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24 お前は酷い奴だ? あなたに言われたくないですわね
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ドーウッド伯爵の姿を見る事になったのは、それから約一時間後の事。
着ていた服に大した乱れはなかったけれど、顔は真っ青で、一人で歩くのも大変そうだった。
なぜ、そんな姿を私が見れたのかというと、トルマリア公爵閣下から「ドーウッド伯爵が謝りたいそうだ」とエントランスホールまで来るように言われたからだ。
「さあ」
トルマリア公爵閣下に促されたドーウッド伯爵は、力なくその場に膝をつけ、額を茶色のカーペットの上につけて私に言った。
「生意気な事を言ってしまい、申し訳ございませんでした」
「……」
土下座されてしまった…。
さっきはザック様への土下座だったけど、今回は確実に私へだ。
あまり意地悪すると、この人とレベルが一緒になってしまう気がして、この場では謝罪を受け入れる事にした。
「謝罪を受け入れますが、私以外の人にもあんな事は絶対に言わないと約束して下さい」
「……」
ドーウッド伯爵は私を見上げて、悔しそうな顔をしたけれど、私の背後に立っていたザック様の方を見た途端、表情はひきつらせて、首を縦に振った。
「わ、わかりました」
「…反省してませんね?」
ザック様のプレッシャーがあったから謝っただけで、私の言う事には納得いっている感じじゃなかった。
だから、胸の前で腕を組み、ドーウッド伯爵を見下ろして尋ねると、彼は首を横に振る。
「いや、そんな事はありません…」
「私に言わなければいいって問題ではないんですのよ? そんな事もおわかりにならないのに、謝罪されたわけですか?」
「さっき、謝罪を受け入れたじゃないか!」
「私に対して言って下さった事に対して受け入れただけです。あなたが反省して下さったと思っていましたが、そうではございませんでしたのね。女は男の…という時点で、あまり賢い方ではないのだろうなとは思っておりましたが、何で謝らないといけないのか理解できないほとだったとは存じ上げませんでした。形だけの謝罪でしたらいりませんでしたのに」
ふう、とわざと大きなため息を吐くと、ドーウッド伯爵は私を見上げて睨んできた。
…けれど、次の瞬間、公爵閣下が後ろからドーウッド伯爵の服をつかんで立ち上がらせた。
「どうやら優しくしすぎたみたいだな。もう一度、スペシャルルームに案内してあげないといけないようだな」
「ひっ! もう十分です! 満足いたしました!」
ドーウッド伯爵は涙目で公爵閣下に訴えた。
すると、公爵閣下が私の方を見る。
「ルキア嬢、君はどう思う?」
「…そうですね。喜んでいらっしゃるなら、もっと満足する様にしてさしあげたら良いかなと思います。もちろん、私の勝手な意見ですので、聞き流していただいてかまいませんが…」
「私も賛成だ」
公爵閣下はにこりと微笑むと、ドーウッド伯爵に笑顔で話しかける。
「あなたは欲張りな人だな」
「と、とんでもございません! 許して下さい! もう二度とあの様な事は言いませんので!」
「どんな事ですか?」
私が聞くと、悔しそうな顔をして、ドーウッド伯爵は答える。
「もう二度と、女だからと馬鹿にしない!」
「反省されてる様子が見えませんので、もう一度、スペシャルルームで楽しんで来て下さいませ」
笑顔で手を横に振ると、ドーウッド伯爵は私を睨むのをやめて、両手を胸の前で組み合わせて祈る様にお願いしてくる。
「レイング伯爵令嬢、お願いです。助けて下さい」
「うーん。私も鬼ではないですからね…」
悩む素振りを見せると、ドーウッド伯爵が叫ぶ。
「そんなもったいぶらなくていい! 助けろと…あ、いや、助けて下さい…」
ドーウッド伯爵は本当に駄目だ。
きっと、伯爵家は虐げられている夫人が切り盛りしているに違いない。
そんな事もわからずに偉そうにしているんだわ。
「もう少し反省が必要だと思います」
公爵閣下に伝えると、ドーウッド伯爵が叫ぶ。
「な、なんて事を言うんだ! お前は酷い奴だ!」
「あなたに言われたくないですわね。もちろん私の性格も酷いとは思いますけれど、女だから…、とか、男だから…、とか、そういう差別は致しませんわよ? あと自分からいじめも絶対にしませんわ。もし、厳しい言葉を吐くとしたら、相手から先に言われた時だけですわ」
そこまで言ってから、私に付いてくれていた騎士の人に告げる。
「公爵閣下のお手をわずらわすわけにはいきませんので、あなた方がドーウッド伯爵をスペシャルルームまで連れて行って差し上げて?」
「承知いたしました!」
「や、やめろ! 行きたくない! 嫌だ、怖いぃ!!」
ドーウッド伯爵が取り乱しはじめた。
一体、どんな事をされているのか気になるけれど、トルマリア公爵家の闇という事で、そっとしておく事にする。
「では、ルキアさん。私も一緒に行ってくるから、ザックとお話しておいてくれる? ザック、頼んだわよ」
「承知いたしました」
ロゼッタ様の言葉にザック様が頷くと、満足そうに公爵夫妻は歩き始める。
「助けてくださいぃぃ!!」
騎士に引きずられて連れられていく、ドーウッド伯爵の声がエントランスホールに響き渡った。
着ていた服に大した乱れはなかったけれど、顔は真っ青で、一人で歩くのも大変そうだった。
なぜ、そんな姿を私が見れたのかというと、トルマリア公爵閣下から「ドーウッド伯爵が謝りたいそうだ」とエントランスホールまで来るように言われたからだ。
「さあ」
トルマリア公爵閣下に促されたドーウッド伯爵は、力なくその場に膝をつけ、額を茶色のカーペットの上につけて私に言った。
「生意気な事を言ってしまい、申し訳ございませんでした」
「……」
土下座されてしまった…。
さっきはザック様への土下座だったけど、今回は確実に私へだ。
あまり意地悪すると、この人とレベルが一緒になってしまう気がして、この場では謝罪を受け入れる事にした。
「謝罪を受け入れますが、私以外の人にもあんな事は絶対に言わないと約束して下さい」
「……」
ドーウッド伯爵は私を見上げて、悔しそうな顔をしたけれど、私の背後に立っていたザック様の方を見た途端、表情はひきつらせて、首を縦に振った。
「わ、わかりました」
「…反省してませんね?」
ザック様のプレッシャーがあったから謝っただけで、私の言う事には納得いっている感じじゃなかった。
だから、胸の前で腕を組み、ドーウッド伯爵を見下ろして尋ねると、彼は首を横に振る。
「いや、そんな事はありません…」
「私に言わなければいいって問題ではないんですのよ? そんな事もおわかりにならないのに、謝罪されたわけですか?」
「さっき、謝罪を受け入れたじゃないか!」
「私に対して言って下さった事に対して受け入れただけです。あなたが反省して下さったと思っていましたが、そうではございませんでしたのね。女は男の…という時点で、あまり賢い方ではないのだろうなとは思っておりましたが、何で謝らないといけないのか理解できないほとだったとは存じ上げませんでした。形だけの謝罪でしたらいりませんでしたのに」
ふう、とわざと大きなため息を吐くと、ドーウッド伯爵は私を見上げて睨んできた。
…けれど、次の瞬間、公爵閣下が後ろからドーウッド伯爵の服をつかんで立ち上がらせた。
「どうやら優しくしすぎたみたいだな。もう一度、スペシャルルームに案内してあげないといけないようだな」
「ひっ! もう十分です! 満足いたしました!」
ドーウッド伯爵は涙目で公爵閣下に訴えた。
すると、公爵閣下が私の方を見る。
「ルキア嬢、君はどう思う?」
「…そうですね。喜んでいらっしゃるなら、もっと満足する様にしてさしあげたら良いかなと思います。もちろん、私の勝手な意見ですので、聞き流していただいてかまいませんが…」
「私も賛成だ」
公爵閣下はにこりと微笑むと、ドーウッド伯爵に笑顔で話しかける。
「あなたは欲張りな人だな」
「と、とんでもございません! 許して下さい! もう二度とあの様な事は言いませんので!」
「どんな事ですか?」
私が聞くと、悔しそうな顔をして、ドーウッド伯爵は答える。
「もう二度と、女だからと馬鹿にしない!」
「反省されてる様子が見えませんので、もう一度、スペシャルルームで楽しんで来て下さいませ」
笑顔で手を横に振ると、ドーウッド伯爵は私を睨むのをやめて、両手を胸の前で組み合わせて祈る様にお願いしてくる。
「レイング伯爵令嬢、お願いです。助けて下さい」
「うーん。私も鬼ではないですからね…」
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「そんなもったいぶらなくていい! 助けろと…あ、いや、助けて下さい…」
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きっと、伯爵家は虐げられている夫人が切り盛りしているに違いない。
そんな事もわからずに偉そうにしているんだわ。
「もう少し反省が必要だと思います」
公爵閣下に伝えると、ドーウッド伯爵が叫ぶ。
「な、なんて事を言うんだ! お前は酷い奴だ!」
「あなたに言われたくないですわね。もちろん私の性格も酷いとは思いますけれど、女だから…、とか、男だから…、とか、そういう差別は致しませんわよ? あと自分からいじめも絶対にしませんわ。もし、厳しい言葉を吐くとしたら、相手から先に言われた時だけですわ」
そこまで言ってから、私に付いてくれていた騎士の人に告げる。
「公爵閣下のお手をわずらわすわけにはいきませんので、あなた方がドーウッド伯爵をスペシャルルームまで連れて行って差し上げて?」
「承知いたしました!」
「や、やめろ! 行きたくない! 嫌だ、怖いぃ!!」
ドーウッド伯爵が取り乱しはじめた。
一体、どんな事をされているのか気になるけれど、トルマリア公爵家の闇という事で、そっとしておく事にする。
「では、ルキアさん。私も一緒に行ってくるから、ザックとお話しておいてくれる? ザック、頼んだわよ」
「承知いたしました」
ロゼッタ様の言葉にザック様が頷くと、満足そうに公爵夫妻は歩き始める。
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