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第2章 新たな婚約者
3
どうして、こんな訳のわからない展開になるのよ!
叫びたい気持ちを抑えて、お父様に訴える。
「お父様、お姉様はラソウエ公爵を愛しているんですよ!」
「それなら、なぜ痩せない?」
「そんなに簡単に痩せられるものではありません!」
「……そうなのか?」
お父様がお姉様のほうを見て尋ねる。
お姉様は唇を噛んだだけで、何も言い返さない。
「痩せる努力をしてないみたいだぞ? 妹のお前が姉の責任を取るのはおかしくはない。このままだと、ラソウエ公爵の婚約者がいなくなってしまうからな」
「どうしてもラソウエ公爵の婚約者が必要だとおっしゃるのであれば、お姉様が痩せるまで、もう少し待ってもらうか、このままのお姉様を愛してもらえるようにお願いしてください! 私が婚約するだなんて、お父様は家族の仲を壊したいんですか!」
「私を責めるなよ。責めるのなら、勝手な約束をしていたフィーナを責めるんだな」
お父様に鼻で笑われた。
責めるつもりはないけれど、お姉様のほうを振り返る。
すると、ラソウエ公爵が満面の笑みを浮かべて、わたしに近づいてきた。
公爵相手に失礼だとはわかっていながらも、彼を睨みつけて尋ねる。
「あなたは姉に対して悪いという気持ちはないのですか!?」
「フィーナ嬢が一番悪いことは確かでしょう? それに、あなただって悪い」
「……わたしが悪い?」
「そうです。わたくしが細い女性が好きだと知っていたなら、あなたも太るべきだったのですよ」
「何を言っているんですか! わたしは姉の婚約者の女性の好みなんて把握しておりません!」
「あははは。照れておられるんですか? セフィリア嬢、本当は、わたくしと結婚したかったのでしょう?」
どうして、そんなことになるのよ!?
ロビースト様がわたしの顎に触れようとした時だった。
「ああぁぁ、だっる」
言葉通りの気怠げな声が聞こえて、一斉に声のした方向に視線が向けられた。
いつ、部屋に入ってきていたのかはわからない。
わたしの視線の先には、シルバーの前髪を全て後ろに上げ、長い後ろ髪を一つにまとめた男性が、黒のロングブーツを履いた長い足を組んで、ソファーでふんぞり返っていた。
声の主は、少し前にラソウエ公爵家の養子になり、ロビースト様の弟になったというシード様だ。
パーティー会場では正装だったから、どこかで着替えてこられたようで、ラフな格好だった。
シード様は整った顔立ちではあるけれど、吊り目気味の目を細め、綺麗な赤色の瞳をこちらに向けて言う。
「俺が呼ばれたのは誕生日パーティーだったんだけど? クソ共が集まって、くだらねぇ話をするって集まりなら、最初からそう言えや」
クソ共。
しかも言葉遣いが貴族のものとは思えない。
驚いて目を丸くしていると、シード様は私と目を合わせて言う。
「これは失礼。あんたはまともだったな」
「……ありがとうございます」
何と返せば良いのかわからなかったので、お礼を言ってしまった。
シード様は大きく息を吐いて立ち上がると、わたしを促す。
「この場での、兄さんとセフィリア嬢との婚約は俺が認めねぇ。話は終わりだ。セフィリア嬢、今日はもう部屋に戻れ。今回は助けてやるが、これからのことは自分でどうにかしろよ」
「えっ!?」
そんな事で、この話が落ち着くの?
「承知いたしました」
そう思った時、お父様がソファから立ち上がって頭を下げ、ロビースト様も悔しそうな表情はしていたけれど、何も言わずに頷いた。
叫びたい気持ちを抑えて、お父様に訴える。
「お父様、お姉様はラソウエ公爵を愛しているんですよ!」
「それなら、なぜ痩せない?」
「そんなに簡単に痩せられるものではありません!」
「……そうなのか?」
お父様がお姉様のほうを見て尋ねる。
お姉様は唇を噛んだだけで、何も言い返さない。
「痩せる努力をしてないみたいだぞ? 妹のお前が姉の責任を取るのはおかしくはない。このままだと、ラソウエ公爵の婚約者がいなくなってしまうからな」
「どうしてもラソウエ公爵の婚約者が必要だとおっしゃるのであれば、お姉様が痩せるまで、もう少し待ってもらうか、このままのお姉様を愛してもらえるようにお願いしてください! 私が婚約するだなんて、お父様は家族の仲を壊したいんですか!」
「私を責めるなよ。責めるのなら、勝手な約束をしていたフィーナを責めるんだな」
お父様に鼻で笑われた。
責めるつもりはないけれど、お姉様のほうを振り返る。
すると、ラソウエ公爵が満面の笑みを浮かべて、わたしに近づいてきた。
公爵相手に失礼だとはわかっていながらも、彼を睨みつけて尋ねる。
「あなたは姉に対して悪いという気持ちはないのですか!?」
「フィーナ嬢が一番悪いことは確かでしょう? それに、あなただって悪い」
「……わたしが悪い?」
「そうです。わたくしが細い女性が好きだと知っていたなら、あなたも太るべきだったのですよ」
「何を言っているんですか! わたしは姉の婚約者の女性の好みなんて把握しておりません!」
「あははは。照れておられるんですか? セフィリア嬢、本当は、わたくしと結婚したかったのでしょう?」
どうして、そんなことになるのよ!?
ロビースト様がわたしの顎に触れようとした時だった。
「ああぁぁ、だっる」
言葉通りの気怠げな声が聞こえて、一斉に声のした方向に視線が向けられた。
いつ、部屋に入ってきていたのかはわからない。
わたしの視線の先には、シルバーの前髪を全て後ろに上げ、長い後ろ髪を一つにまとめた男性が、黒のロングブーツを履いた長い足を組んで、ソファーでふんぞり返っていた。
声の主は、少し前にラソウエ公爵家の養子になり、ロビースト様の弟になったというシード様だ。
パーティー会場では正装だったから、どこかで着替えてこられたようで、ラフな格好だった。
シード様は整った顔立ちではあるけれど、吊り目気味の目を細め、綺麗な赤色の瞳をこちらに向けて言う。
「俺が呼ばれたのは誕生日パーティーだったんだけど? クソ共が集まって、くだらねぇ話をするって集まりなら、最初からそう言えや」
クソ共。
しかも言葉遣いが貴族のものとは思えない。
驚いて目を丸くしていると、シード様は私と目を合わせて言う。
「これは失礼。あんたはまともだったな」
「……ありがとうございます」
何と返せば良いのかわからなかったので、お礼を言ってしまった。
シード様は大きく息を吐いて立ち上がると、わたしを促す。
「この場での、兄さんとセフィリア嬢との婚約は俺が認めねぇ。話は終わりだ。セフィリア嬢、今日はもう部屋に戻れ。今回は助けてやるが、これからのことは自分でどうにかしろよ」
「えっ!?」
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「承知いたしました」
そう思った時、お父様がソファから立ち上がって頭を下げ、ロビースト様も悔しそうな表情はしていたけれど、何も言わずに頷いた。
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