【完結】あなた方が後悔しても私にはどうでもいいことです

風見ゆうみ

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27 一度も思ったことはありません

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 キュージーさんは私が子供の頃に家のお金を盗もうとしたせいで、家から追い出され、ワウキロヤ様と婚約してからも危険なことに変わりはないため、一緒に住んでいなかったのだと言った。
 両親から嘘をつかれている可能性が高いことと、いちいち気になることを言われるたびに話を止めるわけにもいかないので、最後まで話を聞くことにした。
 家から追い出されたことを恨んだ私はキュージーさんに会う度に嫌がらせをしていた。そして、その罰として鞭を打たれていたのだと説明した。
 ワウキロヤ様には私から嫌がらせを受けていると相談していたことは確かだが、奪う気は全くなかったと無実を訴えた。
 話し終えたキュージーさんはすっきりとした表情で、婦人たちを見つめた。

「キュージー様のおっしゃりたいことはよくわかりました。では、次はリファ―ラ様ですわね」
「リファ―ラさんに聞いても無駄だと思います。彼女は嘘しかつきません!」
「双方からお聞きするとお伝えしたはずです」

 ぴしゃりとはねつけられたキュージーさんは不満そうな顔をして口を閉ざす。私はキュージーさんを窘めたリーダー格の婦人――ゼリア様に一礼した。
 
「ありがとうございます」
「礼を言われるようなことはしておりませんわ」

 もう一度一礼してから、三人の婦人方に話しかける。

「私の場合はキュージ様のお話について、事実と違ったものに反論する形でお話ししたいと思います」

 婦人方がうなずいたことを確認し、キュージーさんに目を向ける。

「私が幼い頃にお金を盗んだというのは、誰から聞いたお話ですか?」
「両親よ」

 このことについては、嘘ではないと思われる。

「事実とは違います。私はそんなことはしていません」
「じゃあ何をしたって言うの?」
「詳しい話はできませんが、あなたのお父様が原因です。私は被害者になる形です」
「どうして詳しい話ができないの?」
「ここで話をすれば私にも被害が及ぶ可能性があるからです」
「意味がわからないわ」

 キュージーさんは眉根を寄せて呟いた。

「この話についてはお茶会の終了後に話をさせていただきます。この場でお伝えしたいのは、私は盗みなど働いておらず、キュージー様は両親から嘘の話を教えられて信じているということだけです」

 ゼリア様たちがうなずいたのを確認して話を続ける。

「次に私が逆恨みをしてキュージー様に嫌がらせをしていたということですが、私は嫌がらせなどしていません。それに、どうしてキュージー様に嫌がらせをしないといけないのですか? キュージー様がおっしゃったように盗みを働いて追い出されたのであれば、逆恨みする相手は両親になるのではないでしょうか」
「そ、それは両親に可愛がられていた私が憎かったからでしょう?」
「家から追い出されているのに、あなたが可愛がられていたかどうかなんてわかりません」
「たまに邸に来ていたじゃないの!」
「たまにでしょう? しかも家族と大して顔も合わせていないのに、それくらいではわかりません。それから、お伝えしておきますが、私は鞭で打たれたいなんて一度も思ったことはありません。それなのに、鞭で打たれることをわかっていて、何度もあなたに嫌がらせをしたと言うのですか?」

 眉間に皺を寄せ厳しい口調で問いかけると、キュージーさんは焦った表情で私を見つめた。
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