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11 ラスボスといったところでしょうか?
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「申し訳ございません!」
手のひらを返すようにメイドは額を地面につけて私に懇願します。
「悪いのは私です。フレイ様は関係ありません!」
「そうですか。お聞きしたいのですが、あなた達が先程、私に言った事を覚えていますか? トリス達は助けてあげてほしいとお願いした時の言葉です」
「……っ!」
自分達の発言を思い出したんでしょう。
焦った表情で、3人は顔を見合わせ合います。
「覚えてないのなら私が言いましょう。あんたに言われれば言われるほど助けたくなくなる。命乞いしなさい。助けないけど、そんな感じでしたよね?」
小首を傾げ笑顔で尋ねると、腹が立つ事に3人共首を横に振ります。
「そんな事は言っておりません!」
「聞き間違いです!」
「その言葉は俺達も聞いている。言い逃れはできん」
ラルフ様がピシャリと言うと、メイド達は涙を流しながら言います。
「フレイ様は悪くありません! お願いです! 彼に何もしないで下さい!」
「リノア様、お願いいたします!」
「フレイ様のやった事は、あなた達の中では悪くないのでしょうね? でも、私には許せない悪事です。それにあなた達だって、私が懇願すれば助けてくれましたか? 助けませんでしたよね?」
正直、私にはこの3人を裁く権利は今の段階ではないでしょう。
ですけれど、罰について進言する事は出来るはずです。
「フレイ様にとって一番辛い思いをしていただくようお願いしましょう。もちろん、それだけがあなた達への罰ではないでしょうけれど」
普通の罰では意味がないはずです。
彼女たちが一番辛いのは、フレイ様が苦しまれることでしょう。
私への恨みは増すかもしれませんが、自分達のせいでフレイ様が苦しむのですから、罰にはなるでしょうから。
「リノア様。お疲れでしょう。ラルフ様と先にお戻り下さい」
「リノア、そうしようか。ケイン、彼女達についてはいつもの段取りで頼む」
「承知しました」
「他の皆も遅い時間にこき使って悪いが、後は頼んだ」
ラルフ様は他の騎士の方にも声をかけてから、私の手をとって言います。
「中々眠れないかもしれないが、今は夜中だ。屋敷に帰ろう」
「はい」
「あと、彼らを介抱してやってくれ」
震えているトリス達を見て、ラルフ様が言うと、ケイン様が動き、彼女達に話しかけてくれた。
「行こうか」
「はい」
道が整備されていないので、暗闇の中、ラルフ様の持っている灯りを頼りに歩いていると、メイド達の声が響きます。
「お願いです! フレイ様には何もしないで下さい! 謝ります! 謝りますから!」
どうしてこんな事をする前に、この悪事がバレた時のリスクを考えなかったのでしょう。
それさえ考える事が出来れば、自分自身も苦しまなくてすんだのに…。
「リノアに言わせてしまってすまない」
「いいのです。どうせ、恨まれているのは私ですから、私が引導を渡した方が良いのです。ですが、どういう罰にしたら良いのか、さすがに私には決められませんので、ラルフ様に決めていただきたいのですけど」
裏門をくぐり、先程まではいなかった騎士の方に挨拶して、敷地内に入る。
裏門に騎士の方がいなかったのは、メイド達が買収したのですが、実際は買収されたふりをして、どこかに隠れて下さっていたようです。
ラルフ様に手を引かれ、本邸に向かって外灯に照らされた道を歩いていると、ラルフ様が優しく微笑んで言います。
「そうだな。ああしろこうしろ、とは貴族の女性の口からは言い辛いだろう」
「性格もあるかもしれませんわね。ラルフ様には大変失礼な事を言いますが、カーミラ様なら口に出せそうな気がいたします」
「…そうかもしれないな。今となっては父が俺を母に近付けたがらなかった理由がわかる気がする」
「カーミラ様は幼い頃からラルフ様を可愛がっていらっしゃったのではないのですか?」
「……」
ラルフ様が悲しげな表情になって黙られたので、慌てて発言を撤回する。
「あの、お話したくない事でしたら申し訳ございません。先程の発言は忘れて下さい」
「いや、そうじゃない。…リノアのご両親は親が決めた相手ではなかったのか?」
「いえ。ですが、父と母は相性が良かったようで、一緒に過ごしていく内に自然に夫婦になれた、と言っておりました」
「そうか、良い事だな。俺の両親もそうであれば良かったが、父は母の性格を嫌っていたし、母は父の顔だけが好きだったんだ」
ラルフ様がいつもよりも重く低い声で話して下さいました。
聞いてはいけない事を聞いてしまった様な気がします。
「あの、ラルフ様。申し訳ございません」
「どうして謝る?」
「その、触れたくないお話でしたよね」
「いや? リノアにはいつか話すつもりだった」
そこで言葉を区切り、ラルフ様は前を向いたまま話を続けられます。
「父は気付いていたんだと思う。母の俺への異常な愛情に。だから、近づけようとしなかったんだろう」
「ラルフ様のお父さまが亡くなられてからは、カーミラ様がラルフ様を育てられたんですか?」
「ああ。といっても、10代半ばだったから、今更、母に甘えるなんて気持ちもなかった。それが余計に執着を招いたのかもしれない」
聞きにくいけれど、今、聞いておいた方が良い気がして聞いてみる。
「カーミラ様をどうされるおつもりで?」
「まずは、パメルとランドンをどうにかする。今の段階では母上は小さな罪にしか問えない」
カーミラ様はラスボスといったところでしょうか?
手のひらを返すようにメイドは額を地面につけて私に懇願します。
「悪いのは私です。フレイ様は関係ありません!」
「そうですか。お聞きしたいのですが、あなた達が先程、私に言った事を覚えていますか? トリス達は助けてあげてほしいとお願いした時の言葉です」
「……っ!」
自分達の発言を思い出したんでしょう。
焦った表情で、3人は顔を見合わせ合います。
「覚えてないのなら私が言いましょう。あんたに言われれば言われるほど助けたくなくなる。命乞いしなさい。助けないけど、そんな感じでしたよね?」
小首を傾げ笑顔で尋ねると、腹が立つ事に3人共首を横に振ります。
「そんな事は言っておりません!」
「聞き間違いです!」
「その言葉は俺達も聞いている。言い逃れはできん」
ラルフ様がピシャリと言うと、メイド達は涙を流しながら言います。
「フレイ様は悪くありません! お願いです! 彼に何もしないで下さい!」
「リノア様、お願いいたします!」
「フレイ様のやった事は、あなた達の中では悪くないのでしょうね? でも、私には許せない悪事です。それにあなた達だって、私が懇願すれば助けてくれましたか? 助けませんでしたよね?」
正直、私にはこの3人を裁く権利は今の段階ではないでしょう。
ですけれど、罰について進言する事は出来るはずです。
「フレイ様にとって一番辛い思いをしていただくようお願いしましょう。もちろん、それだけがあなた達への罰ではないでしょうけれど」
普通の罰では意味がないはずです。
彼女たちが一番辛いのは、フレイ様が苦しまれることでしょう。
私への恨みは増すかもしれませんが、自分達のせいでフレイ様が苦しむのですから、罰にはなるでしょうから。
「リノア様。お疲れでしょう。ラルフ様と先にお戻り下さい」
「リノア、そうしようか。ケイン、彼女達についてはいつもの段取りで頼む」
「承知しました」
「他の皆も遅い時間にこき使って悪いが、後は頼んだ」
ラルフ様は他の騎士の方にも声をかけてから、私の手をとって言います。
「中々眠れないかもしれないが、今は夜中だ。屋敷に帰ろう」
「はい」
「あと、彼らを介抱してやってくれ」
震えているトリス達を見て、ラルフ様が言うと、ケイン様が動き、彼女達に話しかけてくれた。
「行こうか」
「はい」
道が整備されていないので、暗闇の中、ラルフ様の持っている灯りを頼りに歩いていると、メイド達の声が響きます。
「お願いです! フレイ様には何もしないで下さい! 謝ります! 謝りますから!」
どうしてこんな事をする前に、この悪事がバレた時のリスクを考えなかったのでしょう。
それさえ考える事が出来れば、自分自身も苦しまなくてすんだのに…。
「リノアに言わせてしまってすまない」
「いいのです。どうせ、恨まれているのは私ですから、私が引導を渡した方が良いのです。ですが、どういう罰にしたら良いのか、さすがに私には決められませんので、ラルフ様に決めていただきたいのですけど」
裏門をくぐり、先程まではいなかった騎士の方に挨拶して、敷地内に入る。
裏門に騎士の方がいなかったのは、メイド達が買収したのですが、実際は買収されたふりをして、どこかに隠れて下さっていたようです。
ラルフ様に手を引かれ、本邸に向かって外灯に照らされた道を歩いていると、ラルフ様が優しく微笑んで言います。
「そうだな。ああしろこうしろ、とは貴族の女性の口からは言い辛いだろう」
「性格もあるかもしれませんわね。ラルフ様には大変失礼な事を言いますが、カーミラ様なら口に出せそうな気がいたします」
「…そうかもしれないな。今となっては父が俺を母に近付けたがらなかった理由がわかる気がする」
「カーミラ様は幼い頃からラルフ様を可愛がっていらっしゃったのではないのですか?」
「……」
ラルフ様が悲しげな表情になって黙られたので、慌てて発言を撤回する。
「あの、お話したくない事でしたら申し訳ございません。先程の発言は忘れて下さい」
「いや、そうじゃない。…リノアのご両親は親が決めた相手ではなかったのか?」
「いえ。ですが、父と母は相性が良かったようで、一緒に過ごしていく内に自然に夫婦になれた、と言っておりました」
「そうか、良い事だな。俺の両親もそうであれば良かったが、父は母の性格を嫌っていたし、母は父の顔だけが好きだったんだ」
ラルフ様がいつもよりも重く低い声で話して下さいました。
聞いてはいけない事を聞いてしまった様な気がします。
「あの、ラルフ様。申し訳ございません」
「どうして謝る?」
「その、触れたくないお話でしたよね」
「いや? リノアにはいつか話すつもりだった」
そこで言葉を区切り、ラルフ様は前を向いたまま話を続けられます。
「父は気付いていたんだと思う。母の俺への異常な愛情に。だから、近づけようとしなかったんだろう」
「ラルフ様のお父さまが亡くなられてからは、カーミラ様がラルフ様を育てられたんですか?」
「ああ。といっても、10代半ばだったから、今更、母に甘えるなんて気持ちもなかった。それが余計に執着を招いたのかもしれない」
聞きにくいけれど、今、聞いておいた方が良い気がして聞いてみる。
「カーミラ様をどうされるおつもりで?」
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カーミラ様はラスボスといったところでしょうか?
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