【完結】レイハート公爵夫人の時戻し

風見ゆうみ

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47  元妹の末路 ①

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「まだいいじゃないの」

 王妃陛下は辞去することを告げた私の言葉など聞こえていないかのように言った。

「いえ、これ以上、お時間をとらせるわけにはいきませんので」
「お茶くらい飲んでいきなさいと言っているの」
「お気持ちはとてもありがたいのですが、イライアス様を待たせているのです」

  王妃陛下は頑なにお茶を飲もうとしない私に「相手が誰であっても警戒することはいいことだわ」と満足そうに微笑んで続ける。

「念のため確認しておくけれど、ソレイユへの処罰は私に任せてもらえるのかしら」
「もちろんでございます」
「彼女が辛い目に遭ってもいいのね?」
「辛い目に遭ってもいいと言ってしまえば、あまりにも冷たい人間でしょう。ですが、彼女が犯した罪に対する罰であるのならば、仕方のないことだと思います」
「わかったわ。教えてくれてありがとう。それから……」

 少しだけ間を空けて、王妃陛下は口を開く。

「あなたは女性が男性よりも劣っていると思う?」
「いいえ。個人差があるのは当たり前です。一般的に男性のほうが女性よりも腕力があると言われていますが、非力な男性もいますし、私が学園に通っていた頃、学年のトップはいつも女子生徒でした」

 躊躇いなく答えると、王妃陛下はなぜか安堵したような表情になった。

「そうね、そうよね。ありがとう」

 その後は、王妃陛下が私を引き留めることもなかったため、何事もなくその場を後にすることができたのだった。

 イライアス様と合流すると、ソレイユがまだ正門の前にいると教えてくれたので、裏門から出て帰路につくことになった。
 イライアス様に馬車の中で王妃陛下との話をするつもりだったのに、眠ってしまって無理だった。
 眠ってはいけないと思っていたのに、いつの間にか眠っていたらしい。
 目を覚ましたのは、イライアス様に抱きかかえられて馬車を降りた時だった。
 馬車の揺れの心地好さと、ベェとルピの温かさとイライアス様と一緒だという安心感が重なって気が抜けたのだろう。

 謝る私に、イライアス様は「気にしなくていいよ。本当にお疲れ様」と笑ってくれた。

 公爵邸に帰り着いた頃には夜になっていて、夕食の時間もとっくに過ぎていた。あまりお腹は減っていなかったので、イライアス様と共に私の部屋で軽食を取りながら、父のことなど、王妃陛下とした話をイライアス様に伝えた。

「ソレイユ嬢以外の話もしたから、思ったよりも長くなったんだね」
「そうなんです。それから少し気になったのですが、王妃陛下が女性蔑視について、迷っているように見えたんです」
「……それは驚きだね」

 隣に座るイライアス様が目を大きく見開いて続ける。

「何か心境の変化でもあったのかな」
「良いことではあるのかと思うのですが、どうしてそうなったのかが気になりますよね」
 
 野菜とハムのサンドイッチを一口食べて咀嚼していると、パンナが部屋にやって来た。彼女の手には白い封筒が握られており、王妃陛下から私宛の手紙だと教えてくれた。

 封を切ってもらい、イライアス様と二人で確認すると、ソレイユの罰について書かれていた。
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