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24 また引っ越す事になりました
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「リノア、やっぱり君は優しい人だった」
一週間後、ラルフ様に連れられ、ロレーヌ男爵令嬢と一緒に私の屋敷に現れたディーンは、私の姿を見るなり言いました。
「なんのお話です?」
「嫌だわ、リノア様ったら! ディーンと私の結婚を早める事を条件に借金を返済して下さったのでしょう?」
「はい?」
ロレーヌ男爵令嬢がなんの話をされているのかわからず困惑していると、ラルフ様が彼女達の後ろで、口に人差し指を当てているのが見えました。
どうやら、話を合わせないといけないみたいです。
「お役に立てたのなら良かったですわ」
「ふふっ! リノア様のためにも私達、幸せになりますね! 先程、婚姻届を出してきたばかりなんです! リノア様はいつになるかわかりませんけれど、きっと、いつかは結婚できますわ! あまり落ち込まないで下さいね! そして、これからはご近所同士、よろしくお願いします!」
満面の笑みを浮かべて、ロレーヌ男爵令嬢が近寄ってきたので後退りして避けたあと、説明を求める視線をラルフ様に投げかけました。
「君たち、もういいだろう。早く帰ったらどうだ?」
「クラーク辺境伯、本当にありがとうございます! 新婚旅行まで手配してくださるなんて」
ロレーヌ男爵令嬢はラルフ様に媚びるような視線を投げてすり寄っていきました。
ディーンはディーンで私に近寄ってくると、申し訳無さそうな顔をして言います。
「本当は君とやり直したかったんだけどな」
「お断りです。ロレーヌ男爵令嬢と幸せになって下さい」
あなたとやり直すなんて絶対にありえませんから。
「これからヴィアラと一緒に旅行に行ってくるよ。一週間後には帰ってくるんだけど、その頃には家も住めるようになっているらしいから、ぜひ遊びに来てほしい」
「結構です」
「さあ、馬車を待たせている。早く行った方がいい」
ラルフ様がディーンの肩をつかみ、追い出すように屋敷から外に出すと、ロレーヌ男爵令嬢も嬉しそうに彼を追いかけて屋敷を出ていかれました。
「一体、どういう事なのです?」
「地獄を味わうなら、天国を味わってからの方がより辛く感じるだろう?」
二人を見送ったあと、ラルフ様に尋ねると、にっこり笑って答えて下さいましたが、いまいち、ピンとこなかったので聞き返します。
「それはそうかもしれませんが、やはり意味がわからないのですが…」
「カンタスの借金はたかが知れていたので、全部返してやったし、結婚祝いだといって、今建てている家の金も払ってやった」
「ど、どうしてです!?」
「だから言ったろう? 天国のような気持ちを味わった後に感じる苦痛の方がより辛く感じると」
「ま、まさか。それでわざと支払ってさしあげたのですか?」
私の言葉にラルフ様は首を縦に振ってから答えてくださいます。
「出したのは俺だが、彼らにはリノアからだと伝えてある。どのみち、同じようなものだからな」
「同じようなものという意味はわかりませんが、何かお考えがあるのでしょう?」
「彼らに今すぐ結婚してくれるのなら、結婚祝いに今建てている家の費用と借金、それから新婚旅行の代金を全て俺が払うと申し出た」
「太っ腹なのです」
「で、彼らは一週間、今日から新婚旅行へ行くわけだが…」
笑顔でラルフ様が私を見てこられるので、続きの言葉を私が引き継ぐ。
「その間に、私は引っ越す準備をしなければいけないという訳ですね」
「そうだ。彼らが帰ってきたと同時に君はここを出れば良い」
「どうせ彼らの事でしょうから、旅行先から帰ってきたら、また私にお金の無心をすれば良いと考えているでしょうから、旅行先でも贅沢三昧なのでしょうね」
「反省して慎ましく過ごしていれば困らないだろうが、そんな性格でもないだろう」
ラルフ様は意地の悪い笑みを浮かべて言いました。
一週間後、ラルフ様に連れられ、ロレーヌ男爵令嬢と一緒に私の屋敷に現れたディーンは、私の姿を見るなり言いました。
「なんのお話です?」
「嫌だわ、リノア様ったら! ディーンと私の結婚を早める事を条件に借金を返済して下さったのでしょう?」
「はい?」
ロレーヌ男爵令嬢がなんの話をされているのかわからず困惑していると、ラルフ様が彼女達の後ろで、口に人差し指を当てているのが見えました。
どうやら、話を合わせないといけないみたいです。
「お役に立てたのなら良かったですわ」
「ふふっ! リノア様のためにも私達、幸せになりますね! 先程、婚姻届を出してきたばかりなんです! リノア様はいつになるかわかりませんけれど、きっと、いつかは結婚できますわ! あまり落ち込まないで下さいね! そして、これからはご近所同士、よろしくお願いします!」
満面の笑みを浮かべて、ロレーヌ男爵令嬢が近寄ってきたので後退りして避けたあと、説明を求める視線をラルフ様に投げかけました。
「君たち、もういいだろう。早く帰ったらどうだ?」
「クラーク辺境伯、本当にありがとうございます! 新婚旅行まで手配してくださるなんて」
ロレーヌ男爵令嬢はラルフ様に媚びるような視線を投げてすり寄っていきました。
ディーンはディーンで私に近寄ってくると、申し訳無さそうな顔をして言います。
「本当は君とやり直したかったんだけどな」
「お断りです。ロレーヌ男爵令嬢と幸せになって下さい」
あなたとやり直すなんて絶対にありえませんから。
「これからヴィアラと一緒に旅行に行ってくるよ。一週間後には帰ってくるんだけど、その頃には家も住めるようになっているらしいから、ぜひ遊びに来てほしい」
「結構です」
「さあ、馬車を待たせている。早く行った方がいい」
ラルフ様がディーンの肩をつかみ、追い出すように屋敷から外に出すと、ロレーヌ男爵令嬢も嬉しそうに彼を追いかけて屋敷を出ていかれました。
「一体、どういう事なのです?」
「地獄を味わうなら、天国を味わってからの方がより辛く感じるだろう?」
二人を見送ったあと、ラルフ様に尋ねると、にっこり笑って答えて下さいましたが、いまいち、ピンとこなかったので聞き返します。
「それはそうかもしれませんが、やはり意味がわからないのですが…」
「カンタスの借金はたかが知れていたので、全部返してやったし、結婚祝いだといって、今建てている家の金も払ってやった」
「ど、どうしてです!?」
「だから言ったろう? 天国のような気持ちを味わった後に感じる苦痛の方がより辛く感じると」
「ま、まさか。それでわざと支払ってさしあげたのですか?」
私の言葉にラルフ様は首を縦に振ってから答えてくださいます。
「出したのは俺だが、彼らにはリノアからだと伝えてある。どのみち、同じようなものだからな」
「同じようなものという意味はわかりませんが、何かお考えがあるのでしょう?」
「彼らに今すぐ結婚してくれるのなら、結婚祝いに今建てている家の費用と借金、それから新婚旅行の代金を全て俺が払うと申し出た」
「太っ腹なのです」
「で、彼らは一週間、今日から新婚旅行へ行くわけだが…」
笑顔でラルフ様が私を見てこられるので、続きの言葉を私が引き継ぐ。
「その間に、私は引っ越す準備をしなければいけないという訳ですね」
「そうだ。彼らが帰ってきたと同時に君はここを出れば良い」
「どうせ彼らの事でしょうから、旅行先から帰ってきたら、また私にお金の無心をすれば良いと考えているでしょうから、旅行先でも贅沢三昧なのでしょうね」
「反省して慎ましく過ごしていれば困らないだろうが、そんな性格でもないだろう」
ラルフ様は意地の悪い笑みを浮かべて言いました。
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