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23 顔を合わせたくないものです
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別邸に着くと、扉の前に立っていたダラス様が少し驚いた顔をされましたが、事情を知って下さっているようで、私に向かって小さく首を縦に振ったあと、厳しい表情で話しかけてこられます。
「リノア様、ラルフ様から、あなたを別邸の中へ通さないようにと命令されております」
「ですが、緊急事態なのです」
「…わかりました。ではまず、ラルフ様に確認を」
「その必要はありません」
返事をしたのは私ではありません。
扉が内側から開き、白い肌と対照的な真っ黒なドレスを着たカーミラ様が現れました。
「お久しぶりです、カーミラ様。メイドの家族を人質にとり、私を呼び出したのは、やはりあなたなのですね」
「何のことだかわからないけれど、せっかくのお客様、しかもリノアさんなのだから、おもてなししたいわ」
「おかまいなく。用件は何でしょうか?」
「立ち話もなんでしょう? お入りになって?」
カーミラ様は私を別邸内に入れたいようですが、私も簡単に付いていくわけにはいきません。
「やはり、カーミラ様がされた事なのですか? メイドの家族の命がかかっておりますので、違うのであれば、私は別の方にお会いしなければならないのです」
「何かございましたか?」
ダラス様が聞いてこられると、メイドが叫びます。
「私の家族を人質にとった人がいるんです! リノア様を別邸に連れてこないと」
「お黙りなさい! メイドのくせに私の許可なく話すだなんて!」
話されては困ると思ったのでしょうか。
意味のわからない理由をつけてカーミラ様は阻止しようとされますが、私が言う。
「別にかまいません。カーミラ様が無関係なのであれば、メイドが騎士に何を話したとしても良いでしょう。発言の許可が必要なら、私が出します」
「何様のつもりなの!」
「このメイドは本邸のメイドです。あなたの管轄下ではありません」
「リノアさんのものでもないでしょう!」
「ラルフ様の妻になりましたら、私の管轄下になるようなものですわよね? でしたら、予行演習という事でいかがでしょう?」
わざと彼女が嫌がりそうな言葉を笑顔で言うと、ぎりぎりと長い親指の爪をかみながら私を睨みつけてきました。
「リノア様。メイドの事もありますので、今日はお引取りになった方がよろしいでしょう」
ダラス様も私の囮の話を知ってらっしゃるとは思いますが、このままカーミラ様と2人にさせると危険だと判断して下さったのでしょう。
真剣な表情でそう言って下さいましたが、カーミラ様が止めます。
「いいえ。リノアさんは私がおもてなし致します。そんなにメイドの家族が気になるのなら様子を見に行かせればいいでしょう。私は何も関係ありませんから」
カーミラ様はくるりと背を向けて、1人だけ別邸の中に入ると扉を閉められてしまいました。
私、まだ入ってないのですが…。
「リノア様、お帰り下さい」
「良いのですかね」
「良いわけないでしょう!」
また扉が開いて、カーミラ様が私の腕をつかみ、別邸の中に引きずり込みます。
ちょっとこれは、真剣に怖いです。
「あなた達!」
カーミラ様はダラス様とそのペアの騎士の方、それからメイドに向かって叫びます。
「私がリノアさんを別邸に連れ込んだなんて言わないでちょうだいね! リノアさん自らが別邸に入ったのよ!」
「……」
明らかに引きずり込まれているのを見ている3人はさすがに返事がしづらかったのか、無言でカーミラ様を見つめていましたが、彼女のヒステリックな声で我に返ります。
「聞いてるの!?」
「え? あ、はい」
ダラス様は命令に対してではなく、カーミラ様の話を聞いているか、という言葉に対して頷いたみたいですが、カーミラ様は命令に頷いたと思ったようで、満足そうに首を縦に振ったあと、私の腕をつかんだまま扉を閉め、私をどこかへ連れて行こうとします。
「あの、私をどちらに連れて行かれる気ですか? 呼び出したのはカーミラ様で間違いないのですよね!?」
話しかけても、カーミラ様は私の方に振り返りもしなければ、返事もしてくれません。
エントランスホールに立っていた騎士の方が心配そうに私に視線を向けてこられましたが、彼女の目的がわからない以上、助けを求めるには早い気がして、口には出せません。
ただ、彼女が私をどこに連れて行こうとしているかは、なんとなく想像がついてきました。
その予想は当たっていて、彼女は別邸の奥にある扉の前で立ち止まりました。
「カーミラ様、あなたは良いのですが、リノア様をお通しする事はラルフ様から禁止されております」
「あら、そう。それがどうしたって言うの」
カーミラ様は扉の前に立っていた騎士の方を押し退けると、魔法で鍵を壊し、扉を開けられました。
扉の向こうは、人が1人通れる程の狭い階段があり、カーミラ様はそこに立つと、何か呪文を唱えられました。
そしてその後、私の腕を引っ張り、中へ入らせたのです。
「リノア様!」
騎士の方が私に手を伸ばそうとしましたが、彼の手が一瞬にして焼けただれた為、苦痛の声を上げられ、手を引っ込めましたが、それでも私を助けようと、また手を伸ばそうとされたので、慌てて止めます。
「私は大丈夫です。早く治療を受けて下さい」
「ですがっ」
「……」
無言で睨むと、一瞬、辛そうな表情をされましたが、腕をおさえながら走り去っていかれます。
きっと、助けも呼んでくださるでしょう。
「こんな事をした事をラルフ様が知ったら」
「もういいわ。ラルフなら私が何をしても許してくれるはず。この地下牢に続く階段に魔法をかけたわ。新たに男性が入ろうとすると、さっきみたいになるの」
カーミラ様は笑いながら続けます。
「ラルフや騎士は助けに来られない! あなたはここで死ぬの」
現在、私の前にはカーミラ様、後ろは地下牢に続く急な石階段です。
私の背後にある階段を降りると、フレイ様が閉じ込められている牢屋があります。
こんな状況では顔を合わせたくないものです。
「リノア様、ラルフ様から、あなたを別邸の中へ通さないようにと命令されております」
「ですが、緊急事態なのです」
「…わかりました。ではまず、ラルフ様に確認を」
「その必要はありません」
返事をしたのは私ではありません。
扉が内側から開き、白い肌と対照的な真っ黒なドレスを着たカーミラ様が現れました。
「お久しぶりです、カーミラ様。メイドの家族を人質にとり、私を呼び出したのは、やはりあなたなのですね」
「何のことだかわからないけれど、せっかくのお客様、しかもリノアさんなのだから、おもてなししたいわ」
「おかまいなく。用件は何でしょうか?」
「立ち話もなんでしょう? お入りになって?」
カーミラ様は私を別邸内に入れたいようですが、私も簡単に付いていくわけにはいきません。
「やはり、カーミラ様がされた事なのですか? メイドの家族の命がかかっておりますので、違うのであれば、私は別の方にお会いしなければならないのです」
「何かございましたか?」
ダラス様が聞いてこられると、メイドが叫びます。
「私の家族を人質にとった人がいるんです! リノア様を別邸に連れてこないと」
「お黙りなさい! メイドのくせに私の許可なく話すだなんて!」
話されては困ると思ったのでしょうか。
意味のわからない理由をつけてカーミラ様は阻止しようとされますが、私が言う。
「別にかまいません。カーミラ様が無関係なのであれば、メイドが騎士に何を話したとしても良いでしょう。発言の許可が必要なら、私が出します」
「何様のつもりなの!」
「このメイドは本邸のメイドです。あなたの管轄下ではありません」
「リノアさんのものでもないでしょう!」
「ラルフ様の妻になりましたら、私の管轄下になるようなものですわよね? でしたら、予行演習という事でいかがでしょう?」
わざと彼女が嫌がりそうな言葉を笑顔で言うと、ぎりぎりと長い親指の爪をかみながら私を睨みつけてきました。
「リノア様。メイドの事もありますので、今日はお引取りになった方がよろしいでしょう」
ダラス様も私の囮の話を知ってらっしゃるとは思いますが、このままカーミラ様と2人にさせると危険だと判断して下さったのでしょう。
真剣な表情でそう言って下さいましたが、カーミラ様が止めます。
「いいえ。リノアさんは私がおもてなし致します。そんなにメイドの家族が気になるのなら様子を見に行かせればいいでしょう。私は何も関係ありませんから」
カーミラ様はくるりと背を向けて、1人だけ別邸の中に入ると扉を閉められてしまいました。
私、まだ入ってないのですが…。
「リノア様、お帰り下さい」
「良いのですかね」
「良いわけないでしょう!」
また扉が開いて、カーミラ様が私の腕をつかみ、別邸の中に引きずり込みます。
ちょっとこれは、真剣に怖いです。
「あなた達!」
カーミラ様はダラス様とそのペアの騎士の方、それからメイドに向かって叫びます。
「私がリノアさんを別邸に連れ込んだなんて言わないでちょうだいね! リノアさん自らが別邸に入ったのよ!」
「……」
明らかに引きずり込まれているのを見ている3人はさすがに返事がしづらかったのか、無言でカーミラ様を見つめていましたが、彼女のヒステリックな声で我に返ります。
「聞いてるの!?」
「え? あ、はい」
ダラス様は命令に対してではなく、カーミラ様の話を聞いているか、という言葉に対して頷いたみたいですが、カーミラ様は命令に頷いたと思ったようで、満足そうに首を縦に振ったあと、私の腕をつかんだまま扉を閉め、私をどこかへ連れて行こうとします。
「あの、私をどちらに連れて行かれる気ですか? 呼び出したのはカーミラ様で間違いないのですよね!?」
話しかけても、カーミラ様は私の方に振り返りもしなければ、返事もしてくれません。
エントランスホールに立っていた騎士の方が心配そうに私に視線を向けてこられましたが、彼女の目的がわからない以上、助けを求めるには早い気がして、口には出せません。
ただ、彼女が私をどこに連れて行こうとしているかは、なんとなく想像がついてきました。
その予想は当たっていて、彼女は別邸の奥にある扉の前で立ち止まりました。
「カーミラ様、あなたは良いのですが、リノア様をお通しする事はラルフ様から禁止されております」
「あら、そう。それがどうしたって言うの」
カーミラ様は扉の前に立っていた騎士の方を押し退けると、魔法で鍵を壊し、扉を開けられました。
扉の向こうは、人が1人通れる程の狭い階段があり、カーミラ様はそこに立つと、何か呪文を唱えられました。
そしてその後、私の腕を引っ張り、中へ入らせたのです。
「リノア様!」
騎士の方が私に手を伸ばそうとしましたが、彼の手が一瞬にして焼けただれた為、苦痛の声を上げられ、手を引っ込めましたが、それでも私を助けようと、また手を伸ばそうとされたので、慌てて止めます。
「私は大丈夫です。早く治療を受けて下さい」
「ですがっ」
「……」
無言で睨むと、一瞬、辛そうな表情をされましたが、腕をおさえながら走り去っていかれます。
きっと、助けも呼んでくださるでしょう。
「こんな事をした事をラルフ様が知ったら」
「もういいわ。ラルフなら私が何をしても許してくれるはず。この地下牢に続く階段に魔法をかけたわ。新たに男性が入ろうとすると、さっきみたいになるの」
カーミラ様は笑いながら続けます。
「ラルフや騎士は助けに来られない! あなたはここで死ぬの」
現在、私の前にはカーミラ様、後ろは地下牢に続く急な石階段です。
私の背後にある階段を降りると、フレイ様が閉じ込められている牢屋があります。
こんな状況では顔を合わせたくないものです。
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