【完結】あなた方が後悔しても私にはどうでもいいことです

風見ゆうみ

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12  今までお世話になりました

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「フレデリック殿下は許してくれるとおっしゃったのよ! だからっ!」
「謝らなくてもいいとおっしゃりたいのですか?」
「そ、そういうわけじゃ……」

 さすがの姉もこの件については、自分の非を認めざるを得なかったようだ。
 本日何度目かになるかわからない涙目で、姉はフレデリック殿下を見つめる。

「本当に申し訳ございませんでした。わざとではなかったのです。許してくださいますよね?」

 これで許してもらえる。
 姉はそう思い込んでいるようだった。
 だが、フレデリック殿下は姉が私を見捨てていたことを知っている。姉に可愛い仕草をされたくらいでころりと落ちるような人ではなかった。

「本気で謝っているようには思えない」
「……え?」
「君は本気で悪いとは思っていないだろう? 大体、君がリファ―ラに掴みかかろうとしなければ、あんなことは起きなかった」
「……え、あ、は、はい?」

 ぽかんとした顔になった姉を無視し、フレデリック殿下は私に尋ねる。

「本当に家族と縁を切るつもりなのか?」
「はい。私には必要のないものですから。それに、もう私も子供ではありません。養ってもらっているという負い目を感じながら暮らしていくのは嫌なんです」
「そ、そんなことはない!」

 父が会話に割って入ろうとしたが無視した。

 どうせ、フレデリック殿下と仲の良い私をいいように使いたいだけだ。だから、家族関係を続けたってデメリットしかない。
 これからの生活について問題が山積みだが、家族にいいように使われるくらいなら、自分で未来を切り開いていきたい。
 一人で過ごす時間が多かったので、野草については詳しくなった。簡単な塗り薬なら作れるようになったし、薬師に弟子入りするのもいいかもしれない。
 能天気だと言われようとも、ネガティブ思考よりもポジティブに生きたほうがいいわ。
 そう考えた時、フレデリック殿下から提案があった。

「そうか。なら、住む場所を用意するから、うちの国に来ないか?」
「えっ!? い、いいのですか?」
「ああ。君にぴったりの仕事がある」
「わ、私にぴったりの仕事」

 どんな仕事なのかしら。
 
「まあ、それは素敵な話ね。ぜひともあなたにはその話を受けてもらいたいわ」

 王妃陛下は息子が何を考えているか理解しているようで、手を叩いて喜んだ。

 メイドかしら。それとも毒見役かしら。

 何にしてもクプンマ王国に行けば、家族はそう簡単に私を追いかけてくることはできないでしょう。

「それはとてもありがたい申し出ですわ。詳しい話を後ほどお聞きしてもよいでしょうか」
「もちろんだ」

 フレデリック殿下が笑顔でうなずいてくれたので、私の胸の中は一気に希望で満ち溢れた。

「リファーラ、あなた、本気で私たちと縁を切るつもりなの?」
「そうですが」

 答えた私に、姉は憐れみの目を向ける。

「平民になったあなたに王城のメイドなんて務まるわけがないわ! 迷惑をかけるだけよ!」
「お気遣いいただきありがとうございます。ですが、心配には及びませんわ。貴族や王族の方に対するマナーなどは、フレデリック殿下の世話役の方から教えていただいていますので」

 貴族としての振る舞いやテーブルマナーやダンス。一人で生きていくために必要だった料理や掃除、勉強などもイセンさんがフレデリック殿下と一緒に教えてくれた。

 フレデリック殿下が私にぴったりだと言うんだもの。絶対にできるし、期待に応えて見せるわ。

「リファーラ、とにかく話をしよう! 頼む。怒りを鎮めてくれ」
「そうよ。あなたがフレデリック殿下と知り合いだと知っていたら、私たちだってあなたに酷いことなんてしなかったわ。謝るわ。だから、ね?」

 両親が手を合わせて懇願してきたが、許すわけがない。

「家族の皆さま、今までお世話になりました。たった今から、私とあなた方は赤の他人です」

 笑顔で告げると、両親と弟の顔色はみるみる青くなっていった。



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