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29 呪いの真相とチワーの応援
「な、何を言ってるんだよ、ミーア。僕がセフィラと関係を持ったから君を捨てたんだ。僕は君に捨てられてなんかいない!」
「あなたの場合は私を捨てたんじゃありません。殺そうとしただけです」
オーランド殿下を冷たい目で見下ろして言うと、彼は訴えてくる。
「それを捨てたと言わないでなんと言うんだよ!? 君の認識が間違っているんじゃないか?」
「殺人未遂です」
「……は?」
「あなたのやったことは殺人未遂です。ヒース様が来てくれていなければ、あの時、私は死んでいました!」
思い出すと、恐怖に襲われた。
あの時、ヒース様が来てくれなかったら、私は今、ここにはいなかった。
私があの時に死んでいたら、オーランド殿下は今よりも苦しんでいたのかもしれない。
でも、そのために私が死ぬだなんて絶対に嫌だわ。
「君が僕とよりを戻してくれなければ僕は死ぬことになるんだよ!? それでも良いのか!?」
「どうするかは神が決められることです。あなたや私は神から一個人として認識されています。ですから、私があなたを見捨てることが間違いなら、神が間違いを正してくれるでしょう。そして、あなたが間違っているのなら、私はあなたを助けることはしませんので、あなたはこのまま苦しみながら死んでしまうことになるでしょう」
酷いことを言っている自覚はある。
けれど、私は彼に殺されそうになったのだから、これくらい言うことは許してほしい。
「嫌だ! 僕はまだ死にたくない! 僕が何を間違ったことをしたと言うんだ!? 呪いにかけられなければこんなことにならなかったのに! 僕は可哀想な人間なんだよ!?」
「……オーランドと言ったな」
チワー様が顔には似合わない厳しい口調で続ける。
「おぬし、呪いをかけられた理由に本当に心当たりがないのか?」
「ないに決まっているでしょう!」
「われは神と話が出来るのじゃぞ。それでも嘘をつくつもりか?」
「それは……っ」
オーランド殿下は焦ったような表情を浮かべて、チワー様を見た。
チワー様は詳しいことを知っておられるようなので聞いてみる。
「一体、どういうことなのです? チワー様は犯人を知っておられるのですか?」
「この国の神から聞いたが、痴情のもつれだそうじゃ」
「ちょっ、ちょっとお待ちください! では、犯人がわからないのではなくて」
「オーランドはその当時に恋仲だった女性に体の関係を迫り、それを嫌がった女性に呪いをかけられたのじゃ。それについては近くにいた騎士に口止めしておったので公にはなっておらん。オーランドは両親にもそのことを伝えておらんようじゃな」
チワー様はふんと鼻を鳴らした。
「犯人が捕まれば自分のやっていたことも明るみになるので言えなかったんですね」
「そういうことじゃ。清くて美しい乙女でないと呪いを解けないというのも、その女性が決めたのじゃ」
「でも、呪いは解けなかった! どうしてなんだ!? セフィラは清くて美しかったじゃないか! そりゃあ、心は綺麗かどうかわからないけれど」
オーランド殿下は自分の体に掛けられている白いシーツを握りしめて言ったあと、すぐに動きを止めた。
「まさか、そんな……!」
「今頃気付かれたのですか?」
憐れみの目を向けて尋ねると、オーランド殿下は涙目になって私を見上げる。
「僕の解釈が間違っていたのか……?」
「そうですわね。といいますか、間違える人も少ないと思うのですが」
「だって! 君と一緒にいても呪いは解けなかったじゃないか!」
それに対しての答えは私にはわからないので、チワー様を見る。
「それについては詳しく聞いておらんのじゃが、お前とミーアが清い関係のまま結婚していれば、その時に呪いは解けておったかもしれんな」
「そんな……!」
オーランド殿下は悲鳴に近い声を上げたあと、身を起こして叫ぶ。
「頼むよ、ミーア! やり直そう! 僕と結婚してくれ!」
「それは無理だな」
オーランド殿下の叫びに応えたのは、私でもチワー様でもなかった。
オーランド殿下との会話に集中していたからか、ヒース様が中に入ってきていたことに気付いていなかった。
「ヒース! 君には関係ないだろう!」
「関係がある。俺と彼女は婚約話が出ていて、俺は婚約することを望んでる」
婚約話は出ていたけれど曖昧になったままだった。
その場しのぎの嘘かもしれないけれど、婚約を望んでいると言ってもらえて、こんな時なのに正直、嬉しくてときめいてしまった。
「ミーアを取り合っての三角関係じゃな!? われはヒースを応援するぞ!」
緊迫した場面だったのに、チワー様のワクワクするような声が室内に響き渡ったため、一気に白けたムードになってしまった。
「あなたの場合は私を捨てたんじゃありません。殺そうとしただけです」
オーランド殿下を冷たい目で見下ろして言うと、彼は訴えてくる。
「それを捨てたと言わないでなんと言うんだよ!? 君の認識が間違っているんじゃないか?」
「殺人未遂です」
「……は?」
「あなたのやったことは殺人未遂です。ヒース様が来てくれていなければ、あの時、私は死んでいました!」
思い出すと、恐怖に襲われた。
あの時、ヒース様が来てくれなかったら、私は今、ここにはいなかった。
私があの時に死んでいたら、オーランド殿下は今よりも苦しんでいたのかもしれない。
でも、そのために私が死ぬだなんて絶対に嫌だわ。
「君が僕とよりを戻してくれなければ僕は死ぬことになるんだよ!? それでも良いのか!?」
「どうするかは神が決められることです。あなたや私は神から一個人として認識されています。ですから、私があなたを見捨てることが間違いなら、神が間違いを正してくれるでしょう。そして、あなたが間違っているのなら、私はあなたを助けることはしませんので、あなたはこのまま苦しみながら死んでしまうことになるでしょう」
酷いことを言っている自覚はある。
けれど、私は彼に殺されそうになったのだから、これくらい言うことは許してほしい。
「嫌だ! 僕はまだ死にたくない! 僕が何を間違ったことをしたと言うんだ!? 呪いにかけられなければこんなことにならなかったのに! 僕は可哀想な人間なんだよ!?」
「……オーランドと言ったな」
チワー様が顔には似合わない厳しい口調で続ける。
「おぬし、呪いをかけられた理由に本当に心当たりがないのか?」
「ないに決まっているでしょう!」
「われは神と話が出来るのじゃぞ。それでも嘘をつくつもりか?」
「それは……っ」
オーランド殿下は焦ったような表情を浮かべて、チワー様を見た。
チワー様は詳しいことを知っておられるようなので聞いてみる。
「一体、どういうことなのです? チワー様は犯人を知っておられるのですか?」
「この国の神から聞いたが、痴情のもつれだそうじゃ」
「ちょっ、ちょっとお待ちください! では、犯人がわからないのではなくて」
「オーランドはその当時に恋仲だった女性に体の関係を迫り、それを嫌がった女性に呪いをかけられたのじゃ。それについては近くにいた騎士に口止めしておったので公にはなっておらん。オーランドは両親にもそのことを伝えておらんようじゃな」
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「そういうことじゃ。清くて美しい乙女でないと呪いを解けないというのも、その女性が決めたのじゃ」
「でも、呪いは解けなかった! どうしてなんだ!? セフィラは清くて美しかったじゃないか! そりゃあ、心は綺麗かどうかわからないけれど」
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オーランド殿下との会話に集中していたからか、ヒース様が中に入ってきていたことに気付いていなかった。
「ヒース! 君には関係ないだろう!」
「関係がある。俺と彼女は婚約話が出ていて、俺は婚約することを望んでる」
婚約話は出ていたけれど曖昧になったままだった。
その場しのぎの嘘かもしれないけれど、婚約を望んでいると言ってもらえて、こんな時なのに正直、嬉しくてときめいてしまった。
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