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多々ある中の1つのお話 5
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フレイ様の記憶が戻られてから、数日後。
私とラルフ様はフレイ様を見送るため、クラーク邸の門の前に来ておりました。
「気を付けて行ってきて下さいね」
「本当は心の中で死んでしまえばいいとか思ってるんじゃないのか?」
「思っていませんよ。リノアさんって呼んでくださっていた可愛いフレイ様に戻っていただきたいなぁとは思いますけれど」
「腹が立つな。まあ、それくらいの気性でないと、ラルフ兄さんの妻は務められないんだろうけど」
フレイ様はふっと笑ったあと、私の頭をなでながら言います。
「元気でな。次に会うのは結婚式か? それとも呼ぶ気はないって?」
「何も言ってませんよ。どうして、そんなにひねくれたんですか」
「ランドン辺境伯に女はクズだとかなんだとか、色々と吹き込まれて、女性不信なんだよ」
「その割には手を出されたのですね」
「生理現象とは別だろ」
「反省しているのですか」
きつい口調で言ってから睨むと、フレイ様は真剣な表情になって頷いた。
「反省はしてるよ。俺がバカだった。だから、謝りに行くんだ」
フレイ様は記憶が戻ったあと、自分のした事を悔やまれたのか1人にするようにラルフ様にお願いされ、しばらくして部屋から出てきても、突然、叫びだしたりするなど、苦悩しておられました。
「お前に女性がクズだと教えた人間が1番クズだったけどな」
「すみませんでした」
ラルフ様が大きく息を吐かれたからか、フレイ様が頭を下げられました。
「ランドンを信じた事を責めてるんじゃない。そうならざるを得ない状況にした俺が悪い」
フレイ様が変わるきっかけは、女の味を教えるというメイド達に逆に襲われたからでした。
メイド達がどういう気持ちで嫌がるフレイ様に手を出されたのかは、恋人でもない方にそんな事をしようだなんて思わない私には想像もつきません。
「兄さんは悪くありません。ちゃんと確認すれば良かった」
「メイド達以外にカーミラ様やミラルル様の様な方しか女性が周りにいなかったのでしたら、女性不信になる気持ちはわからないわけでもないのです。もちろん、それが悪い事をしていい理由にはなりませんが」
「そうだな。リノアさんが1人目の婚約者だったら、こんな事にならなかったのにな。もちろん、他の元婚約者の女性が悪いわけじゃないけど」
「そうですね。それを考えますと安易に婚約をしようとしたラルフ様もいけません」
「悪かった」
大きな身体をしゅんとさせるラルフ様を見て苦笑したあと、フレイ様に言います。
「元気になられたご令嬢の何人かが謝罪を受け入れてくださるそうで、良かったですね」
「ああ。土下座してくる。もちろん、それで許される事でもないけど」
フレイ様は悩みに悩んだ末に、自分のやった行動が最低な行為であったと反省し、被害者の女性の家族に手紙を送られ、会ってくださるといった本人や、ご家族のところをこれからまわっていく事になりました。
「行ってくるよ」
「気を付けてな」
「兄さんも」
ラルフ様が少し淋しげに笑って、フレイ様の頭をなでられると嬉しそうな笑みを見せ、フレイ様は私に言います。
「リノアさんも元気でな」
「お帰りをここでお待ちしております」
「へえ。そっか。やっぱり嫁になるって決めたのか」
「もう! さっさと出かけて下さい! 日が暮れてしまいますよ!」
「わかったよ。行ってきます」
フレイ様は笑いながら待たせていた馬に乗ると、私達に手を振られ、そのまま旅立っていかれました。
「なんだか寂しいのです」
「フレイの事を嫌っていたのではなかったのか?」
「悪いフレイ様は嫌いですが、良いフレイ様は好きですよ」
「…そうか」
ラルフ様は微笑んでくださると、私の手を取って屋敷に向かって歩き始めます。
フレイ様を罪に問うかどうかは、令嬢やご家族の判断に任せるため、今の段階ではわかりません。
でも、今のフレイ様なら罪に問われても文句を言ったりはなさらないでしょう。
「私達は私達でこれから大変なのですから、一緒に頑張りましょうね」
ぎゅっと握られていた手を握り返すと、ラルフ様は笑顔で頷いてくれました。
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読んで下さり、本当にありがとうございました。
私とラルフ様はフレイ様を見送るため、クラーク邸の門の前に来ておりました。
「気を付けて行ってきて下さいね」
「本当は心の中で死んでしまえばいいとか思ってるんじゃないのか?」
「思っていませんよ。リノアさんって呼んでくださっていた可愛いフレイ様に戻っていただきたいなぁとは思いますけれど」
「腹が立つな。まあ、それくらいの気性でないと、ラルフ兄さんの妻は務められないんだろうけど」
フレイ様はふっと笑ったあと、私の頭をなでながら言います。
「元気でな。次に会うのは結婚式か? それとも呼ぶ気はないって?」
「何も言ってませんよ。どうして、そんなにひねくれたんですか」
「ランドン辺境伯に女はクズだとかなんだとか、色々と吹き込まれて、女性不信なんだよ」
「その割には手を出されたのですね」
「生理現象とは別だろ」
「反省しているのですか」
きつい口調で言ってから睨むと、フレイ様は真剣な表情になって頷いた。
「反省はしてるよ。俺がバカだった。だから、謝りに行くんだ」
フレイ様は記憶が戻ったあと、自分のした事を悔やまれたのか1人にするようにラルフ様にお願いされ、しばらくして部屋から出てきても、突然、叫びだしたりするなど、苦悩しておられました。
「お前に女性がクズだと教えた人間が1番クズだったけどな」
「すみませんでした」
ラルフ様が大きく息を吐かれたからか、フレイ様が頭を下げられました。
「ランドンを信じた事を責めてるんじゃない。そうならざるを得ない状況にした俺が悪い」
フレイ様が変わるきっかけは、女の味を教えるというメイド達に逆に襲われたからでした。
メイド達がどういう気持ちで嫌がるフレイ様に手を出されたのかは、恋人でもない方にそんな事をしようだなんて思わない私には想像もつきません。
「兄さんは悪くありません。ちゃんと確認すれば良かった」
「メイド達以外にカーミラ様やミラルル様の様な方しか女性が周りにいなかったのでしたら、女性不信になる気持ちはわからないわけでもないのです。もちろん、それが悪い事をしていい理由にはなりませんが」
「そうだな。リノアさんが1人目の婚約者だったら、こんな事にならなかったのにな。もちろん、他の元婚約者の女性が悪いわけじゃないけど」
「そうですね。それを考えますと安易に婚約をしようとしたラルフ様もいけません」
「悪かった」
大きな身体をしゅんとさせるラルフ様を見て苦笑したあと、フレイ様に言います。
「元気になられたご令嬢の何人かが謝罪を受け入れてくださるそうで、良かったですね」
「ああ。土下座してくる。もちろん、それで許される事でもないけど」
フレイ様は悩みに悩んだ末に、自分のやった行動が最低な行為であったと反省し、被害者の女性の家族に手紙を送られ、会ってくださるといった本人や、ご家族のところをこれからまわっていく事になりました。
「行ってくるよ」
「気を付けてな」
「兄さんも」
ラルフ様が少し淋しげに笑って、フレイ様の頭をなでられると嬉しそうな笑みを見せ、フレイ様は私に言います。
「リノアさんも元気でな」
「お帰りをここでお待ちしております」
「へえ。そっか。やっぱり嫁になるって決めたのか」
「もう! さっさと出かけて下さい! 日が暮れてしまいますよ!」
「わかったよ。行ってきます」
フレイ様は笑いながら待たせていた馬に乗ると、私達に手を振られ、そのまま旅立っていかれました。
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「フレイの事を嫌っていたのではなかったのか?」
「悪いフレイ様は嫌いですが、良いフレイ様は好きですよ」
「…そうか」
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でも、今のフレイ様なら罪に問われても文句を言ったりはなさらないでしょう。
「私達は私達でこれから大変なのですから、一緒に頑張りましょうね」
ぎゅっと握られていた手を握り返すと、ラルフ様は笑顔で頷いてくれました。
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読んで下さり、本当にありがとうございました。
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