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風見ゆうみ

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第24話 王妃陛下の来訪

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 ヨツイ夫人が言っていた通り、私が城に慣れてきた頃に、婚約披露パーティーをするという話をディルから教えてもらった。

 一応、ターリー国の方でもパーティーを開いてくださるらしい。

「王妃陛下には歓迎されていないから、パーティーどころか、結婚式も挙げないと思っていました」

 素直に言葉にすると、ディルは苦笑して首を縦に振る。

「俺もそう思っていたけど、形式上、そういうわけにはいかないんだろう。それに国王陛下は俺達の結婚を嫌がっていないし」
「元々決められていたものだからですか?」
「そうだと思う。それに、王妃陛下が嫌がってるのは俺だからだろう? ニール殿下が生きていれば、セレン殿下と結婚していただろうし、それについては文句を言うつもりはなかったんじゃないか?」
「意味がわかりません。そんなに嫌なら、ディルを呼び寄せない様にすれば良かったのでは?」

 眉を寄せて尋ねると、ディルも苦笑する。

「たぶん、俺とニール殿下がそっくりだと覚悟はしていたけど、予想以上だったんだろ」
「でも、それはディルのせいじゃないじゃないですか」
「その話をしだすと堂々巡りになるから、もういいだろ。他に気になっている事はないか?」

 ディルに聞かれて、本当はある事はあるのだけれど、自分で何とか出来そうなので口にしないでおく。

「大丈夫です。婚約披露パーティーについての詳しい話はいつになれば教えていただけますか? ドレスの用意をしないといけませんので」
「その件だが、ドレスは王妃陛下が用意するといってきかないらしい」
「……まさか、嫌がらせをされるおつもりですか…?」
「わからない。ヨツイ夫人に探ってもらっているが、ヨツイ夫人が俺やレイア寄りだという事は知っているから、素直に教えようとはしないだろうな」

 大人なんだから、子供みたいな嫌がらせはやめていただきたいけれど、王妃陛下を止められるのは国王陛下くらいしかいないでしょうし、どうなるかわからないわ。

 ドレスの事まで、国王陛下も口出しはしないでしょうし。

 一体、どんな嫌がらせをしてくるのかしら…。
 って、嫌がらせをしてくる前提で考えているのも失礼ね。
 あと、ディルが嫌だというだけで、私に何かしてこようとするのもおかしいと思うのよね。
 だって、別に、私とディルは恋愛結婚じゃないんだから、私をいじめたって、ディルは別に辛くないだろうし…。

 やっぱり、ここにはセレン様が来たほうが良かった?
 あの性格なら、どんな嫌がらせをされても乗り越えられそうだもの…。

「あの、ディル…」
「ん?」
「ディルは、セレン様と結婚したかったですか?」
「……は?」
「あの、だって、セレン様は中身はあんな感じでしたけど、神経は太いと思いますから…」
「セレン殿下と結婚したいと思うわけないだろ。それに、俺はレイアを選んだんだから」

 選択肢が私か、セレン様しかなかったから、私を選んだのよね…。

 ディルは割り切れていてすごいわ。
 私はまだ、恋愛結婚に憧れていた時の事を忘れられないんだもの。

「レイア、何が言いたいんだ? はっきり言ってもらわないとわからないんだが?」
「いえ! ちょっと弱音を吐きそうになっただけです。気になさらないで下さい」
「いや、気にしないほうがおかしいだろ。ちゃんと言えよ。何か嫌なことを誰かに言われたのか?」

 座っていたソファーから立ち上がり、執務室から慌てて出ていこうとしたけれど、腕をつかまれて止められてしまった。

 私自身もどうして、あんな事を口にしてしまったのかわからないだけに、困惑してしまっている。

「何も言われてないです。私も何が言いたいのか、自分でもわからなくて…。だから、今日は帰ります」
「待てって。気になるだろ」
「気になると言われましても、本当に私もよくわからないんです…」

 私はディルに気持ちを求めているの? 
 もし、そうだとしたら、それはどうして?
 そんな気持ちを求めようだなんて、今まで考えた事はなかったのに…!

「とりあえず座るか」
「え? いえ、もう話は終わりましたし」
「俺は終わってない」

 そう言われてしまうと座るしかなく、座っていた場所に座り直すと、なぜか先程まで向かい側に座っていたディルが隣りに座った。

「あ、あの、ディル?」
「何だよ」
「その、なぜ、隣りに?」
「話があるから」
「別に隣に座らなくてもいいのでは!?」
「別に向かい側に座らないといけない理由もないだろ」

 ディルはヨツイ夫人から私の事を聞いているのか、私に対して、ちょっと過保護気味になっている気がする。
 気持ちは嬉しいけれど、あの2人に負けるわけにはいかないし、負けるつもりもないのよね。

「それはそうかもしれないですけど、ディル、心配してくれるのは有り難いのですが…」
「それくらいしか出来なくてごめん」
「……え?」
「俺がレイアを選んで連れてきたのに、放置してるみたいになってるし」
「ディルが選んだっていっても、選択肢が私かセレン様しかなかったじゃないですか。だから」
「違う。たぶん、他の選択肢があっても俺は」

 ディルの言葉の途中で扉がノックされた。
 
「誰だよ」

 ディルは話の腰を折られたからか眉根を寄せて呟いた後、声を上げる。

「誰だ?」
「突然、申し訳ございません。王妃陛下がディル殿下にお会いしたいといらっしゃっています」

 返ってきた言葉に、私とディルは思わず顔を見合わせた。

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