21 / 42
第一部
20 教えてあげてちょうだい
しおりを挟む
「い、いつからそこにいらっしゃったんですか!?」
「ちょっと前くらいからかな」
アットンが答えると、メイドの言い訳する声が聞こえる。
「その、さっきの話は、違うんです! 聞いた話で……」
「聞いた話をしているようには思えなかったけど? 立ち聞きしてしまったことは悪いと思ってる。だけど、誰に聞かれるかわからない場所な上に、仕事中にくだらない話をしている君達も良くないよね」
女性達に関しては私から見えない位置にいるせいで、表情や動きが全くわからないけれど、声から焦っていることはわかった。
「あの、ノイズ嬢が気の毒だという話をしていたんです」
「一人ひとりに訂正するのが面倒なんで、わざわざ言わなかったけど、僕には恋人はいない。ノイズ嬢との話はただの噂だよ」
「そ、そ、そうなんですか!?」
「ああ。だから、君達の話に出てきた、あれくらいじゃ済ませない、という言葉が気になってしょうがない。まさか、ただの噂だけで、ノイズ嬢に何かした訳ではないよね?」
そう尋ねたアットンの横顔を見ると、笑っているようだけれど、目が笑えていなかった。
女性達もそれに気が付いたのか、焦った声で言う。
「違います! 誤解です! 彼女に何かしようとした人がいて、それを止めようとして……!」
「止めようとした? 僕が聞こえた言葉と上手く意味が繋がらないけど? まあ、これ以上、ノイズ嬢に何かしようとしないのなら良いよ。だけど、君達が忘れている様だから言っておくけど、騎士の試験に女性が受かるのは、男性の何倍も難しいと言われてる。そんなに難しい試験を男性に好かれたいという理由だけで頑張れるかな? もし、そういう理由だったとしても、よっぽどな気持ちだろうから、すごいと思うけどね」
アットンが私を擁護してくれてる?
そう思うと、何だか落ち着かない気分になる。
「何より、彼女は伯爵令嬢だ。メイドの君達が馬鹿にしていい相手じゃないんだよ」
「申し訳ございません……」
二人がアットンに謝る声が聞こえた。
「じゃあ、お仕事頑張って」
アットンはそう言うと、私のほうに向かって歩いてくる。
「まだ言いたいことはある?」
「今はない。次に言われたら言い返す」
アットンはもしかしたら、私と彼女達が揉めない様にしてくれたんだろうか?
私が出て行けば喧嘩になっていただろうから、そうならないようにしてくれた?
でも、やっぱり許せん。
言われたままなのは腹が立つ。
それに、やったことがひどすぎる。
ロッカーの件だけは許せない。
「あ、やっぱり言いたいことだけ言ってくるから、あなたは仕事に戻って」
「今日の仕事は終わってる。帰る時に呼び出されたから。それにまだ用事もあるし」
「じゃあ、用事を優先してよ。昨日も今日も助かったわ。ありがとう」
アットンにそう言ってから、静かになった応接室に向かい、中に入る。
すると、顔見知りのメイド二人が、私の姿を見て、びくりと身体を震わせた。
「私のロッカーに生ゴミ入れたの誰?」
「し、知らないわ」
「私も知らない……。いえ、知りません」
二人は、私を恐ろしいものでも見る様な目で見ながら、なぜか手と手を取り合って、首を横に振る。
「じゃあ、ルイス様に頼んで調べてもらうわ。犯人がわかったら、この公爵家で働けなくなるどころか、他の屋敷でも働かせてもらえなくなるでしょうね。もし、私のロッカーに生ゴミを入れた人がわかったら、その人にそう教えてあげてちょうだい」
私が言いたいことを言い終えて踵を返すと同時に、メイドの一人が泣き始めた。
振り返ってちらりと視線を送ると、一人が床に座り込んで顔を覆って泣いていて、もう一人が必死に慰めていた。
慰めているほうは、自分は関係ないといった感じだけど、知っていて止めなかったのなら、無罪ではないからね。
それに、そんなことをして、なぜこうなることが予想できなかったのかがわからない。
私がルイス様に言わないと思った?
まあ、私も最初は言うつもりはなかったけど、あんな風な言われ方をしていたら腹が立ってきたので、ルイス様にお話しようと思う。
「生ゴミって、どういうこと?」
アットンは私を待ってくれていたのか、胸の前で腕を組み、不機嫌そうな顔で聞いてきた。
「アットンには関係ない」
「僕のせいだろ」
「明日からは、そんなことをする人はいなくなるわよ」
「掃除させるよ」
「ルイス様に見てもらってからでいいから」
「僕のせいでごめん」
素直に謝られてしまった。
何だか落ち着かない。
ミュウ様の話が嘘だとわかってからのアットンの態度が今までと違いすぎて、何だか胸がモヤモヤする。
このモヤモヤが何だかわからない。
だけど、このまま、気付きたくない気もする。
夢に出てくる彼の顔が、最近、アットンに似ているような子になってきたから余計にだ。
「あれ、フィリア! どうして来てるんだ? 今日は休めと言ったろう?」
ルイス様の部屋に向かって、アットンと歩いていると、ルイス様が学園から帰ってきたばかりなのか、制服姿のまま声をかけてきた。
「ご挨拶だけして、今日は帰るつもりです」
「そうか。で、体調はどうだ?」
「元気です!」
「なら良かった。ああ、アットン、呼びつけて悪かったな」
「いえ」
何で付いてくるのかな、と思ったら、ルイス様がアットンを呼び出していたみたい。
用事があると言っていたのは、ルイス様に呼び出されたからなのね。
お話の邪魔をしてはいけないし、今日は大人しく帰ることにして、さっきのメイド達の話は明日にしよう。
「では、今日は失礼しますね」
「待ってくれ、フィリア」
立ち去ろうとしたけれど、ルイス様に呼び止められた。
「なんでしょうか?」
「アットンとフィリアに頼みたいことがあるんだ」
「……」
私とアットンは何も言わずに、ルイス様の次の言葉を待つ。
「今度、パーティーに出席しないといけなくなった。二人には会場内での、俺の護衛を頼みたい」
ルイス様の言葉を聞いて、私とアットンは無言で顔を見合わせたのだった。
「ちょっと前くらいからかな」
アットンが答えると、メイドの言い訳する声が聞こえる。
「その、さっきの話は、違うんです! 聞いた話で……」
「聞いた話をしているようには思えなかったけど? 立ち聞きしてしまったことは悪いと思ってる。だけど、誰に聞かれるかわからない場所な上に、仕事中にくだらない話をしている君達も良くないよね」
女性達に関しては私から見えない位置にいるせいで、表情や動きが全くわからないけれど、声から焦っていることはわかった。
「あの、ノイズ嬢が気の毒だという話をしていたんです」
「一人ひとりに訂正するのが面倒なんで、わざわざ言わなかったけど、僕には恋人はいない。ノイズ嬢との話はただの噂だよ」
「そ、そ、そうなんですか!?」
「ああ。だから、君達の話に出てきた、あれくらいじゃ済ませない、という言葉が気になってしょうがない。まさか、ただの噂だけで、ノイズ嬢に何かした訳ではないよね?」
そう尋ねたアットンの横顔を見ると、笑っているようだけれど、目が笑えていなかった。
女性達もそれに気が付いたのか、焦った声で言う。
「違います! 誤解です! 彼女に何かしようとした人がいて、それを止めようとして……!」
「止めようとした? 僕が聞こえた言葉と上手く意味が繋がらないけど? まあ、これ以上、ノイズ嬢に何かしようとしないのなら良いよ。だけど、君達が忘れている様だから言っておくけど、騎士の試験に女性が受かるのは、男性の何倍も難しいと言われてる。そんなに難しい試験を男性に好かれたいという理由だけで頑張れるかな? もし、そういう理由だったとしても、よっぽどな気持ちだろうから、すごいと思うけどね」
アットンが私を擁護してくれてる?
そう思うと、何だか落ち着かない気分になる。
「何より、彼女は伯爵令嬢だ。メイドの君達が馬鹿にしていい相手じゃないんだよ」
「申し訳ございません……」
二人がアットンに謝る声が聞こえた。
「じゃあ、お仕事頑張って」
アットンはそう言うと、私のほうに向かって歩いてくる。
「まだ言いたいことはある?」
「今はない。次に言われたら言い返す」
アットンはもしかしたら、私と彼女達が揉めない様にしてくれたんだろうか?
私が出て行けば喧嘩になっていただろうから、そうならないようにしてくれた?
でも、やっぱり許せん。
言われたままなのは腹が立つ。
それに、やったことがひどすぎる。
ロッカーの件だけは許せない。
「あ、やっぱり言いたいことだけ言ってくるから、あなたは仕事に戻って」
「今日の仕事は終わってる。帰る時に呼び出されたから。それにまだ用事もあるし」
「じゃあ、用事を優先してよ。昨日も今日も助かったわ。ありがとう」
アットンにそう言ってから、静かになった応接室に向かい、中に入る。
すると、顔見知りのメイド二人が、私の姿を見て、びくりと身体を震わせた。
「私のロッカーに生ゴミ入れたの誰?」
「し、知らないわ」
「私も知らない……。いえ、知りません」
二人は、私を恐ろしいものでも見る様な目で見ながら、なぜか手と手を取り合って、首を横に振る。
「じゃあ、ルイス様に頼んで調べてもらうわ。犯人がわかったら、この公爵家で働けなくなるどころか、他の屋敷でも働かせてもらえなくなるでしょうね。もし、私のロッカーに生ゴミを入れた人がわかったら、その人にそう教えてあげてちょうだい」
私が言いたいことを言い終えて踵を返すと同時に、メイドの一人が泣き始めた。
振り返ってちらりと視線を送ると、一人が床に座り込んで顔を覆って泣いていて、もう一人が必死に慰めていた。
慰めているほうは、自分は関係ないといった感じだけど、知っていて止めなかったのなら、無罪ではないからね。
それに、そんなことをして、なぜこうなることが予想できなかったのかがわからない。
私がルイス様に言わないと思った?
まあ、私も最初は言うつもりはなかったけど、あんな風な言われ方をしていたら腹が立ってきたので、ルイス様にお話しようと思う。
「生ゴミって、どういうこと?」
アットンは私を待ってくれていたのか、胸の前で腕を組み、不機嫌そうな顔で聞いてきた。
「アットンには関係ない」
「僕のせいだろ」
「明日からは、そんなことをする人はいなくなるわよ」
「掃除させるよ」
「ルイス様に見てもらってからでいいから」
「僕のせいでごめん」
素直に謝られてしまった。
何だか落ち着かない。
ミュウ様の話が嘘だとわかってからのアットンの態度が今までと違いすぎて、何だか胸がモヤモヤする。
このモヤモヤが何だかわからない。
だけど、このまま、気付きたくない気もする。
夢に出てくる彼の顔が、最近、アットンに似ているような子になってきたから余計にだ。
「あれ、フィリア! どうして来てるんだ? 今日は休めと言ったろう?」
ルイス様の部屋に向かって、アットンと歩いていると、ルイス様が学園から帰ってきたばかりなのか、制服姿のまま声をかけてきた。
「ご挨拶だけして、今日は帰るつもりです」
「そうか。で、体調はどうだ?」
「元気です!」
「なら良かった。ああ、アットン、呼びつけて悪かったな」
「いえ」
何で付いてくるのかな、と思ったら、ルイス様がアットンを呼び出していたみたい。
用事があると言っていたのは、ルイス様に呼び出されたからなのね。
お話の邪魔をしてはいけないし、今日は大人しく帰ることにして、さっきのメイド達の話は明日にしよう。
「では、今日は失礼しますね」
「待ってくれ、フィリア」
立ち去ろうとしたけれど、ルイス様に呼び止められた。
「なんでしょうか?」
「アットンとフィリアに頼みたいことがあるんだ」
「……」
私とアットンは何も言わずに、ルイス様の次の言葉を待つ。
「今度、パーティーに出席しないといけなくなった。二人には会場内での、俺の護衛を頼みたい」
ルイス様の言葉を聞いて、私とアットンは無言で顔を見合わせたのだった。
44
あなたにおすすめの小説
夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。
Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。
そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。
そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。
これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)
【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。
くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」
「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」
いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。
「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と……
私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。
「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」
「はい、お父様、お母様」
「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」
「……はい」
「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」
「はい、わかりました」
パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、
兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。
誰も私の言葉を聞いてくれない。
誰も私を見てくれない。
そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。
ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。
「……なんか、馬鹿みたいだわ!」
もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる!
ふるゆわ設定です。
※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい!
※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ!
追加文
番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。
心から愛しているあなたから別れを告げられるのは悲しいですが、それどころではない事情がありまして。
ふまさ
恋愛
「……ごめん。ぼくは、きみではない人を愛してしまったんだ」
幼馴染みであり、婚約者でもあるミッチェルにそう告げられたエノーラは「はい」と返答した。その声色からは、悲しみとか、驚きとか、そういったものは一切感じられなかった。
──どころか。
「ミッチェルが愛する方と結婚できるよう、おじさまとお父様に、わたしからもお願いしてみます」
決意を宿した双眸で、エノーラはそう言った。
この作品は、小説家になろう様でも掲載しています。
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
はじめまして、旦那様。離婚はいつになさいます?
あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
「はじめてお目にかかります。……旦那様」
「……あぁ、君がアグリア、か」
「それで……、離縁はいつになさいます?」
領地の未来を守るため、同じく子爵家の次男で軍人のシオンと期間限定の契約婚をした貧乏貴族令嬢アグリア。
両家の顔合わせなし、婚礼なし、一切の付き合いもなし。それどころかシオン本人とすら一度も顔を合わせることなく結婚したアグリアだったが、長らく戦地へと行っていたシオンと初対面することになった。
帰ってきたその日、アグリアは約束通り離縁を申し出たのだが――。
形だけの結婚をしたはずのふたりは、愛で結ばれた本物の夫婦になれるのか。
★HOTランキング最高2位をいただきました! ありがとうございます!
※書き上げ済みなので完結保証。他サイトでも掲載中です。
悪役令嬢は永眠しました
詩海猫(8/29書籍発売)
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」
長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。
だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。
ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」
*思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる