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第二部
15 女王陛下のワガママなお願い
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自国の王家にリアムは電報を打ってくれ、すぐに返事が返ってきた
リアムの打った電報の内容が内容なだけに、外交に支障が出てくるとして、最優先事項として扱ってくれたみたいだった。
結果、愛人についての話は断ってかまわないという許可がおりた。
「大人しく愛人になれだなんて言う方ではないと思っていたけどホッとしたよ」
リアムは苦笑して言った。
その日は、リアムと一緒に城下にある貴族専用の宿に泊まった。
宮殿の敷地内にいれば、いつセーラ様がやってくるかわからなかったからだ。
次の日の朝に、リアムがセーラ様にお断りの返事をし、私からも正式に「お断りします」と告げさせてもらった。
「残念だわ。……私もね、頑張ってみたの。他の男性をたくさん呼んだのよ。今まで、素敵だと思った人を全て」
「……」
彼女が何を言おうとしているのか分からず、とりあえず最後まで聞いてみようと黙っていると、玉座に座っておられるセーラ様の横の椅子に座っているディール殿下の様子が気になった。
とても、辛そうな表情をしておられる。
セーラ様から、他の男性の話なんて聞きたくないのかもしれない。
本当にお気の毒だわ。
こうなるということを覚悟していたとしても、辛いに決まっている。
セーラ様はどうして、ディール殿下のことを考えてあげないのかしら?
こんなにもセーラ様のことを思ってらっしゃるのに……。
「アイリス、ディールを見つめてどうしたの?」
ついついお気の毒になって見つめてしまっていると、セーラ様に聞かれてしまった。
質問してもよいか尋ねると許可がおりたので、気になったことを口にしてみる。
「ディール殿下の体調が優れないのではと思いまして……」
「え? ディールが? どうしたの、ディール? 何かあったの? お医者様を呼ぶ? 嫌よ、死んじゃ嫌だからね!」
立ち上がったセーラ様は、横に座っていたディール様に子供みたいに抱きついた。
そんなに大事に思ってるのに、どうしてリアムを欲しがるの?
「今日はもういいわ! 二人共、また明日、ゆっくり話しましょ!」
セーラ様はディール殿下を連れて、私達の返事を待たずに、さっさと部屋を出ていく。
「……申し訳ない。もう少しだけ付き合ってやって欲しい」
ディール殿下が私達に向かって、深々と頭を下げた。
それを見たセーラ様が叫ぶ。
「ディール! そんなことをしている場合じゃないでしょ! 気分が悪いなら横にならなきゃ!」
慌ただしく部屋から出て行った二人を見送ったあと、リアムが大きなため息を吐く。
「明日話すって、まだ帰らせてもらえないのか」
「今までは、リアムが普通の人よりも素敵だから愛人にしたいと言い出したのかなと思っていただけだったんですけど……」
「どうかしたの?」
「リアム、たぶんなんですけど……」
思い浮かんだことをリアムに伝えようとした時だった。
バタバタという足音が近付いてきて、私達がいる部屋の前で止まり、勢いよく扉が開いたかと思うと、セーラ様が入ってきて叫ぶ。
「ねえ、明日の晩は、城下でお祭りがあるの。リアムとの思い出が欲しいから、その日一日だけ、夫を交換しましょう! これは命令よ! じゃあ、また明日ね! あなたの国の王家には私のほうから連絡を入れておくから!」
「え! ちょっ!?」
私とリアムが何か言い返す間もなく、セーラ様は部屋から出ていくと、扉を閉めて去っていってしまった。
慌てて、リアムが後を追いかけたけれど、逃げ足が速いというのか、すぐに見えなくなってしまったらしい。
部屋の中に戻ってきたリアムがこめかみをおさえて言う。
「夫を交換だなんて何を考えてるんだ。たとえ、相手が隣国の王配だったとしても、君が他の男と一緒に祭りに行くなんて絶対に嫌なんだけど。警備の問題とかどうするつもりなんだ……」
「リアム、私、ディール殿下とお話したいことがあるんです」
「……」
リアムがショックを受けた顔をして私を見るので、慌てて首を横に振りながら言う。
「変な意味じゃありません。もちろん、私だって、1日でも早く帰りたいです。ただ、今からリアムに話すことを、ディール殿下にお話したいんです」
「……とにかく宿に戻ろう。話はそこで聞くよ」
リアムは納得いかないといった感じだったけれど、渋々頷いてくれてから、私を促して部屋を出た。
リアムの打った電報の内容が内容なだけに、外交に支障が出てくるとして、最優先事項として扱ってくれたみたいだった。
結果、愛人についての話は断ってかまわないという許可がおりた。
「大人しく愛人になれだなんて言う方ではないと思っていたけどホッとしたよ」
リアムは苦笑して言った。
その日は、リアムと一緒に城下にある貴族専用の宿に泊まった。
宮殿の敷地内にいれば、いつセーラ様がやってくるかわからなかったからだ。
次の日の朝に、リアムがセーラ様にお断りの返事をし、私からも正式に「お断りします」と告げさせてもらった。
「残念だわ。……私もね、頑張ってみたの。他の男性をたくさん呼んだのよ。今まで、素敵だと思った人を全て」
「……」
彼女が何を言おうとしているのか分からず、とりあえず最後まで聞いてみようと黙っていると、玉座に座っておられるセーラ様の横の椅子に座っているディール殿下の様子が気になった。
とても、辛そうな表情をしておられる。
セーラ様から、他の男性の話なんて聞きたくないのかもしれない。
本当にお気の毒だわ。
こうなるということを覚悟していたとしても、辛いに決まっている。
セーラ様はどうして、ディール殿下のことを考えてあげないのかしら?
こんなにもセーラ様のことを思ってらっしゃるのに……。
「アイリス、ディールを見つめてどうしたの?」
ついついお気の毒になって見つめてしまっていると、セーラ様に聞かれてしまった。
質問してもよいか尋ねると許可がおりたので、気になったことを口にしてみる。
「ディール殿下の体調が優れないのではと思いまして……」
「え? ディールが? どうしたの、ディール? 何かあったの? お医者様を呼ぶ? 嫌よ、死んじゃ嫌だからね!」
立ち上がったセーラ様は、横に座っていたディール様に子供みたいに抱きついた。
そんなに大事に思ってるのに、どうしてリアムを欲しがるの?
「今日はもういいわ! 二人共、また明日、ゆっくり話しましょ!」
セーラ様はディール殿下を連れて、私達の返事を待たずに、さっさと部屋を出ていく。
「……申し訳ない。もう少しだけ付き合ってやって欲しい」
ディール殿下が私達に向かって、深々と頭を下げた。
それを見たセーラ様が叫ぶ。
「ディール! そんなことをしている場合じゃないでしょ! 気分が悪いなら横にならなきゃ!」
慌ただしく部屋から出て行った二人を見送ったあと、リアムが大きなため息を吐く。
「明日話すって、まだ帰らせてもらえないのか」
「今までは、リアムが普通の人よりも素敵だから愛人にしたいと言い出したのかなと思っていただけだったんですけど……」
「どうかしたの?」
「リアム、たぶんなんですけど……」
思い浮かんだことをリアムに伝えようとした時だった。
バタバタという足音が近付いてきて、私達がいる部屋の前で止まり、勢いよく扉が開いたかと思うと、セーラ様が入ってきて叫ぶ。
「ねえ、明日の晩は、城下でお祭りがあるの。リアムとの思い出が欲しいから、その日一日だけ、夫を交換しましょう! これは命令よ! じゃあ、また明日ね! あなたの国の王家には私のほうから連絡を入れておくから!」
「え! ちょっ!?」
私とリアムが何か言い返す間もなく、セーラ様は部屋から出ていくと、扉を閉めて去っていってしまった。
慌てて、リアムが後を追いかけたけれど、逃げ足が速いというのか、すぐに見えなくなってしまったらしい。
部屋の中に戻ってきたリアムがこめかみをおさえて言う。
「夫を交換だなんて何を考えてるんだ。たとえ、相手が隣国の王配だったとしても、君が他の男と一緒に祭りに行くなんて絶対に嫌なんだけど。警備の問題とかどうするつもりなんだ……」
「リアム、私、ディール殿下とお話したいことがあるんです」
「……」
リアムがショックを受けた顔をして私を見るので、慌てて首を横に振りながら言う。
「変な意味じゃありません。もちろん、私だって、1日でも早く帰りたいです。ただ、今からリアムに話すことを、ディール殿下にお話したいんです」
「……とにかく宿に戻ろう。話はそこで聞くよ」
リアムは納得いかないといった感じだったけれど、渋々頷いてくれてから、私を促して部屋を出た。
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