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16 悔やんでいるんですね
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イベントがあった日の翌日、テグノ伯爵が夫人に離婚を申し出たという連絡が入った。
テグノ伯爵は私へのけじめとか言っているらしいけど、そんなことをしてもけじめになるとは思えないので、自己満足にも程があると感じた。
夫人は本当に伯爵のことを愛しているらしく、別れることを拒んだため、第三者も介入することになったとテグノ伯爵夫妻の監視役から、フェル殿下に報告があり、フェル殿下が私に教えに来てくれたのだ。
その時に一緒に話を聞いたのは、プロウス王国の王家から私と他の貴族の令嬢を入れ替えたいと言ってきたという話だった。
どうやら、私がいなくなって犬たちの躾が難しくなったことに気がついたらしい。
入れ替えなんて勝手な言い分をパゼリノ王国側が認めるはずもなく、これ以上しつこく言うようなら、また戦争をしなければならなくなると脅すと大人しくなったそうだ。
「私をこちらに渡したことを今ごろ悔やんでいるんですね」
「そうみたいだな。俺が君を望んだ時に普通なら気づくべきだったんだ。馬鹿で助かった。まあ、クヤイズ殿下にしてみれば、浮気相手を国に残らせたいという頭もあったのかもしれないが」
「あの時のクヤイズ殿下はまだ、浮気を続けるつもりだったんでしょうか」
「彼の中ではそうだったかもしれないな」
テグノ伯爵も最低だけど、クヤイズ殿下も最低だわ。この二人にはちゃんと痛い目に遭ってもらわないと駄目ね。
******
テグノ伯爵夫妻がどうなるのか様子を見ている間に、放置状態になっていたクランボ様の件に取り掛かることにした。
大会でファンクに勝てるようにするには、カンバーに大会の意味を理解してもらうしかない。
ある日の昼下がり、遊びに来てくれたカンバーに話しかける。
『ねえ、カンバー、あなたはファンクと競った覚えはある?』
『……そんな記憶はないのだが、もしかして、色々と芸をさせられた時のことを言っているのかな』
『そうよ。あの時は色々なことをさせられたと思うんだけど、待てができなかったのよね? どうして我慢できなかったの?』
『あまりにも長く待てをさせられたから、意地悪をされていると思ったんだ』
それはそうよね。待てをさせられる理由もわからないし、大好物を前にしてなかなか食べさせてもらえないなら、イライラしてもおかしくない。
でも、ファンクはクランボ様への忠誠心で我慢した。
『あれはどれだけ長く待てができるかを勝負していたの。何もわからないあなたには意地悪だと感じても仕方がないわ』
『何だって!? で、では……、我は主に迷惑を!?』
『迷惑をかけてなんかいないわ。人間の都合であなたたちは勝負させられているんだから被害者に当たると思う』
『被害犬だなんて思わない。我は主に忠誠を誓っているんだ。……主には本当に申し訳ない』
カンバーは「クゥン」と鳴いて、落ち込んでしまったのか、伏せの状態になった。
『カンバー様! 元気を出して! 次に頑張ればよいのです!』
リリが慰めると、カンバーは顔を上げて私を見つめる。
『まだチャンスがあるのかな?』
『ええ。あなたにまた頑張ってもらっても良いかしら』
『もちろんだ』
カンバーは起き上がって尻尾を振った。
カンバーに話をした以上、ファンクにも話をしておかないとフェアじゃない。でも、ファンクに会うにはクランボ様の許可がいる。
クランボ様とは何度か顔を合わせているけど、その時は普通だった。でも、前にメイドの頬を打ったシーンを見たから、私は彼が好きじゃない。
どうすれば良いか迷っていると、リリとカンバーが扉のほうに顔を向けた。
『ファンクだ』
『うう。嫌な犬が来たわ』
リリはファンクの押しの強さ……というか、思い込みが激しいところが苦手で、できれば関わりたくないみたい。私だけ部屋から出て、廊下で待ち伏せしようと思ったら、すでに遅かった。
扉の前で吠える声が聞こえたあとに、ファンクの声が聞こえてきた。
『リリちゅあぁーん! 君のファンクが来たよぉ!』
『来なくていい!』
ファンクの叫びを聞いたリリは、扉越しだというのにカンバーの後ろに隠れて叫んだ。
ファンクのこんな態度を見ると、元夫であるテグノ伯爵を思い出して嫌になる。でも、ファンクには人間のように、こんなことをしたら迷惑だと判断することは難しいはず。
リリに付きまとわないように話をしてみましょう。それから、大会は正々堂々と戦えるようにしなくちゃ。
テグノ伯爵は私へのけじめとか言っているらしいけど、そんなことをしてもけじめになるとは思えないので、自己満足にも程があると感じた。
夫人は本当に伯爵のことを愛しているらしく、別れることを拒んだため、第三者も介入することになったとテグノ伯爵夫妻の監視役から、フェル殿下に報告があり、フェル殿下が私に教えに来てくれたのだ。
その時に一緒に話を聞いたのは、プロウス王国の王家から私と他の貴族の令嬢を入れ替えたいと言ってきたという話だった。
どうやら、私がいなくなって犬たちの躾が難しくなったことに気がついたらしい。
入れ替えなんて勝手な言い分をパゼリノ王国側が認めるはずもなく、これ以上しつこく言うようなら、また戦争をしなければならなくなると脅すと大人しくなったそうだ。
「私をこちらに渡したことを今ごろ悔やんでいるんですね」
「そうみたいだな。俺が君を望んだ時に普通なら気づくべきだったんだ。馬鹿で助かった。まあ、クヤイズ殿下にしてみれば、浮気相手を国に残らせたいという頭もあったのかもしれないが」
「あの時のクヤイズ殿下はまだ、浮気を続けるつもりだったんでしょうか」
「彼の中ではそうだったかもしれないな」
テグノ伯爵も最低だけど、クヤイズ殿下も最低だわ。この二人にはちゃんと痛い目に遭ってもらわないと駄目ね。
******
テグノ伯爵夫妻がどうなるのか様子を見ている間に、放置状態になっていたクランボ様の件に取り掛かることにした。
大会でファンクに勝てるようにするには、カンバーに大会の意味を理解してもらうしかない。
ある日の昼下がり、遊びに来てくれたカンバーに話しかける。
『ねえ、カンバー、あなたはファンクと競った覚えはある?』
『……そんな記憶はないのだが、もしかして、色々と芸をさせられた時のことを言っているのかな』
『そうよ。あの時は色々なことをさせられたと思うんだけど、待てができなかったのよね? どうして我慢できなかったの?』
『あまりにも長く待てをさせられたから、意地悪をされていると思ったんだ』
それはそうよね。待てをさせられる理由もわからないし、大好物を前にしてなかなか食べさせてもらえないなら、イライラしてもおかしくない。
でも、ファンクはクランボ様への忠誠心で我慢した。
『あれはどれだけ長く待てができるかを勝負していたの。何もわからないあなたには意地悪だと感じても仕方がないわ』
『何だって!? で、では……、我は主に迷惑を!?』
『迷惑をかけてなんかいないわ。人間の都合であなたたちは勝負させられているんだから被害者に当たると思う』
『被害犬だなんて思わない。我は主に忠誠を誓っているんだ。……主には本当に申し訳ない』
カンバーは「クゥン」と鳴いて、落ち込んでしまったのか、伏せの状態になった。
『カンバー様! 元気を出して! 次に頑張ればよいのです!』
リリが慰めると、カンバーは顔を上げて私を見つめる。
『まだチャンスがあるのかな?』
『ええ。あなたにまた頑張ってもらっても良いかしら』
『もちろんだ』
カンバーは起き上がって尻尾を振った。
カンバーに話をした以上、ファンクにも話をしておかないとフェアじゃない。でも、ファンクに会うにはクランボ様の許可がいる。
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どうすれば良いか迷っていると、リリとカンバーが扉のほうに顔を向けた。
『ファンクだ』
『うう。嫌な犬が来たわ』
リリはファンクの押しの強さ……というか、思い込みが激しいところが苦手で、できれば関わりたくないみたい。私だけ部屋から出て、廊下で待ち伏せしようと思ったら、すでに遅かった。
扉の前で吠える声が聞こえたあとに、ファンクの声が聞こえてきた。
『リリちゅあぁーん! 君のファンクが来たよぉ!』
『来なくていい!』
ファンクの叫びを聞いたリリは、扉越しだというのにカンバーの後ろに隠れて叫んだ。
ファンクのこんな態度を見ると、元夫であるテグノ伯爵を思い出して嫌になる。でも、ファンクには人間のように、こんなことをしたら迷惑だと判断することは難しいはず。
リリに付きまとわないように話をしてみましょう。それから、大会は正々堂々と戦えるようにしなくちゃ。
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