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6 どこにあるかわからないのですが?
「リノアさんは17歳とお聞きしましたが、野菜が食べれないなんて、随分、子供っぽいところがおありなのね?」
「姉さんだって、苦いものは苦手だろう?」
お姉さまのミラルル様は私を小馬鹿にしたかったようですが、ラルフ様が言い返してくださったため、悔しそうな顔をしたあと、また食事を再開されました。
そして、デザートまで食べ終えたところで、ラルフ様がカーミラ様に向かって言いました。
「母上、リノアに何を言ったんです?」
「わ、私は何も言っていないわ。ねぇ、リノアさん?」
「そうですね。ラルフ様を育てるのに苦労されたとは仰ってましたが」
「それだけじゃないだろう。リノアが嫌がる事を言ったんでしょう」
ラルフ様は膝の上に置いていた私の手の上に自分の片手を置いて、優しく握りしめてくださったあと、カーミラ様の方に顔を向けて、言葉を続けます。
「彼女を傷付けるなら、相手が母上であっても許しませんよ」
「そんな、ラルフ。私がリノアさんを傷付けたりする訳ないじゃない」
カーミラ様は悲しげな表情をしたあと、なぜかフレイ様の方に視線を送られました。
何か意味ありげです。
「リノアから話を聞きたいと思いますので、今日は失礼します」
「待って、ラルフ!」
私を立ち上がらせて手を取り、ダイニングルームを出ていこうとするラルフ様の名をカーミラ様が呼ぶと、ラルフ様は無言で振り返られました。
「ラルフ、私は何もしていないわ。ねぇ、リノアさん。私はあなたに意地悪なんてしてないわよね?」
「意地悪、ですか?」
「さっきだって仲良くお話してただけよね?」
「カーミラ様のラルフ様への愛はひしひしと伝わってまいりました。引いてしまいそうな程に」
そこまで言って、言い過ぎた事に気が付きましたが、私の言い方を悪くとられたのはラルフ様だけで、カーミラ様には褒め言葉のように聞こえたみたいです。
「私のラルフへの愛をわかってくれたのは嬉しいわ! もっと仲良くなりたいから、明日、また遊びにいらしてね?」
「申し訳ございませんが、明日につきましては、今はまだなんとも申し上げられません。旅の疲れが出てきたのか、体調が優れませんので、本日は失礼いたします」
深々と頭を下げてから、ラルフ様を見上げると、カーミラ様にラルフ様が言います。
「何日かはリノアをゆっくりさせたいし、彼女に嫌な思いをさせたくないんです。ですから、彼女に関わらないようにして下さい」
ラルフ様は冷たい口調で言い放つと、私を連れてダイニングルームを出て、早足で歩かれます。
「あの、ラルフ様!」
「婚約解消なんてしない! もし、婚約破棄をするというなら、あなたの家では到底支払えない慰謝料を請求する」
「慰謝料といいましても、ラルフ様が押し通した婚約ではないですか」
「だから婚約解消もしないし、破棄もさせない」
「私に怒らないで下さい。大体、歩くのが早すぎます!」
ラルフ様が冷静ではなくなっているのがわかり、こちらも少しだけ厳しい口調で言うと、立ち止まって、顔をこちらに向けられました。
「…すまない」
感情の起伏が激しいといいますか、噂で聞いているラルフ様とは全く違うのです。
「謝らなくても良いですよ」
笑ってみせると、ラルフ様は顔を赤くされました。
なんだか、可愛らしいなあ、と思っていますと、ラルフ様は耳を疑うような発言をされます。
「抱きしめていいか?」
「はい?」
「いや、その、よく考えたら、最近のリノアは俺に笑顔を向けてくれるようになったから、その、心を許してくれているのかと」
「それとこれとは別です」
ぴしゃりと言うと、ラルフ様はしょんぼりされました。
その日は結局、疲れてもいましたので、詳しい話は明日にする事になり、部屋の前で別れました。
そして、次の日の朝早く、扉を叩く音が聞こえましたので、ラルフ様かと思いましたが、そうではなく、ラルフ様の弟であるフレイ様の使いの方が、彼から私宛のお手紙を持ってきて下さいました。
受け取った手紙にはこう書かれていました。
『いつでも良いので、今日、僕の部屋に来て下さい。決して他言しないように』
困りました。
私以外が読むな、と封筒を受け取った時点では言われませんでしたから、手紙を開けたのは侍女で、フレイ様からという事なので、内容に罵詈雑言でも書かれていてはいけない、とソラが先に読んでしまいました。
何より、フレイ様の部屋がどこにあるかわからないのですが?
「姉さんだって、苦いものは苦手だろう?」
お姉さまのミラルル様は私を小馬鹿にしたかったようですが、ラルフ様が言い返してくださったため、悔しそうな顔をしたあと、また食事を再開されました。
そして、デザートまで食べ終えたところで、ラルフ様がカーミラ様に向かって言いました。
「母上、リノアに何を言ったんです?」
「わ、私は何も言っていないわ。ねぇ、リノアさん?」
「そうですね。ラルフ様を育てるのに苦労されたとは仰ってましたが」
「それだけじゃないだろう。リノアが嫌がる事を言ったんでしょう」
ラルフ様は膝の上に置いていた私の手の上に自分の片手を置いて、優しく握りしめてくださったあと、カーミラ様の方に顔を向けて、言葉を続けます。
「彼女を傷付けるなら、相手が母上であっても許しませんよ」
「そんな、ラルフ。私がリノアさんを傷付けたりする訳ないじゃない」
カーミラ様は悲しげな表情をしたあと、なぜかフレイ様の方に視線を送られました。
何か意味ありげです。
「リノアから話を聞きたいと思いますので、今日は失礼します」
「待って、ラルフ!」
私を立ち上がらせて手を取り、ダイニングルームを出ていこうとするラルフ様の名をカーミラ様が呼ぶと、ラルフ様は無言で振り返られました。
「ラルフ、私は何もしていないわ。ねぇ、リノアさん。私はあなたに意地悪なんてしてないわよね?」
「意地悪、ですか?」
「さっきだって仲良くお話してただけよね?」
「カーミラ様のラルフ様への愛はひしひしと伝わってまいりました。引いてしまいそうな程に」
そこまで言って、言い過ぎた事に気が付きましたが、私の言い方を悪くとられたのはラルフ様だけで、カーミラ様には褒め言葉のように聞こえたみたいです。
「私のラルフへの愛をわかってくれたのは嬉しいわ! もっと仲良くなりたいから、明日、また遊びにいらしてね?」
「申し訳ございませんが、明日につきましては、今はまだなんとも申し上げられません。旅の疲れが出てきたのか、体調が優れませんので、本日は失礼いたします」
深々と頭を下げてから、ラルフ様を見上げると、カーミラ様にラルフ様が言います。
「何日かはリノアをゆっくりさせたいし、彼女に嫌な思いをさせたくないんです。ですから、彼女に関わらないようにして下さい」
ラルフ様は冷たい口調で言い放つと、私を連れてダイニングルームを出て、早足で歩かれます。
「あの、ラルフ様!」
「婚約解消なんてしない! もし、婚約破棄をするというなら、あなたの家では到底支払えない慰謝料を請求する」
「慰謝料といいましても、ラルフ様が押し通した婚約ではないですか」
「だから婚約解消もしないし、破棄もさせない」
「私に怒らないで下さい。大体、歩くのが早すぎます!」
ラルフ様が冷静ではなくなっているのがわかり、こちらも少しだけ厳しい口調で言うと、立ち止まって、顔をこちらに向けられました。
「…すまない」
感情の起伏が激しいといいますか、噂で聞いているラルフ様とは全く違うのです。
「謝らなくても良いですよ」
笑ってみせると、ラルフ様は顔を赤くされました。
なんだか、可愛らしいなあ、と思っていますと、ラルフ様は耳を疑うような発言をされます。
「抱きしめていいか?」
「はい?」
「いや、その、よく考えたら、最近のリノアは俺に笑顔を向けてくれるようになったから、その、心を許してくれているのかと」
「それとこれとは別です」
ぴしゃりと言うと、ラルフ様はしょんぼりされました。
その日は結局、疲れてもいましたので、詳しい話は明日にする事になり、部屋の前で別れました。
そして、次の日の朝早く、扉を叩く音が聞こえましたので、ラルフ様かと思いましたが、そうではなく、ラルフ様の弟であるフレイ様の使いの方が、彼から私宛のお手紙を持ってきて下さいました。
受け取った手紙にはこう書かれていました。
『いつでも良いので、今日、僕の部屋に来て下さい。決して他言しないように』
困りました。
私以外が読むな、と封筒を受け取った時点では言われませんでしたから、手紙を開けたのは侍女で、フレイ様からという事なので、内容に罵詈雑言でも書かれていてはいけない、とソラが先に読んでしまいました。
何より、フレイ様の部屋がどこにあるかわからないのですが?
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