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公爵家に着いた当日は至れり尽くせりで存分に甘やかされた。
伯爵家でも、使用人達は良くしてくれていたけれど、公爵家とはお金のかけ方が違う。
もちろん、イザメル様が私にお金をかけたがらなかったというのはあるかもしれないけれど。
私達の国では、離婚してから再婚まで、半年以上はあけないといけないから、私がエドの花嫁になるかはまだわからないのに、エドの命令なのだろうけど、とても高待遇だった。
歓迎してもらえたのは嬉しいけれど、厄介になる以上、遊んでいるわけにはいかないわよね。
そう思い、キャサリンに問いかける。
「ねぇ、キャサリン、私、何かやる事はないかしら?」
「健康で楽しく、この屋敷にいて下さる事です!」
「いや、それ、私自身、当たり前の事なんだけど」
「お屋敷から出て行きたいだなんて言わないで下さいね?」
「大丈夫よ。行くところはないから」
ただ、暇だから何かしたいだけなんだけど、ここのメイド達は何もさせてくれない!
ここに来たばかりだから、読む本もないし…、って、書斎はあったりするのかしら?
そんな事を思っていると、キャサリンとは違う他のメイドが私に来客を教えてくれた。
部屋に通してもらうと、来客は、エドの両親であるロークス様とミラーザ様だった。
「久しぶりだな、エアリス」
「エアリス! 大きくなったわね!」
ミラーザ様は女性の中でも小柄で、とても可愛らしい。
子供と変わらないくらいの身長なので、私に抱きついてくれたけれど、顔が私の胸あたりくらいにしかならない。
「お久しぶりです、ロークス様、ミラーザ様」
「昨日、エドワードから話を聞いた時には驚いたよ。大変だったようだな」
奥様とは反対にとても背の高いロークス様は、私の頭を優しく撫でて下さったあと続ける。
「エドワードから話は聞いてるが、エアリスからも詳しい話を聞かせてもらえないか。何か裏がある様な気がする」
エドがもう少し年をとれば、こんな風になるのかしら、と思ってしまうような、整った顔立ちのロークス様に言われ、私は大きく頷き、二人には部屋にあるソファーにかけてもらった。
「忘却魔法がかけられているな。しかも時は違うが2回。1回目はエアリスの魔力を感じるが、2回目は違うな。別の第三者だ」
「その第三者の魔法は私がかけたものより後ですか、先ですか?」
「後だな。もしかすると、ザーターの件で、君の記憶を消したのかもしれない。複雑な魔法をかけられていそうだ。考えられるとしたら、とあるワードに限定して継続する忘却魔法かもしれない」
「イザメル様は魔法使いが嫌いなのに、魔法使いに協力してもらって、私に魔法をかけさせたんでしょうか」
私の言葉に、ローテーブルをはさんで向かい側に座っている、ロークス様とミラーザ様が顔を見合わせたあと、ロークス様が頷く。
「その可能性があるな。その魔法使いが飼われているのか、それとも無理矢理かけさせられたのかはわからないが、まあまあ実力のある魔法使いだ」
「私達に魔法が使えるようになったら、あなたの忘却魔法を解除できると思うんだけど…」
ミラーザ様がしゅんと肩を落とした。
二人共、お祖父様とお祖母様の封印魔法で、魔力を上手くコントロールできなくされてしまっているらしい。
どこか一点に集中させたくても、すぐに分散してしまうのだそうだ。
ミラーザ様達が魔法を使えるようになれば、私も魔法の使い方を教えてもらえるからいいなと思うのに…。
「でも、どうして魔法の効力がきれかけているんでしょう? 過去の事が思い出せない事はおいておいて、今は、ロンバートやイザメル様への嫌悪感しかないんです。確かに、ロンバートの事が好きだったはずなのに」
「たぶんだけれど、魅了魔法もかけられていて、それが解除されたのかもしれないわね。今までは、ロンバートのあなたに対しての所業はまだ許せる範囲だったのかもしれない。だけど、親友と不倫した行動に関しては師匠達も許せなくて、あなたを守ろうとしたのかも」
ミラーザ様は沈んだ表情だったけれど、すぐに笑顔になって言う。
「でもね、エアリス。あなたはまだ若いわ! これから、エドワードと一緒に人生を歩んで、幸せになればいいのよ」
「イザメルに関しては、昨日の事で、エドワードがザーター家に苦情を入れるらしい。ある意味、宣戦布告のもうなものだな」
「宣戦布告?」
聞き返すと、ロークス様はにやりと悪い笑みを浮かべる。
「そりゃそうだろう。公爵の婚約者とその家族を馬鹿にしたんだから、ごめんなさいでは済まないだろう? あの時、私達が出来なかった事を、エドワードにはしてもらおうと思っている」
「あの時、出来なかった事?」
聞き返したけれど、それに対しては目を伏せただけで、答えてはもらえなかった。
伯爵家でも、使用人達は良くしてくれていたけれど、公爵家とはお金のかけ方が違う。
もちろん、イザメル様が私にお金をかけたがらなかったというのはあるかもしれないけれど。
私達の国では、離婚してから再婚まで、半年以上はあけないといけないから、私がエドの花嫁になるかはまだわからないのに、エドの命令なのだろうけど、とても高待遇だった。
歓迎してもらえたのは嬉しいけれど、厄介になる以上、遊んでいるわけにはいかないわよね。
そう思い、キャサリンに問いかける。
「ねぇ、キャサリン、私、何かやる事はないかしら?」
「健康で楽しく、この屋敷にいて下さる事です!」
「いや、それ、私自身、当たり前の事なんだけど」
「お屋敷から出て行きたいだなんて言わないで下さいね?」
「大丈夫よ。行くところはないから」
ただ、暇だから何かしたいだけなんだけど、ここのメイド達は何もさせてくれない!
ここに来たばかりだから、読む本もないし…、って、書斎はあったりするのかしら?
そんな事を思っていると、キャサリンとは違う他のメイドが私に来客を教えてくれた。
部屋に通してもらうと、来客は、エドの両親であるロークス様とミラーザ様だった。
「久しぶりだな、エアリス」
「エアリス! 大きくなったわね!」
ミラーザ様は女性の中でも小柄で、とても可愛らしい。
子供と変わらないくらいの身長なので、私に抱きついてくれたけれど、顔が私の胸あたりくらいにしかならない。
「お久しぶりです、ロークス様、ミラーザ様」
「昨日、エドワードから話を聞いた時には驚いたよ。大変だったようだな」
奥様とは反対にとても背の高いロークス様は、私の頭を優しく撫でて下さったあと続ける。
「エドワードから話は聞いてるが、エアリスからも詳しい話を聞かせてもらえないか。何か裏がある様な気がする」
エドがもう少し年をとれば、こんな風になるのかしら、と思ってしまうような、整った顔立ちのロークス様に言われ、私は大きく頷き、二人には部屋にあるソファーにかけてもらった。
「忘却魔法がかけられているな。しかも時は違うが2回。1回目はエアリスの魔力を感じるが、2回目は違うな。別の第三者だ」
「その第三者の魔法は私がかけたものより後ですか、先ですか?」
「後だな。もしかすると、ザーターの件で、君の記憶を消したのかもしれない。複雑な魔法をかけられていそうだ。考えられるとしたら、とあるワードに限定して継続する忘却魔法かもしれない」
「イザメル様は魔法使いが嫌いなのに、魔法使いに協力してもらって、私に魔法をかけさせたんでしょうか」
私の言葉に、ローテーブルをはさんで向かい側に座っている、ロークス様とミラーザ様が顔を見合わせたあと、ロークス様が頷く。
「その可能性があるな。その魔法使いが飼われているのか、それとも無理矢理かけさせられたのかはわからないが、まあまあ実力のある魔法使いだ」
「私達に魔法が使えるようになったら、あなたの忘却魔法を解除できると思うんだけど…」
ミラーザ様がしゅんと肩を落とした。
二人共、お祖父様とお祖母様の封印魔法で、魔力を上手くコントロールできなくされてしまっているらしい。
どこか一点に集中させたくても、すぐに分散してしまうのだそうだ。
ミラーザ様達が魔法を使えるようになれば、私も魔法の使い方を教えてもらえるからいいなと思うのに…。
「でも、どうして魔法の効力がきれかけているんでしょう? 過去の事が思い出せない事はおいておいて、今は、ロンバートやイザメル様への嫌悪感しかないんです。確かに、ロンバートの事が好きだったはずなのに」
「たぶんだけれど、魅了魔法もかけられていて、それが解除されたのかもしれないわね。今までは、ロンバートのあなたに対しての所業はまだ許せる範囲だったのかもしれない。だけど、親友と不倫した行動に関しては師匠達も許せなくて、あなたを守ろうとしたのかも」
ミラーザ様は沈んだ表情だったけれど、すぐに笑顔になって言う。
「でもね、エアリス。あなたはまだ若いわ! これから、エドワードと一緒に人生を歩んで、幸せになればいいのよ」
「イザメルに関しては、昨日の事で、エドワードがザーター家に苦情を入れるらしい。ある意味、宣戦布告のもうなものだな」
「宣戦布告?」
聞き返すと、ロークス様はにやりと悪い笑みを浮かべる。
「そりゃそうだろう。公爵の婚約者とその家族を馬鹿にしたんだから、ごめんなさいでは済まないだろう? あの時、私達が出来なかった事を、エドワードにはしてもらおうと思っている」
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