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第五章 初恋の人の正体
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婚約披露パーティーの日まで少し時間があり、その間に今まで行方がわからなかった、ロゼリアの元婚約者であり、ノエルファと駆け落ちしたトーショの現在が判明した。
ズキチーケ王国の国王のザッハから直接手紙をもらったロゼリアは、仕事の休憩時間に、まだ話を聞いていないというルディウスに、ザッハからの手紙の内容を話した。
「捕まったら処刑されるとわかっているから、必死に逃げているみたい。でも、近いうちに捕まると思うわ。お金もなくなって、精神的にも体力的にも追い詰められているらしいから」
「そいつは逃亡生活は覚悟していたんだろう?」
「ノエルファ様と一緒なら乗り越えられると思っていたんじゃないかしら」
「理想と現実は違っていたということか」
「きっとそうだと思う」
ノエルファはトーショの前では、可憐で大人しい女性だった。彼女を守りたいと思ったから彼は騎士になった。
思いを打ち明けてもらった時は、薔薇色の人生が待ち受けているのだろうと思い込んでいた。
今になって、考えが甘かったと実感していることでしょう。
ロゼリアはそう考えたあと、ルディウスに自分の気持ちを話す。
「私は彼に裏切られた。そして、彼はノエルファ様に裏切られた。私の気持ちを彼が少しでも味わってくれていればいいけど」
「反省していたなら許すのか?」
どこか冷めた声で問いかけられ、ロゼリアはルディウスを見つめる。
「私は彼を許すような人間に見える?」
「……今のロゼリアからは思えない。でも、ロゼリアはなんだかんだ言って我慢するだろ」
「我慢というよりは、処刑をしてもいいと自分で判断するのが嫌なのよ」
ロゼリアが許そうが許すまいが、トーショは処刑される。
トーショは処刑を回避するには、ロゼリアに許してもらえれば良いと考えているようだと、ザッハからの手紙には書かれていた。
そのことをルディウスに伝えると、休憩中のロゼリアとは違い、仕事をしながら話をしていた彼は仕事の手を止めた。
「彼は君を恨むと思うのか?」
「たぶんね」
「恨むべき相手はノエルファだろう?」
「そんな話が通じる人ではないわ。駆け落ちするくらいなんだもの。ノエルファ様が悪いなんて思ってもいないはずよ」
「信じられないな」
ルディウスはロゼリアの横に座り、ソファの背にもたれかかった。
「恋愛って人によっては人生を狂わせるものなのよ」
「……経験者は語る、みたいな話し方だな」
ルディウスが顔を覗き込んできたので、ロゼリアは顔を背ける。
「我を失うほどの恋に落ちたことはないわ」
ロゼリアは小さな声でそう答えた。
そう、今はまだ――。
心の中で、ロゼリアはそう付け加えた。
******
トーショが捕まらないまま日は過ぎ、婚約披露パーティーの日になった。
彼がレフス王国との国境付近で目撃されたこともあり、国境付近の警備は普段よりも厳しいものになっているが、パーティーを開くことに問題はないと判断された。
王城のダンスホールに作られたセンターステージで国王であるリンツが開会の話をしたあと、深紅のドレスに身を包んだロゼリアが紹介された時、ステージに近づこうとしたラブックが警備兵によって止められた。
「ロゼリア、聞いてくれ。ルディウスは僕から君を奪って優越感に浸りたいだけだ。君を愛しているわけじゃない!」
ラブックは必死の形相で、ロゼリアに訴えた。
ズキチーケ王国の国王のザッハから直接手紙をもらったロゼリアは、仕事の休憩時間に、まだ話を聞いていないというルディウスに、ザッハからの手紙の内容を話した。
「捕まったら処刑されるとわかっているから、必死に逃げているみたい。でも、近いうちに捕まると思うわ。お金もなくなって、精神的にも体力的にも追い詰められているらしいから」
「そいつは逃亡生活は覚悟していたんだろう?」
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「理想と現実は違っていたということか」
「きっとそうだと思う」
ノエルファはトーショの前では、可憐で大人しい女性だった。彼女を守りたいと思ったから彼は騎士になった。
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「反省していたなら許すのか?」
どこか冷めた声で問いかけられ、ロゼリアはルディウスを見つめる。
「私は彼を許すような人間に見える?」
「……今のロゼリアからは思えない。でも、ロゼリアはなんだかんだ言って我慢するだろ」
「我慢というよりは、処刑をしてもいいと自分で判断するのが嫌なのよ」
ロゼリアが許そうが許すまいが、トーショは処刑される。
トーショは処刑を回避するには、ロゼリアに許してもらえれば良いと考えているようだと、ザッハからの手紙には書かれていた。
そのことをルディウスに伝えると、休憩中のロゼリアとは違い、仕事をしながら話をしていた彼は仕事の手を止めた。
「彼は君を恨むと思うのか?」
「たぶんね」
「恨むべき相手はノエルファだろう?」
「そんな話が通じる人ではないわ。駆け落ちするくらいなんだもの。ノエルファ様が悪いなんて思ってもいないはずよ」
「信じられないな」
ルディウスはロゼリアの横に座り、ソファの背にもたれかかった。
「恋愛って人によっては人生を狂わせるものなのよ」
「……経験者は語る、みたいな話し方だな」
ルディウスが顔を覗き込んできたので、ロゼリアは顔を背ける。
「我を失うほどの恋に落ちたことはないわ」
ロゼリアは小さな声でそう答えた。
そう、今はまだ――。
心の中で、ロゼリアはそう付け加えた。
******
トーショが捕まらないまま日は過ぎ、婚約披露パーティーの日になった。
彼がレフス王国との国境付近で目撃されたこともあり、国境付近の警備は普段よりも厳しいものになっているが、パーティーを開くことに問題はないと判断された。
王城のダンスホールに作られたセンターステージで国王であるリンツが開会の話をしたあと、深紅のドレスに身を包んだロゼリアが紹介された時、ステージに近づこうとしたラブックが警備兵によって止められた。
「ロゼリア、聞いてくれ。ルディウスは僕から君を奪って優越感に浸りたいだけだ。君を愛しているわけじゃない!」
ラブックは必死の形相で、ロゼリアに訴えた。
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