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7 妹と殿下の再会
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アズアルド殿下は、私を部屋の前まで連れて行ってくれた後、別邸のメイドに私を頼んでから本邸の方に戻っていかれた。
まだ、私達は正式に婚約を結んだわけではないし、何より私とセイン殿下の婚約破棄もまだ認められていない状態なので、婚約者でも家族でもない男性を部屋にいれる事は出来なかった。
それにしても、わからない事がいっぱいだわ。
お父様とアズアルド殿下は知り合いだったの?
国王陛下とアズアルド殿下が知り合いなのはおかしくないけれど、お父様と知り合いというのが納得いかない。
国王陛下の仲介で、最近、お知り合いになったのかしら。
別邸のメイドの多くは怪我をしていて休んでいた為、自分1人で体を拭いて、1人で着替えられる様な服を選んで着てみた。
お父様とお忍びという感じで繁華街に出た事があり、その時の服を残していたので助かった。
お兄様達がどうなっているのか気になり、部屋を出ていこうとすると、お父様がやって来た。
「お父様、おかえりなさいませ!」
「ルリ、話は聞いた。本当に済まなかった。お前のために家を空けたつもりだったが、まさかこんな事になるなんて…」
「気になさらないで下さい。それよりも、お父様にはたくさん聞きたいことがあるのです」
優しく抱きしめてくれた、お父様から体を離して言うと、お父様は大きく首を縦に振る。
「答えられる事は答えるつもりだ。だが、今は…」
「アズアルド殿下がいらっしゃってますものね」
他国の王族が来られているのに、家族でのんびりと話をしている場合じゃないわ。
お父様と一緒に、アズアルド殿下がいる本邸の応接室に向かう道すがら、質問をしてみる。
「お父様がノーラル様と離婚されなかった理由は、お兄様のせいですか…?」
「どうしてそう思うんだ…?」
「お兄様の様子を見ていると、そう思いました」
「そうか。ルリも気付いたか…」
お父様は苦笑した後、言葉を続ける。
「私が離婚をすれば、ボラウンはノーラルを自分の妻にしようとするかもしれない。ノーラルだって、いつしか公爵夫人に返り咲けるのなら、ボラウンの妻になろうとするだろう」
「でも、ノーラル様はお父様が好きなのでは…?」
「私のことが好きなのか、爵位が好きなのか、どちらかはわからない」
「……お父様の事を本当に好きだという可能性はないのでしょうか?」
「それはあまり考えていない。本当に私が好きなら自ら別れてくれるだろう。彼女は私やルリ達のことを考えてくれていれていると思っていたが、どうもそうではなさそうだ。ボラウンがルリに酷い扱いをする事を止めもしない様だから」
本邸に入ると、エントランスホールの正面にある階段から、ルピノが笑顔で降りてきた。
「おかえりなさい、お父様!」
「ただいま、ルピノ」
「お父様、お土産を買ってきてくださいましたか?」
「……まあ、一応な。執事やメイドに渡してある」
飛び付いてきたルピノを受け止めて、お父様が頷くと、ルピノは上機嫌で礼を言った後、私に目を向ける。
「お姉様、新しい婚約者がいらしてるんでしょう? こんな所でゆっくりしていてもいいんですか?」
「お父様…」
知っておられるとは思うけれど、様子を窺うようにお父様を見ると頷く。
「アズアルド殿下にルピノとセイン殿下の話をしたのは私だからな。公爵家の娘としていたようだが、最初から相手はルリだと決まっていた」
「えっ!?」
「……どういう事?」
驚く私と訝しげな顔をするルピノに、お父様は応接室に向かいながら答えてくれる。
「アズアルド殿下がルリに好意を持ってくださっていたのは前々から知っていた。だが、私はセイン殿下とルリがお互いに思い合っていると思っていたから、お断りしていたんだ。だが、ここ最近、セイン殿下とルピノの噂を耳にする様になった」
ルピノはお父様の言葉を聞いて、笑みを浮かべて私を見た。
勝ち誇った表情といったやつね。
でも、彼女は勝っていないから気にしない。
そんなルピノを見て、お父様は言う。
「ルピノの表情を見る限り、間違っていない様で良かった。だから、私は、後継者探しも兼ねて、アズアルド殿下に謁見するために、隣国に行っていた」
「だから、お帰りになるのに時間がかかったのですね…」
領地をまわるだけなら帰ってくるのに、そこまで時間がかかるはずはないと思っていたのは正しかった。
というか、気になったのは、後継者探しという言葉なんだけれど…。
応接室の近くまで来た時、ルピノが言う。
「アズアルド殿下がどんな人か、確認する為に、私も挨拶をしておくわ」
「挨拶するのは当たり前よ」
冷たく言うと、ルピノは不服そうな顔をした。
アズはルピノの初恋の人よね?
アズアルド殿下を見て、ルピノはどんな顔をするかしら。
ノックをすると返事が返ってきたので、お父様と一緒に中に入る。
ルピノもどれどれといった感じで中に入ってきたのはいいものの、アズアルド殿下を見て、動きを止めたのだった。
まだ、私達は正式に婚約を結んだわけではないし、何より私とセイン殿下の婚約破棄もまだ認められていない状態なので、婚約者でも家族でもない男性を部屋にいれる事は出来なかった。
それにしても、わからない事がいっぱいだわ。
お父様とアズアルド殿下は知り合いだったの?
国王陛下とアズアルド殿下が知り合いなのはおかしくないけれど、お父様と知り合いというのが納得いかない。
国王陛下の仲介で、最近、お知り合いになったのかしら。
別邸のメイドの多くは怪我をしていて休んでいた為、自分1人で体を拭いて、1人で着替えられる様な服を選んで着てみた。
お父様とお忍びという感じで繁華街に出た事があり、その時の服を残していたので助かった。
お兄様達がどうなっているのか気になり、部屋を出ていこうとすると、お父様がやって来た。
「お父様、おかえりなさいませ!」
「ルリ、話は聞いた。本当に済まなかった。お前のために家を空けたつもりだったが、まさかこんな事になるなんて…」
「気になさらないで下さい。それよりも、お父様にはたくさん聞きたいことがあるのです」
優しく抱きしめてくれた、お父様から体を離して言うと、お父様は大きく首を縦に振る。
「答えられる事は答えるつもりだ。だが、今は…」
「アズアルド殿下がいらっしゃってますものね」
他国の王族が来られているのに、家族でのんびりと話をしている場合じゃないわ。
お父様と一緒に、アズアルド殿下がいる本邸の応接室に向かう道すがら、質問をしてみる。
「お父様がノーラル様と離婚されなかった理由は、お兄様のせいですか…?」
「どうしてそう思うんだ…?」
「お兄様の様子を見ていると、そう思いました」
「そうか。ルリも気付いたか…」
お父様は苦笑した後、言葉を続ける。
「私が離婚をすれば、ボラウンはノーラルを自分の妻にしようとするかもしれない。ノーラルだって、いつしか公爵夫人に返り咲けるのなら、ボラウンの妻になろうとするだろう」
「でも、ノーラル様はお父様が好きなのでは…?」
「私のことが好きなのか、爵位が好きなのか、どちらかはわからない」
「……お父様の事を本当に好きだという可能性はないのでしょうか?」
「それはあまり考えていない。本当に私が好きなら自ら別れてくれるだろう。彼女は私やルリ達のことを考えてくれていれていると思っていたが、どうもそうではなさそうだ。ボラウンがルリに酷い扱いをする事を止めもしない様だから」
本邸に入ると、エントランスホールの正面にある階段から、ルピノが笑顔で降りてきた。
「おかえりなさい、お父様!」
「ただいま、ルピノ」
「お父様、お土産を買ってきてくださいましたか?」
「……まあ、一応な。執事やメイドに渡してある」
飛び付いてきたルピノを受け止めて、お父様が頷くと、ルピノは上機嫌で礼を言った後、私に目を向ける。
「お姉様、新しい婚約者がいらしてるんでしょう? こんな所でゆっくりしていてもいいんですか?」
「お父様…」
知っておられるとは思うけれど、様子を窺うようにお父様を見ると頷く。
「アズアルド殿下にルピノとセイン殿下の話をしたのは私だからな。公爵家の娘としていたようだが、最初から相手はルリだと決まっていた」
「えっ!?」
「……どういう事?」
驚く私と訝しげな顔をするルピノに、お父様は応接室に向かいながら答えてくれる。
「アズアルド殿下がルリに好意を持ってくださっていたのは前々から知っていた。だが、私はセイン殿下とルリがお互いに思い合っていると思っていたから、お断りしていたんだ。だが、ここ最近、セイン殿下とルピノの噂を耳にする様になった」
ルピノはお父様の言葉を聞いて、笑みを浮かべて私を見た。
勝ち誇った表情といったやつね。
でも、彼女は勝っていないから気にしない。
そんなルピノを見て、お父様は言う。
「ルピノの表情を見る限り、間違っていない様で良かった。だから、私は、後継者探しも兼ねて、アズアルド殿下に謁見するために、隣国に行っていた」
「だから、お帰りになるのに時間がかかったのですね…」
領地をまわるだけなら帰ってくるのに、そこまで時間がかかるはずはないと思っていたのは正しかった。
というか、気になったのは、後継者探しという言葉なんだけれど…。
応接室の近くまで来た時、ルピノが言う。
「アズアルド殿下がどんな人か、確認する為に、私も挨拶をしておくわ」
「挨拶するのは当たり前よ」
冷たく言うと、ルピノは不服そうな顔をした。
アズはルピノの初恋の人よね?
アズアルド殿下を見て、ルピノはどんな顔をするかしら。
ノックをすると返事が返ってきたので、お父様と一緒に中に入る。
ルピノもどれどれといった感じで中に入ってきたのはいいものの、アズアルド殿下を見て、動きを止めたのだった。
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