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24 謝罪してもらうだけでは済ませません
「そんなことをしても無駄です! とにかく犯人がわかったのですから、もうこの話は終わりでいいでしょう?」
引きつり笑いを浮かべ、ツヤラ様は何とかこの場を乗り越えようとしました。しかし、それを拒否したのは、私ではなく旦那様でした。
「何を言っているんだツヤラ。お前の無実を証明するためには、どうせ文字を書かせないと駄目なんだ。さっさとメイドに書かせて、リリコットに土下座してもらえ」
「そ、それは……でも、時間の無駄かと思います」
「どうしてだ? どうせ、シサヤ卿も文字を書けと言うに決まっている」
ツヤラ様の額から、じんわりと汗が滲み始めているのが見えます。味方から攻撃されるとは思っていなかったのでしょう。
……まあ、旦那様は攻撃する気は一切なさそうですが。
この様子ですと、旦那様たちはメイドがやったことだと本気で信じているようですね。
なら、こちらも一つ条件をつけさせていただきましょう。
「旦那様、もし、メイドが真犯人なら私が謝罪することは決まっておりますが、もし、真犯人が他にいた場合はどうなるのでしょうか」
「……どうなる、とは?」
旦那様が不機嫌そうに眉間に皺を寄せて聞き返しました。左隣に座るミノ様も同じような表情をしており、イビーバ侯爵は腕を組んだ状態で、私を睨みつけています。
家族揃って本当にツヤラ様が大好きなのですね。だからといって自分の思い込みやツヤラ様が言ったからという理由で、他人を好きなようにしていいわけではありません。
この方たちにも、それ相応の覚悟を持って発言してもらいます。
「もし、このメイドが真犯人ではなく、他の誰かであった場合、私に謝罪してもらうだけでは済ませません」
「……何が目的だ?」
「そうですね。まずは、真犯人をシサヤ卿に伝え、重い罰を与えるように進言してください」
「や、やめてください! シサヤ卿は関係ないでしょう!」
ツヤラ様は旦那様の胸にしがみついて訴えます。
「お兄様! リリコット様が意地悪なことを言うんです! どうにかしてください!」
「わかった。まずは、ツヤラ。メイドに文字を書かせよう。そうすれば、すぐにリリコットは泣いて土下座する羽目になるはずだ」
旦那様はにやりと笑って私に目を向けました。
ツヤラ様の動揺ぶりを見れば、彼女が真犯人だとすぐわかりますのに、旦那様たちは本当に鈍い方たちです。
まあ、鈍いからこそ、逆にツヤラ様を追い詰めていますから滑稽でもありますね。
「私が土下座するのか、もしくは旦那様たちが私のお願いを聞くことになるのか。早速、判断することにいたしましょう」
私はそう言って、私の横にメイドを座らせたのでした。
引きつり笑いを浮かべ、ツヤラ様は何とかこの場を乗り越えようとしました。しかし、それを拒否したのは、私ではなく旦那様でした。
「何を言っているんだツヤラ。お前の無実を証明するためには、どうせ文字を書かせないと駄目なんだ。さっさとメイドに書かせて、リリコットに土下座してもらえ」
「そ、それは……でも、時間の無駄かと思います」
「どうしてだ? どうせ、シサヤ卿も文字を書けと言うに決まっている」
ツヤラ様の額から、じんわりと汗が滲み始めているのが見えます。味方から攻撃されるとは思っていなかったのでしょう。
……まあ、旦那様は攻撃する気は一切なさそうですが。
この様子ですと、旦那様たちはメイドがやったことだと本気で信じているようですね。
なら、こちらも一つ条件をつけさせていただきましょう。
「旦那様、もし、メイドが真犯人なら私が謝罪することは決まっておりますが、もし、真犯人が他にいた場合はどうなるのでしょうか」
「……どうなる、とは?」
旦那様が不機嫌そうに眉間に皺を寄せて聞き返しました。左隣に座るミノ様も同じような表情をしており、イビーバ侯爵は腕を組んだ状態で、私を睨みつけています。
家族揃って本当にツヤラ様が大好きなのですね。だからといって自分の思い込みやツヤラ様が言ったからという理由で、他人を好きなようにしていいわけではありません。
この方たちにも、それ相応の覚悟を持って発言してもらいます。
「もし、このメイドが真犯人ではなく、他の誰かであった場合、私に謝罪してもらうだけでは済ませません」
「……何が目的だ?」
「そうですね。まずは、真犯人をシサヤ卿に伝え、重い罰を与えるように進言してください」
「や、やめてください! シサヤ卿は関係ないでしょう!」
ツヤラ様は旦那様の胸にしがみついて訴えます。
「お兄様! リリコット様が意地悪なことを言うんです! どうにかしてください!」
「わかった。まずは、ツヤラ。メイドに文字を書かせよう。そうすれば、すぐにリリコットは泣いて土下座する羽目になるはずだ」
旦那様はにやりと笑って私に目を向けました。
ツヤラ様の動揺ぶりを見れば、彼女が真犯人だとすぐわかりますのに、旦那様たちは本当に鈍い方たちです。
まあ、鈍いからこそ、逆にツヤラ様を追い詰めていますから滑稽でもありますね。
「私が土下座するのか、もしくは旦那様たちが私のお願いを聞くことになるのか。早速、判断することにいたしましょう」
私はそう言って、私の横にメイドを座らせたのでした。
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