人の顔色ばかり気にしていた私はもういません

風見ゆうみ

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29 ティファス伯爵家の財政難②

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 事情を聞いたお義母様はお店の人に、ティファス伯爵家の支払いが滞るようなら、ニーソン公爵家に一度、連絡するようにと伝えていた。

「信じられない話ね。金銭面のこともそうだけど、妹や自分の娘を侍女扱いしてるだなんて」

 お店の人と話が終わると、お義母様は私のところに来て、大きなため息を吐いた。

「昔の私もわざわざ否定しませんでしたから、そのせいでもあるんだと思います」
「けれど、確認もせずに決めつけるだなんて」
「お姉様がそう言っていた可能性もありますから」
「リネは良い人すぎるわ」

 お義母様は苦笑したあと、言葉を続ける。

「ティファス伯爵家の財政は辛いみたいね。ご両親からあなたにまた会いたいと連絡があったとしても断るわよ?」
「もちろんです。次に会うとするなら、婚約披露パーティーの時で良いです」
「そうね。本来なら会いたくもないでしょうけれど、会わなければ縁を切ることもできないでしょうから踏ん張ってね」
「はい」

 お義母様の言葉に頷くと、笑顔を見せてくれた。
 その後は、気を取り直して目的の店へと向かったのだった。



 *****



 数日後、ニーソン公爵家に例の店から連絡があり、やはり支払いしてもらえない上に、新たなドレスを作ってほしいと連絡があったとのことだった。

 今回は両親にはそのまま、支払いを求めるようにするという条件で、お義父様がお金を出し替えてくれることになった。
 そして、新たなドレスについては断るようにとも連絡をしてくれた。

 お義父様たちには、私自身のことも含め、迷惑ばかり掛けて本当に申し訳なかった。
 だから、自分にできることは何でもしようと、ニーソン公爵家のしきたりなどについて色々と覚えることにした。

 それから日が経ち、婚約披露パーティーが目前に迫った日の夕方、私の元にお父様から手紙が届いた。

 内容はお姉様のパートナーが見つからないこと。
 それから、お姉様がパーティーの際に着ていくドレスがないということだった。

 お姉様は新しいドレスを欲しがっているので、妹なのだから、姉の願いを聞いてあげなさいとも書いてあった。

 私の中での姉妹というのは、妹が姉のために諦めるというものだったけれど、実際はすべての人がそうではないことをエレインに教えてもらってわかった。

 姉だからこそ、妹のために譲りなさいと言われることもあるのだそうで、エレインの家もそうらしい。
 でも、彼女の場合は私の家のような酷い扱いではないから我慢できると言っていた。

 私の両親の場合は、私のことを自分の娘というよりかは使用人か何かだと思っている。

 だから、もう私のことは娘だと思わなくても良いと返した。

 すぐに、両親から返事がきた。
 内容は私に媚びを売るような手紙だった。

 私は自分たちの大事な娘であり、お姉様も私を大事な妹だと思っている。

 だから、そんな悲しいことは言わないでほしい。

 実は、お姉様が病気になってしまい、薬代にかなりお金がかかっているので支援してほしいとも書かれていた。

 お姉様はパートナーが見つからないことが屈辱なのか、家からほとんど出ていないと聞いた。

 だから、それを病気だと思わせようとしているみたい。
 そして、薬代としてお金をもらって、ドレス代に当てようとしているのが見え見えだった。

 その話をエレインにすると、彼女は呆れ返ったような顔をした。

「学生の娘にどうやってお金の工面ができるのか教えていただきたいものですね」
「お義父様から払ってもらおうとしているのが見え見えよね」
「リネ様に今まで酷いことをしておいて、よくもそんなことが言えるものです」
「酷いことをしただなんて思っていないのよ」

 そう言うと、エレインは私以上に怒りを顕にした。

「少しは辱めを受けるべきです。絶対に助けてはいけませんよ!」
「もちろんよ」

 そうこうしているうちに、婚約披露パーティーの日が近付いてきた。
 今回は大々的に行うのではなく、身内など仲の良い人たちだけの集まりだった。

 それでも、プライドの高いお姉様には古いドレス、パートナーがいないということは屈辱的だったようで、パーティー会場に入ってきたお姉様は苦虫をかみ潰したような顔をしていた。



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