27 / 29
23 一緒に行くから
しおりを挟む
フランソワやエルセラにも協力してもらい、キュララとトリンが結界を張った場所を確認していくと、やはり、弱い部分がたくさんあった。
この国は空を飛ぶ魔物は少ないから、前回の様に結界を這い上がり、結界が張られていない部分から、侵入してくるとすれば、そのパターンの魔物が多い。
私達、聖女は結界を張る事が出来るのは当たり前だけれど、張られた結界を解除する事も出来る。
ただ、一部分だけ解除したり弱めるというのは、そう簡単に出来るものじゃない。
コントロールが難しく、予想以上に大きな穴の様なものが出来てしまう。
キュララ達がやった事は、まさしくそれで、結界が弱まっていた部分は、かなり広範囲だった。
私も結界を解除したけれど、私の場合は、そう難しくはなかった。
その一部分がわりと大きなものだったから。
国王陛下の退位やモーリス殿下の王位継承権の剥奪が決まった時に、私は王都だけでなく、王城にも入る事が出来るようになった。
作戦決行の日の朝、結界の解除を終えて、白亜の城を近くの宿屋の二階から眺めながら、私は連絡を待っていた。
「城からの避難はほとんど終わったらしい。後は、聖女の侍女達が出て来たら終わりだそうだ」
「上手くいくかしら…。もしかしたら、犠牲者が出るかもしれない」
「聖女が付いているんだから、即死じゃなければ助かるさ」
「その聖女達が自分の命だけ守ろうとするんじゃないかと不安なのよ」
私の泊まっている部屋にやって来ていたリュークは窓際で立っている私の横に立って言う。
「それはさすがにないんじゃないか? 相手は王族なんだから」
「そんな事を考えられる頭があればいいんだけど」
「それにモーリス殿下も国王陛下も多少は戦えるだろう」
「そんな風には見えないけど」
「かといって、王族なんて、命を狙われる可能性が高いんだから、多少の訓練はしているだろ。何もかも護衛任せでも駄目だろうから」
「そんな事を考える人じゃないわよ。自分が助かる為なら、誰を犠牲にしても気にしなさそうな人よ?」
きっぱりと答えると、リュークは眉根を寄せた。
「なんとなくそんな気はしてたが、ミーファから言われると実感が湧いてきて嫌になるな」
「多くの国民はまさか、元王太子や国王の本音がそんなものだなんて思ってないでしょうから、それを知ったら、リュークと同じで嫌悪感を抱くと思うわ。だから、知らない方がいいのかもしれない」
「自分の事を一番に考える事が悪い事ではないけど、それをあからさまに言われてしまうと嫌な気になるもんだな」
「そうね」
リュークの言葉に、私が頷いた時だった。
部屋の扉が叩かれたので返事を返すと、聖女の侍女の一人だったので、部屋に入ってもらう。
「ミーファ様。キュララ様とトリン様を王太子殿下のお部屋にお連れしたと、フランソワ様から魔道具で連絡をいただきました。国王陛下もすでに部屋の中にいらっしゃったそうです」
「報告してくれてありがとう」
「宰相閣下からも関係者以外の人間は城内から避難できたという、ご報告も同時にいただきました」
「ありがとう」
礼を言うと、報告事項は全て終えたと言わんばかりに、侍女は無言で一礼すると、部屋を出て行った。
「じゃあ俺も行ってくる」
踵を返したリュークに声を掛ける。
「私も行くわ」
「危険だからミーファがここにいた方がいい」
「駄目よ。フランソワ達だって危険な場所にいるのよ。この案を考えた私が安全な場所にいる訳にはいかないでしょう」
「考えたのはミーファかもしれないけど、実際に決めたのは貴族だよ。それに、ミーファはここまで酷い事をしようとは思っていなかっただろ? だから、ミーファが気にする必要はない」
「嫌よ。駄目と言われても勝手に行くから」
リュークの顔を見上げて、軽く睨むようにして言うと、リュークは呆れた顔をして小さく息を吐いた。
「今、ここで置いていったとしても、どうせ城に来ようとするんだよな?」
「行くわ! それに、私がいた方がリュークだって安全でしょう? 大体、リュークが行く必要あるの? 他の騎士の人が行ってもおかしくないじゃない」
「自分の妻が罠にかけられそうになってたんだから、落ち着いて黙ってみている訳にはいかないだろ」
「なら、それと同じだわ! 罠にかけられそうになったのは私よ。言いたい事は言わせてもらうわ」
聖女達の動きが怪しい事を当主様に連絡したあと、宰相や陛下やモーリス殿下の側近が秘密裏に色々と調べてくださり、キュララとトリン、そしてモーリス殿下と国王陛下が私を罠にかけようとしている事がわかった。
キュララ達は侍女達にもバレないように計画を進めていたみたいだったけれど、モーリス殿下がお馬鹿さんだった。
モーリス殿下の部屋を掃除しているメイドに、彼のベッドの脇にあるゴミ箱に会話が録音できる魔道具を入れる様に頼み、ゴミ箱を部屋に置いておいてもらい、次の日に回収を繰り返した何日か目に、殿下と聖女の会話が録音され、私を罠にかけようとしている事が発覚した。
キュララ達もまさか、盗聴されているなんて思わなかったんでしょうね。
もちろん、盗聴なんて本当はやって良い事ではないし。
一応、未来の国王陛下である、リーフ殿下からは許可を得たらしいし、盗聴問題については、関係者だけの話にしておけば、罪に問われる事はない。
私達の国では、プライバシーはもちろん大切ではあるけれど、やむを得ない事情がある場合は許されているし、今回もその事例で通ると思われる。
だって、王族や聖女が国民をわざと危険にさらそうとしていたのだから。
リュークと一緒に城の敷地内に入ると、一気に身体が重くなった。
普通の人には感じられないみたいだけれど、魔物が持っている闇の属性が、聖女の光の属性と相性が悪いため、身体に負担がかかる様だった。
自分とリュークの周りに結界を張ると、身体が一気に楽になったので、この敷地内に魔物が入り込んでいる事がわかった。
城門のところにはたくさんの騎士の人がいて、魔物が襲ってきたら、すぐに城門を閉める事になっている。
もちろん、閉めなくても、魔物は結界で弾かれるのだけれど、念の為だ。
私は立ち止まって空を見上げた。
今日は天気が良くて、雲ひとつ無い。
いつもなら靄がかかったように見える空が、ここではくっきりと見える。
「ミーファ、あなたも来たのね」
エルセラとフランソワが近付いてきた。
城内には誰もいないけれど、敷地内にはまだ、騎士の人が多く残っている。
だから、二人は残っている騎士達全員に結界を張り終えてきたと言った。
「ありがとう。後は、結界をもう少し広げるわ」
「結界が張られていない場所を城だけにするのね?」
「手伝うわ」
二人は私の協力者なので、私の言葉に頷くと、一緒に結界を少しずつ広げていってくれた。
そして、結界が張られていない空を見上げる。
城の上空だけ、空は綺麗に見えて、そして、空から何かが城に向かって飛んでいくのが見えた。
「来たな」
リュークが呟き、背後にいた騎士達の方に振り返った。
「俺達も行くぞ」
「はい!」
リュークの言葉に騎士達が返事をした。
今回、発案したのが当主様からだったという事もあり、危険な場所に行くのもスコッチ家からという事になり、リュークが出る事になった。
当主様も戦えるようだけれど、リュークは元々は王家の騎士になりたかったらしく、剣術をみがいていたため、彼の方が良いと判断されたのと、リュークが自分自身で望んだからだった。
「ミーファはここで待っててくれ」
「嫌よ! 一緒に行くから。言ったでしょう! ちゃんと自分で文句を言いたいの。結界を張っているから危険はないわ」
「…わかったよ。だけど、絶対に前には出ないと約束してくれ」
「もちろん! 足手まといにはならない様にするわ!」
大きく頷くと、リュークは苦笑してから、首を縦に振ってくれた。
キュララ達が考えていたシナリオを聞いて、私はそのままそのシナリオを彼女達に返そうと思った。
といっても、無関係の人は巻き込まない形で。
避難させたりしたから、巻き込んだといわれれば巻き込んでしまったのかもしれないけれど、危険な目にあわせない分、私の考えた方がマシだと思った。
私が考えたのは、お城の上だけ、わざと結界を破るという事だった。
もちろん、城内にはたくさんの人がいるから、避難を終えた後で、張られていた結界を破ろうと考えた。
そして、城内に魔物が入り込む事により、自分達が考えた計画が、どんなに恐ろしいものだったか、知らしめようと思った。
いきなり魔物が入ってきて、襲われる恐怖を彼らにも味わってもらおうと思った。
だって、他の人にそうしようとしていたのだから。
その話を当主様にしたところ、上位貴族の人と話し合いをしてくれて、特にほとんどの辺境伯が、自分達の領民が脅かされようとしていた事に憤りを覚え、私の意見に賛成してくれた。
宰相は元々、盗聴などの時点で協力してくれていたし、私の意見を聞いて、城の皆を避難させる誘導などを上手く進めてくれた。
私達の計画がバレないように城に働いている人間達にも、上手く言って休暇を取らせてくれたみたいだった。
今、城内にはキュララとトリン、モーリス殿下と国王陛下しかいない。
魔物がもう一匹、入ったのを確認すると、すぐに城の上空に結界を張った。
そうたくさん招く必要はないから。
キュララ達が魔物と出会った時、どんな行動を取るのだろうか。
できれば、聖女らしい行動を取ってくれる事を祈った。
この国は空を飛ぶ魔物は少ないから、前回の様に結界を這い上がり、結界が張られていない部分から、侵入してくるとすれば、そのパターンの魔物が多い。
私達、聖女は結界を張る事が出来るのは当たり前だけれど、張られた結界を解除する事も出来る。
ただ、一部分だけ解除したり弱めるというのは、そう簡単に出来るものじゃない。
コントロールが難しく、予想以上に大きな穴の様なものが出来てしまう。
キュララ達がやった事は、まさしくそれで、結界が弱まっていた部分は、かなり広範囲だった。
私も結界を解除したけれど、私の場合は、そう難しくはなかった。
その一部分がわりと大きなものだったから。
国王陛下の退位やモーリス殿下の王位継承権の剥奪が決まった時に、私は王都だけでなく、王城にも入る事が出来るようになった。
作戦決行の日の朝、結界の解除を終えて、白亜の城を近くの宿屋の二階から眺めながら、私は連絡を待っていた。
「城からの避難はほとんど終わったらしい。後は、聖女の侍女達が出て来たら終わりだそうだ」
「上手くいくかしら…。もしかしたら、犠牲者が出るかもしれない」
「聖女が付いているんだから、即死じゃなければ助かるさ」
「その聖女達が自分の命だけ守ろうとするんじゃないかと不安なのよ」
私の泊まっている部屋にやって来ていたリュークは窓際で立っている私の横に立って言う。
「それはさすがにないんじゃないか? 相手は王族なんだから」
「そんな事を考えられる頭があればいいんだけど」
「それにモーリス殿下も国王陛下も多少は戦えるだろう」
「そんな風には見えないけど」
「かといって、王族なんて、命を狙われる可能性が高いんだから、多少の訓練はしているだろ。何もかも護衛任せでも駄目だろうから」
「そんな事を考える人じゃないわよ。自分が助かる為なら、誰を犠牲にしても気にしなさそうな人よ?」
きっぱりと答えると、リュークは眉根を寄せた。
「なんとなくそんな気はしてたが、ミーファから言われると実感が湧いてきて嫌になるな」
「多くの国民はまさか、元王太子や国王の本音がそんなものだなんて思ってないでしょうから、それを知ったら、リュークと同じで嫌悪感を抱くと思うわ。だから、知らない方がいいのかもしれない」
「自分の事を一番に考える事が悪い事ではないけど、それをあからさまに言われてしまうと嫌な気になるもんだな」
「そうね」
リュークの言葉に、私が頷いた時だった。
部屋の扉が叩かれたので返事を返すと、聖女の侍女の一人だったので、部屋に入ってもらう。
「ミーファ様。キュララ様とトリン様を王太子殿下のお部屋にお連れしたと、フランソワ様から魔道具で連絡をいただきました。国王陛下もすでに部屋の中にいらっしゃったそうです」
「報告してくれてありがとう」
「宰相閣下からも関係者以外の人間は城内から避難できたという、ご報告も同時にいただきました」
「ありがとう」
礼を言うと、報告事項は全て終えたと言わんばかりに、侍女は無言で一礼すると、部屋を出て行った。
「じゃあ俺も行ってくる」
踵を返したリュークに声を掛ける。
「私も行くわ」
「危険だからミーファがここにいた方がいい」
「駄目よ。フランソワ達だって危険な場所にいるのよ。この案を考えた私が安全な場所にいる訳にはいかないでしょう」
「考えたのはミーファかもしれないけど、実際に決めたのは貴族だよ。それに、ミーファはここまで酷い事をしようとは思っていなかっただろ? だから、ミーファが気にする必要はない」
「嫌よ。駄目と言われても勝手に行くから」
リュークの顔を見上げて、軽く睨むようにして言うと、リュークは呆れた顔をして小さく息を吐いた。
「今、ここで置いていったとしても、どうせ城に来ようとするんだよな?」
「行くわ! それに、私がいた方がリュークだって安全でしょう? 大体、リュークが行く必要あるの? 他の騎士の人が行ってもおかしくないじゃない」
「自分の妻が罠にかけられそうになってたんだから、落ち着いて黙ってみている訳にはいかないだろ」
「なら、それと同じだわ! 罠にかけられそうになったのは私よ。言いたい事は言わせてもらうわ」
聖女達の動きが怪しい事を当主様に連絡したあと、宰相や陛下やモーリス殿下の側近が秘密裏に色々と調べてくださり、キュララとトリン、そしてモーリス殿下と国王陛下が私を罠にかけようとしている事がわかった。
キュララ達は侍女達にもバレないように計画を進めていたみたいだったけれど、モーリス殿下がお馬鹿さんだった。
モーリス殿下の部屋を掃除しているメイドに、彼のベッドの脇にあるゴミ箱に会話が録音できる魔道具を入れる様に頼み、ゴミ箱を部屋に置いておいてもらい、次の日に回収を繰り返した何日か目に、殿下と聖女の会話が録音され、私を罠にかけようとしている事が発覚した。
キュララ達もまさか、盗聴されているなんて思わなかったんでしょうね。
もちろん、盗聴なんて本当はやって良い事ではないし。
一応、未来の国王陛下である、リーフ殿下からは許可を得たらしいし、盗聴問題については、関係者だけの話にしておけば、罪に問われる事はない。
私達の国では、プライバシーはもちろん大切ではあるけれど、やむを得ない事情がある場合は許されているし、今回もその事例で通ると思われる。
だって、王族や聖女が国民をわざと危険にさらそうとしていたのだから。
リュークと一緒に城の敷地内に入ると、一気に身体が重くなった。
普通の人には感じられないみたいだけれど、魔物が持っている闇の属性が、聖女の光の属性と相性が悪いため、身体に負担がかかる様だった。
自分とリュークの周りに結界を張ると、身体が一気に楽になったので、この敷地内に魔物が入り込んでいる事がわかった。
城門のところにはたくさんの騎士の人がいて、魔物が襲ってきたら、すぐに城門を閉める事になっている。
もちろん、閉めなくても、魔物は結界で弾かれるのだけれど、念の為だ。
私は立ち止まって空を見上げた。
今日は天気が良くて、雲ひとつ無い。
いつもなら靄がかかったように見える空が、ここではくっきりと見える。
「ミーファ、あなたも来たのね」
エルセラとフランソワが近付いてきた。
城内には誰もいないけれど、敷地内にはまだ、騎士の人が多く残っている。
だから、二人は残っている騎士達全員に結界を張り終えてきたと言った。
「ありがとう。後は、結界をもう少し広げるわ」
「結界が張られていない場所を城だけにするのね?」
「手伝うわ」
二人は私の協力者なので、私の言葉に頷くと、一緒に結界を少しずつ広げていってくれた。
そして、結界が張られていない空を見上げる。
城の上空だけ、空は綺麗に見えて、そして、空から何かが城に向かって飛んでいくのが見えた。
「来たな」
リュークが呟き、背後にいた騎士達の方に振り返った。
「俺達も行くぞ」
「はい!」
リュークの言葉に騎士達が返事をした。
今回、発案したのが当主様からだったという事もあり、危険な場所に行くのもスコッチ家からという事になり、リュークが出る事になった。
当主様も戦えるようだけれど、リュークは元々は王家の騎士になりたかったらしく、剣術をみがいていたため、彼の方が良いと判断されたのと、リュークが自分自身で望んだからだった。
「ミーファはここで待っててくれ」
「嫌よ! 一緒に行くから。言ったでしょう! ちゃんと自分で文句を言いたいの。結界を張っているから危険はないわ」
「…わかったよ。だけど、絶対に前には出ないと約束してくれ」
「もちろん! 足手まといにはならない様にするわ!」
大きく頷くと、リュークは苦笑してから、首を縦に振ってくれた。
キュララ達が考えていたシナリオを聞いて、私はそのままそのシナリオを彼女達に返そうと思った。
といっても、無関係の人は巻き込まない形で。
避難させたりしたから、巻き込んだといわれれば巻き込んでしまったのかもしれないけれど、危険な目にあわせない分、私の考えた方がマシだと思った。
私が考えたのは、お城の上だけ、わざと結界を破るという事だった。
もちろん、城内にはたくさんの人がいるから、避難を終えた後で、張られていた結界を破ろうと考えた。
そして、城内に魔物が入り込む事により、自分達が考えた計画が、どんなに恐ろしいものだったか、知らしめようと思った。
いきなり魔物が入ってきて、襲われる恐怖を彼らにも味わってもらおうと思った。
だって、他の人にそうしようとしていたのだから。
その話を当主様にしたところ、上位貴族の人と話し合いをしてくれて、特にほとんどの辺境伯が、自分達の領民が脅かされようとしていた事に憤りを覚え、私の意見に賛成してくれた。
宰相は元々、盗聴などの時点で協力してくれていたし、私の意見を聞いて、城の皆を避難させる誘導などを上手く進めてくれた。
私達の計画がバレないように城に働いている人間達にも、上手く言って休暇を取らせてくれたみたいだった。
今、城内にはキュララとトリン、モーリス殿下と国王陛下しかいない。
魔物がもう一匹、入ったのを確認すると、すぐに城の上空に結界を張った。
そうたくさん招く必要はないから。
キュララ達が魔物と出会った時、どんな行動を取るのだろうか。
できれば、聖女らしい行動を取ってくれる事を祈った。
68
あなたにおすすめの小説
真面目くさった女はいらないと婚約破棄された伯爵令嬢ですが、王太子様に求婚されました。実はかわいい彼の溺愛っぷりに困っています
綾森れん
恋愛
「リラ・プリマヴェーラ、お前と交わした婚約を破棄させてもらう!」
公爵家主催の夜会にて、リラ・プリマヴェーラ伯爵令嬢はグイード・ブライデン公爵令息から言い渡された。
「お前のような真面目くさった女はいらない!」
ギャンブルに財産を賭ける婚約者の姿に公爵家の将来を憂いたリラは、彼をいさめたのだが逆恨みされて婚約破棄されてしまったのだ。
リラとグイードの婚約は政略結婚であり、そこに愛はなかった。リラは今でも7歳のころ茶会で出会ったアルベルト王子の優しさと可愛らしさを覚えていた。しかしアルベルト王子はそのすぐあとに、毒殺されてしまった。
夜会で恥をさらし、居場所を失った彼女を救ったのは、美しい青年歌手アルカンジェロだった。
心優しいアルカンジェロに惹かれていくリラだが、彼は高い声を保つため、少年時代に残酷な手術を受けた「カストラート(去勢歌手)」と呼ばれる存在。教会は、子孫を残せない彼らに結婚を禁じていた。
禁断の恋に悩むリラのもとへ、父親が新たな婚約話をもってくる。相手の男性は親子ほども歳の離れた下級貴族で子だくさん。数年前に妻を亡くし、後妻に入ってくれる女性を探しているという、悪い条件の相手だった。
望まぬ婚姻を強いられ未来に希望を持てなくなったリラは、アルカンジェロと二人、教会の勢力が及ばない国外へ逃げ出す計画を立てる。
仮面舞踏会の夜、二人の愛は通じ合い、結ばれる。だがアルカンジェロが自身の秘密を打ち明けた。彼の正体は歌手などではなく、十年前に毒殺されたはずのアルベルト王子その人だった。
しかし再び、王権転覆を狙う暗殺者が迫りくる。
これは、愛し合うリラとアルベルト王子が二人で幸せをつかむまでの物語である。
辺境の侯爵令嬢、婚約破棄された夜に最強薬師スキルでざまぁします。
コテット
恋愛
侯爵令嬢リーナは、王子からの婚約破棄と義妹の策略により、社交界での地位も誇りも奪われた。
だが、彼女には誰も知らない“前世の記憶”がある。現代薬剤師として培った知識と、辺境で拾った“魔草”の力。
それらを駆使して、貴族社会の裏を暴き、裏切った者たちに“真実の薬”を処方する。
ざまぁの宴の先に待つのは、異国の王子との出会い、平穏な薬草庵の日々、そして新たな愛。
これは、捨てられた令嬢が世界を変える、痛快で甘くてスカッとする逆転恋愛譚。
真実の愛のお相手様と仲睦まじくお過ごしください
LIN
恋愛
「私には真実に愛する人がいる。私から愛されるなんて事は期待しないでほしい」冷たい声で男は言った。
伯爵家の嫡男ジェラルドと同格の伯爵家の長女マーガレットが、互いの家の共同事業のために結ばれた婚約期間を経て、晴れて行われた結婚式の夜の出来事だった。
真実の愛が尊ばれる国で、マーガレットが周囲の人を巻き込んで起こす色んな出来事。
(他サイトで載せていたものです。今はここでしか載せていません。今まで読んでくれた方で、見つけてくれた方がいましたら…ありがとうございます…)
(1月14日完結です。設定変えてなかったらすみません…)
狂おしいほど愛しています、なのでよそへと嫁ぐことに致します
ちより
恋愛
侯爵令嬢のカレンは分別のあるレディだ。頭の中では初恋のエル様のことでいっぱいになりながらも、一切そんな素振りは見せない徹底ぶりだ。
愛するエル様、神々しくも真面目で思いやりあふれるエル様、その残り香だけで胸いっぱいですわ。
頭の中は常にエル様一筋のカレンだが、家同士が決めた結婚で、公爵家に嫁ぐことになる。愛のない形だけの結婚と思っているのは自分だけで、実は誰よりも公爵様から愛されていることに気づかない。
公爵様からの溺愛に、不器用な恋心が反応したら大変で……両思いに慣れません。
【第一章完結】相手を間違えたと言われても困りますわ。返品・交換不可とさせて頂きます
との
恋愛
「結婚おめでとう」 婚約者と義妹に、笑顔で手を振るリディア。
(さて、さっさと逃げ出すわよ)
公爵夫人になりたかったらしい義妹が、代わりに結婚してくれたのはリディアにとっては嬉しい誤算だった。
リディアは自分が立ち上げた商会ごと逃げ出し、新しい商売を立ち上げようと張り切ります。
どこへ行っても何かしらやらかしてしまうリディアのお陰で、秘書のセオ達と侍女のマーサはハラハラしまくり。
結婚を申し込まれても・・
「困った事になったわね。在地剰余の話、しにくくなっちゃった」
「「はあ? そこ?」」
ーーーーーー
設定かなりゆるゆる?
第一章完結
所詮、わたしは壁の花 〜なのに辺境伯様が溺愛してくるのは何故ですか?〜
しがわか
ファンタジー
刺繍を愛してやまないローゼリアは父から行き遅れと罵られていた。
高貴な相手に見初められるために、とむりやり夜会へ送り込まれる日々。
しかし父は知らないのだ。
ローゼリアが夜会で”壁の花”と罵られていることを。
そんなローゼリアが参加した辺境伯様の夜会はいつもと雰囲気が違っていた。
それもそのはず、それは辺境伯様の婚約者を決める集まりだったのだ。
けれど所詮”壁の花”の自分には関係がない、といつものように会場の隅で目立たないようにしているローゼリアは不意に手を握られる。
その相手はなんと辺境伯様で——。
なぜ、辺境伯様は自分を溺愛してくれるのか。
彼の過去を知り、やがてその理由を悟ることとなる。
それでも——いや、だからこそ辺境伯様の力になりたいと誓ったローゼリアには特別な力があった。
天啓<ギフト>として女神様から賜った『魔力を象るチカラ』は想像を創造できる万能な能力だった。
壁の花としての自重をやめたローゼリアは天啓を自在に操り、大好きな人達を守り導いていく。
婚約破棄されたけれど、どうぞ勝手に没落してくださいませ。私は辺境で第二の人生を満喫しますわ
鍛高譚
恋愛
「白い結婚でいい。
平凡で、静かな生活が送れれば――それだけで幸せでしたのに。」
婚約破棄され、行き場を失った伯爵令嬢アナスタシア。
彼女を救ったのは“冷徹”と噂される公爵・ルキウスだった。
二人の結婚は、互いに干渉しない 『白い結婚』――ただの契約のはずだった。
……はずなのに。
邸内で起きる不可解な襲撃。
操られた侍女が放つ言葉。
浮かび上がる“白の一族”の血――そしてアナスタシアの身体に眠る 浄化の魔力。
「白の娘よ。いずれ迎えに行く」
影の王から届いた脅迫状が、運命の刻を告げる。
守るために剣を握る公爵。
守られるだけで終わらせないと誓う令嬢。
契約から始まったはずの二人の関係は、
いつしか互いに手放せない 真実の愛 へと変わってゆく。
「君を奪わせはしない」
「わたくしも……あなたを守りたいのです」
これは――
白い結婚から始まり、影の王を巡る大いなる戦いへ踏み出す、
覚醒令嬢と冷徹公爵の“運命の恋と陰謀”の物語。
---
報われなかった姫君に、弔いの白い薔薇の花束を
さくたろう
恋愛
その国の王妃を決める舞踏会に招かれたロザリー・ベルトレードは、自分が当時の王子、そうして現王アルフォンスの婚約者であり、不遇の死を遂げた姫オフィーリアであったという前世を思い出す。
少しずつ蘇るオフィーリアの記憶に翻弄されながらも、17年前から今世まで続く因縁に、ロザリーは絡め取られていく。一方でアルフォンスもロザリーの存在から目が離せなくなり、やがて二人は再び惹かれ合うようになるが――。
20話です。小説家になろう様でも公開中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる