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9 巻き込んでしまってごめんなさい
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少しだけ待ってもらい、寝間着から動きやすい服に着替えてから、庭師の彼と一緒に別邸の方に向かう。
すると、フレイ様の元執事の男が途中で待っていて、私達に別邸ではなく本邸の裏側、山側の方へ行けと促してきました。
庭師が言っていた知らない男というのは、この方の事のようです。
ここまではシュミレーション通りにうまくいっています。
ですが、庭師の彼は何も知らないため、急いでいる気持ちはわかりますが、先へ先へ急いで、私がだいぶ遅れている事に気付いていません。
その分、彼女を大事にしてくれているという事なのでしょう。
大事な人を助けたいという気持ちで焦ってしまう気持ちはわかります。
ですが、このままでは彼を見失ってしまうのです!
「あの、すいません! もう少しゆっくり」
道が一本道なのと、その一本道の左右に道を照らす外灯があるため、彼がまっすぐ向かっている先はわかるのですが、私を連れてこいと言われたのに、一人で行ってどうするんですか!
そう思いながら声をかけると、彼は慌てて戻ってくると、さっきの様に走る事をやめ、私の前を早歩きで進んでいきます。
しばらくすると、クラーク邸の裏門にたどり着きましたが、門は開いていたので、すんなりと敷地内から出る事が出来ました。
そして、庭師が持っていたランタンの灯りを頼りに、山の麓にある森の中に入っていくと、さるぐつわをされ、手足を縛られた侍女が大きな木にもたれてぐったりしていました。
「トリス!」
侍女の名を叫びながら庭師が彼女の元へ駆け寄ります。
私も後に続いて駆け寄っていくと、トリスはゆっくりと目を開け、彼を見つめて、ホッとした表情を浮かべたあと、私の姿を認めると、泣き出しそうな表情になりました。
彼女を自由にしてから話しかけます。
「ごめんなさいね。怖い思いをさせてしまいましたね」
「とんでもありません。リノア様にはご迷惑ばかり…」
「何を言っているんです。これは元々」
彼女の背中をなでながら言葉を続けようとしましたが、何かの気配を感じて振り返る。
暗闇になれてきた目で確認できたのは、それぞれランタンを持った、あの時の3人のメイドの姿でした。
しかも、仕事中でもないのにメイドの格好をしています。
わかりやすくて良いといえば良いですが。
「やっとだわ。やっと、フレイ様に喜んでもらえる!」
「これでフレイ様を自由にさせてあげられるわ!」
「また彼の胸に飛び込める!」
最後のメイドの言葉には、なぜか背筋がぞくりとしてしまった。
なぜなら、ランタンに照らされた彼女の顔が猟奇的に見えたからです。
「それにしても素直にのこのこと足を運ぶなんて思わなかったわ」
リーダー格の女が私達に近づきながら続けます。
「そのおかげで、あんたはこの世からいなくなるわけだけど」
「物騒な話をされますね」
「本当の話よ! ここにどんな動物がいるか知ってる?」
ニヤニヤ笑いながら聞いてくるので、素直に知っている情報を答える。
「野犬でしょう?」
山には食べ物に飢えた野犬がいると、ラルフ様から聞いています。
本当なら今の状況も危ないところなのですが…。
そう考えた時、頭上で音がしました。
「そうよ! わかってるのにここまで来たの? こんな女を助けるために?」
頭上が気にはなりましたが、トリスを指差して叫ぶので、意識を切り替えて、私は大きくため息を吐いてからメイドに言う。
「目的は私を呼び出す事でしょう? 彼女達はもう返してあげて良いですね?」
「返してあげたいところだけど駄目よ。彼らが帰ったら、あんたがここに私達に呼び出されたって事がバレちゃうじゃない。それに、一緒に死ぬ人間がいれば、あんたも寂しくないでしょ?」
「優しさのつもりですか? ふざけないで下さい。情けをかけるなら、彼女達だけでも助けるべきです」
私が言うと、3人はニヤニヤ笑います。
そして、とんでもない言葉を吐いたのです。
「あんたに言われれば言われるほど助けたくなくなるわ」
「あんたのせいで彼女達は死ぬのよ! ほら、命乞いしなさいよ! まあ、助けないけどね!」
怒りをおさえるため、深呼吸を繰り返します。
彼女達が暴言を吐けば吐くほど、私には有利に働くのです。
「リノア様、申し訳ございません」
トリスを抱きしめながら、彼は私を見て声を震わせて続けます。
「あなたを危険な目に…」
「謝らないで下さい。その必要はありませんから。巻き込んでしまってごめんなさい」
「さあ、あんた達が逃げないように手足を縛らせてもらうわ。逃げられずに野犬の餌になればいいのよ!」
私達が話をしていると、メイドが叫び、いつの間にか合流していた、フレイ様の元執事が紐を持って近付いてきます。
彼も私に恨みがあるようですが、一体、なんなのでしょう?
「不思議そうな顔をしているな。別に俺はあんたに個人的な恨みなんてない。ただ、金で雇われただけだ」
そう言って、私の方へ手を伸ばしてきた時でした。
「もういいだろう?」
木の上から声が聞こえてきます。
それは低いけれど、私にとっては安心できる声でした。
上を見上げて小さく頷くと、近くにある木の枝が何本か一斉に揺れ始めます。
「誰だ!?」
「今まで気付かなかったのもどうかと思うけどなあ?」
ケイン様が近くの木の上からおりてくると、フレイ様の元執事の首元に剣先を当てて言いました。
「ど、どうして!?」
メイドが声を震わせた時でした。
先程の声の主が姿を現します。
「警備の騎士が一人もいないわけないだろう、馬鹿共が」
ラルフ様は私の横に立ち、メイド達に言い放ちました。
すると、フレイ様の元執事の男が途中で待っていて、私達に別邸ではなく本邸の裏側、山側の方へ行けと促してきました。
庭師が言っていた知らない男というのは、この方の事のようです。
ここまではシュミレーション通りにうまくいっています。
ですが、庭師の彼は何も知らないため、急いでいる気持ちはわかりますが、先へ先へ急いで、私がだいぶ遅れている事に気付いていません。
その分、彼女を大事にしてくれているという事なのでしょう。
大事な人を助けたいという気持ちで焦ってしまう気持ちはわかります。
ですが、このままでは彼を見失ってしまうのです!
「あの、すいません! もう少しゆっくり」
道が一本道なのと、その一本道の左右に道を照らす外灯があるため、彼がまっすぐ向かっている先はわかるのですが、私を連れてこいと言われたのに、一人で行ってどうするんですか!
そう思いながら声をかけると、彼は慌てて戻ってくると、さっきの様に走る事をやめ、私の前を早歩きで進んでいきます。
しばらくすると、クラーク邸の裏門にたどり着きましたが、門は開いていたので、すんなりと敷地内から出る事が出来ました。
そして、庭師が持っていたランタンの灯りを頼りに、山の麓にある森の中に入っていくと、さるぐつわをされ、手足を縛られた侍女が大きな木にもたれてぐったりしていました。
「トリス!」
侍女の名を叫びながら庭師が彼女の元へ駆け寄ります。
私も後に続いて駆け寄っていくと、トリスはゆっくりと目を開け、彼を見つめて、ホッとした表情を浮かべたあと、私の姿を認めると、泣き出しそうな表情になりました。
彼女を自由にしてから話しかけます。
「ごめんなさいね。怖い思いをさせてしまいましたね」
「とんでもありません。リノア様にはご迷惑ばかり…」
「何を言っているんです。これは元々」
彼女の背中をなでながら言葉を続けようとしましたが、何かの気配を感じて振り返る。
暗闇になれてきた目で確認できたのは、それぞれランタンを持った、あの時の3人のメイドの姿でした。
しかも、仕事中でもないのにメイドの格好をしています。
わかりやすくて良いといえば良いですが。
「やっとだわ。やっと、フレイ様に喜んでもらえる!」
「これでフレイ様を自由にさせてあげられるわ!」
「また彼の胸に飛び込める!」
最後のメイドの言葉には、なぜか背筋がぞくりとしてしまった。
なぜなら、ランタンに照らされた彼女の顔が猟奇的に見えたからです。
「それにしても素直にのこのこと足を運ぶなんて思わなかったわ」
リーダー格の女が私達に近づきながら続けます。
「そのおかげで、あんたはこの世からいなくなるわけだけど」
「物騒な話をされますね」
「本当の話よ! ここにどんな動物がいるか知ってる?」
ニヤニヤ笑いながら聞いてくるので、素直に知っている情報を答える。
「野犬でしょう?」
山には食べ物に飢えた野犬がいると、ラルフ様から聞いています。
本当なら今の状況も危ないところなのですが…。
そう考えた時、頭上で音がしました。
「そうよ! わかってるのにここまで来たの? こんな女を助けるために?」
頭上が気にはなりましたが、トリスを指差して叫ぶので、意識を切り替えて、私は大きくため息を吐いてからメイドに言う。
「目的は私を呼び出す事でしょう? 彼女達はもう返してあげて良いですね?」
「返してあげたいところだけど駄目よ。彼らが帰ったら、あんたがここに私達に呼び出されたって事がバレちゃうじゃない。それに、一緒に死ぬ人間がいれば、あんたも寂しくないでしょ?」
「優しさのつもりですか? ふざけないで下さい。情けをかけるなら、彼女達だけでも助けるべきです」
私が言うと、3人はニヤニヤ笑います。
そして、とんでもない言葉を吐いたのです。
「あんたに言われれば言われるほど助けたくなくなるわ」
「あんたのせいで彼女達は死ぬのよ! ほら、命乞いしなさいよ! まあ、助けないけどね!」
怒りをおさえるため、深呼吸を繰り返します。
彼女達が暴言を吐けば吐くほど、私には有利に働くのです。
「リノア様、申し訳ございません」
トリスを抱きしめながら、彼は私を見て声を震わせて続けます。
「あなたを危険な目に…」
「謝らないで下さい。その必要はありませんから。巻き込んでしまってごめんなさい」
「さあ、あんた達が逃げないように手足を縛らせてもらうわ。逃げられずに野犬の餌になればいいのよ!」
私達が話をしていると、メイドが叫び、いつの間にか合流していた、フレイ様の元執事が紐を持って近付いてきます。
彼も私に恨みがあるようですが、一体、なんなのでしょう?
「不思議そうな顔をしているな。別に俺はあんたに個人的な恨みなんてない。ただ、金で雇われただけだ」
そう言って、私の方へ手を伸ばしてきた時でした。
「もういいだろう?」
木の上から声が聞こえてきます。
それは低いけれど、私にとっては安心できる声でした。
上を見上げて小さく頷くと、近くにある木の枝が何本か一斉に揺れ始めます。
「誰だ!?」
「今まで気付かなかったのもどうかと思うけどなあ?」
ケイン様が近くの木の上からおりてくると、フレイ様の元執事の首元に剣先を当てて言いました。
「ど、どうして!?」
メイドが声を震わせた時でした。
先程の声の主が姿を現します。
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