【完結】レイハート公爵夫人の時戻し

風見ゆうみ

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58  レイハート公爵夫人の時戻し ①

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 ロガンの件はひとまず片が付いたが、まだ、問題が残っていた。
 リット殿下は、なぜつく必要もない嘘をついたのか。

 イライアス様から、リット殿下にそう連絡を入れてもらうと、自分はロガンに騙されていたのだと返事がきた。
 ロガンからは謝りたいと聞いていただけで、復縁を望んでいるなんて知らなかったとしらばっくれたのだ。

 これ以上、このことで責めることができず、彼がこれからどんな動きをするか、警戒しなければならない日々が続いていた。

 そんなある日、王妃陛下から連絡がきた。
 王妃陛下は私にとって義母に当たるが、未だにお義母かあ様と呼べずにいる。

 イライアス様も無理に呼ばなくてもいいと言ってくれているから余計にだ。

 王妃陛下は私に相談したいことがあるらしい。
 都合のよい日を教えてくれとあったので、返事をする前にイライアス様に相談した。

「会わないわけにはいかないので、お会いしようと思います」
「忙しいと言って断るのは難しいからね。少し待ってて」

 イライアス様はそう言って、寝室を出ていくと、すぐに戻ってきた。
 その手には手帳が握られており、自室からとってきたと教えてくれた。

「十一日後はどうかな。その日なら予定が入っていないし、それまでに仕事をこなせると思うから、僕も一緒に行くよ」
「今回も一緒に来てくださるのですか」
「ミティ嬢と出かけるとかならまだしも、王城に行って母上と会うと聞くと落ち着かないんだ。心配性でごめん」
「謝らないでくださいませ。気持ちはとても嬉しいです」

 王妃陛下からの相談事がどんなものなのか、私には見当もつかない。それはイライアス様も同じだった。

 国王陛下やワシたちにも協力してもらったところ、リット殿下とうまくいっていないことがわかった。

 そのことで、私に相談するとは思えない。
 意図がわからないまま日は過ぎて、約束の日になったのだった。


****** 

 日時はこちらの希望通りになり、当日は、約束よりも少し早い時間に王城にたどり着いた。
 昨日はミティ様とお茶をして、王妃陛下からの嫌がらせがまだ続いているか確認した。すると、最近は態度が柔らかくなったらしく、何の心境の変化があったのかと不思議そうにしていた。

 ミティ様への態度を軟化させたことが、今回の呼び出しと関係があるのかはわからない。
 リット殿下との仲違いが、王妃陛下の中で、自分や女性に対する評価に良い変化があったのなら良いことだ。
 ぜひ、そうであってほしいと願いながら、メイドに案内されて、応接室に入った。
 少し待つように言われ、ソファに座り、部屋の中を見回す。
 背後の壁には大きな風景画が飾られている。それ以外は大して目を引くものはなく、一人でいるだけなら退屈な時間になったかもしれないが、私にはベェとルピがいる。
 二匹が興味深そうに、カップに淹れられたお茶の匂いを嗅いだり、窓の外を眺めている様子を見ていると退屈することはなかった。
 十分もしないうちに扉がノックされた。
 王妃陛下が来たのだと思い込み、笑顔で立ち上がった。
 入ってきた相手が誰だかわかった瞬間、私の顔から笑みが消える。
 現れたのはリット殿下だった。

「母上は忙しいみたいでな。それまで、俺が相手をしてやる」

 リット殿下はテーブルを挟んだ向かい側に座り、ふんぞり返って足を組む。

「とにかく座れ。お前には色々と相談したいことがあるんだ」
「ベェェー!」
「ウォフッ!」

 ベェとルピは窓の近くで吠えると、ベェは私の所に、ルピは扉をすり抜けて部屋から出ていった。

 ルピはイライアス様を呼びに行ってくれたのでしょう。

 王妃陛下は最初から、私とリット殿下に話をさせるつもりだったんだろうか。

 お決まりの挨拶をしてソファに腰を下ろすと、リット殿下が口を開く。

「お前の意見を聞かせてくれ。ミティに王妃が務まると思うか?」

 突然の質問に、私は思わず眉をひそめた。
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