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番外編
元夫の両親のその後④
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詳しい話を聞くと、ロン様は自分自身の心を救うために、私という存在を記憶から消して、新たな人生を踏み出そうとしているとのことだった。
前に踏み出すことは良いことではある。
でも、できれば、自分のやったことを反省してほしかった。
「ロン様が病院を出たら、どうするおつもりですか」
「ロンと妻と一緒にこの地でひっそりと暮らします。もし、どこかへ移動するようなことがあれば必ず連絡いたします」
なんと応えようか迷っていると、ランドウ様は「どうか、お許しください。慰謝料を払いたくても払うお金がないのです。申し訳ございません!」と言って、何度も頭を下げてきた。
他人の目もあるので、これ以上謝られたら、こちらが悪者になりそうな気がして頷くしかなかった。
「わかりました。もう二度と私の前に姿を現さないと言うのであれば良いでしょう。それから、もう一つ、お願いがあります」
「……何でしょうか」
「ミシェルさんが助けを求めてきても、絶対に助けないでください」
「もちろんです。こんな辛い思いをしなければいけなくなった原因を作ったのは彼女ですから、助ける義理はありません」
ランドウ様はロン様がミシェルさんに会えば、また過去のことを思い出すだろうから、絶対に会わせないと誓うと述べた。
パトロア様のことは、ロン様が帰ってくれば精神的に落ち着くだろうという話になり、パトロア様には会わずに帰った。
******
ランドウ様との話を終えた帰りの馬車の中で、フェリックスが尋ねてくる。
「本当に何の罰も与えなくて良かったのか」
「これ以上関わりたくないの。それに反省してもらいたいだけで、心が壊れてほしいわけじゃないわ」
「お前のことを忘れたら、あの男は誰かと結婚して幸せになるかもしれないぞ」
「別に私は不幸を望んでいるわけじゃないのよ。さっきも言ったけれと、自分が悪いことをしたとわかってほしいだけ」
一度言葉を切ってから、流れる景色に視線を移して話を続ける。
「きっと、今のリグマ伯爵は近い内に支援を打ち切ると思うわ」
「……話をするつもりか」
「ええ。ロン様が帰ってきたら薬代はいらないし、パトロア様も元気になる。それなら働けば良いでしょう? だから、リグマ伯爵には支援を打切るようにお願いするわ」
貴族だった彼らにとって、平民と一緒の仕事をすることは屈辱なはずだ。
でも、生きていくためには働かなければならない。
落ちぶれてしまった貴族を雇ってくれる所はそうはないでしょうから、ランドウ様たちは肉体労働の仕事に就くしかなくなる。
今の様子では体力はなさそうだし、肉体労働の仕事に就いても、すぐに音を上げることでしょう。
幸せにさせたくないわけではない。
ただ、心の痛みや苦しみを理解してほしいだけだった。
*****
数十日後、ロン様が退院したと聞いた。
私のことはすっかり忘れて明るい表情をしていたらしい。
パトロア様は面会中のロン様が私のことを忘れて元気になっていく姿を見て安心したのか暴れることはなくなった。
彼らはこれから、リグマ伯爵家からの仕送りでのんびり暮らすつもりだった。
でも、そうはいかなかった。
リグマ伯爵家が彼らへの支援を打ち切ったからだ。
私に言われずとも、元々、そのつもりだったらしい。
リグマ伯爵家からの支援が打ち切られてすぐ、ランドウ様から手紙が届いた。
住み込みで働ける場所を見つけたので、家族三人で向かうと書かれていた。
調べてみると、悪徳の斡旋業者に引っかかったらしく、彼らが向かった先は低賃金であるにもかかわらず過酷な労働を強いられる場所だった。
そして、ランドウ様から私の元に届いた手紙は、これで最後になった。
※
次の話はリクエストいただきました、ボブへのざまぁになります。
前に踏み出すことは良いことではある。
でも、できれば、自分のやったことを反省してほしかった。
「ロン様が病院を出たら、どうするおつもりですか」
「ロンと妻と一緒にこの地でひっそりと暮らします。もし、どこかへ移動するようなことがあれば必ず連絡いたします」
なんと応えようか迷っていると、ランドウ様は「どうか、お許しください。慰謝料を払いたくても払うお金がないのです。申し訳ございません!」と言って、何度も頭を下げてきた。
他人の目もあるので、これ以上謝られたら、こちらが悪者になりそうな気がして頷くしかなかった。
「わかりました。もう二度と私の前に姿を現さないと言うのであれば良いでしょう。それから、もう一つ、お願いがあります」
「……何でしょうか」
「ミシェルさんが助けを求めてきても、絶対に助けないでください」
「もちろんです。こんな辛い思いをしなければいけなくなった原因を作ったのは彼女ですから、助ける義理はありません」
ランドウ様はロン様がミシェルさんに会えば、また過去のことを思い出すだろうから、絶対に会わせないと誓うと述べた。
パトロア様のことは、ロン様が帰ってくれば精神的に落ち着くだろうという話になり、パトロア様には会わずに帰った。
******
ランドウ様との話を終えた帰りの馬車の中で、フェリックスが尋ねてくる。
「本当に何の罰も与えなくて良かったのか」
「これ以上関わりたくないの。それに反省してもらいたいだけで、心が壊れてほしいわけじゃないわ」
「お前のことを忘れたら、あの男は誰かと結婚して幸せになるかもしれないぞ」
「別に私は不幸を望んでいるわけじゃないのよ。さっきも言ったけれと、自分が悪いことをしたとわかってほしいだけ」
一度言葉を切ってから、流れる景色に視線を移して話を続ける。
「きっと、今のリグマ伯爵は近い内に支援を打ち切ると思うわ」
「……話をするつもりか」
「ええ。ロン様が帰ってきたら薬代はいらないし、パトロア様も元気になる。それなら働けば良いでしょう? だから、リグマ伯爵には支援を打切るようにお願いするわ」
貴族だった彼らにとって、平民と一緒の仕事をすることは屈辱なはずだ。
でも、生きていくためには働かなければならない。
落ちぶれてしまった貴族を雇ってくれる所はそうはないでしょうから、ランドウ様たちは肉体労働の仕事に就くしかなくなる。
今の様子では体力はなさそうだし、肉体労働の仕事に就いても、すぐに音を上げることでしょう。
幸せにさせたくないわけではない。
ただ、心の痛みや苦しみを理解してほしいだけだった。
*****
数十日後、ロン様が退院したと聞いた。
私のことはすっかり忘れて明るい表情をしていたらしい。
パトロア様は面会中のロン様が私のことを忘れて元気になっていく姿を見て安心したのか暴れることはなくなった。
彼らはこれから、リグマ伯爵家からの仕送りでのんびり暮らすつもりだった。
でも、そうはいかなかった。
リグマ伯爵家が彼らへの支援を打ち切ったからだ。
私に言われずとも、元々、そのつもりだったらしい。
リグマ伯爵家からの支援が打ち切られてすぐ、ランドウ様から手紙が届いた。
住み込みで働ける場所を見つけたので、家族三人で向かうと書かれていた。
調べてみると、悪徳の斡旋業者に引っかかったらしく、彼らが向かった先は低賃金であるにもかかわらず過酷な労働を強いられる場所だった。
そして、ランドウ様から私の元に届いた手紙は、これで最後になった。
※
次の話はリクエストいただきました、ボブへのざまぁになります。
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◇ ◇ ◇
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