27 / 30
22 何を覚えていればいいのでしょう?
しおりを挟む
次の日、ミリー様が早まった事をしないように、まずはお話を聞かせてもらいたいというお手紙を書いて、騎士の方に急ぎで持っていってもらうようにお願いした。
たぶん、ケイン様が持っていかれると思われます。
ミリー様にとっては余計なお世話かもしれませんが、誰でも良いというのであれば、ケイン様でも良いはずです。
本当は直接、お話をお伺いできれば良いのですが、今日の私には用事がありました。
用事というのは、ラルフ様から昼食を共にと、お誘いを受けたからです。
そして、今日から、新しい侍女が仲間入りしました。
そうです。
昨日の令嬢です。
彼女は子爵令嬢ですが、今更、家に戻りたくはないけれど、行く所もないため、クラーク邸で働く事に決めてくれたようです。
フレイ様は地下から出る事もなさそうだし、出会う事が絶対にないという事も決めた理由の一つだそうです。
もちろん、カーミラ様達にも鉢合わせしないよう、この屋敷内で働きたいとの事で、ラルフ様は彼女が望むなら、良い結婚相手を探すとも言っておられました。
こ私が連れてきた侍女だけでは、屋敷の大きさに比べると少なかったので、彼女が侍女として働いてくれるのは有り難い事なのです。
ラルフ様と二人での昼食かと思ったのですが、どうやら、お客様が来られるようで、私の向かい側の席に一人分の食事が用意されています。
「ラルフ! どういう事だ!」
そんな事を考えていたからでしょうか、扉が乱暴に開かれ、ランドン辺境伯がすごい剣幕で部屋の中に入ってこられました。
騎士の方が止めなかったということは、こんな風に入ってくることは、あらかじめ予測していたのでしょう。
「食事中だ。静かにしろ。お前の分も用意してあるから食べろ」
ラルフ様はランドン辺境伯の方は全く見ずに言ったあと、私の方を見て謝られます。
「騒がしくしてすまないな。あいつがどうしても俺と話したいみたいでな。ちょうどリノアにも話そうと思っていた事だから、あなたには同席してもらう事にした」
「どんな話なのでしょう?」
首を傾げると、ランドン辺境伯が叫ぶ。
「婚約破棄とはどういう事だ!」
「そのままの意味だが?」
え?
婚約破棄?
ランドン辺境伯が文句を言っておられるということは、ミラルル様との話でしょうか?
「お前の姉をもらってくれる様な奴なんて、この世にいないだろ!」
「それがいたんだ」
「は?」
「はい?」
聞き返したのはランドン辺境伯だけでなく私もでした。
「今回、俺が無関心だった事が原因で、色々な人が傷付いた。それに関しては申し訳ないと思っているが、過去に戻ってどうこうする事はできない。だから、今やれる事だけやる事にした」
「それがミラルルの婚約破棄!? あの女がそんな事を受け入れると思ってるのか!?」
「受け入れたが?」
ラルフ様は軽く息を吐いてから、部屋の奥には入ってこず、扉の前から動かないランドン辺境伯を見据えて続けます。
「姉上と縁を切りたいという話をしたところ、願いをなんでもきくから、それだけはやめてくれとお願いされた。だから、お願いした」
「婚約破棄を!? それはわかったにしても、あいつと結婚したがる相手なんて!」
「それがいたんだ。まあ、大事にしてくれるかはわからんがな」
ラルフ様は目を閉じて苦笑されます。
「ミラルル様の新しいお相手は、どんな方なのでしょう?」
「昨日、リノアと一緒に屋敷に行ったろう? その当主だ」
「独身の方だったのですね…」
「どうやら、暴力がひどいようでな。噂が広まっているから誰も嫁に来ないらしい」
まあ、冷静に考えてみれば、昨日の令嬢にひどい対応をとっているくらいですから、女性にはそんな対応をする事が多いのでしょう。
そんな方の奥様になったりでもしたら、苦労するのは目に見えてますものね。
「昨日、屋敷に行った際に、少しだけ席を外しただろ? その時に話をつけた。辺境伯とつながりが持てると思ったんだろうな。それはもう一つ返事で受けてくれた。姉上にも昨日の内に話をしておいた」
「ミラルル様は納得されたんですか?」
「泣きわめいて嫌だと懇願されたが、何でも願いをきくという話だったろう、と相手にしないようにした。引っ越す準備があるだろうから、日にちに猶予は与えたが、2日後くらいには別邸からいなくなるだろう」
「もし、あの伯爵邸が嫌になって帰ってきたくても、帰る家がありませんから、我慢するしかないのですね」
あの伯爵邸からラルフ様のお屋敷までは馬車を使っても、何日もかかるし、何より山を越えなければいけません。
昨日はラルフ様が伯爵邸の近くまで行った事があったので、魔道具を使えたけれど、ミラルル様の旦那様になる伯爵が、ラルフ様に見放されているミラルル様に高価な魔道具を買う様なお金など、一切与えてくれないでしょう。
「覚えてろよ!」
ランドン辺境伯は捨て台詞を吐いて、部屋から出ると、乱暴に扉を閉めていかれました。
一体、何を覚えていればいいのでしょう?
たぶん、ケイン様が持っていかれると思われます。
ミリー様にとっては余計なお世話かもしれませんが、誰でも良いというのであれば、ケイン様でも良いはずです。
本当は直接、お話をお伺いできれば良いのですが、今日の私には用事がありました。
用事というのは、ラルフ様から昼食を共にと、お誘いを受けたからです。
そして、今日から、新しい侍女が仲間入りしました。
そうです。
昨日の令嬢です。
彼女は子爵令嬢ですが、今更、家に戻りたくはないけれど、行く所もないため、クラーク邸で働く事に決めてくれたようです。
フレイ様は地下から出る事もなさそうだし、出会う事が絶対にないという事も決めた理由の一つだそうです。
もちろん、カーミラ様達にも鉢合わせしないよう、この屋敷内で働きたいとの事で、ラルフ様は彼女が望むなら、良い結婚相手を探すとも言っておられました。
こ私が連れてきた侍女だけでは、屋敷の大きさに比べると少なかったので、彼女が侍女として働いてくれるのは有り難い事なのです。
ラルフ様と二人での昼食かと思ったのですが、どうやら、お客様が来られるようで、私の向かい側の席に一人分の食事が用意されています。
「ラルフ! どういう事だ!」
そんな事を考えていたからでしょうか、扉が乱暴に開かれ、ランドン辺境伯がすごい剣幕で部屋の中に入ってこられました。
騎士の方が止めなかったということは、こんな風に入ってくることは、あらかじめ予測していたのでしょう。
「食事中だ。静かにしろ。お前の分も用意してあるから食べろ」
ラルフ様はランドン辺境伯の方は全く見ずに言ったあと、私の方を見て謝られます。
「騒がしくしてすまないな。あいつがどうしても俺と話したいみたいでな。ちょうどリノアにも話そうと思っていた事だから、あなたには同席してもらう事にした」
「どんな話なのでしょう?」
首を傾げると、ランドン辺境伯が叫ぶ。
「婚約破棄とはどういう事だ!」
「そのままの意味だが?」
え?
婚約破棄?
ランドン辺境伯が文句を言っておられるということは、ミラルル様との話でしょうか?
「お前の姉をもらってくれる様な奴なんて、この世にいないだろ!」
「それがいたんだ」
「は?」
「はい?」
聞き返したのはランドン辺境伯だけでなく私もでした。
「今回、俺が無関心だった事が原因で、色々な人が傷付いた。それに関しては申し訳ないと思っているが、過去に戻ってどうこうする事はできない。だから、今やれる事だけやる事にした」
「それがミラルルの婚約破棄!? あの女がそんな事を受け入れると思ってるのか!?」
「受け入れたが?」
ラルフ様は軽く息を吐いてから、部屋の奥には入ってこず、扉の前から動かないランドン辺境伯を見据えて続けます。
「姉上と縁を切りたいという話をしたところ、願いをなんでもきくから、それだけはやめてくれとお願いされた。だから、お願いした」
「婚約破棄を!? それはわかったにしても、あいつと結婚したがる相手なんて!」
「それがいたんだ。まあ、大事にしてくれるかはわからんがな」
ラルフ様は目を閉じて苦笑されます。
「ミラルル様の新しいお相手は、どんな方なのでしょう?」
「昨日、リノアと一緒に屋敷に行ったろう? その当主だ」
「独身の方だったのですね…」
「どうやら、暴力がひどいようでな。噂が広まっているから誰も嫁に来ないらしい」
まあ、冷静に考えてみれば、昨日の令嬢にひどい対応をとっているくらいですから、女性にはそんな対応をする事が多いのでしょう。
そんな方の奥様になったりでもしたら、苦労するのは目に見えてますものね。
「昨日、屋敷に行った際に、少しだけ席を外しただろ? その時に話をつけた。辺境伯とつながりが持てると思ったんだろうな。それはもう一つ返事で受けてくれた。姉上にも昨日の内に話をしておいた」
「ミラルル様は納得されたんですか?」
「泣きわめいて嫌だと懇願されたが、何でも願いをきくという話だったろう、と相手にしないようにした。引っ越す準備があるだろうから、日にちに猶予は与えたが、2日後くらいには別邸からいなくなるだろう」
「もし、あの伯爵邸が嫌になって帰ってきたくても、帰る家がありませんから、我慢するしかないのですね」
あの伯爵邸からラルフ様のお屋敷までは馬車を使っても、何日もかかるし、何より山を越えなければいけません。
昨日はラルフ様が伯爵邸の近くまで行った事があったので、魔道具を使えたけれど、ミラルル様の旦那様になる伯爵が、ラルフ様に見放されているミラルル様に高価な魔道具を買う様なお金など、一切与えてくれないでしょう。
「覚えてろよ!」
ランドン辺境伯は捨て台詞を吐いて、部屋から出ると、乱暴に扉を閉めていかれました。
一体、何を覚えていればいいのでしょう?
146
あなたにおすすめの小説
【完結】愛され公爵令嬢は穏やかに微笑む
綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢
恋愛
「シモーニ公爵令嬢、ジェラルディーナ! 私はお前との婚約を破棄する。この宣言は覆らぬと思え!!」
婚約者である王太子殿下ヴァレンテ様からの突然の拒絶に、立ち尽くすしかありませんでした。王妃になるべく育てられた私の、存在価値を否定するお言葉です。あまりの衝撃に意識を手放した私は、もう生きる意味も分からなくなっていました。
婚約破棄されたシモーニ公爵令嬢ジェラルディーナ、彼女のその後の人生は思わぬ方向へ転がり続ける。優しい彼女の功績に助けられた人々による、恩返しが始まった。まるで童話のように、受け身の公爵令嬢は次々と幸運を手にしていく。
ハッピーエンド確定
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2022/10/01 FUNGUILD、Webtoon原作シナリオ大賞、二次選考通過
2022/07/29 FUNGUILD、Webtoon原作シナリオ大賞、一次選考通過
2022/02/15 小説家になろう 異世界恋愛(日間)71位
2022/02/12 完結
2021/11/30 小説家になろう 異世界恋愛(日間)26位
2021/11/29 アルファポリス HOT2位
2021/12/03 カクヨム 恋愛(週間)6位
白い結婚を捨てた王妃は、もう二度と振り向かない ――愛さぬと言った王子が全てを失うまで』
鍛高譚
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」
華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。
王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。
そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。
レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。
「お願いだ……戻ってきてくれ……」
王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。
「もう遅いわ」
愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。
裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。
これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。
新しい人生を貴方と
緑谷めい
恋愛
私は公爵家令嬢ジェンマ・アマート。17歳。
突然、マリウス王太子殿下との婚約が白紙になった。あちらから婚約解消の申し入れをされたのだ。理由は王太子殿下にリリアという想い人ができたこと。
2ヵ月後、父は私に縁談を持って来た。お相手は有能なイケメン財務大臣コルトー侯爵。ただし、私より13歳年上で婚姻歴があり8歳の息子もいるという。
* 主人公は寛容です。王太子殿下に仕返しを考えたりはしません。
王家の面子のために私を振り回さないで下さい。
しゃーりん
恋愛
公爵令嬢ユリアナは王太子ルカリオに婚約破棄を言い渡されたが、王家によってその出来事はなかったことになり、結婚することになった。
愛する人と別れて王太子の婚約者にさせられたのに本人からは避けされ、それでも結婚させられる。
自分はどこまで王家に振り回されるのだろう。
国王にもルカリオにも呆れ果てたユリアナは、夫となるルカリオを蹴落として、自分が王太女になるために仕掛けた。
実は、ルカリオは王家の血筋ではなくユリアナの公爵家に正統性があるからである。
ユリアナとの結婚を理解していないルカリオを見限り、愛する人との結婚を企んだお話です。
悪役断罪?そもそも何かしましたか?
SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。
男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。
あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。
えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。
勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。
始まりはよくある婚約破棄のように
喜楽直人
恋愛
「ミリア・ファネス公爵令嬢! 婚約者として10年も長きに渡り傍にいたが、もう我慢ならない! 父上に何度も相談した。母上からも考え直せと言われた。しかし、僕はもう決めたんだ。ミリア、キミとの婚約は今日で終わりだ!」
学園の卒業パーティで、第二王子がその婚約者の名前を呼んで叫び、周囲は固唾を呑んでその成り行きを見守った。
ポンコツ王子から一方的な溺愛を受ける真面目令嬢が涙目になりながらも立ち向い、けれども少しずつ絆されていくお話。
第一章「婚約者編」
第二章「お見合い編(過去)」
第三章「結婚編」
第四章「出産・育児編」
第五章「ミリアの知らないオレファンの過去編」連載開始
いくら政略結婚だからって、そこまで嫌わなくてもいいんじゃないですか?いい加減、腹が立ってきたんですけど!
夢呼
恋愛
伯爵令嬢のローゼは大好きな婚約者アーサー・レイモンド侯爵令息との結婚式を今か今かと待ち望んでいた。
しかし、結婚式の僅か10日前、その大好きなアーサーから「私から愛されたいという思いがあったら捨ててくれ。それに応えることは出来ない」と告げられる。
ローゼはその言葉にショックを受け、熱を出し寝込んでしまう。数日間うなされ続け、やっと目を覚ました。前世の記憶と共に・・・。
愛されることは無いと分かっていても、覆すことが出来ないのが貴族間の政略結婚。日本で生きたアラサー女子の「私」が八割心を占めているローゼが、この政略結婚に臨むことになる。
いくら政略結婚といえども、親に孫を見せてあげて親孝行をしたいという願いを持つローゼは、何とかアーサーに振り向いてもらおうと頑張るが、鉄壁のアーサーには敵わず。それどころか益々嫌われる始末。
一体私の何が気に入らないんだか。そこまで嫌わなくてもいいんじゃないんですかね!いい加減腹立つわっ!
世界観はゆるいです!
カクヨム様にも投稿しております。
※10万文字を超えたので長編に変更しました。
【完結】不誠実な旦那様、目が覚めたのでさよならです。
完菜
恋愛
王都の端にある森の中に、ひっそりと誰かから隠れるようにしてログハウスが建っていた。
そこには素朴な雰囲気を持つ女性リリーと、金髪で天使のように愛らしい子供、そして中年の女性の三人が暮らしている。この三人どうやら訳ありだ。
ある日リリーは、ケガをした男性を森で見つける。本当は困るのだが、見捨てることもできずに手当をするために自分の家に連れて行くことに……。
その日を境に、何も変わらない日常に少しの変化が生まれる。その森で暮らしていたリリーには、大好きな人から言われる「愛している」という言葉が全てだった。
しかし、あることがきっかけで一瞬にしてその言葉が恐ろしいものに変わってしまう。人を愛するって何なのか? 愛されるって何なのか? リリーが紆余曲折を経て辿り着く愛の形。(全50話)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる