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23 予知夢の中での姉と王子 ①
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お姉様は悔しがるというよりも、かなりの精神的ダメージをおっているようです。しつこく伝えているのに、予知夢のことで自分がどうなるかも考えられていません。
もう相手にしていられません。とりあえず、今日の目的は達成できました。
「お姉様、とにかく私とジェリク様は結婚したのです。誰かを責めるのであれば、リブレット男爵のことをきちんと調べずに言いたいことを言った自分を責めてくださいね」
「……私は昔からずっと好きだったのよ! どうして……、どうしてシアリンが選ばれるのよ! 予知夢を見れないんなら、何の取り柄もないただの伯爵令嬢じゃないの!」
「それを言ったらお姉様もそうではないですか。あ、私は予知夢を見れますから、取り柄はありますけど」
……そうですよね。お姉様の言う通り、予知夢が見れるから、ジェリク様は私を選んでくれたんです。うぬぼれないようしなくては!
「わ、私にはこの美貌があるわ!」
「その美貌も今は化粧が崩れて残念なことになっていますよ」
好きな人の前では綺麗でいたいものです。この言葉は私にとっては優しさの気持ちでもありました。
「ジェリク様っ」
お姉様はジェリク様を見て俯いたあと、顔を上げて私を睨みつけました。
「もういい! ここにいてもシアリンに意地悪されるだけだもの! それから、こんな結婚は認めないから!」
お姉様はヒステリックに叫ぶと、式場から出ていってしまいました。都合が悪くなって逃げるところは、サブル殿下とお似合いかもしれません。
「シアリン! 姉になんて酷いことをするの! あなたには絶対に罰が当たりますからね!」
お母様はそう言うと、お父様に話しかけます。
「あなた、帰りますよ!」
「い、いや、まだ金の話が……、それに縁を切るって」
「金食い虫のシアリンがいなくなるのです! 何とかなります!」
お母様も予知夢のことはすっかり忘れているようです。渋るお父様を連れて式場をでて行きました。
それにしても、どうして私が金食い虫なのでしょうか。
「私は大してお金を使っていないはずです。予知夢に出てきた人を探す費用も王家から出ています」
「……その金を君の父が使っているのかもしれないな」
「そこまで酷い人では……って、そうですよね。とても金に汚い人です」
お母様が私を嫌っている理由に、そのことは関係があったりするのでしょうか。
費用だけでなく、妹にだけだと姉が可哀想だからと言って、両陛下からお姉様にもプレゼントが渡されていたはずです。
もしかして、それを渡していないとか?
「シアリン、邪魔者はいなくなったことだし、式の続きをしたらどうかしら」
お祖母様の言葉で我に返った私は、別室で待機していた義父母を呼んで、簡易にはなりますが結婚式を無事に挙げることができたのでした。
******
その日の晩はジェリク様と同じ部屋で眠りました。閣下との約束がありますので、並べられたダブルベッドにそれぞれが横になったのです。
疲れ切っている時は予知夢を見ないのですが、今日は興奮していたのか、もしくはスッキリできなかったからか、お姉様とサブル殿下の夢を見ました。
いつもならば一瞬で景色が変わっています。今回はそうではなく、私は彼らから見えない何かになって様子を見ている夢でした。
今日の夢はいつもと違って長そうです。
「ラーナ、そろそろ予知夢を見ても良い頃だがどうなんだ?」
場所は謁見の間で、玉座に座る陛下が壇上からお姉様とサブル殿下を見下ろしています。
王妃陛下の姿は見えません。
「も、申し訳ありません。最近、とてもショックなことが起きまして、夢を見ることができなくなってしまったのです! それもこれもシアリンのせい」
「黙れ。ショックなことがあり、夢が見れないというのなら仕方がない。だが、いつまでもその調子では困る」
「……申し訳ございません」
お姉様は俯いて唇を噛みました。彼女の隣にいるサブル殿下が陛下を見上げて尋ねます。
「父上、どうして僕まで呼ばれたのでしょうか」
「二人に忠告しておきたいことがあるからだ」
「……なんでしょうか」
殿下はごくりと唾を飲み込ました。少しの沈黙のあと、陛下が重い口を開きます。
「もし、ラーナが予知夢の件で嘘をついていたと証明された場合、テイズ伯爵家の爵位を剥奪し、ラーナとサブルはカステラン王国から追放し、共にロアババン王国に行ってもらうことにする」
「「そんなっ!」」
お姉様と殿下の表情は、まるでこの世の終わりのようにも見えます。
ロアババン王国は、カステラン王国から向かうと三十日以上はかかる国で、出稼ぎの国として有名です。
働かざる者食うべからずという国柄らしく、理由なく働かない者には、とても厳しいと聞いています。
しかも、肉体労働がメインらしいので、お姉様とサブル殿下に仕事がこなせるとは思えません。
「ラーナ、嘘をついていないと言うのなら、予知夢を見れるように自分の気持ちを調整するんだ」
陛下がそう言ったところで、場面が切り替わり、殿下の部屋に移動しました。
「……ラーナ、本当に君は予知夢が見られるんだよね?」
「も……、もちろんです」
殿下に尋ねられたお姉様の顔が一瞬だけ引きつったことを、私だけじゃなく、殿下も気がついたようでした。
もう相手にしていられません。とりあえず、今日の目的は達成できました。
「お姉様、とにかく私とジェリク様は結婚したのです。誰かを責めるのであれば、リブレット男爵のことをきちんと調べずに言いたいことを言った自分を責めてくださいね」
「……私は昔からずっと好きだったのよ! どうして……、どうしてシアリンが選ばれるのよ! 予知夢を見れないんなら、何の取り柄もないただの伯爵令嬢じゃないの!」
「それを言ったらお姉様もそうではないですか。あ、私は予知夢を見れますから、取り柄はありますけど」
……そうですよね。お姉様の言う通り、予知夢が見れるから、ジェリク様は私を選んでくれたんです。うぬぼれないようしなくては!
「わ、私にはこの美貌があるわ!」
「その美貌も今は化粧が崩れて残念なことになっていますよ」
好きな人の前では綺麗でいたいものです。この言葉は私にとっては優しさの気持ちでもありました。
「ジェリク様っ」
お姉様はジェリク様を見て俯いたあと、顔を上げて私を睨みつけました。
「もういい! ここにいてもシアリンに意地悪されるだけだもの! それから、こんな結婚は認めないから!」
お姉様はヒステリックに叫ぶと、式場から出ていってしまいました。都合が悪くなって逃げるところは、サブル殿下とお似合いかもしれません。
「シアリン! 姉になんて酷いことをするの! あなたには絶対に罰が当たりますからね!」
お母様はそう言うと、お父様に話しかけます。
「あなた、帰りますよ!」
「い、いや、まだ金の話が……、それに縁を切るって」
「金食い虫のシアリンがいなくなるのです! 何とかなります!」
お母様も予知夢のことはすっかり忘れているようです。渋るお父様を連れて式場をでて行きました。
それにしても、どうして私が金食い虫なのでしょうか。
「私は大してお金を使っていないはずです。予知夢に出てきた人を探す費用も王家から出ています」
「……その金を君の父が使っているのかもしれないな」
「そこまで酷い人では……って、そうですよね。とても金に汚い人です」
お母様が私を嫌っている理由に、そのことは関係があったりするのでしょうか。
費用だけでなく、妹にだけだと姉が可哀想だからと言って、両陛下からお姉様にもプレゼントが渡されていたはずです。
もしかして、それを渡していないとか?
「シアリン、邪魔者はいなくなったことだし、式の続きをしたらどうかしら」
お祖母様の言葉で我に返った私は、別室で待機していた義父母を呼んで、簡易にはなりますが結婚式を無事に挙げることができたのでした。
******
その日の晩はジェリク様と同じ部屋で眠りました。閣下との約束がありますので、並べられたダブルベッドにそれぞれが横になったのです。
疲れ切っている時は予知夢を見ないのですが、今日は興奮していたのか、もしくはスッキリできなかったからか、お姉様とサブル殿下の夢を見ました。
いつもならば一瞬で景色が変わっています。今回はそうではなく、私は彼らから見えない何かになって様子を見ている夢でした。
今日の夢はいつもと違って長そうです。
「ラーナ、そろそろ予知夢を見ても良い頃だがどうなんだ?」
場所は謁見の間で、玉座に座る陛下が壇上からお姉様とサブル殿下を見下ろしています。
王妃陛下の姿は見えません。
「も、申し訳ありません。最近、とてもショックなことが起きまして、夢を見ることができなくなってしまったのです! それもこれもシアリンのせい」
「黙れ。ショックなことがあり、夢が見れないというのなら仕方がない。だが、いつまでもその調子では困る」
「……申し訳ございません」
お姉様は俯いて唇を噛みました。彼女の隣にいるサブル殿下が陛下を見上げて尋ねます。
「父上、どうして僕まで呼ばれたのでしょうか」
「二人に忠告しておきたいことがあるからだ」
「……なんでしょうか」
殿下はごくりと唾を飲み込ました。少しの沈黙のあと、陛下が重い口を開きます。
「もし、ラーナが予知夢の件で嘘をついていたと証明された場合、テイズ伯爵家の爵位を剥奪し、ラーナとサブルはカステラン王国から追放し、共にロアババン王国に行ってもらうことにする」
「「そんなっ!」」
お姉様と殿下の表情は、まるでこの世の終わりのようにも見えます。
ロアババン王国は、カステラン王国から向かうと三十日以上はかかる国で、出稼ぎの国として有名です。
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しかも、肉体労働がメインらしいので、お姉様とサブル殿下に仕事がこなせるとは思えません。
「ラーナ、嘘をついていないと言うのなら、予知夢を見れるように自分の気持ちを調整するんだ」
陛下がそう言ったところで、場面が切り替わり、殿下の部屋に移動しました。
「……ラーナ、本当に君は予知夢が見られるんだよね?」
「も……、もちろんです」
殿下に尋ねられたお姉様の顔が一瞬だけ引きつったことを、私だけじゃなく、殿下も気がついたようでした。
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