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次の日、エドも少しずつ動けるようになってきたのと、私はぐっすり眠って元気になり、そして、魔力も回復したっぽいので、まずはミラーザ様に魔法についての話をする事にした。
もちろん、昨日もエドの様子を見るために部屋にいらしていたので、今日、またこちらへいらっしゃった時にお時間が欲しいと伝えてある。
昨日のうちに、エドの書斎にあった本に魔法について書いてあるものがあったので、それを流し読みにはなるけれど読んでいた。
魔力の満タン状態を100とすると、魔力が0になってしまうと死につながるけれど、たとえば1でも残っていれば死ななくてすむ。
そのかわり、身体が動かなくなり、強制的に睡眠状態に入る。
ここまでは本に書かれていた事。
そして、魔力がある程度戻れば、起こされると目を覚ますけれど、生命の危険を感じるレベルだと、どうしたって起きないらしく、実際は深い睡眠なのだけれど、気絶していると思われるらしい。
それを教えてくれたのは、エドのお母様のミラーザ様だった。
「あなたのおかげで、魔力が戻って、エドワードが助かったわ。本当にありがとう!」
「いえ。私のおかげではなく、お祖母様が解除したというか…」
「あなたの魔力を使って解除したのだから、あなたのおかげよ」
「ただ、エドがあんな事になったのは、私のせいのような気もするんです…」
エドを刺すように指示したのは、元夫のロンバートではないかという話をすると、ミラーザ様は可愛らしい顔を歪めて言う。
「たとえ、その男が指示したのだとしても、悪いのはその男じゃないの。エアリスは何も悪くないわ」
「だけど、エドがいなくなれば私の居場所がなくなります。そうなったら…」
「自分の所へ帰ってくるって? 馬鹿じゃないの!? エアリスには実家だってあるし、エドワードに何かあったとしても私達が面倒を見るわ!」
「ありがとうございます」
憤慨してくれるミラーザ様に礼を言ったあと、夢でお祖母様達に言われた話をしてみると、ミラーザ様は目を輝かせた。
「さすが師匠たちね! その石は思念体みたいなものなのかもしれないわ。ここまでくると、魔法って言葉だけじゃ済まされない気もするけど、それだけ師匠たちがすごいって事ね!」
私も納得したわけではないけれど、そういう事が可能な魔法をお祖父様達が作り出したのだと思うことにした。
「師匠が昔言っていたんだけど、遊び半分で占い師にみてもらったことがあったみたい」
「お祖母様がですか?」
「ええ。その時に、権力にいいように使われて命を落とす可能性があると言われたみたい。それは孫の代まで。それを聞いたお祖母様はすぐにお祖父様に相談したらしいわ。占いをあまり信じないタイプだったけれど、孫の代までと言われてしまうと、やはり気になったみたい。だから、あなたの実家に魔法をかけ、そして、孫である、あなたのために、そのネックレスの石に魔法をかけた」
「でも、それならどうしてお兄様には何も残さなかったんでしょう?」
私が尋ねると、ミラーザ様は微笑んで答えてくれる。
「あなたの兄であるクラリスは実家から出て行ったりはしないでしょう?」
「…あ、そうですね。実家にいれば、もしくは実家に帰れば守ってもらえますものね」
「だから、あなたのお父様とお母様も一緒に住み続けているのよ」
「私の場合は嫁に行く可能性があるから、持ち運べるものを用意してくれたんですね」
俯いて、ネックレスの石をぎゅうと握りしめた。
お祖父様、お祖母様、本当にありがとう。
感謝の気持ちを伝えたあとに、ふと思った事を口にしてみる。
「でも、お祖父様達に、こんなにすごい力があるなら、メガイクスを殺せたんじゃないでしょうか」
「あら。自分の国の大将を殺してしまったら、戦争が負けてしまうわよ? 内戦なんて事をしていたら、敵国に攻め込まれて、今のような生活は出来ていないかも…」
「お祖父様達が命を落としたのは、私達の暮らしを守るためでもあったんですね…」
たくさんの人の暮らしが守られた事は救いだけれど、メガイクスは領土を増やした。
それが納得いかない。
でも、今は私にはやらないといけない事がある。
エドを襲わせたと思われるロンバートに疑いの目を向けさせて、本当に犯人が彼なら、罰を下さないといけない。
もちろん、昨日もエドの様子を見るために部屋にいらしていたので、今日、またこちらへいらっしゃった時にお時間が欲しいと伝えてある。
昨日のうちに、エドの書斎にあった本に魔法について書いてあるものがあったので、それを流し読みにはなるけれど読んでいた。
魔力の満タン状態を100とすると、魔力が0になってしまうと死につながるけれど、たとえば1でも残っていれば死ななくてすむ。
そのかわり、身体が動かなくなり、強制的に睡眠状態に入る。
ここまでは本に書かれていた事。
そして、魔力がある程度戻れば、起こされると目を覚ますけれど、生命の危険を感じるレベルだと、どうしたって起きないらしく、実際は深い睡眠なのだけれど、気絶していると思われるらしい。
それを教えてくれたのは、エドのお母様のミラーザ様だった。
「あなたのおかげで、魔力が戻って、エドワードが助かったわ。本当にありがとう!」
「いえ。私のおかげではなく、お祖母様が解除したというか…」
「あなたの魔力を使って解除したのだから、あなたのおかげよ」
「ただ、エドがあんな事になったのは、私のせいのような気もするんです…」
エドを刺すように指示したのは、元夫のロンバートではないかという話をすると、ミラーザ様は可愛らしい顔を歪めて言う。
「たとえ、その男が指示したのだとしても、悪いのはその男じゃないの。エアリスは何も悪くないわ」
「だけど、エドがいなくなれば私の居場所がなくなります。そうなったら…」
「自分の所へ帰ってくるって? 馬鹿じゃないの!? エアリスには実家だってあるし、エドワードに何かあったとしても私達が面倒を見るわ!」
「ありがとうございます」
憤慨してくれるミラーザ様に礼を言ったあと、夢でお祖母様達に言われた話をしてみると、ミラーザ様は目を輝かせた。
「さすが師匠たちね! その石は思念体みたいなものなのかもしれないわ。ここまでくると、魔法って言葉だけじゃ済まされない気もするけど、それだけ師匠たちがすごいって事ね!」
私も納得したわけではないけれど、そういう事が可能な魔法をお祖父様達が作り出したのだと思うことにした。
「師匠が昔言っていたんだけど、遊び半分で占い師にみてもらったことがあったみたい」
「お祖母様がですか?」
「ええ。その時に、権力にいいように使われて命を落とす可能性があると言われたみたい。それは孫の代まで。それを聞いたお祖母様はすぐにお祖父様に相談したらしいわ。占いをあまり信じないタイプだったけれど、孫の代までと言われてしまうと、やはり気になったみたい。だから、あなたの実家に魔法をかけ、そして、孫である、あなたのために、そのネックレスの石に魔法をかけた」
「でも、それならどうしてお兄様には何も残さなかったんでしょう?」
私が尋ねると、ミラーザ様は微笑んで答えてくれる。
「あなたの兄であるクラリスは実家から出て行ったりはしないでしょう?」
「…あ、そうですね。実家にいれば、もしくは実家に帰れば守ってもらえますものね」
「だから、あなたのお父様とお母様も一緒に住み続けているのよ」
「私の場合は嫁に行く可能性があるから、持ち運べるものを用意してくれたんですね」
俯いて、ネックレスの石をぎゅうと握りしめた。
お祖父様、お祖母様、本当にありがとう。
感謝の気持ちを伝えたあとに、ふと思った事を口にしてみる。
「でも、お祖父様達に、こんなにすごい力があるなら、メガイクスを殺せたんじゃないでしょうか」
「あら。自分の国の大将を殺してしまったら、戦争が負けてしまうわよ? 内戦なんて事をしていたら、敵国に攻め込まれて、今のような生活は出来ていないかも…」
「お祖父様達が命を落としたのは、私達の暮らしを守るためでもあったんですね…」
たくさんの人の暮らしが守られた事は救いだけれど、メガイクスは領土を増やした。
それが納得いかない。
でも、今は私にはやらないといけない事がある。
エドを襲わせたと思われるロンバートに疑いの目を向けさせて、本当に犯人が彼なら、罰を下さないといけない。
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