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8 お手並み拝見といきましょう
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「リノア様…」
さすがのソラもどうするべきか困惑しているようで、私の名を呼んだけれど、それ以上の言葉が続きません。
こんなの脅しじゃないですか。
自分の息子のやったひどい事を逆手に取って、私への切り札にしようとしてくるなんて。
侍女と庭師の関係はわかりません。
とりあえず、カーミラ様達と別れたら、すぐに部屋に戻り、彼女を呼び寄せて話を聞く事にしましょう。
侍女のプライベートな事まで聞き出すつもりはありませんでしたが、こんな事になってしまうと、確認だけはしておかないと。
もし、彼女にとって庭師が恋人や好きな相手でもなく、最悪、過去の事を知られても良い相手なら、何も気にせずに、ラルフ様にご報告できるわけです。
「わかりました。ですがカーミラ様、あなたは庭園を歩く事は禁止されていましたね。どうしてこちらにいらっしゃるんです?」
「しょうがないじゃない。私のお客様がメイド達を助けてあげてと言うものだから。あ、ねぇ、わかってるわよね? この事、ラルフに言ったら」
「しつこいですね。何度も言われなくてもわかっております」
「もちろん、そっちにいるあなたの執事や侍女もですからね」
ソラが怒りをおさえるためか、私の横で大きく息を吐きます。
さて、どうしようかと迷いましたが、カーミラ様の後ろにはダラス様が立っていて、静かに私の方に首を縦に振られました。
この事については、ダラス様が報告してくださるでしょう。
「もちろんです。私や、ここにいる侍女、執事からはラルフ様には、この事について報告を入れる事はありません。もちろん、そちらが約束を違われた時は別ですが」
「不誠実なあなたと一緒にしないでちょうだい! 婚約を解消すると言っていたくせに、こんな真似をして! これからは後ろ盾がなくなるのだから、私やミラルル、フレイにした事を後悔するといいわ!」
カーミラ様もおバカさんですね。
別邸にいる全ての人間があなたの味方ではないのですよ。
少なくとも騎士の方々は、あなたに従う素振りを見せているだけで、実際はラルフ様に忠誠を誓っておられるのですから。
ある意味、別邸の騎士の方々はラルフ様のスパイの様なものです。
もちろん、それを悟られないように、騎士の方々は普段はカーミラ様だけでなく、メイド達にも愛想を振りまき、彼女たちが気を許すようにと努力してくださっているのです。
「後悔するつもりはないですよ。カーミラ様こそ、後悔されませんように」
厳しい口調で言い放つと、カーミラ様は鼻を大きく鳴らしてから、メイド達を連れて立ち去っていきます。
今回の事はダラス様からラルフ様に連絡が行く事でしょう。
ただ、先程のメイド達の言葉が気になります。
何かを考えている事は確かです。
気を引き締めなければ。
結局、ダラス様からラルフ様に話は伝えられ、誰から聞いたのか、という話にならないよう、本邸の騎士の方が庭園でカーミラ様を見かけたという報告をラルフ様にした、という事で確認をされたそうです。
カーミラ様は自分ではないと言い張ったそうですが、ラルフ様もカーミラ様の姿を確認した、と伝えたところ、大人しく庭園で私に会った事は認めたそうです。
けれど、大した事は話していないと口を割らなかったそうなのです。
ですが、行ってはいけないと言われていた庭園に行った事は確かですから、カーミラ様の罰は免れません。
これまでより行動制限が厳しくなり、お客様を招く事が禁止になったのです。
パメル様はカーミラ様のお誘いという理由で、クラーク家の敷地内には入れなくなったという事にもなります。
そんな事もあり、とりあえず落ち着いた私はミリー様の婚約者の件でバタバタしていたため、あっという間に日が過ぎていきました。
そんなある日の事でした。
夜遅くに、部屋の扉を叩く音が聞こえて、目を覚ました。
トントン。
もう一度ノックの音。
無言でラルフ様の部屋と繋がっている扉に視線を向けると、カタン、と何かの音がしました。
枕元の時計で時間を確認すると、真夜中の時間帯です。
予想をしていたという事もあり、大きく深呼吸してから、部屋の出入り口の扉の向こうに声を返します。
「誰ですか?」
「リノア様。あの、遅くに申し訳ありません」
良いですよ。
きっと来るだろうと思っていましたから。
なんて、口に出す事は致しません。
だって、扉の向こうの彼は、彼女を助けたい一心で、私の言葉になんか耳をくれやしないでしょうから。
「なんでしょう? あなたは誰ですか?」
「庭師です。お願いです。どうか助けて下さい」
「どうされました?」
ベッドから起き上がり、扉越しに庭師の男性と会話を続ける。
「彼女が、拉致されたんです」
震える声で彼は言いました。
庭師の男性は、先日、カーミラ様に脅された時に出てきた彼の事です。
彼と侍女は最近、お付き合いを始めたようです。
ですが、彼に過去の話はしていない、との事。
カーミラ様にとって彼女の話は切り札です。
だから、そう簡単にその手札を手放すとは思えません。
となると、現在、消去法として考えられるのはメイド達です。
「別邸のメイド達に、ですか?」
「そうです! でも、知らない男もいました。協力者がいるようです」
「で?」
「リノア様を誰にも知られず、別邸までお連れしろと。そうすれば、彼女は返してくれると。僕は、どうしたら良いんでしょう!?」
彼女を助けたい気持ちと、何かあるに違いないという場所へ私を連れて行こうとしている罪悪感と、どちらを取るか葛藤しているようです。
「大丈夫ですよ。行きますから」
はっきり言って、少し待ちくたびれたくらいです。
メイド達がどんな行動に出てくるか、お手並み拝見といきましょう。
さすがのソラもどうするべきか困惑しているようで、私の名を呼んだけれど、それ以上の言葉が続きません。
こんなの脅しじゃないですか。
自分の息子のやったひどい事を逆手に取って、私への切り札にしようとしてくるなんて。
侍女と庭師の関係はわかりません。
とりあえず、カーミラ様達と別れたら、すぐに部屋に戻り、彼女を呼び寄せて話を聞く事にしましょう。
侍女のプライベートな事まで聞き出すつもりはありませんでしたが、こんな事になってしまうと、確認だけはしておかないと。
もし、彼女にとって庭師が恋人や好きな相手でもなく、最悪、過去の事を知られても良い相手なら、何も気にせずに、ラルフ様にご報告できるわけです。
「わかりました。ですがカーミラ様、あなたは庭園を歩く事は禁止されていましたね。どうしてこちらにいらっしゃるんです?」
「しょうがないじゃない。私のお客様がメイド達を助けてあげてと言うものだから。あ、ねぇ、わかってるわよね? この事、ラルフに言ったら」
「しつこいですね。何度も言われなくてもわかっております」
「もちろん、そっちにいるあなたの執事や侍女もですからね」
ソラが怒りをおさえるためか、私の横で大きく息を吐きます。
さて、どうしようかと迷いましたが、カーミラ様の後ろにはダラス様が立っていて、静かに私の方に首を縦に振られました。
この事については、ダラス様が報告してくださるでしょう。
「もちろんです。私や、ここにいる侍女、執事からはラルフ様には、この事について報告を入れる事はありません。もちろん、そちらが約束を違われた時は別ですが」
「不誠実なあなたと一緒にしないでちょうだい! 婚約を解消すると言っていたくせに、こんな真似をして! これからは後ろ盾がなくなるのだから、私やミラルル、フレイにした事を後悔するといいわ!」
カーミラ様もおバカさんですね。
別邸にいる全ての人間があなたの味方ではないのですよ。
少なくとも騎士の方々は、あなたに従う素振りを見せているだけで、実際はラルフ様に忠誠を誓っておられるのですから。
ある意味、別邸の騎士の方々はラルフ様のスパイの様なものです。
もちろん、それを悟られないように、騎士の方々は普段はカーミラ様だけでなく、メイド達にも愛想を振りまき、彼女たちが気を許すようにと努力してくださっているのです。
「後悔するつもりはないですよ。カーミラ様こそ、後悔されませんように」
厳しい口調で言い放つと、カーミラ様は鼻を大きく鳴らしてから、メイド達を連れて立ち去っていきます。
今回の事はダラス様からラルフ様に連絡が行く事でしょう。
ただ、先程のメイド達の言葉が気になります。
何かを考えている事は確かです。
気を引き締めなければ。
結局、ダラス様からラルフ様に話は伝えられ、誰から聞いたのか、という話にならないよう、本邸の騎士の方が庭園でカーミラ様を見かけたという報告をラルフ様にした、という事で確認をされたそうです。
カーミラ様は自分ではないと言い張ったそうですが、ラルフ様もカーミラ様の姿を確認した、と伝えたところ、大人しく庭園で私に会った事は認めたそうです。
けれど、大した事は話していないと口を割らなかったそうなのです。
ですが、行ってはいけないと言われていた庭園に行った事は確かですから、カーミラ様の罰は免れません。
これまでより行動制限が厳しくなり、お客様を招く事が禁止になったのです。
パメル様はカーミラ様のお誘いという理由で、クラーク家の敷地内には入れなくなったという事にもなります。
そんな事もあり、とりあえず落ち着いた私はミリー様の婚約者の件でバタバタしていたため、あっという間に日が過ぎていきました。
そんなある日の事でした。
夜遅くに、部屋の扉を叩く音が聞こえて、目を覚ました。
トントン。
もう一度ノックの音。
無言でラルフ様の部屋と繋がっている扉に視線を向けると、カタン、と何かの音がしました。
枕元の時計で時間を確認すると、真夜中の時間帯です。
予想をしていたという事もあり、大きく深呼吸してから、部屋の出入り口の扉の向こうに声を返します。
「誰ですか?」
「リノア様。あの、遅くに申し訳ありません」
良いですよ。
きっと来るだろうと思っていましたから。
なんて、口に出す事は致しません。
だって、扉の向こうの彼は、彼女を助けたい一心で、私の言葉になんか耳をくれやしないでしょうから。
「なんでしょう? あなたは誰ですか?」
「庭師です。お願いです。どうか助けて下さい」
「どうされました?」
ベッドから起き上がり、扉越しに庭師の男性と会話を続ける。
「彼女が、拉致されたんです」
震える声で彼は言いました。
庭師の男性は、先日、カーミラ様に脅された時に出てきた彼の事です。
彼と侍女は最近、お付き合いを始めたようです。
ですが、彼に過去の話はしていない、との事。
カーミラ様にとって彼女の話は切り札です。
だから、そう簡単にその手札を手放すとは思えません。
となると、現在、消去法として考えられるのはメイド達です。
「別邸のメイド達に、ですか?」
「そうです! でも、知らない男もいました。協力者がいるようです」
「で?」
「リノア様を誰にも知られず、別邸までお連れしろと。そうすれば、彼女は返してくれると。僕は、どうしたら良いんでしょう!?」
彼女を助けたい気持ちと、何かあるに違いないという場所へ私を連れて行こうとしている罪悪感と、どちらを取るか葛藤しているようです。
「大丈夫ですよ。行きますから」
はっきり言って、少し待ちくたびれたくらいです。
メイド達がどんな行動に出てくるか、お手並み拝見といきましょう。
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