元聖女になったんですから放っておいて下さいよ

風見ゆうみ

文字の大きさ
16 / 29

13 絶対にありえません!

しおりを挟む
「王太子殿下が先程、突然やって来られまして、ミーファ様に会わせろと仰っています」
「今、どんな状態だ?」

 呆気にとられている私の代わりに、当主様が尋ねると、バトラーが答える。

「エントランスホールでお待ちいただいておりますが、相手は王太子殿下ですので、応接間にお通ししてもよろしいでしょうか」
「そうせざるをえんだろう。いつまでもエントランスホールで待たせておくわけにはいかんからな」

 当主様の言葉を聞いて、バトラーは一礼すると、慌てて部屋を出て行った。

 普通なら王太子殿下をエントランスホールで待たせる事も無礼なのかもしれないけど、それだけ招かれざる客だという事を暗に伝えているような気がする。

 もちろん、この家の中で一番偉いのは当主様だし、当主様の許可なしに、バトラーといえども勝手に案内できないというのはあるかもしれないけど。

「ミーファ、王太子殿下はお前に会いたいと言っておられるようだが、どうしたい? 悪いが、私は今すぐやらないといけない事ができてしまったから、お前の代わりに行ってやれん。お前が嫌なら、王太子殿下のお相手はリュークにさせよう」
「いえ、大丈夫です。私が行きます」
「じゃあ俺も一緒に行くよ」
 
 リュークが微笑んでから続ける。

「婚約者を他の男性と二人きりにさせる訳にはいかないから」
「その事だが…」

 リュークの言葉を聞いて、当主様が提案してくれた案に、私とリュークは大きく頷いて、肯定の意を示した。

 再度、当主様から意思確認があり、それについて先程と同じ答えを返した後、私とリュークは、その場で当主様と別れ、私とリュークは王太子殿下が待っている応接間に向かう。
 部屋の扉をノックしてから開けると、コの字に並べられているソファーの一人がけの席に、王太子殿下が足を組んでふんぞり返って座っていた。

「お待たせ致しました」

 リュークがそう言った後、私と二人でお決まりの挨拶の言葉を王太子殿下にした後、リュークはお辞儀を、私はカーテシーをした。

「遅い! それにリューク、俺はお前は呼んでいないぞ」
「申し訳ございません。婚約者を他の男性と二人きりにさせる訳にはいかないんです。ご理解いただけませんか?」

 リュークは笑顔を作って王太子殿下に言う。

「理解などできん!」
「そう仰られるのでしたら、ミーファと話は出来なくなりますが?」
「何だと!?」

 リュークの言葉に王太子殿下が立ち上がって叫ぶ。

「何を偉そうに! どうして、俺がミーファと話が出来ないんだ!」
「先程もお伝えしましたが、いくら王太子殿下であらせられても、婚約者と男性を二人きりにさせる訳にはいきません」

 王太子殿下に対して、命知らずともとられかねないリュークの発言にドキドキしながらも、見守っている場合ではないと気付き、私も口を開く。

「王太子殿下、私に御用との事ですが、リュークが言いました様に、私には婚約者がいる身ですから、他の男性と二人きりになる訳にはいきません。リュークの同席を認めていただけないのであれば、申し訳ございませんが、本日はお帰りいただき、用件を改めて書面でいただけますでしょうか」
「何だと! ミーファ! お前は自分が何を言っているのかわからないのか!」
「失礼ながら殿下、あなたの方こそ、自分が何をしていらっしゃるのか、おわかりになられないのですか? 約束もなしに屋敷に押しかけてきて、婚約者のいる女性と二人きりで話したい? 王太子殿下と噂なんて立てられましたら困るのは私の方なんですが?」
「ミーファ、本気で言っているのか?」

 最後の方は丁寧な口調が消え失せ、本音を発してしまった私を、王太子殿下は睨みつけながら聞いてきた。

 不敬罪で殺されてしまうかしら?
 いや、元聖女とはいえ、わたしの名前は世間に知られているから、さすがにそこまでは出来ないはず。
 ここまできたら、なるようになれだわ。

「本気で言っております」
「どうしてだ! 俺はお前の事をあんなにも気にかけてやっていたのに!」
「気にかける…?」

 意味がわからなくて聞き返す。
 王太子殿下が何か言う前に扉がノックされ、扉付近に立っていたリュークが扉を開けると、バトラーがリュークに二つ折りにされた紙と、小さなメモを差し出した。
 そして、メモを受け取って確認したリュークが、バトラーに向かって頷き、二つ折りの紙は持ったまま、メモだけ返すと、それを受け取ったバトラーは、目があった私に軽く会釈をして、静かに扉を閉めた。

 バトラーが割って入った事により、一度は途切れた会話だったけれど、王太子殿下が口を開く。

「ミーファ、俺は十分、お前の事を気にかけてやったいただろう。城内で出会えば声を掛け、手紙だって何通も送った! 他の聖女にはしていない事なんだぞ!」
「他の聖女にはしていないと言われましても、あなたが私にして下さった事は、私にとっては嫌がらせにしか受け取れなかったのですが…」
「ミーファ、何を言ってるんだ! 言わないとわからないのか? それだけ俺がお前を特別扱いしてやっていたという事だろう!」

 信じられない様なものを見る目で言ってくる王太子殿下だけれど、はっきり言って、私の方が信じられない気持ちで一杯なんだけど?

 暴言を吐いたり、嫌がらせみたいな手紙を送ってくるのが特別扱い?
 そんな特別扱いなんていらないわ。

「王太子殿下は私を特別扱いして下さっていたようですが、私はその行動によって不快な思いしかしておりません」
「不快だと!? ミーファ、お前、俺が誰だかわかっているのか! 王族なんだぞ! 俺に対して、そんな口のきき方が許されると思っているのか!」

 王太子殿下が顔を真っ赤にして叫ぶと、リュークが王太子殿下に近付きながら言う。

「もちろん、ミーファも自分の立場をわかっていますよ。ですが、ミーファの立場も私の立場も、今、現在はあなたと同等の発言をしても良いという立場にあります」
「何だと! いくら、元聖女と従兄弟だからって、そんな事があるわけないだろ!」
「残念ながら、それを許すという許可をいただいております」

 リュークはそう言って、二つ折りにされていた紙を開き、王太子殿下の目の前に突きつけた。

「何だいきなり!」

 そう言って、王太子殿下は紙を奪おうとしたけれど、奪われたらいけない為か、リュークが腕を上にあげた為、背の低い彼には背伸びをしても届かなかった。
 王太子殿下の背丈は、この国の女性の平均身長くらいしかないので、男性にしてみれば低い方だし、逆にリュークは男性でも高い方なので、子供と大人までとはいかないけれど、大きな身長差がある。

 ぴょんぴょんと飛び跳ねる王太子殿下が滑稽で笑いたくなったけれど、何とかこらえて、リュークに尋ねる。

「一体、何が書いてあるの?」

 リュークは王太子殿下から離れ、扉付近で立ったままの私の所までやって来ると、紙を渡してくれた。

 紙の下の方には、リーフ殿下とカイン殿下の名前が書かれてあり、対王太子殿下にのみ、私とリューク、当主様に自分たちと同一の権限を与え、発言の責任については二人が取ると書かれてあり、直筆の署名もされていた。

「これって…」
「詳しい話は落ち着いてからするつもりだけど、前にミーファからリーフ殿下とカイン殿下に連絡を取ってくれって言われてたろ? その後も何度か連絡を取ってたんだ」
「そうだったのね…」
「おい! 俺を無視して話をするな! 一体、何なんだ!」
「落ち着いてお読み下さい」

 そう言って、リュークがまた王太子殿下に近付き、目の前に紙を差し出すと、今度は奪い取ろうとはせずに、王太子殿下は文面を読み始め、そして、怒り始めた。

「俺に対してのみだと! 何を考えてるんだ、あいつらは! 邪魔だから他国に追いやったのに、こんな風に邪魔をするのか!」
「王太子殿下、そういえば、今日はお一人でいらっしゃったのですか?」

 リュークが尋ねると、王太子殿下は憤慨したまま答える。

「転移の魔道具で来たんだ、当たり前だろう!」
「誰かに連絡はされているのですよね?」
「していない! いや、キュララは知っているはずだ」
「聖女様ですか」

 リュークが呆れた顔で呟く様に言った。

 側近に何も言わずに出てくるなんて、今頃、彼がいなくなったと、側近の人が探し回ってなければいいけど…。
 といっても、どこに行ったかは見当はつくかしらね。
 でも、たぶんそこにいるだろうという理由で探さない訳にはいけないだろうから、迷惑な話だわ。
 これで責任を取れだなんて言われたら、喜んで辞めてしまいそう。

 キュララが知っていると王太子殿下は言ったけれど、キュララはわざわざ教えてあげる様な親切なタイプじゃないし。
 そういえば…。

「でも、なぜ、キュララ限定なんですか?」
「やはり俺の事が気になるんだな!?」
「いえ…、そういう訳ではなくてですね」
「俺と婚約したいなら、はっきりと言え! 今、素直に言うのなら、今までも無礼は水に流してやる」
「ですから、そんな気は全くありません!」

 リーフ殿下とカイン殿下のお許しも出ている事だし、正直な気持ちを伝えさせてもらう事にする。

「私は王太子殿下の事を今まで一度たりとも、異性として意識した事はございません。それはこの先もそうです。ですから、王太子殿下との婚約を望む事なんて、絶対にありえません! ですから、もうその話をするのは止めていただけませんか」
「意地を張るなと言ってるだろう!」

 何なのこの人。
 全然、話が通じないんだけど!

「王太子殿下、いいかげんにして下さい。たとえ殿下とはいえ、婚約者のいる女性に、その様な発言は許されませんよ」
「うるさい! 偉そうに! 大体、リューク! お前は年下の分際で俺よりも背が高いからって馬鹿にしやがって」
「殿下、仰っておられる意味がわかりません。私は背丈の事で殿下を馬鹿にした事など一度もありませんが?」

 リュークが低い声で言う。
 背丈の事では馬鹿にしていないというのは嘘じゃないわね。
 他の事では馬鹿にしてると思うけど。
 あ、でも、さっきの行動は馬鹿にしてた様になるのかしら?
 リューク的には馬鹿にしたつもりはないだろうけれど、王太子殿下にしてみれば、馬鹿にされた様に感じたのかもしれない。

「俺だって背が高ければ…!」

 悔しそうに殿下が言った後、私を指差して叫ぶ。

「ミーファ! 絶対にお前を俺のものにしてやるからな!」
「ありえません! そんな悪夢みたいな事を嘘でも口にしないで下さい!」
「悪夢だと!?」

 王太子殿下の言葉に対して、私が言い返そうとした時、何の前触れもなく扉が開いた。
 振り返ると、当主様が難しい顔をして入ってくると、王太子殿下に向かって頭を下げた。

「王太子殿下、ご尊顔を拝見でき光栄にございます」

 言葉とは正反対の重々しい声で当主様は言った後、言葉を続ける。

「ご報告がありまして、こちらへやって来させていただきました」
「報告だと…?」

 突然の当主様の出現に、王太子殿下は焦った表情で聞き返す。

「はい。先程、リュークとミーファ、この二人の婚姻が認められました事を、王太子殿下にご報告いたします」

 当主様の言葉に、王太子殿下は口をぽかんと開けたのだった。
しおりを挟む
感想 26

あなたにおすすめの小説

真面目くさった女はいらないと婚約破棄された伯爵令嬢ですが、王太子様に求婚されました。実はかわいい彼の溺愛っぷりに困っています

綾森れん
恋愛
「リラ・プリマヴェーラ、お前と交わした婚約を破棄させてもらう!」 公爵家主催の夜会にて、リラ・プリマヴェーラ伯爵令嬢はグイード・ブライデン公爵令息から言い渡された。 「お前のような真面目くさった女はいらない!」 ギャンブルに財産を賭ける婚約者の姿に公爵家の将来を憂いたリラは、彼をいさめたのだが逆恨みされて婚約破棄されてしまったのだ。 リラとグイードの婚約は政略結婚であり、そこに愛はなかった。リラは今でも7歳のころ茶会で出会ったアルベルト王子の優しさと可愛らしさを覚えていた。しかしアルベルト王子はそのすぐあとに、毒殺されてしまった。 夜会で恥をさらし、居場所を失った彼女を救ったのは、美しい青年歌手アルカンジェロだった。 心優しいアルカンジェロに惹かれていくリラだが、彼は高い声を保つため、少年時代に残酷な手術を受けた「カストラート(去勢歌手)」と呼ばれる存在。教会は、子孫を残せない彼らに結婚を禁じていた。 禁断の恋に悩むリラのもとへ、父親が新たな婚約話をもってくる。相手の男性は親子ほども歳の離れた下級貴族で子だくさん。数年前に妻を亡くし、後妻に入ってくれる女性を探しているという、悪い条件の相手だった。 望まぬ婚姻を強いられ未来に希望を持てなくなったリラは、アルカンジェロと二人、教会の勢力が及ばない国外へ逃げ出す計画を立てる。 仮面舞踏会の夜、二人の愛は通じ合い、結ばれる。だがアルカンジェロが自身の秘密を打ち明けた。彼の正体は歌手などではなく、十年前に毒殺されたはずのアルベルト王子その人だった。 しかし再び、王権転覆を狙う暗殺者が迫りくる。 これは、愛し合うリラとアルベルト王子が二人で幸せをつかむまでの物語である。

辺境の侯爵令嬢、婚約破棄された夜に最強薬師スキルでざまぁします。

コテット
恋愛
侯爵令嬢リーナは、王子からの婚約破棄と義妹の策略により、社交界での地位も誇りも奪われた。 だが、彼女には誰も知らない“前世の記憶”がある。現代薬剤師として培った知識と、辺境で拾った“魔草”の力。 それらを駆使して、貴族社会の裏を暴き、裏切った者たちに“真実の薬”を処方する。 ざまぁの宴の先に待つのは、異国の王子との出会い、平穏な薬草庵の日々、そして新たな愛。 これは、捨てられた令嬢が世界を変える、痛快で甘くてスカッとする逆転恋愛譚。

真実の愛のお相手様と仲睦まじくお過ごしください

LIN
恋愛
「私には真実に愛する人がいる。私から愛されるなんて事は期待しないでほしい」冷たい声で男は言った。 伯爵家の嫡男ジェラルドと同格の伯爵家の長女マーガレットが、互いの家の共同事業のために結ばれた婚約期間を経て、晴れて行われた結婚式の夜の出来事だった。 真実の愛が尊ばれる国で、マーガレットが周囲の人を巻き込んで起こす色んな出来事。 (他サイトで載せていたものです。今はここでしか載せていません。今まで読んでくれた方で、見つけてくれた方がいましたら…ありがとうございます…) (1月14日完結です。設定変えてなかったらすみません…)

狂おしいほど愛しています、なのでよそへと嫁ぐことに致します

ちより
恋愛
 侯爵令嬢のカレンは分別のあるレディだ。頭の中では初恋のエル様のことでいっぱいになりながらも、一切そんな素振りは見せない徹底ぶりだ。  愛するエル様、神々しくも真面目で思いやりあふれるエル様、その残り香だけで胸いっぱいですわ。  頭の中は常にエル様一筋のカレンだが、家同士が決めた結婚で、公爵家に嫁ぐことになる。愛のない形だけの結婚と思っているのは自分だけで、実は誰よりも公爵様から愛されていることに気づかない。  公爵様からの溺愛に、不器用な恋心が反応したら大変で……両思いに慣れません。

【第一章完結】相手を間違えたと言われても困りますわ。返品・交換不可とさせて頂きます

との
恋愛
「結婚おめでとう」 婚約者と義妹に、笑顔で手を振るリディア。 (さて、さっさと逃げ出すわよ) 公爵夫人になりたかったらしい義妹が、代わりに結婚してくれたのはリディアにとっては嬉しい誤算だった。 リディアは自分が立ち上げた商会ごと逃げ出し、新しい商売を立ち上げようと張り切ります。 どこへ行っても何かしらやらかしてしまうリディアのお陰で、秘書のセオ達と侍女のマーサはハラハラしまくり。 結婚を申し込まれても・・ 「困った事になったわね。在地剰余の話、しにくくなっちゃった」 「「はあ? そこ?」」 ーーーーーー 設定かなりゆるゆる? 第一章完結

所詮、わたしは壁の花 〜なのに辺境伯様が溺愛してくるのは何故ですか?〜

しがわか
ファンタジー
刺繍を愛してやまないローゼリアは父から行き遅れと罵られていた。 高貴な相手に見初められるために、とむりやり夜会へ送り込まれる日々。 しかし父は知らないのだ。 ローゼリアが夜会で”壁の花”と罵られていることを。 そんなローゼリアが参加した辺境伯様の夜会はいつもと雰囲気が違っていた。 それもそのはず、それは辺境伯様の婚約者を決める集まりだったのだ。 けれど所詮”壁の花”の自分には関係がない、といつものように会場の隅で目立たないようにしているローゼリアは不意に手を握られる。 その相手はなんと辺境伯様で——。 なぜ、辺境伯様は自分を溺愛してくれるのか。 彼の過去を知り、やがてその理由を悟ることとなる。 それでも——いや、だからこそ辺境伯様の力になりたいと誓ったローゼリアには特別な力があった。 天啓<ギフト>として女神様から賜った『魔力を象るチカラ』は想像を創造できる万能な能力だった。 壁の花としての自重をやめたローゼリアは天啓を自在に操り、大好きな人達を守り導いていく。

婚約破棄されたけれど、どうぞ勝手に没落してくださいませ。私は辺境で第二の人生を満喫しますわ

鍛高譚
恋愛
「白い結婚でいい。 平凡で、静かな生活が送れれば――それだけで幸せでしたのに。」 婚約破棄され、行き場を失った伯爵令嬢アナスタシア。 彼女を救ったのは“冷徹”と噂される公爵・ルキウスだった。 二人の結婚は、互いに干渉しない 『白い結婚』――ただの契約のはずだった。 ……はずなのに。 邸内で起きる不可解な襲撃。 操られた侍女が放つ言葉。 浮かび上がる“白の一族”の血――そしてアナスタシアの身体に眠る 浄化の魔力。 「白の娘よ。いずれ迎えに行く」 影の王から届いた脅迫状が、運命の刻を告げる。 守るために剣を握る公爵。 守られるだけで終わらせないと誓う令嬢。 契約から始まったはずの二人の関係は、 いつしか互いに手放せない 真実の愛 へと変わってゆく。 「君を奪わせはしない」 「わたくしも……あなたを守りたいのです」 これは―― 白い結婚から始まり、影の王を巡る大いなる戦いへ踏み出す、 覚醒令嬢と冷徹公爵の“運命の恋と陰謀”の物語。 ---

報われなかった姫君に、弔いの白い薔薇の花束を

さくたろう
恋愛
 その国の王妃を決める舞踏会に招かれたロザリー・ベルトレードは、自分が当時の王子、そうして現王アルフォンスの婚約者であり、不遇の死を遂げた姫オフィーリアであったという前世を思い出す。  少しずつ蘇るオフィーリアの記憶に翻弄されながらも、17年前から今世まで続く因縁に、ロザリーは絡め取られていく。一方でアルフォンスもロザリーの存在から目が離せなくなり、やがて二人は再び惹かれ合うようになるが――。 20話です。小説家になろう様でも公開中です。

処理中です...