んでいる私に『どうしたの?』とベェがシルバートレイを使って尋ねてきた。
「ベェにも時戻し前の記憶はあるのよね?」
「ベェ!」
はい! と言わんばかりにベェは勢いよく前脚を上げた。
「まずは、パンナに明日のことを確認してみようと思うの。それに、レイハート公爵領内で通り魔だなんて、今まで起きなかったことよ。ありえないこととは言わないけれど、ロガンとイライアス様が話をしてすぐ後のことだから気になるわ」
ベェに話しかけていると、扉がノックされ、パンナが朝食の準備ができたと知らせてくれた。
「ありがとう。ところでパンナ、明日は休みだったわよね?」
「そうでございます。……あの、何かございましたか?」
「普段、パンナがどんなお休みを過ごしているか気になったの」
いきなりこんなことを言うなんて不自然かしらと不安になったが、パンナは気にする様子もなく微笑む。
「大したことはしておりません。ウィンドウショッピングをすることが好きですが、明日は家族で出かけることになっているのです」
「そうなの。普段は、どんな所に出かけているの?」
朝食をとるためにダイニングルームに向かいながら、パンナから情報を聞き出した。
その後、合流したイライアス様に話をして、今日はイライアス様に仕事を任せ、私は通り魔の件を調べることにした。
調べていくうちにわかったのは、私への報告漏れだった。
ソレイユが何度か、レイハート公爵領内の繁華街に現れていることは聞いていたが、彼女を見失い、何をしているかわからない時間があったことが報告されていなかった。
見失ったことは仕方がないにしても、わざと報告しない理由にはならない。
その時間、ソレイユを監視していた二人は解雇し、新たに人を雇うことにした。
ソレイユが絡んでいるのなら、執事は通り魔だと言っていたけれど、本当は違い、最初からパンナを狙っていたのかもしれない。
ソレイユは私とパンナが仲が良いことを知っているもの。
絶対にソレイユの思い通りにはさせない。
パンナには予約をしていたレストランではなく、日頃の感謝も込めて、彼女が一度は行ってみたいと口にしていた高級レストランに行ってもらうことにした。
ということは、朝の8時ということだろう。
寝間着姿ではないので、この時間だとそろそろ朝食の準備ができる頃だ。
日記帳を確認し、昨日書いたはずの日記が書かれておらず、一昨日で終わっていることから、私は一昨日の朝に戻ったのだとわかった。
事件が起きる前に時戻しができたのはいいものの、どういう状況でパンナが襲われたのかなど、詳しいことはわからない。
あの時の私は、パニックになってしまって、助けなくちゃという気持ちしかなかった。
イライアス様のように感情のコントロールができていないから、無意識のうちに時戻しの魔法を発動してしまったみたいだった。
動揺しすぎては駄目だ。とにかく、状況を整理しましょう。
報告があったのは夕方近かったから、パンナが襲われたのは、明日の昼前から昼過ぎくらいだと考えられる。
それならまだパンナを助ける時間は十分にある。
だけど、それだけではいけない。
相手が通り魔なら、誰かを傷つけさせる前に取り押さえなくてはならない。
このままパンナを助けて、犯人が分かった時点で時戻しをすることも可能だろうけれと、それは最後の手段にしたい。
「ベェェー!」
考え込んでいる私に『どうしたの?』とベェがシルバートレイを使って尋ねてきた。
「ベェにも時戻し前の記憶はあるのよね?」
「ベェ!」
はい! と言わんばかりにベェは勢いよく前脚を上げた。
「まずは、パンナに明日のことを確認してみようと思うの。それに、レイハート公爵領内で通り魔だなんて、今まで起きなかったことよ。ありえないこととは言わないけれど、ロガンとイライアス様が話をしてすぐ後のことだから気になるわ」
ベェに話しかけていると、扉がノックされ、パンナが朝食の準備ができたと知らせてくれた。
「ありがとう。ところでパンナ、明日は休みだったわよね?」
「そうでございます。……あの、何かございましたか?」
「普段、パンナがどんなお休みを過ごしているか気になったの」
いきなりこんなことを言うなんて不自然かしらと不安になったが、パンナは気にする様子もなく微笑む。
「大したことはしておりません。ウィンドウショッピングをすることが好きですが、明日は家族で出かけることになっているのです」
「そうなの。普段は、どんな所に出かけているの?」
朝食をとるためにダイニングルームに向かいながら、パンナから情報を聞き出した。
その後、合流したイライアス様に話をして、今日はイライアス様に仕事を任せ、私は通り魔の件を調べることにした。
調べていくうちにわかったのは、私への報告漏れだった。
ソレイユが何度か、レイハート公爵領内の繁華街に現れていることは聞いていたが、彼女を見失い、何をしているかわからない時間があったことが報告されていなかった。
見失ったことは仕方がないにしても、わざと報告しない理由にはならない。
その時間、ソレイユを監視していた二人は解雇し、新たに人を雇うことにした。
ソレイユが絡んでいるのなら、執事は通り魔だと言っていたけれど、本当は違い、最初からパンナを狙っていたのかもしれない。
ソレイユは私とパンナが仲が良いことを知っているもの。
絶対にソレイユの思い通りにはさせない。
パンナには予約をしていたレストランではなく、日頃の感謝も込めて、彼女が一度は行ってみたいと口にしていた高級レストランに行ってもらうことにした。
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