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12 善は急げです
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「リノア様、メイド達がどうなったか知りたいですか?」
次の日の朝、いつもより遅く起きたせいで、ラルフ様はすでにどこかに出かけておられ、お留守番組のケイン様が、部屋を出た私に挨拶の後、そう話しかけてこられました。
ラルフ様から今日は私の護衛に付くように言われたんだそうです。
「知りたいような、知りたくないような」
「では簡単に。寝ているフレイ様を起こしてから、彼が絶叫するような痛い事をして、その姿をメイド達に見せました」
「うう。なんか、聞いただけで辛そうなのです」
「フレイ様が苦しまないと彼女達への罰にならないじゃないですか」
ケイン様がきょとんとした顔で言われます。
そりゃそうですよね。
しかも、3人共簡単には反省しなさそうな人達でしたし。
「それを見たメイド達が泣きわめいて、やめてくれと懇願しましたが…」
「あの、最終的にメイド達はどうなりましたか?」
ケイン様の言葉の続きは容易にわかりましたので、結論を促す。
「俺が見に行った時には牢屋の中では3人共、放心状態でしたね。どうやらアンジェに頼んで、彼女達が一番ショックを受ける幻覚を見せたようです。ラルフ様はリノア様が良いのであれば、彼女達を家に戻すと言っておられました」
「アンジェ様はやはり、すごい魔法使いなのですね。…彼女達は心を入れ替えて暮らしてくれると思います?」
「そんな訳ないじゃないですか」
「やはり、そうですかね?」
呆れた顔をして言うケイン様に聞き返すと、苦笑しながら言います。
「改心するしないはわかりませんが、伯爵令嬢であるリノア様を殺そうとしたんです。家に帰らせて終わり、な訳ないじゃないですか」
「どうするつもりなのです?」
話が長くなりそうなので、立ち止まって話すのを止めて、侍女やソラは連れずに、ケイン様と運動の為に広い屋敷をあてもなく歩きながら会話を続ける。
「今、ラルフ様達はメイド達の実家に行って、彼女達のやったことに対しての責任を追求しにいっておられます。彼女達ももう大人ではありますが、帰る場所は今のところ実家になるでしょうからね」
「それはわかりますが…。ご両親にお伝えして怒っていただくのですか?」
「それもありますが、慰謝料を請求されるそうです」
「慰謝料?」
「リノア様やリノア様の侍女達を殺そうとして、精神的苦痛を味あわせたというやつです」
私はそこまで苦痛を味わったわけではありませんが、トリスには可哀想な思いをさせました。
もし、彼女が庭師の彼と結婚する事になるのなら、慰謝料がとれれば、結婚式をあげるお金にもなるでしょうし、それはそれで良いのですが。
「でも、メイドは平民ですよね?」
「ですね。だから分割で支払ってもらう事になるでしょう。それでも暮らしていくのは辛いでしょうね。裁判にかけても良いんですが、そうなると他の令嬢の話をされる恐れがあるので、あまり公にしたくないようです」
ケイン様は笑顔でそう言われてから、私に聞いてこられます。
「たぶんですけど、彼女達が実家に戻ったら、リノア様に許してほしいとの手紙が届きそうな気がしますが、そうなったらどうされるおつもりです?」
「…そうですね。ある程度は苦しんでもらいたいと思いますが、それ以上となりますと、許しはしませんが何らかの対処はするかもしれません。あとは、トリス達に任せます。私はもう二度と私に関わってこなければそれで良いのです」
「リノア様は人が良いというか、甘いというか」
「もしかして苦しんで命を落としたりするかもしれません。私はそこまでの罰は望みませんから。あ、でも、被害に合われた令嬢の話は口外させないようにしてほしいのです」
彼女達は今は、魔法の力で嫌な過去を忘れたりして、前を向いて生きていこうとしているのですから…。
そこまで言って、前を歩くケイン様の長い髪が目の前で揺れたため、ずっと後回しにしていた事を思い出し、ケイン様に声を掛ける。
「ケイン様、あの、お願いがあるんですけど」
「何でしょう?」
「髪をお切りになりたくはないですか?」
「はい?」
「あの、髪を伸ばされていらっしゃるじゃないですか。その、意味があるのかと思いまして」
ミリー様の婚約者の件に関しては、大きなお世話かもしれませんが、婚約者が最低な人間だとわかったため、私からお願いして、実家のブルーミング家に介入してもらい、なんとか事なきを得て、婚約は解消されました。
元婚約者は悪事を働いているようでしたし、弟のヒナタが調べると言っていたので、徹底的に苦しめられる事になるでしょう。
弟も私と同じで面倒くさがりですが、悪人が大嫌いなので、成敗するために動く事は苦にならないようです。
と、今は、そんな事を考えている場合ではありません。
「リノア様?」
「私から聞いておいて、ぼんやりしてしまい申し訳ございません」
「いえ、それは良いんですが、俺が髪を伸ばしていたらいけない理由とかあるんでしょうか?」
「あ、えーと、ミリー様の件で」
「ミリーの?」
ケイン様は不思議そうにされています。
こうなったら、素直に言うべきでしょうか。
いえ、ちょっと遠回しに聞いてみましょうか。
「ケイン様が髪をお切りになったら、ミリー様がお付き合いしてくださる、といったら、髪を切られますか?」
「もちろん」
即答でした。
こうなったら私が背中を押しても良い気がします。
ミリー様がまた変な男につかまらないためにも!
「ケイン様、お休みを与えますので、今から髪を切りに行ってきて下さい」
「えっ!?」
「これは命令です」
ラルフ様の許可もなしに私が休みを与えるなんて越権行為になりますが、善は急げです。
次の日の朝、いつもより遅く起きたせいで、ラルフ様はすでにどこかに出かけておられ、お留守番組のケイン様が、部屋を出た私に挨拶の後、そう話しかけてこられました。
ラルフ様から今日は私の護衛に付くように言われたんだそうです。
「知りたいような、知りたくないような」
「では簡単に。寝ているフレイ様を起こしてから、彼が絶叫するような痛い事をして、その姿をメイド達に見せました」
「うう。なんか、聞いただけで辛そうなのです」
「フレイ様が苦しまないと彼女達への罰にならないじゃないですか」
ケイン様がきょとんとした顔で言われます。
そりゃそうですよね。
しかも、3人共簡単には反省しなさそうな人達でしたし。
「それを見たメイド達が泣きわめいて、やめてくれと懇願しましたが…」
「あの、最終的にメイド達はどうなりましたか?」
ケイン様の言葉の続きは容易にわかりましたので、結論を促す。
「俺が見に行った時には牢屋の中では3人共、放心状態でしたね。どうやらアンジェに頼んで、彼女達が一番ショックを受ける幻覚を見せたようです。ラルフ様はリノア様が良いのであれば、彼女達を家に戻すと言っておられました」
「アンジェ様はやはり、すごい魔法使いなのですね。…彼女達は心を入れ替えて暮らしてくれると思います?」
「そんな訳ないじゃないですか」
「やはり、そうですかね?」
呆れた顔をして言うケイン様に聞き返すと、苦笑しながら言います。
「改心するしないはわかりませんが、伯爵令嬢であるリノア様を殺そうとしたんです。家に帰らせて終わり、な訳ないじゃないですか」
「どうするつもりなのです?」
話が長くなりそうなので、立ち止まって話すのを止めて、侍女やソラは連れずに、ケイン様と運動の為に広い屋敷をあてもなく歩きながら会話を続ける。
「今、ラルフ様達はメイド達の実家に行って、彼女達のやったことに対しての責任を追求しにいっておられます。彼女達ももう大人ではありますが、帰る場所は今のところ実家になるでしょうからね」
「それはわかりますが…。ご両親にお伝えして怒っていただくのですか?」
「それもありますが、慰謝料を請求されるそうです」
「慰謝料?」
「リノア様やリノア様の侍女達を殺そうとして、精神的苦痛を味あわせたというやつです」
私はそこまで苦痛を味わったわけではありませんが、トリスには可哀想な思いをさせました。
もし、彼女が庭師の彼と結婚する事になるのなら、慰謝料がとれれば、結婚式をあげるお金にもなるでしょうし、それはそれで良いのですが。
「でも、メイドは平民ですよね?」
「ですね。だから分割で支払ってもらう事になるでしょう。それでも暮らしていくのは辛いでしょうね。裁判にかけても良いんですが、そうなると他の令嬢の話をされる恐れがあるので、あまり公にしたくないようです」
ケイン様は笑顔でそう言われてから、私に聞いてこられます。
「たぶんですけど、彼女達が実家に戻ったら、リノア様に許してほしいとの手紙が届きそうな気がしますが、そうなったらどうされるおつもりです?」
「…そうですね。ある程度は苦しんでもらいたいと思いますが、それ以上となりますと、許しはしませんが何らかの対処はするかもしれません。あとは、トリス達に任せます。私はもう二度と私に関わってこなければそれで良いのです」
「リノア様は人が良いというか、甘いというか」
「もしかして苦しんで命を落としたりするかもしれません。私はそこまでの罰は望みませんから。あ、でも、被害に合われた令嬢の話は口外させないようにしてほしいのです」
彼女達は今は、魔法の力で嫌な過去を忘れたりして、前を向いて生きていこうとしているのですから…。
そこまで言って、前を歩くケイン様の長い髪が目の前で揺れたため、ずっと後回しにしていた事を思い出し、ケイン様に声を掛ける。
「ケイン様、あの、お願いがあるんですけど」
「何でしょう?」
「髪をお切りになりたくはないですか?」
「はい?」
「あの、髪を伸ばされていらっしゃるじゃないですか。その、意味があるのかと思いまして」
ミリー様の婚約者の件に関しては、大きなお世話かもしれませんが、婚約者が最低な人間だとわかったため、私からお願いして、実家のブルーミング家に介入してもらい、なんとか事なきを得て、婚約は解消されました。
元婚約者は悪事を働いているようでしたし、弟のヒナタが調べると言っていたので、徹底的に苦しめられる事になるでしょう。
弟も私と同じで面倒くさがりですが、悪人が大嫌いなので、成敗するために動く事は苦にならないようです。
と、今は、そんな事を考えている場合ではありません。
「リノア様?」
「私から聞いておいて、ぼんやりしてしまい申し訳ございません」
「いえ、それは良いんですが、俺が髪を伸ばしていたらいけない理由とかあるんでしょうか?」
「あ、えーと、ミリー様の件で」
「ミリーの?」
ケイン様は不思議そうにされています。
こうなったら、素直に言うべきでしょうか。
いえ、ちょっと遠回しに聞いてみましょうか。
「ケイン様が髪をお切りになったら、ミリー様がお付き合いしてくださる、といったら、髪を切られますか?」
「もちろん」
即答でした。
こうなったら私が背中を押しても良い気がします。
ミリー様がまた変な男につかまらないためにも!
「ケイン様、お休みを与えますので、今から髪を切りに行ってきて下さい」
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