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エピローグ
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タオズクたちを繁華街に連れて行かせたのは、彼らに屈辱を味わわせるためだった。タオズクたちのやっていたことは、他の貴族が商人に話をしていたから、彼らを見れば冷たい反応をすることは分かったからだ。
しかも、少し前にナターシャが繁華街で散財しているから、余計に顔が知られている。
店の人たちは、タオズクが辺境伯だから後払いを承諾していたが、このままでは代金がもらえないことがわかり、代金を踏み倒されてはならないと動いた。
タオズクは下着以外を奪われ、ナターシャは女性ということで着ていたドレスのかわりに、安くで買えるワンピースを渡された。身につけていたアクセサリーなども全て代金の支払い分として奪われていったそうだ。
タオズクたちの報告を屋敷で受け、新たな生活を始める話をしていた時、リドリー殿下が言う。
「この地で仕事を始める前に、第二王子としてやらなければならないことがあるんだ。だから、一度、王都に戻るよ」
「承知いたしました」
ここまで来てくれただけでも有り難い。しかも、落ち着いた頃には、結婚して一緒に暮らすことができる。
先行きはまだまだ不安だけど、希望もある。タオズクたちのことは今は忘れて、仕事に集中することに決めた。
******
エヴァンス邸に戻ってから1年が経った頃に、私はリドリー殿下と再婚した。リドリー殿下が王族を抜けた時に辺境伯の爵位を授かったため、また、エヴァンス家は辺境伯の座に返り咲くことができた。
それからまた半年の時が過ぎた今では、わたしは仕事をせずに、部屋の中にいることが多くなった。
時間があるので、タオズクたちの報告書を読むと、現在のタオズクたちは顔見知りの貴族に会わないように、貧民街でひっそりと暮らしているそうだ。
貧民街と呼ばれるところは治安も良くないし、衛生状態も悪い。その環境に耐えられないのか、日に日に痩せ細り、生気を無くしているそうだ。
貧民街については、領の財政が落ち着いたら、手を付けなければいけない一番の課題ね。
タオズクたちを助けたいわけじゃなく、そこで多くの子どもが亡くなっているらしいから、それを少しでも止めたかった。
その時に、彼らと会うかもしれないし、それまでに、彼らはこの世にいなくなっているかもしれない。
どうすることが正しいのかはわからない。でも、今はやれることをやるだけだ。
タオズクたちだけではなく、領民についての報告書を読み終えた時、リドリー殿下が自室にいる、わたしの所にやって来た。
「ソア、ローファスの墓参りに行こうと思うんだけど、君も行く?」
「色々と報告しなければなりませんし行きます!」
「歩きにくい場所だし、報告なら僕がしておいても良いけど」
「いいえ。自分の口から話したいんです」
安楽椅子からゆっくりと立ち上がり、机に書類を置いて廊下へ出ると、リドリー殿下が尋ねてくる。
「そういえば、タオズクの両親のレドジェン夫妻の話を聞いた?」
「いいえ。何かあったんですか?」
「うん。子爵の爵位を剥奪されてからは、知り合いだった貴族の家をまわって、寝る場所や食事を確保しようとしているらしい」
「すごい神経ですね」
「ああ。だけど、さすがにそう何度も面倒を見る貴族はいない。そのうち、タオズクたちと合流するだろうね」
「合流後に大人しくしてくれていれば良いんですが」
できれば、今はストレスを感じたくない。
膨らんできたお腹に手を当てると、リドリー殿下は、空いているほうのわたしの手を握って微笑む。
「君たちは僕が守るよ」
「ありがとうございます」
リドリー殿下の手を握り返し、お腹に命を授かったことを報告するために、お兄様たちが眠る墓場へと向かった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
少しでも楽しんでいただけていれば幸いです。
兄なんですが、最後に実は生きていた、にしようかなと思っていたんですが、ソアが騙されていないという描写をいれるのを忘れておりまして、これだと騙されたことになる!
……と思い、兄は死んだことにしました。
ですので、生死については、読者様のお好きな展開にしていただければなと思います。
お気に入り、いいね、エールをありがとうございました!
本当に励みになりました。
そして、新作「愛を求めることはやめましたので、ご安心いただけますと幸いです!」を数日前から投稿しております。
最近は一つ終わらせて……にしていたのですが、諸事情でこちらの更新が遅れたので、向こうを先に投稿してしまいました。
クズ夫です!
でも、ストレスは少なめにいこうと思っておりますので、そちらでお会いできましたら、光栄です!
ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。
しかも、少し前にナターシャが繁華街で散財しているから、余計に顔が知られている。
店の人たちは、タオズクが辺境伯だから後払いを承諾していたが、このままでは代金がもらえないことがわかり、代金を踏み倒されてはならないと動いた。
タオズクは下着以外を奪われ、ナターシャは女性ということで着ていたドレスのかわりに、安くで買えるワンピースを渡された。身につけていたアクセサリーなども全て代金の支払い分として奪われていったそうだ。
タオズクたちの報告を屋敷で受け、新たな生活を始める話をしていた時、リドリー殿下が言う。
「この地で仕事を始める前に、第二王子としてやらなければならないことがあるんだ。だから、一度、王都に戻るよ」
「承知いたしました」
ここまで来てくれただけでも有り難い。しかも、落ち着いた頃には、結婚して一緒に暮らすことができる。
先行きはまだまだ不安だけど、希望もある。タオズクたちのことは今は忘れて、仕事に集中することに決めた。
******
エヴァンス邸に戻ってから1年が経った頃に、私はリドリー殿下と再婚した。リドリー殿下が王族を抜けた時に辺境伯の爵位を授かったため、また、エヴァンス家は辺境伯の座に返り咲くことができた。
それからまた半年の時が過ぎた今では、わたしは仕事をせずに、部屋の中にいることが多くなった。
時間があるので、タオズクたちの報告書を読むと、現在のタオズクたちは顔見知りの貴族に会わないように、貧民街でひっそりと暮らしているそうだ。
貧民街と呼ばれるところは治安も良くないし、衛生状態も悪い。その環境に耐えられないのか、日に日に痩せ細り、生気を無くしているそうだ。
貧民街については、領の財政が落ち着いたら、手を付けなければいけない一番の課題ね。
タオズクたちを助けたいわけじゃなく、そこで多くの子どもが亡くなっているらしいから、それを少しでも止めたかった。
その時に、彼らと会うかもしれないし、それまでに、彼らはこの世にいなくなっているかもしれない。
どうすることが正しいのかはわからない。でも、今はやれることをやるだけだ。
タオズクたちだけではなく、領民についての報告書を読み終えた時、リドリー殿下が自室にいる、わたしの所にやって来た。
「ソア、ローファスの墓参りに行こうと思うんだけど、君も行く?」
「色々と報告しなければなりませんし行きます!」
「歩きにくい場所だし、報告なら僕がしておいても良いけど」
「いいえ。自分の口から話したいんです」
安楽椅子からゆっくりと立ち上がり、机に書類を置いて廊下へ出ると、リドリー殿下が尋ねてくる。
「そういえば、タオズクの両親のレドジェン夫妻の話を聞いた?」
「いいえ。何かあったんですか?」
「うん。子爵の爵位を剥奪されてからは、知り合いだった貴族の家をまわって、寝る場所や食事を確保しようとしているらしい」
「すごい神経ですね」
「ああ。だけど、さすがにそう何度も面倒を見る貴族はいない。そのうち、タオズクたちと合流するだろうね」
「合流後に大人しくしてくれていれば良いんですが」
できれば、今はストレスを感じたくない。
膨らんできたお腹に手を当てると、リドリー殿下は、空いているほうのわたしの手を握って微笑む。
「君たちは僕が守るよ」
「ありがとうございます」
リドリー殿下の手を握り返し、お腹に命を授かったことを報告するために、お兄様たちが眠る墓場へと向かった。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
少しでも楽しんでいただけていれば幸いです。
兄なんですが、最後に実は生きていた、にしようかなと思っていたんですが、ソアが騙されていないという描写をいれるのを忘れておりまして、これだと騙されたことになる!
……と思い、兄は死んだことにしました。
ですので、生死については、読者様のお好きな展開にしていただければなと思います。
お気に入り、いいね、エールをありがとうございました!
本当に励みになりました。
そして、新作「愛を求めることはやめましたので、ご安心いただけますと幸いです!」を数日前から投稿しております。
最近は一つ終わらせて……にしていたのですが、諸事情でこちらの更新が遅れたので、向こうを先に投稿してしまいました。
クズ夫です!
でも、ストレスは少なめにいこうと思っておりますので、そちらでお会いできましたら、光栄です!
ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。
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温かい言葉をありがとうございます✨
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最後までお読みいただきありがとうございました。
みこと様
お祝いのお言葉をありがとうございます!
面白かったと言っていただけて本当にうれしいです(≧▽≦)
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