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第二部
8 ピンク色のパーティー会場
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私達がやって来た隣国の城、アラルフェイト城は、城というより宮殿のような外観で、壁や屋根の色はピンク一色だった。
代々、女王の国だと言われているから、可愛い外観にされているのかもしれない。
もしくは、その時の女王陛下の好みによって塗り直すのか、そこのところは勉強不足で調べられていなかったけれど、リアムは知っていて「ずっとピンク色みたいだよ」と教えてくれた。
門の外から真正面に見えるのが本宮で、その左右には同じ形はしているけれど、一回り小さい建物があり、そちらが別宮になるらしい。
私達が今日泊まるのも、別宮のどちらかだと思われる。
荷物は部屋に運び入れてくれるとのことだったので、馬車から降りて、正装した私達は客室に向かう前に、直接、パーティー会場に向かった。
私とリアムは一応、国を代表しての出席となるから、失礼のないようにしないと、とは思っているけれど、元男爵令嬢の私に、大して気品など備わっていないので、急に緊張してきた。
「アイリス、顔が引きつってる」
「すす、すみません!」
「謝らなくてもいいし、そんなに緊張しなくて大丈夫だから。女王陛下夫妻への挨拶が終われば、あとは適当に貴族に挨拶して、用意してもらった部屋に行こう」
大きなパーティーに出席することに慣れているリアムは、会場に着いて固まっている私の肩を抱き寄せて優しく微笑んでくれた。
元々、お飾りの妻として結婚した私だったとはいえ、パーティーに出る覚悟はしていた。
でも、隣国の王族となると、また緊張感が違ってくる。
失礼のないようにしなくちゃ。
「アイリス、本当に大丈夫だよ。僕がいるから心配しなくていい」
「そ、そうですよね。ありがとうございます、リアム」
にこりと微笑むと、リアムが頭を抱える。
「そういう顔をするの、今はやめてほしかったな」
「どうしてですか?」
「答えを聞きたい?」
顔を近付けられて、なんとなく彼が言おうとしていることに気が付いて、首を横に振った。
「聞きたくありません」
「どうして?」
「知りたくないからです! それに聞いたら、この場で何かしようとするでしょう?」
リアムの顔を手で軽く押すと、楽しそうに笑いながら距離を取る。
「答えがわかったからじゃなくて?」
「……リアムは別人になったとかじゃないですよね?」
「どういうこと?」
「だって、朝も言いましたが、出会った時のリアムとは全然違うからです!」
「そんなことを言ったら、アイリスだってすごく可愛くなったよね?」
にこにこと微笑むリアム。
どうせ彼には口では絶対に勝てないとわかっているので、無言でいようと心に決めて前を向く。
会場内に入って、まず気になったのは、いつものパーティー会場とは違い、立食の食べ物はスイーツばかりだということだった。
会場内はピンク色の壁に、ピンク色の装飾品が多く飾られていて、生けてある花もピンク色しかない。
天井のシャンデリアの色もピンク色だった。
今日の私は、薄いピンク色のイブニングドレスに身を包み、髪の毛はシニヨンにして、大きなピンク色の花のコサージュをつけている。
なぜ、私が普段なら選ばないピンク色で合わせているかというと、ピンク色が女王様の好みらしいからだ。
だから、パーティー会場に来ている女性のほとんどは、デザインや種類は違えど、ピンク色のドレスに身を包んでいた。
女王陛下が出てくるまでは自由時間のようなものなので、同じように招待されている貴族と歓談や挨拶をするなどして過ごした。
自分の国でもいつも実感しているのだけど、やはり、リアムは目をひく容姿のようで、パートナーが家族らしき女性のほとんどが、リアムの顔を見て言葉をなくし、そして、隣を歩く私を見て侮蔑の目になる。
どうせ、リアムに見合うほど可愛くも綺麗でもありませんから!
お飾りというきっかけがあったから結婚できた、ラッキーな人間だと自覚してます!
と、大きな声で叫びたくなってしまう。
「アイリス、もう疲れた?」
不機嫌そうな顔になっていたからか、リアムが顔を覗き込んできたので、慌てて首を横に振る。
「違います! 考え事をしてました」
その時、パーティー会場の奥にある階段の踊り場に、男女二人の姿が見えた。
それと同時に歓声が上がる。
「いらっしゃったようだね」
リアムがギャラリーと同じ方向を見ながら言った。
代々、女王の国だと言われているから、可愛い外観にされているのかもしれない。
もしくは、その時の女王陛下の好みによって塗り直すのか、そこのところは勉強不足で調べられていなかったけれど、リアムは知っていて「ずっとピンク色みたいだよ」と教えてくれた。
門の外から真正面に見えるのが本宮で、その左右には同じ形はしているけれど、一回り小さい建物があり、そちらが別宮になるらしい。
私達が今日泊まるのも、別宮のどちらかだと思われる。
荷物は部屋に運び入れてくれるとのことだったので、馬車から降りて、正装した私達は客室に向かう前に、直接、パーティー会場に向かった。
私とリアムは一応、国を代表しての出席となるから、失礼のないようにしないと、とは思っているけれど、元男爵令嬢の私に、大して気品など備わっていないので、急に緊張してきた。
「アイリス、顔が引きつってる」
「すす、すみません!」
「謝らなくてもいいし、そんなに緊張しなくて大丈夫だから。女王陛下夫妻への挨拶が終われば、あとは適当に貴族に挨拶して、用意してもらった部屋に行こう」
大きなパーティーに出席することに慣れているリアムは、会場に着いて固まっている私の肩を抱き寄せて優しく微笑んでくれた。
元々、お飾りの妻として結婚した私だったとはいえ、パーティーに出る覚悟はしていた。
でも、隣国の王族となると、また緊張感が違ってくる。
失礼のないようにしなくちゃ。
「アイリス、本当に大丈夫だよ。僕がいるから心配しなくていい」
「そ、そうですよね。ありがとうございます、リアム」
にこりと微笑むと、リアムが頭を抱える。
「そういう顔をするの、今はやめてほしかったな」
「どうしてですか?」
「答えを聞きたい?」
顔を近付けられて、なんとなく彼が言おうとしていることに気が付いて、首を横に振った。
「聞きたくありません」
「どうして?」
「知りたくないからです! それに聞いたら、この場で何かしようとするでしょう?」
リアムの顔を手で軽く押すと、楽しそうに笑いながら距離を取る。
「答えがわかったからじゃなくて?」
「……リアムは別人になったとかじゃないですよね?」
「どういうこと?」
「だって、朝も言いましたが、出会った時のリアムとは全然違うからです!」
「そんなことを言ったら、アイリスだってすごく可愛くなったよね?」
にこにこと微笑むリアム。
どうせ彼には口では絶対に勝てないとわかっているので、無言でいようと心に決めて前を向く。
会場内に入って、まず気になったのは、いつものパーティー会場とは違い、立食の食べ物はスイーツばかりだということだった。
会場内はピンク色の壁に、ピンク色の装飾品が多く飾られていて、生けてある花もピンク色しかない。
天井のシャンデリアの色もピンク色だった。
今日の私は、薄いピンク色のイブニングドレスに身を包み、髪の毛はシニヨンにして、大きなピンク色の花のコサージュをつけている。
なぜ、私が普段なら選ばないピンク色で合わせているかというと、ピンク色が女王様の好みらしいからだ。
だから、パーティー会場に来ている女性のほとんどは、デザインや種類は違えど、ピンク色のドレスに身を包んでいた。
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どうせ、リアムに見合うほど可愛くも綺麗でもありませんから!
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と、大きな声で叫びたくなってしまう。
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「違います! 考え事をしてました」
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リアムがギャラリーと同じ方向を見ながら言った。
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私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
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