価値がないと言われた私を必要としてくれたのは、隣国の王太子殿下でした

風見ゆうみ

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24.5 深く考えていないルピノ視点

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 執事がアザレアに近付けないまま数日が過ぎた頃、マーニャが捕まったという手紙が執事から送られてきた。

「捕まったってどういう事なの!?」

 手紙を読み進めていくと、マーニャは容疑を否定しているけれど、キトロフ伯爵の邸内に数人の男達を招き入れたところが見られており、現在は留置所で身動きが取れなくなっているらしかった。

「どうしてこんな事になるのよ……」

 悔しくて涙が出てきた。

 このままじゃ、私はお姉様にアズを盗られてしまう。
 駄目よ。

 そんなのアズが可哀想。
 
 アズがお姉様を好き?
 それは過去の話だわ。

 きっと、アズはお姉様に弱みを握られているのよ……。

 まるで、アズがお姫様で私が王子様みたい。
 早く、助けに行ってあげないと……。

 どうすれば良いのか考えて、部屋の中をうろうろしながら考える。

 マーニャが私のことを話したらどうしよう。
 捕まるのかしら……?

 ううん。
 その時は私は関与を否定すればいいのよ。

 それにしても、マーニャは馬鹿だわ。
 お姉様を襲撃するのに素人を雇うなんて!

 うろうろするのをやめて、枕を何度も手で叩いていると、お母様が部屋にやって来た。

 お母様は深刻そうな表情で言う。

「ルピノ、あなた、私に隠れて何かしているんじゃないでしょうね……」
「……どういう事ですか?」
「ボラウンに聞いたんだけど、明日の朝、あなたの所に警察がやって来るらしいわ」
「そんな……! 私は何もしていません!」
「本当に……? ルピノの飼っていた執事の姿が最近は見当たらないようだけど、それと関係があるのではないの……?」

 お母様に隠しても良い事はないと考え、マーニャの件も含めて、私は全てのことを話すことにした。

「最悪だわ……」

 話を聞き終えたお母様は額を手でおさえて、大きなため息を吐いた。

「駄目でしたか……?」
「駄目よ。やる事が杜撰すぎるわ。やるなら綿密にやらないと……」

 お母様はまた大きく息を吐いてから、私を抱きしめる。

「ねえ、ルピノ。お願いがあるの」
「……何でしょう?」

 お母様を抱きしめ返すと、お母様はとんでもないことを口にした。

「私が段取りをするから、あなたは死んだことにしてほしいの」
「死んだことにするって、どういうことなんですか!?」

 意味がわからなくて聞き返すと、お母様は私が捕まると、自分の立場が悪くなると言った。

 裁判に不利になることを恐れているみたい。

 さすがに私が警察に捕まれば、お父様だって私を見捨てるでしょうしね。

 ああ、どうしたら、私はアズと幸せになれるの……?

「死んだことになったら、私はアズと結婚できないんじゃ……?」
「大丈夫よ。隣国で身分を買ってあげるわ」
「そんな事が出来るんですか!?」
「私の実家に頼むわ。お願いだから上手くやってちょうだい?」

 本当に上手くいくのかはわからないけれど、お母様が言ってるんだから大丈夫よね?

 とにかく、お母様から詳しい段取りを聞くことにした。

 隣国に行けば、アズと今よりも近付ける。

 そう思うと心が弾んだ。
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