心から愛しているあなたから別れを告げられるのは悲しいですが、それどころではない事情がありまして。

「……ごめん。ぼくは、きみではない人を愛してしまったんだ」

 幼馴染みであり、婚約者でもあるミッチェルにそう告げられたエノーラは「はい」と返答した。その声色からは、悲しみとか、驚きとか、そういったものは一切感じられなかった。

 ──どころか。


「ミッチェルが愛する方と結婚できるよう、おじさまとお父様に、わたしからもお願いしてみます」


 決意を宿した双眸で、エノーラはそう言った。



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