23 / 44
23 暴走する夫の欲望 ①
しおりを挟む
私もトータムもパーティーを自分で企画したことがなかった。フララさんにカッコ悪い所を見せたくないからか、会場の準備や段取りまで全て押し付けられた。
最低なデビュタントにしても良かったのだが、私は世間体を気にするタイプだ。
私が考えたパーティーになるのだから、素晴らしいパーティーにならなくても、せめて基本的なものだけは押さえておきたかった。
ファルナ様に相談したところ、わざわざビレディ侯爵家に来てくださり、進行の仕方や料理や商品の配置など色々なことを教えてくれた。そのおかげで、戸惑いつつも、無事に進めることができた。
ビレディ侯爵家の使用人たちは、私とファルナ様の仲を知って、今まで以上に私に媚びを売るようになった。
そして、失礼な態度をとっていたフララさんの友人たちまでもが、私にすり寄ってきた。
「あの、ミアリナ様。本当は駄目だってわかっていたんです。でも、フララに言えって言われて嫌なことを言ってしまいました」
「私たちは嫌だって言ったのに、フララからやらなきゃ辞めさせるって脅されたんです」
「それがどうしたの?」
私が尋ねると、彼女たちはきょとんとした顔をする。
「どうしたって……その、許してほしいんです」
「あなたたち、謝罪の言葉はないわよね。それで許せなんてよく言えるわね」
「「ご、ごめんなさい!」」
頭を下げてきたけれど、人に言われないとできない謝罪なんて、反省なんかしていないことが丸わかりだ。
「心のこもっていない謝罪なんてもらっても不快になるだけだわ。本当にクビにされたくないのなら、私に近寄らないで。あなたたちはフララさんの面倒だけ見ていなさい」
「そんな言い方はないだろう!」
振り切って立ち去ろうとした私だったが、トータムが目の前に現れたせいで立ち止まらざるをえなかった。
「じゃあ、どんな言い方があるの?」
「彼女たちが全面的に悪いと言えるのか? ミアリナにだって悪いところがあるんじゃないのか?」
どうしてトータムは私ではなく、メイドの味方をするのか。……いや、フララさんの友人だとわかっているから味方をするのか。
「トータム、あなたは本当にフララさんが好きなのね」
「……可愛い妹だからね」
「その可愛い妹は、デビュタントのパーティーに独身の貴族ばかり呼んでいるわ。乱交パーティーにならないようにしっかり管理するつもりだけれど、あなたも目を光らせておいてね」
私が主催するのだから、フララさんの思い通りにはさせない。けれど、トータムのように彼女に引っかかる男性が出てきてもおかしくない。
招待した男性を被害者にさせるわけにはいかない。トータムの嫉妬心を利用させてもらう。
「そんな……、僕だけだって言ったじゃないか」
案の定、トータムの呟く声が聞こえ、私の目の前に光が見えた気がした。
そしてその日の晩、トータムが動いた。
これでやっと証拠を押さえられると、胸を躍らせた私だったが無理だった。ちょうどフララさんは月のものがきており、彼女が拒んだのだ。
がっかりしたのは私だけでなくトータムもだった。だが、そのお預けが彼の判断を鈍らせるきっかけとなったことがわかるのは、フララさんのデビュタント当日のことだった。
最低なデビュタントにしても良かったのだが、私は世間体を気にするタイプだ。
私が考えたパーティーになるのだから、素晴らしいパーティーにならなくても、せめて基本的なものだけは押さえておきたかった。
ファルナ様に相談したところ、わざわざビレディ侯爵家に来てくださり、進行の仕方や料理や商品の配置など色々なことを教えてくれた。そのおかげで、戸惑いつつも、無事に進めることができた。
ビレディ侯爵家の使用人たちは、私とファルナ様の仲を知って、今まで以上に私に媚びを売るようになった。
そして、失礼な態度をとっていたフララさんの友人たちまでもが、私にすり寄ってきた。
「あの、ミアリナ様。本当は駄目だってわかっていたんです。でも、フララに言えって言われて嫌なことを言ってしまいました」
「私たちは嫌だって言ったのに、フララからやらなきゃ辞めさせるって脅されたんです」
「それがどうしたの?」
私が尋ねると、彼女たちはきょとんとした顔をする。
「どうしたって……その、許してほしいんです」
「あなたたち、謝罪の言葉はないわよね。それで許せなんてよく言えるわね」
「「ご、ごめんなさい!」」
頭を下げてきたけれど、人に言われないとできない謝罪なんて、反省なんかしていないことが丸わかりだ。
「心のこもっていない謝罪なんてもらっても不快になるだけだわ。本当にクビにされたくないのなら、私に近寄らないで。あなたたちはフララさんの面倒だけ見ていなさい」
「そんな言い方はないだろう!」
振り切って立ち去ろうとした私だったが、トータムが目の前に現れたせいで立ち止まらざるをえなかった。
「じゃあ、どんな言い方があるの?」
「彼女たちが全面的に悪いと言えるのか? ミアリナにだって悪いところがあるんじゃないのか?」
どうしてトータムは私ではなく、メイドの味方をするのか。……いや、フララさんの友人だとわかっているから味方をするのか。
「トータム、あなたは本当にフララさんが好きなのね」
「……可愛い妹だからね」
「その可愛い妹は、デビュタントのパーティーに独身の貴族ばかり呼んでいるわ。乱交パーティーにならないようにしっかり管理するつもりだけれど、あなたも目を光らせておいてね」
私が主催するのだから、フララさんの思い通りにはさせない。けれど、トータムのように彼女に引っかかる男性が出てきてもおかしくない。
招待した男性を被害者にさせるわけにはいかない。トータムの嫉妬心を利用させてもらう。
「そんな……、僕だけだって言ったじゃないか」
案の定、トータムの呟く声が聞こえ、私の目の前に光が見えた気がした。
そしてその日の晩、トータムが動いた。
これでやっと証拠を押さえられると、胸を躍らせた私だったが無理だった。ちょうどフララさんは月のものがきており、彼女が拒んだのだ。
がっかりしたのは私だけでなくトータムもだった。だが、そのお預けが彼の判断を鈍らせるきっかけとなったことがわかるのは、フララさんのデビュタント当日のことだった。
1,517
あなたにおすすめの小説
【書籍化決定】愛など初めからありませんが。
ましろ
恋愛
お金で売られるように嫁がされた。
お相手はバツイチ子持ちの伯爵32歳。
「君は子供の面倒だけ見てくれればいい」
「要するに貴方様は幸せ家族の演技をしろと仰るのですよね?ですが、子供達にその様な演技力はありますでしょうか?」
「……何を言っている?」
仕事一筋の鈍感不器用夫に嫁いだミッシェルの未来はいかに?
✻基本ゆるふわ設定。箸休め程度に楽しんでいただけると幸いです。
俺の妻になれと言われたので秒でお断りしてみた
ましろ
恋愛
「俺の妻になれ」
「嫌ですけど」
何かしら、今の台詞は。
思わず脊髄反射的にお断りしてしまいました。
ちなみに『俺』とは皇太子殿下で私は伯爵令嬢。立派に不敬罪なのかもしれません。
✻ゆるふわ設定です。
気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。
✻R-15は保険です。
アシュリーの願いごと
ましろ
恋愛
「まあ、本当に?」
もしかして。そう思うことはありました。
でも、まさか本当だっただなんて。
「…それならもう我慢する必要は無いわね?」
嫁いでから6年。まるで修道女が神に使えるが如くこの家に尽くしてきました。
すべては家の為であり、夫の為であり、義母の為でありました。
愛する息子すら後継者として育てるからと産まれてすぐにとりあげられてしまいました。
「でも、もう変わらなくてはね」
この事を知ったからにはもう何も我慢するつもりはありません。
だって。私には願いがあるのだから。
✻基本ゆるふわ設定です。
気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。
✻1/19、タグを2つ追加しました
✻1/27、短編から長編に変更しました
✻2/2、タグを変更しました
魔法のせいだから許して?
ましろ
恋愛
リーゼロッテの婚約者であるジークハルト王子の突然の心変わり。嫌悪を顕にした眼差し、口を開けば暴言、身に覚えの無い出来事までリーゼのせいにされる。リーゼは学園で孤立し、ジークハルトは美しい女性の手を取り愛おしそうに見つめながら愛を囁く。
どうしてこんなことに?それでもきっと今だけ……そう、自分に言い聞かせて耐えた。でも、そろそろ一年。もう終わらせたい、そう思っていたある日、リーゼは殿下に罵倒され頬を張られ怪我をした。
──もう無理。王妃様に頼み、なんとか婚約解消することができた。
しかしその後、彼の心変わりは魅了魔法のせいだと分かり……
魔法のせいなら許せる?
基本ご都合主義。ゆるゆる設定です。
幸せな政略結婚のススメ【本編完結】
ましろ
恋愛
「爵位と外見に群がってくる女になぞ興味は無い」
「え?だって初対面です。爵位と外見以外に貴方様を判断できるものなどございませんよ?」
家柄と顔が良過ぎて群がる女性に辟易していたユリシーズはとうとう父には勝てず、政略結婚させられることになった。
お相手は6歳年下のご令嬢。初対面でいっそのこと嫌われようと牽制したが?
スペック高めの拗らせ男とマイペースな令嬢の政略結婚までの道程はいかに?
✻基本ゆるふわ設定です。
気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。
・11/21ヒーローのタグを変更しました。
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
王子の婚約者は逃げた
ましろ
恋愛
王太子殿下の婚約者が逃亡した。
13歳で婚約し、順調に王太子妃教育も進み、あと半年で結婚するという時期になってのことだった。
「内密に頼む。少し不安になっただけだろう」
マクシミリアン王子は周囲をそう説得し、秘密裏にジュリエットの捜索を命じた。
彼女はなぜ逃げたのか?
それは───
✻ゆるふわ設定です。
気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。
王弟殿下の番様は溺れるほどの愛をそそがれ幸せに…
ましろ
恋愛
見つけた!愛しい私の番。ようやく手に入れることができた私の宝玉。これからは私のすべてで愛し、護り、共に生きよう。
王弟であるコンラート公爵が番を見つけた。
それは片田舎の貴族とは名ばかりの貧乏男爵の娘だった。物語のような幸運を得た少女に人々は賞賛に沸き立っていた。
貧しかった少女は番に愛されそして……え?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる