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30 しなければならないこと
それから5日後、ロブは全寮制の学園に通うことが本決まりになり、留置場から学園の寮に移動した。
その時のロブがどんな様子だったかは聞くのが怖くて聞いていない。
嫌われているとわかっていても、また、ロブがわたしに対して暴言を吐いていたとしたらショックだからだ。
ロブに恨まれるようなことをしたことも理解はしている。
でも、アクス様だけじゃなく、ロザンナもレブさんたちも「成長すればわかる」と言ってくれたから、その時までロブを信じて待とうと思う。
駄目なものを駄目だと叱ってくれる大人や友達が出来れば、ロブだって、きっといつか気づいてくれると思うことにした。
それと同時にソナルナ伯爵夫妻は釈放された。
ロブもロザンナもいない状態では、ソナルナ伯爵夫妻はわたしに助けを求めることもできず、半分だけ燃えた屋敷に帰っていったそうだ。
彼らがどうなるかは、監視をつけているから、何かあれば連絡をもらえることになっている。
家の中にあったものは盗まれてしまい、ほとんど何も残っていないらしいから、働かないと生きていけないのは確実だろうし、今、代わりに仕事をしてくれている伯爵家がどう動くかを確認するつもりでもいる。
そして、わたしはロブの学費を稼ぐために、聖なる力を使う機会を増やした。
といってもなぜか、貴族からの依頼が多くなっていたので、そう無理はしなくても良かった。
それに、テイル公爵閣下がアクス様を眠れるようにしてくれたお礼として、ロブの入学金や卒業までの寮費を払ってくれたのだ。
それを学園側から聞いた日、約束をしていなかったけれど、お礼を言うためと必ずお金はお返しすることを伝えるため、手土産を持ってテイル邸に向かった。
テイル公爵夫妻は普段から、わたしのことを可愛がってくださっているので、突然の来訪だったにも関わらず、嫌な顔一つせずに迎えてくれた。
「色々と配慮いただき、本当にありがとうございました。お金は必ずお返ししますので」
「気にしなくて良い。リアンナ嬢には息子が大変お世話になっているし、まだ足りないくらいだ。何かあれば、遠慮なく言ってくれ」
「もう十分です!」
閣下の気持ちとても有り難い。
でも、わたしとしては後ろめたいところもあるし、これ以上、親切にしてもらうのも辛かった。
後ろめたい理由というのは、アクス様を意識してしまっていることだ。
でも、この気持ちを口にしなければ、誰にも気付かれることはない。
アクス様以外の素敵な人を見つけなくちゃいけないわ。
「リアンナさん」
通された応接室で、向かいのソファに座るテイル公爵夫人がおっとりした口調で話しかけてくる。
「もし、アクスのことを良いと思ってくれているのであれば、とても光栄なことだわ。もし、公爵家の跡継ぎのことを気にしているのであれば、何も問題はないから気にしなくて良いからね」
「えっ!? でも」
声を上げてしまってから、ここで反応してはいけなかったことに気づく。
「意地悪をしてごめんなさい。あなたの素直な反応を見てみたかったの」
「無理にアクスを選ぶ必要はない。陛下が言っておられたのは君を妻にする人だからな。アクスのような仕事人間は嫌だろう」
「いえ。そういうわけでは……」
わたしは自分に甘えてくれるような人が好みなんです。
とは言いにくい。
しかも、恋愛経験はほぼゼロだから、優しくされると簡単にときめいてしまう。
これではいけないと思っているし、ロブという感情的になると良くないという悪い見本もあったから冷静になれている。
それに、本当に駄目な人を選びそうなら、神様はわたしから聖なる力を奪うはずだし、今のところは大丈夫なはず。
かといって、アクス様たちの優しさに甘えていては駄目だわ。
今度の誕生日パーティーで、テナミ様たちのと縁は断ち切って、テイル公爵閣下は別として、アクス様との関係は終わらせないといけない。
だって、一人で眠れるようになったのなら、わたしは必要ないんだもの。
※ラストまであともう少しお付き合いくださいませ。
その時のロブがどんな様子だったかは聞くのが怖くて聞いていない。
嫌われているとわかっていても、また、ロブがわたしに対して暴言を吐いていたとしたらショックだからだ。
ロブに恨まれるようなことをしたことも理解はしている。
でも、アクス様だけじゃなく、ロザンナもレブさんたちも「成長すればわかる」と言ってくれたから、その時までロブを信じて待とうと思う。
駄目なものを駄目だと叱ってくれる大人や友達が出来れば、ロブだって、きっといつか気づいてくれると思うことにした。
それと同時にソナルナ伯爵夫妻は釈放された。
ロブもロザンナもいない状態では、ソナルナ伯爵夫妻はわたしに助けを求めることもできず、半分だけ燃えた屋敷に帰っていったそうだ。
彼らがどうなるかは、監視をつけているから、何かあれば連絡をもらえることになっている。
家の中にあったものは盗まれてしまい、ほとんど何も残っていないらしいから、働かないと生きていけないのは確実だろうし、今、代わりに仕事をしてくれている伯爵家がどう動くかを確認するつもりでもいる。
そして、わたしはロブの学費を稼ぐために、聖なる力を使う機会を増やした。
といってもなぜか、貴族からの依頼が多くなっていたので、そう無理はしなくても良かった。
それに、テイル公爵閣下がアクス様を眠れるようにしてくれたお礼として、ロブの入学金や卒業までの寮費を払ってくれたのだ。
それを学園側から聞いた日、約束をしていなかったけれど、お礼を言うためと必ずお金はお返しすることを伝えるため、手土産を持ってテイル邸に向かった。
テイル公爵夫妻は普段から、わたしのことを可愛がってくださっているので、突然の来訪だったにも関わらず、嫌な顔一つせずに迎えてくれた。
「色々と配慮いただき、本当にありがとうございました。お金は必ずお返ししますので」
「気にしなくて良い。リアンナ嬢には息子が大変お世話になっているし、まだ足りないくらいだ。何かあれば、遠慮なく言ってくれ」
「もう十分です!」
閣下の気持ちとても有り難い。
でも、わたしとしては後ろめたいところもあるし、これ以上、親切にしてもらうのも辛かった。
後ろめたい理由というのは、アクス様を意識してしまっていることだ。
でも、この気持ちを口にしなければ、誰にも気付かれることはない。
アクス様以外の素敵な人を見つけなくちゃいけないわ。
「リアンナさん」
通された応接室で、向かいのソファに座るテイル公爵夫人がおっとりした口調で話しかけてくる。
「もし、アクスのことを良いと思ってくれているのであれば、とても光栄なことだわ。もし、公爵家の跡継ぎのことを気にしているのであれば、何も問題はないから気にしなくて良いからね」
「えっ!? でも」
声を上げてしまってから、ここで反応してはいけなかったことに気づく。
「意地悪をしてごめんなさい。あなたの素直な反応を見てみたかったの」
「無理にアクスを選ぶ必要はない。陛下が言っておられたのは君を妻にする人だからな。アクスのような仕事人間は嫌だろう」
「いえ。そういうわけでは……」
わたしは自分に甘えてくれるような人が好みなんです。
とは言いにくい。
しかも、恋愛経験はほぼゼロだから、優しくされると簡単にときめいてしまう。
これではいけないと思っているし、ロブという感情的になると良くないという悪い見本もあったから冷静になれている。
それに、本当に駄目な人を選びそうなら、神様はわたしから聖なる力を奪うはずだし、今のところは大丈夫なはず。
かといって、アクス様たちの優しさに甘えていては駄目だわ。
今度の誕生日パーティーで、テナミ様たちのと縁は断ち切って、テイル公爵閣下は別として、アクス様との関係は終わらせないといけない。
だって、一人で眠れるようになったのなら、わたしは必要ないんだもの。
※ラストまであともう少しお付き合いくださいませ。
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