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5 殿下とヤキモチ
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「どうしたルルア、何か問題があったか?」
「いえ。ヴァージニア様が殿下とお話したいそうなので、私の名前を使わせてもらっただけです」
部屋に入ると、アーク殿下に尋ねられたので、私は素直に答えて、横に避けると、ティーダさんが近付いてきた。
「何かありましたか?」
「ヴァージニア様が今から説明されるそうです」
私がそう答えた時だった。
「聞いてくださいませ、アーク殿下!」
いきなり、ヴァージニア様の身体が崩れ落ち、床にしゃがみ込むと泣き始めた。
「ルルアがひどいんです! 何もしていないのに、私の世話は出来ないから帰ると言い出すんです! 私にアーク殿下がとられると思ったんですわ!」
「そんな事をルルアが思うわけがないだろう」
アーク殿下は書類から一瞬だけ目を離して、ヴァージニア様に答えた。
「いいえ! 私という存在が現れて、危機感を覚えたに決まっています」
「本当にルルアがそう思っているのなら、お前に褒美をあげたいくらいだが…」
「ほ、褒美ですか!?」
ヴァージニア様が床に座り込んだまま、瞳を輝かせた。
二人の会話がかみあっているようには思えない。
「ルルア様が殿下をとられて悲しむようなら、もうルルア様と殿下は結婚されてますよね」
ティーダさんが苦笑しながら、私に話しかけてくるので頷く。
「そうですね。そうなっていたら、彼女はここに来れなかったでしょうけど」
「ルルア様はどうすれば、殿下と結婚しても良いと思われるんです?」
「王妃になるのが嫌なんですよ」
「王妃になっても良いと思う条件はないんですか?」
ティーダさんに聞かれ、一応、考えてみる。
「条件らしい条件ではないですけど、殿下にオチた時じゃないでしょうか」
「殿下の頑張り次第という事ですか?」
「そう言われれば、そうかもしれません」
私とティーダさんがのんびり話をしていると、殿下が割って入ってくる。
「えらく仲が良さそうだな」
「殿下の話をしていたんですよ」
ティーダさんが笑顔で答えると、殿下は立ち上がって言った。
「お前はルルアに興味を示さないと信じてたのに」
「殿下が心配しておられる様な感情は持っておりません!」
ティーダさんは慌てて首を横に振り、私の隣から離れて、ヴァージニア様に話しかけにいく。
それと同時に殿下が私の前まで歩いてきて言う。
「目の前で堂々と浮気か」
「そういう発言、ものすごく面倒な人と感じるので止めて下さい」
「……仲良く話をしていただろう」
「殿下とヴァージニア様の話が終わるのを待ってただけです」
「ルルアが来たと言ったから、俺は会う事にしたんだ」
ちょっと拗ねた様な殿下に苦笑する。
ほんと、子供みたいな事を言うんだから…。
「騙したみたいになった事は謝りますが、もうお話は終わられたんですか?」
「コッポラ嬢が言う様に、本当に危機感を覚えたのか確認したかった」
「ヴァージニア様の性格に危機感を覚えそうでしたが、私自身、殿下をどうこうという危機感はないです。殿下の幸せはもちろん願っておりますよ」
「願わずに身を捧げてくれたらいい」
「無理です」
「相変わらず、はっきり言うな」
「私の殿下への優しさです」
二人で話をしていると、ヴァージニア様がティーダさんに手を借りて立ち上がって近寄ってくる。
「殿下、聞いてくださっていました?」
「何をだ?」
「彼女が私に嫌なことばかりしてくると、先程、お伝えさせてもらいましたが…」
「直に見ていないのに判断ができるわけないだろう」
殿下はきっぱりと答えると、ヴァージニア様に続ける。
「もし、他に何か問題があるなら伝えてくれ」
「そんな…」
ヴァージニア様にとっては、殿下の対応は予想外だった様で、ガックリと小さな肩を落とした。
「いえ。ヴァージニア様が殿下とお話したいそうなので、私の名前を使わせてもらっただけです」
部屋に入ると、アーク殿下に尋ねられたので、私は素直に答えて、横に避けると、ティーダさんが近付いてきた。
「何かありましたか?」
「ヴァージニア様が今から説明されるそうです」
私がそう答えた時だった。
「聞いてくださいませ、アーク殿下!」
いきなり、ヴァージニア様の身体が崩れ落ち、床にしゃがみ込むと泣き始めた。
「ルルアがひどいんです! 何もしていないのに、私の世話は出来ないから帰ると言い出すんです! 私にアーク殿下がとられると思ったんですわ!」
「そんな事をルルアが思うわけがないだろう」
アーク殿下は書類から一瞬だけ目を離して、ヴァージニア様に答えた。
「いいえ! 私という存在が現れて、危機感を覚えたに決まっています」
「本当にルルアがそう思っているのなら、お前に褒美をあげたいくらいだが…」
「ほ、褒美ですか!?」
ヴァージニア様が床に座り込んだまま、瞳を輝かせた。
二人の会話がかみあっているようには思えない。
「ルルア様が殿下をとられて悲しむようなら、もうルルア様と殿下は結婚されてますよね」
ティーダさんが苦笑しながら、私に話しかけてくるので頷く。
「そうですね。そうなっていたら、彼女はここに来れなかったでしょうけど」
「ルルア様はどうすれば、殿下と結婚しても良いと思われるんです?」
「王妃になるのが嫌なんですよ」
「王妃になっても良いと思う条件はないんですか?」
ティーダさんに聞かれ、一応、考えてみる。
「条件らしい条件ではないですけど、殿下にオチた時じゃないでしょうか」
「殿下の頑張り次第という事ですか?」
「そう言われれば、そうかもしれません」
私とティーダさんがのんびり話をしていると、殿下が割って入ってくる。
「えらく仲が良さそうだな」
「殿下の話をしていたんですよ」
ティーダさんが笑顔で答えると、殿下は立ち上がって言った。
「お前はルルアに興味を示さないと信じてたのに」
「殿下が心配しておられる様な感情は持っておりません!」
ティーダさんは慌てて首を横に振り、私の隣から離れて、ヴァージニア様に話しかけにいく。
それと同時に殿下が私の前まで歩いてきて言う。
「目の前で堂々と浮気か」
「そういう発言、ものすごく面倒な人と感じるので止めて下さい」
「……仲良く話をしていただろう」
「殿下とヴァージニア様の話が終わるのを待ってただけです」
「ルルアが来たと言ったから、俺は会う事にしたんだ」
ちょっと拗ねた様な殿下に苦笑する。
ほんと、子供みたいな事を言うんだから…。
「騙したみたいになった事は謝りますが、もうお話は終わられたんですか?」
「コッポラ嬢が言う様に、本当に危機感を覚えたのか確認したかった」
「ヴァージニア様の性格に危機感を覚えそうでしたが、私自身、殿下をどうこうという危機感はないです。殿下の幸せはもちろん願っておりますよ」
「願わずに身を捧げてくれたらいい」
「無理です」
「相変わらず、はっきり言うな」
「私の殿下への優しさです」
二人で話をしていると、ヴァージニア様がティーダさんに手を借りて立ち上がって近寄ってくる。
「殿下、聞いてくださっていました?」
「何をだ?」
「彼女が私に嫌なことばかりしてくると、先程、お伝えさせてもらいましたが…」
「直に見ていないのに判断ができるわけないだろう」
殿下はきっぱりと答えると、ヴァージニア様に続ける。
「もし、他に何か問題があるなら伝えてくれ」
「そんな…」
ヴァージニア様にとっては、殿下の対応は予想外だった様で、ガックリと小さな肩を落とした。
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