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39 休暇中の出来事②
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驚くことに今日の午後から、別邸のダンスホールでダンスのレッスンが始まることになった。
ロキに恥をかかせないようにしなくちゃと意気込んだのは良いものの、やって来た講師の先生が私の苦手なタイプだった。
ちなみに先生の性格が悪いとかいうわけではない。
先生の人との距離の詰め方が苦手だった。
ダンスをするのだから、先生と近づかないといけないことくらいはわかっている。
でも、あまりにも密着してくることが多くて、優しい紳士と見せかけて、必要以上に触ってきているのではないかと思ってしまった。
自意識過剰になっているだけかもしれないから何も言わずに無言で教えられた練習をしていると、講師であるマクスミュード先生は、白い歯を見せて爽やかな笑みを浮かべる。
「アイラ様、表情が険しくなっていますよ。あ、でも、初日ですから緊張してしまいますよね。僕も緊張していますよ」
「それは、はい。そうですよね」
笑顔が引きつりそうになるのを、何とか堪える。
いきなり頼んで来てもらっているのだから、多少のことくらいで文句を言っては駄目だわ。
気持ちを切り替えて、ダンスの練習に集中しようとした。
でも、やっぱり駄目だった。
どう考えても、先生はわたしに必要以上に触れようとしてきているとしか思えなかった。
わたしが王太子妃候補だということは知っているからか、お尻や胸などの無関係な所に触れてきたりはしない。
でも、首を撫でてくるのは違うような気がする。
ダンスというものはこんなものなのか、エレイン様に相談してみようかと思っていた時、ロキが様子を見に来てくれた。
「男性の講師しか見つからなかったとは聞いて、しょうがないと諦めたけど、距離が近すぎるだろう」
ロキも先生と私の距離が、踊っている時ならまだしも、話をしているだけなのに近いことに気がついて、無理矢理、間に割って入ってきた。
すると、先生は慌てて頭を下げる。
「申し訳ございません、ロキアス殿下。そのようなつもりはなかったのです。一生懸命やっておりました」
「急に呼びたてたのは悪いと思っているが、王太子妃候補と必要以上に仲良くしろとは言っていない」
「申し訳ございません!」
ロキに睨まれた先生は、何度も頭を下げた。
「彼女のダンスのパートナーはフットマンにさせるから、君は口頭で教えてくれ」
「……承知いたしました」
返事に間があったことは気になるけれど、とりあえずの危機は脱したようなので、ロキにお礼を言う。
「ありがとう、ロキ。本当に助かったわ」
「どういたしまして。気になったから見に来たんだけど来てみて良かったよ」
微笑するロキに「こんなことをしたら、ポスティム公爵令嬢にも同じことをしないといけないんじゃないの」と言いたくなった。
でも、嫌な発言に思えて、言葉を止めることが出来た。
……これってヤキモチなのかしら。
胸を押さえて黙っていると、ロキが心配そうに顔を覗き込んでくる。
「アイラ、どうかしたのか?」
「ううん、何でもないわ。心配してくれてありがとう」
「体調が悪いなら今日はもうやめたほうがいい」
「ううん、大丈夫よ! ダンスの基礎は覚えているし、何とかやれると思うから」
「……わかった。なら、今日はこのまま、僕がパートナーをするよ。本番も僕が相手だからね」
「ええっ!?」
微笑むロキに、わたしは大きな声で聞き返した。
ロキに恥をかかせないようにしなくちゃと意気込んだのは良いものの、やって来た講師の先生が私の苦手なタイプだった。
ちなみに先生の性格が悪いとかいうわけではない。
先生の人との距離の詰め方が苦手だった。
ダンスをするのだから、先生と近づかないといけないことくらいはわかっている。
でも、あまりにも密着してくることが多くて、優しい紳士と見せかけて、必要以上に触ってきているのではないかと思ってしまった。
自意識過剰になっているだけかもしれないから何も言わずに無言で教えられた練習をしていると、講師であるマクスミュード先生は、白い歯を見せて爽やかな笑みを浮かべる。
「アイラ様、表情が険しくなっていますよ。あ、でも、初日ですから緊張してしまいますよね。僕も緊張していますよ」
「それは、はい。そうですよね」
笑顔が引きつりそうになるのを、何とか堪える。
いきなり頼んで来てもらっているのだから、多少のことくらいで文句を言っては駄目だわ。
気持ちを切り替えて、ダンスの練習に集中しようとした。
でも、やっぱり駄目だった。
どう考えても、先生はわたしに必要以上に触れようとしてきているとしか思えなかった。
わたしが王太子妃候補だということは知っているからか、お尻や胸などの無関係な所に触れてきたりはしない。
でも、首を撫でてくるのは違うような気がする。
ダンスというものはこんなものなのか、エレイン様に相談してみようかと思っていた時、ロキが様子を見に来てくれた。
「男性の講師しか見つからなかったとは聞いて、しょうがないと諦めたけど、距離が近すぎるだろう」
ロキも先生と私の距離が、踊っている時ならまだしも、話をしているだけなのに近いことに気がついて、無理矢理、間に割って入ってきた。
すると、先生は慌てて頭を下げる。
「申し訳ございません、ロキアス殿下。そのようなつもりはなかったのです。一生懸命やっておりました」
「急に呼びたてたのは悪いと思っているが、王太子妃候補と必要以上に仲良くしろとは言っていない」
「申し訳ございません!」
ロキに睨まれた先生は、何度も頭を下げた。
「彼女のダンスのパートナーはフットマンにさせるから、君は口頭で教えてくれ」
「……承知いたしました」
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「ありがとう、ロキ。本当に助かったわ」
「どういたしまして。気になったから見に来たんだけど来てみて良かったよ」
微笑するロキに「こんなことをしたら、ポスティム公爵令嬢にも同じことをしないといけないんじゃないの」と言いたくなった。
でも、嫌な発言に思えて、言葉を止めることが出来た。
……これってヤキモチなのかしら。
胸を押さえて黙っていると、ロキが心配そうに顔を覗き込んでくる。
「アイラ、どうかしたのか?」
「ううん、何でもないわ。心配してくれてありがとう」
「体調が悪いなら今日はもうやめたほうがいい」
「ううん、大丈夫よ! ダンスの基礎は覚えているし、何とかやれると思うから」
「……わかった。なら、今日はこのまま、僕がパートナーをするよ。本番も僕が相手だからね」
「ええっ!?」
微笑むロキに、わたしは大きな声で聞き返した。
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