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イザメル様はエドが連れてきていた騎士達につかまえられ、警察署に連行される事になった。
オルザベートの事はエド達に任せてあるから良いとして、あと、今、私がやらないといけない事はロンバートの所へ行く事だった。
久しぶりに会ったディラン様が、本邸の邪気を魔法ではらって下さったから、中に入っても体調不良になる事がなくなったため、ビアラと一緒に本邸の中に入った。
メアリーと再会を喜んだあとは、ロンバートのいる寝室へと向かう。
久しぶりに足を踏み入れたロンバート伯爵家は、人が住んでいるにも関わらず、私がいた頃よりも、だいぶ寂れた感じになってしまっていた。
寝室の扉の前に立ち、大きく深呼吸する。
形見のネックレスを握りしめて、心を落ち着けてから、隣に立っているビアラを見ると、彼女は首を縦に振ってくれた。
トントンと、扉をノックする。
「誰だ」
「久しぶりね、ロードウェル」
声が返ってきてから、まずはビアラが、扉を開け放ったまま、様子を見るために先に中に入ってくれた。
「君は…たしか、エアリスの友人の一人だったな?」
「そうよ。あなたとも同級生よ。クラスは違ったけどね。一応、結婚式にも出席させてもらったけど、覚えてないみたいね? まあ、別にそれはそれでいいんだけど」
「人の家に勝手に入り込んで、何をしに来たんだ。エアリスならいないぞ!」
「知ってる。というか、いないわけでもないけど」
ビアラが答えたところで、私も部屋の中に入る。
「久しぶりね、ロンバート」
「エ、エアリス!」
ロンバートはベッドから起き上がり、寝巻き姿で床におりたかと思うと、私に向かって土下座した。
「すまなかった、エアリス。謝るから、僕を助けてくれ!」
「何の話?」
「君がいなくなってから不幸続きなんだ! オルザベートに教えてもらったんだ。僕が幸せだったのは、君がいてくれたからなんだと! ひどい事を言ってすまない! だから、帰ってきてくれ! やり直そう! オルザベートと3人で!」
「何を言ってるのよ」
ロンバートの言い分があまりにも気持ち悪くて、ドン引きしていると、ビアラが横で言う。
「ないわぁ。どうやったらそんな都合のいい考え方ができるわけ? あ、もしかして、3人ってトゥッチさんとあなたとお腹の中の子供の話?」
「そんな訳ないだろ! お腹の子をいれるなら4人だ!」
「え? そんな暮らしして、エアリスは何が楽しいの?」
ビアラに馬鹿にされたと感じたのか、ロンバートは彼女に罵声を浴びせる。
「うるさい! 偉そうにしやがって! お前なんか母上の力があれば、どうとでもしてやれるんだそ!」
「そうなった時に公爵家を相手にする覚悟はあるの?」
ビアラがくすくすと笑って続ける。
「カイジス公爵閣下の後ろ盾があるから、中々、私には手を出せないと思うわよ?」
「ロンバート、それだけじゃないわよ。あなたはもう忘れてるみたいだけど、ビアラの学生時代の彼氏、誰だか思い出せないの?」
本当はフリだったらしいけど、ロンバートはそれを知らないし、彼氏という事にしておこう。
きょとんとしている彼を見て私は続ける。
「ディラン様よ。ミーグス公爵令息の事くらい覚えてるでしょ」
「あ…、ああ、そういえば…そうだったかもしれない」
「ビアラをどうにかしようとすると、エドもそうだけど、ディラン様も出てくるわよ?」
私の言葉を聞いて、ロンバートは俯く。
さっきの発言をどう取り消そうか考えているのかもしれない。
「あと、あなたの大好きなお母様は捕まっちゃったわよ?」
ビアラの言葉に、ロンバートが顔を上げ、目を見開いて叫んだ。
「ど、どうして母上が!」
「悪いことをしたからじゃない?」
ビアラはにこっと笑うと、床に座り込んだままのロンバートに続ける。
「あなたも捕まらないといけないわね? 何をしたかくらいわかってるでしょ?」
「あ、あ、嫌だ! 嫌だ、助けてくれ、エアリス!」
「どうして私があなたを助けないといけないの?」
「あんなに僕を好きだと言ったじゃないか!」
過去の記憶が蘇り、気分が悪くなってきた。
魅了魔法とはいえ、こんな男に愛を囁いてただなんて!
「捨てたのはあなたよ、ロンバート」
「だから謝る! 君しかいないんだ、エアリス!」
ロンバートが床をはって、私の所へ向かってこようとした時、身体が後ろに引っ張られた。
「エアリス、君は高みの見物がしたいんだろ? 後は僕がやる」
私の腕を引っ張ったのはエドだった。
「君しかいない? 本当にそうなら、なぜ、トゥッチ嬢に手を出した?」
「そ、それは…、エアリスと出来なかったからだ! 身体を触らせてももらえないなんて拷問じゃないか!」
「エアリスしかいないなら、それでも満足できたはずだ」
エドはそう答えると、しゃがんで、ロンバートの前髪をつかんだ。
「あと僕は君に用があるんだ。僕を人に頼んで殺そうとしたよな?」
表情は見えないけれど、エドの声は今までに聞いたことのない低く冷たい声だった。
すると、ディラン様が後ろから声をかけてきた。
「エドワードに任せて、僕らは部屋を出ていよう」
頷いて、ビアラとディラン様と共に部屋を出て、扉を閉め、歩き出した時だった。
中から、ロンバートの絶叫が聞こえ、私は思わず耳を塞いだ。
オルザベートの事はエド達に任せてあるから良いとして、あと、今、私がやらないといけない事はロンバートの所へ行く事だった。
久しぶりに会ったディラン様が、本邸の邪気を魔法ではらって下さったから、中に入っても体調不良になる事がなくなったため、ビアラと一緒に本邸の中に入った。
メアリーと再会を喜んだあとは、ロンバートのいる寝室へと向かう。
久しぶりに足を踏み入れたロンバート伯爵家は、人が住んでいるにも関わらず、私がいた頃よりも、だいぶ寂れた感じになってしまっていた。
寝室の扉の前に立ち、大きく深呼吸する。
形見のネックレスを握りしめて、心を落ち着けてから、隣に立っているビアラを見ると、彼女は首を縦に振ってくれた。
トントンと、扉をノックする。
「誰だ」
「久しぶりね、ロードウェル」
声が返ってきてから、まずはビアラが、扉を開け放ったまま、様子を見るために先に中に入ってくれた。
「君は…たしか、エアリスの友人の一人だったな?」
「そうよ。あなたとも同級生よ。クラスは違ったけどね。一応、結婚式にも出席させてもらったけど、覚えてないみたいね? まあ、別にそれはそれでいいんだけど」
「人の家に勝手に入り込んで、何をしに来たんだ。エアリスならいないぞ!」
「知ってる。というか、いないわけでもないけど」
ビアラが答えたところで、私も部屋の中に入る。
「久しぶりね、ロンバート」
「エ、エアリス!」
ロンバートはベッドから起き上がり、寝巻き姿で床におりたかと思うと、私に向かって土下座した。
「すまなかった、エアリス。謝るから、僕を助けてくれ!」
「何の話?」
「君がいなくなってから不幸続きなんだ! オルザベートに教えてもらったんだ。僕が幸せだったのは、君がいてくれたからなんだと! ひどい事を言ってすまない! だから、帰ってきてくれ! やり直そう! オルザベートと3人で!」
「何を言ってるのよ」
ロンバートの言い分があまりにも気持ち悪くて、ドン引きしていると、ビアラが横で言う。
「ないわぁ。どうやったらそんな都合のいい考え方ができるわけ? あ、もしかして、3人ってトゥッチさんとあなたとお腹の中の子供の話?」
「そんな訳ないだろ! お腹の子をいれるなら4人だ!」
「え? そんな暮らしして、エアリスは何が楽しいの?」
ビアラに馬鹿にされたと感じたのか、ロンバートは彼女に罵声を浴びせる。
「うるさい! 偉そうにしやがって! お前なんか母上の力があれば、どうとでもしてやれるんだそ!」
「そうなった時に公爵家を相手にする覚悟はあるの?」
ビアラがくすくすと笑って続ける。
「カイジス公爵閣下の後ろ盾があるから、中々、私には手を出せないと思うわよ?」
「ロンバート、それだけじゃないわよ。あなたはもう忘れてるみたいだけど、ビアラの学生時代の彼氏、誰だか思い出せないの?」
本当はフリだったらしいけど、ロンバートはそれを知らないし、彼氏という事にしておこう。
きょとんとしている彼を見て私は続ける。
「ディラン様よ。ミーグス公爵令息の事くらい覚えてるでしょ」
「あ…、ああ、そういえば…そうだったかもしれない」
「ビアラをどうにかしようとすると、エドもそうだけど、ディラン様も出てくるわよ?」
私の言葉を聞いて、ロンバートは俯く。
さっきの発言をどう取り消そうか考えているのかもしれない。
「あと、あなたの大好きなお母様は捕まっちゃったわよ?」
ビアラの言葉に、ロンバートが顔を上げ、目を見開いて叫んだ。
「ど、どうして母上が!」
「悪いことをしたからじゃない?」
ビアラはにこっと笑うと、床に座り込んだままのロンバートに続ける。
「あなたも捕まらないといけないわね? 何をしたかくらいわかってるでしょ?」
「あ、あ、嫌だ! 嫌だ、助けてくれ、エアリス!」
「どうして私があなたを助けないといけないの?」
「あんなに僕を好きだと言ったじゃないか!」
過去の記憶が蘇り、気分が悪くなってきた。
魅了魔法とはいえ、こんな男に愛を囁いてただなんて!
「捨てたのはあなたよ、ロンバート」
「だから謝る! 君しかいないんだ、エアリス!」
ロンバートが床をはって、私の所へ向かってこようとした時、身体が後ろに引っ張られた。
「エアリス、君は高みの見物がしたいんだろ? 後は僕がやる」
私の腕を引っ張ったのはエドだった。
「君しかいない? 本当にそうなら、なぜ、トゥッチ嬢に手を出した?」
「そ、それは…、エアリスと出来なかったからだ! 身体を触らせてももらえないなんて拷問じゃないか!」
「エアリスしかいないなら、それでも満足できたはずだ」
エドはそう答えると、しゃがんで、ロンバートの前髪をつかんだ。
「あと僕は君に用があるんだ。僕を人に頼んで殺そうとしたよな?」
表情は見えないけれど、エドの声は今までに聞いたことのない低く冷たい声だった。
すると、ディラン様が後ろから声をかけてきた。
「エドワードに任せて、僕らは部屋を出ていよう」
頷いて、ビアラとディラン様と共に部屋を出て、扉を閉め、歩き出した時だった。
中から、ロンバートの絶叫が聞こえ、私は思わず耳を塞いだ。
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エピローグ