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<序章>
記憶管理店「パンドラ」
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東京の郊外、道路沿いにおしゃれなカフェのような青い扉と金色の鐘のついた、白と青を基調にしたとあるお店がある。そこのお店で提供されているのは、コーヒーや甘いケーキを堪能し、穏やかなひとときを過ごす環境を用意する、そんなおしゃれなカフェでは無く、おいしそうなパンを売ったり、様々な古めかしおもちゃや珍しい骨董品を買い取ったりするようなお店でもない。このお店で売られているのは、『記憶を消す』もしくは『記憶を思い出す』こと。思い出したい事柄や、今すぐ忘れてしまいたい恥ずかしい記憶、心に深い傷を負わせた過去、こういった記憶そのものを“消す”もしくは“思い出す”。ただ、“消す”という言葉は都合がいいが、要は記憶の奥底、隅の方に隠してしまうのだ。こうして今日も忘れてしまいたい記憶を持った人が来店する。
多くの家々に囲まれた中に、特別目立つ青色の扉がある。扉の前には看板が立てかけられており、『忘れた記憶思い出しませんか?忘れたい記憶消しませんか?お値段は5000円から要相談。あとバイト募集中です。』という見たことのない文言が書かれていた。おしゃれな外観に少し気後れしながらも、扉に手を掛けドアノブを回すと、扉についた鐘が客が来たこと知らせるように、部屋の中に音が響いていく。部屋に入るとすぐ左手にカウンターがありレジが置かれている。右を見ると透明なガラスで出来た机を挟むように淡いクリーム色のソファが置かれている。目の前には扉と階段があった。扉が閉まると鐘の音がやむ。誰かが出てくる気配もないので、小さな声で「すみません。誰かいませんか?」と言うと物が少ないのか思った以上に部屋中に響いた。だれも出て来なさそうなので、もう一度誰かいないか呼ぼうとしたら二階から誰かが降りてくる音がする。降りてきた男性は、白髪の若い男性で、青い瞳に白い肌の外国人を思わせる風貌であった。先程まで寝ていたのか目を擦り欠伸をしながら降りてくる、Tシャツにスウェットのその姿さえもどこか異様な色気のある雰囲気を纏っていた。
「いやぁ~、すみません。昼においしい鰺をもらったんですけど、それ食べたら寝ちゃってて全然気づきませんでした」
「あっいえ…あの、出直した方がいいですか?」
「いやいやお構いなく。そこのソファに座ってください」
「…どうも」
先程纏っていた色気はどこにもなく、おっとりとした話し口調で腹のあたりをかくその姿に逆に少し親近感が沸いた。緊張していたのも、柔らかな雰囲気のおかげで少し落ち着いた。知ってか知らずか、未だに目の前で大きな欠伸をしながらお茶を淹れようとしてくれている青年に、断りを入れるも「遠慮しないで大丈夫ですよ」と言い紅茶と洋菓子を用意してくれる。砂糖の入った瓶と牛乳の入った小さなコップを持ってくると、青年は目の前で緑茶と書かれたペットボトルを口につけ一気にお茶を飲む。その姿があまりにも豪快さで場違いなために少し笑ってしまった。
「それで、今日はどんなご用件で?」
「…記憶を消してください」
「どんな記憶を?」
「…母と、妹……家族の記憶を全部消して欲しいんです」
「…理由を聞かせてもらってもいいですか?」
「……はい」
4月になりもうすぐ新学期が始まるので、家の中はどこか慌ただしかった。色々なところから聞こえてくる、母や妹の声を聞きながら夢見心地で、このまま自分のことなど忘れてそれぞれ学校と仕事に行ってくれればいいなと、寝相が悪くベッドの隅に移動している掛け布団をもう一度かけ直す。騒々しい声を無視して眠りに入ると頭上から大きな母の声が聞こえてきた。
「おきろぉーーー。あんた、このまま入学式すっぽかすわけ!早くしないと、布団だけじゃなく服も剥ぎ取るわよ」
「んおい!やめろ!思春期男子の心に傷をつけるきか!」
「いやならはやくしなさぁ~い」
服をすべて剥ぎ取られるのは困るのでいそいそと布団から這い出て、洗面台に向かう。鏡を見るといつもの半分も開いてない目が、未だに自身の体が起きてないことを表していた。眠い体に鞭を打つように冷たい水を顔に浴びせる。顔を上げると鏡に映った妹が誇らしげに中学校の制服をモデルのようなポーズをとって見せびらかしていた。水色のリボンに水色のスカートのセーラー服、中学生の成長スピードに合わせ作られたその制服は少し妹には大きく、背の高くない妹をさらに小さく見せていた。
「どう、お兄ちゃん。自らの妹に悩殺されそうな気分は?」
「我が妹ながら色気ゼロで悲しいよ、兄は」
「なによ!中学に入ってテンション上がってるんだから、少しぐらい褒めてよね」
「現実は非情だな。カレーこぼすなよ」
「お兄ちゃんのバーッカ」
舌を出し「べー」というと怒っているのをアピールするために、わざと大きな足音を立てて洗面所から妹は去って行った。嵐のような妹にため息をつきながら、朝の匂いがする食卓の方へ向かうと、食卓には母親が用意してくれた食パンと紅茶があり、それを口にしながらテレビを見る。テレビではすでに15人を殺している連続殺人犯のニュースが流れていた。母親は「気をつけなさいよ」と言いながらエプロンを外すと、スーツ姿になりそのまま荷物を持って玄関まで急ぎ足で向かった。
「食べたら食器片付けて」
「「はーい」」
「学校行くとき鍵閉めるの忘れないで」
「「はーい」」
「いってきまーす」
「「いってらっしゃーい」」
母が仕事に向かうために扉を閉めた音が聞こえ、玄関の方向から顔をそらしテレビを見ると時間は7時48分、あと12分で駅まで行かなければ高校入学初日に遅刻する時刻だった。持っているパンをすべて口に放り込み熱々の紅茶を口に流し込む。口の中が熱湯で燃え上がるように熱かったが、なんとか吐き出さないように口を押さえ食器を洗い場まで運んだ。その間、兄のその様子を楽しそうに指を指し笑っている妹には腹が立つが、学校に行かなくてはいけないのでさっさと制服に着替えるために自室に戻った。なんとか口の中にある食べ物を飲み込み、クローゼットの中にあるきれいな学ランを引っ張り出し、着替えはじめると妹の声が聞こえてきた。
「じゃあ、おにいちゃーん私先に行くからぁー」
「おーう、カレーこぼすなよ」
「バーカ、べー」
「べー」なんて今時朝の子供番組くらいでしか言わないだろうと、頭の中で妹の言動にツッコミを入れながら今日持って行くべき荷物をリュックサックの中にまとめて放り込むと、腕時計をつけ、扉の鍵を閉めると急いで駅まで向かう。そう遠くない距離にある駅だが、普通車しか止まらない駅のため電車に乗り遅れると次の電車まで15分ほど待たなくてはならない。改札をぬけ階段を降りるとちょうど電車がつくところであった。そのまま乗り込むと、自身と同じ制服を着ている学生がちらほら見えた。
高校の最寄り駅に着くと同じ制服を着た学生が一気に駅のホームになだれ込む。人混みの流れるままに体を任せて駅を出ると、学ランを着た生徒が同じ方向に向かって歩いていた。その流れについて行くと校舎が見え、入学式と書かれた大きな看板と門が見えてくる。これからはじまる高校生活にわくわくしながら門をくぐり、そのまま新入生歓迎会と入学式が行われた。いったん教室に集まり担任の先生とクラスの生徒がそれぞれ自己紹介をし終え、軽く今後の連絡をすると、そのまま帰宅することになった。早めに終わったので学校内を見回っていると、校舎から少し離れた駐車場のような所から声が聞こえてきた。
「中学校からの中だけどよろしくね、たけばやしくーん」
「マジでよろぴくってことで、金ちょうだいね」
「あの…ぼく…きょうは……」
「はぁ!?声小さくて聞き取れないんですけどぉ~」
「いいからさっさとだせ」
竹林と呼ばれてる男子学生の胸ぐらをつかむと、そのまま背の高い男がその生徒を殴り飛ばしていた。入学式の日に、胸くそ悪いいじめのシーンに出くわしたのは、おそらく人生において最悪な日だっただろう。気分の悪い彼らの行動につい口を出してしまった。
「おい!なにやってんだ!」
見えていたのは二人だったが、他にも五人いたためそのまま囲われて殴る蹴るの暴行を受けた。入学式の日にいきなり喧嘩になるなんて最悪の日だった。電車に乗って家まで帰るとすぐに妹が玄関まで出迎えに来た。
「遅かったね、おかえ…おにいちゃん!どうしたの顔の傷?」
「…朝急いでたら、駅のホームでこけた」
「あんた、ドジなんだから気をつけなさいよ。救急箱どこだっけ…」
母と妹には心配を掛けたくなかったから嘘をついた。こんなこと今日で終わりで明日から普通の高校生活が送れると、そう思っていたのだ。しかし、ここから先いじめの対象は自分になりどんどん加速していった。身体中傷だらけになったが、顔さえ守っていれば母や妹に傷ついた体を知られることは無いと思い、いつも顔だけは守っていた。制服は高かったからか、丈夫でどれだけ暴力を振るわれようと汚れるだけでほつれたり、切るのに支障を来すほどの損傷は負わなかった。母と妹には常に心配されたが、ずっと嘘をつき続けていた。きっと、母に話せば『学校なんて行かなくていいよ。好きなことやりな』と優しく励ましてくれただろう。母は厳しいが優しい人だと自分自身が一番よく知っていた。だからこそ、甘えないために何も言わないようにしていた。しかし、ここで母に甘えて言っていれば、あんなこと起きなかったのかもしれないと、あったかもしれない救いのある未来にどれだけ後悔しても悔やみきれなかった。このとき妹が一番心配してくれていることに気づけなかった。ある日帰ってくると、母の怒号が聞こえてきた。
「あんた学校サボって何やってたのよ?」
「だーから、ちょっとさぼっただけだって、友達と一緒にさぁ」
「友達って…今日学校休んだのあんただけだって学校の先生から聞いたよ」
「げぇ!」
「げぇ!じゃないよ。なにしてたのか言いなさい」
「ただいま」
「あっ、おかえり」
「なに?どうした?」
「今日中学校サボったのよ。私の振りしてわざわざ電話掛けて。で、なにしてたの?」
「い…いわない」
「はぁ…もうなんなの。…薬とかやってないでしょうね?」
「やってないって」
母は諦めたようでそのまま台所に行き食事の準備を始めた。このとき妹に小声で何してたのか聞いたら、「ないしょ。でも大丈夫だよお兄ちゃん」とうれしそうに言っていたのを今でもよく覚えている。その次の日からいじめはぴったりとやんだ。友達はいなかったが、いじめがなくなったおかげで学校生活は快適になった。しかし、今度は妹が非行に走るようになった。学校からの帰りが遅く、中学校の教師から無断欠勤をしていると何度も連絡が来ていると母が嘆いていた。妹と何度も話そうとしたが、母と共に拒絶され会話もままならなかった。
ある日学校から帰ってくると家の中から異臭がした。ひどい匂いのする方へ行くと、妹の部屋の前に辿り着いた。妹の部屋の扉が少しだけ開いており、中からひどい異臭がしたがなぜか開けてはいけないような気がして、すぐに扉に手を掛けることが出来なかった。小さく深呼吸し恐る恐る開けてみると、床には排泄物と吐瀉物の混じった個体とも液体ともつかない物体が広がり、その上では妹が首をつってゆらゆらと揺れていた。昼に食べた物をすべて吐き出し、つるされている妹を下ろすと焦点の合わない目をしている妹に何度も声を掛けた。
「なあ、どうした?だいじょうぶか?おきろよ、なあ?」
数時間、妹に話しかけていると母が帰ってきてすぐに救急車と警察を呼んだ。すぐには気づかなかったが、後に警察が妹の机の上にメモが置いてあるのに気づき母に渡していたらしい。そこには、『妊娠しました。悪い子供でごめんなさい』と書かれていたそうだ。数日学校を休み、体も心も芳しくなかったが学校に来てみるといつもとなんら変わりなかった。しかしその日、いじめてきた奴の一人が急に妹のことについて話しかけてきた。このときは、あんなやつでも人間らしい感情があるのだと思ったが、妹のことについて話した同級生はこの学校には一人もおらず、違和感を抱きそいつの後をつけることにした。
「いやぁ、妊娠したときはどうしようかと思ったけど、死んでくれてラッキーだわ」
「だれの子供かわかんないもんなぁ」
「人見はやってねえからずっと平気そうな顔してたよな」
「…ああ」
「あー、でももったいねぇ~。JCとやれるチャンスとかもうこないかもしんねぇのになぁ」
そこに集まって会話をしていたのはケダモノだけだった。人間では無く、人の皮を被った巨悪の集まり。自分の中で何かが落ちる音がして、奴らに殴りかかったが当然人数差で叶わなかった。帰りが遅くいつも以上に制服を汚した自分を見て母が泣きながら心配したと泣いていた。母には本当のことは話せなかった。妹が亡くなってから、母はみるみる衰弱し、痩せ細っていった。なんとか母の力になろうと、早起きして朝御飯や弁当、夜ご飯を用意して待っていたが、母は日に日に痩せていき役に立つどころか、母は作った物を残さず食べようと無理して食べ、いつも気づかれないようにトイレで吐いていた。母が泣きながらトイレで吐く音を聞いて、どうしたら母が元気になるかわからず、トイレの前で泣いていると出てきた母と目が合ってしまった。泣いている自分を見て、「ごめんね。すごくおいしかったんだけど体調わるくて。私頑張るから」そう言って頭をなでて、泣いている自分を安心させようとしてくれた。次の日、母は早起きですごく元気そうに出社したが、帰ってくることはなかった。事故死。栄養失調、ストレス、睡眠不足、色々なものが要因となり母は車で運転中に事故を起こしそのまま帰らぬ人となった。
「復讐をしたいんです。あいつらが生きて、母と妹が死ぬなんて理不尽、許せないんです。だから、記憶を消して欲しいんです」
「…ご家族の記憶を、ですか?」
「はい。全部」
「…一体なぜですか?なぜ、いじめられていた記憶や、ご家族との一部分の記憶ではなく、全部を?」
「俺の記憶の中にいる家族は、俺に復讐なんて望んだりしない。幸せに生きて欲しいって願うだけなんです。でも、俺はこんなの許せない、許せないんです。だから、復讐をするのに、俺の家族をけがしたりしないように記憶を消したいんです。この、憎しみは、怒りは家族の記憶が消えてもなくなったりしないですよね!そうですよね!!俺はっ…あいつらに復讐しなきゃならないんです!!」
胸が苦しくて仕方がなかった。家族は復讐なんて望んだりしない、幸せを望んでくれるそれほどまでに善人だった。だからこそ許せないのだ。妹の優しさを利用したこと、母の愛を侮蔑したこと、なによりもこの事態を招いた自分自身が一番許せなかった。奴らに復讐を果たして破滅すること、生きている意味も理由もそれ以外存在していなかった。
「…わかりました。それでは…記憶を消すに当たって、一番の家族との思い出は何ですか。声に出さなくても大丈夫ですよ」
話ながら横に座った青年は手を強く握りしめ質問をしてきた。一番の家族との思い出、そのことについて考えていると、いきなり周りの景色が変わり久しぶりに見る自身の家の情景となった。玄関の扉が開く音がすると「ただいま」という自分の声に素早く反応し妹が「おかえり」と返事を返してくれる。家中にカレーの匂いが充満し、台所を覗いてみるといつもより早く帰宅した母が夜ご飯の支度をしてくれていた。「今日はお兄ちゃんの好きなカレーよ」と、妹の誇らしげな顔そっくりに笑いかける母の顔は、親子であることを証明するようでおかしかった。カレーをさらによそい、それぞれ席に着くと「いただきます」の一言で一斉に食べ始める。楽しく食卓を囲む何気ない日常。何でも無いただの日常だった。それが家族との一番の思い出であり、二度と帰ることの出来ない過去だった。いつの間にか目か鼻から涙があふれ顔中を覆っていた。
「この思い出も消しますか?」
「ふぐぅ、けしたくないんです…でも、わからないんです、どうしたらいいか、わからないんです」
どうすればいいのか何も分からなかった。家族との思い出は消したくなかった。だが復讐を果たさなければ気が済まない。それでも、記憶の中にいる家族を汚したくはなかった。矛盾が矛盾をはらみ、頭の中が色々な考えで交差し自身が一体今どんな感情を抱いているのかも、分からなくなってしまった。
「ここで働きませんか?」
「…えっ?」
「看板にも書いてあったとおり、今バイト募集中なんですよ。親戚は?」
「いえ…父は早くに亡くなっていますし、祖父母もいません。つながっている親戚はだれも…」
「ちょうど良かったじゃないですか!ここで住み込みで働きましょう」
「いや、でも…」
「先程君は分からないと言った。なら分かるまでここで働けばいいんですよ。君が家族の記憶を消してでも復讐がしたいと言ったときは、私も協力します。それまでは、ここで働きましょう」
「……」
「自己紹介を。僕は高橋来按と言います。君の母親の名前は?」
「…高瀬喜代子」
「妹さんは?」
「…明里」
「…君は?」
「…一誠です」
「うん。高瀬一誠くん、よろしく」
「よろ……しく…おねがいします」
目の前にいるおそらくハーフであろう青年にほぼ強制的にここで働かされることとなった。記憶を見たり消したり出来る不思議な力を持った青年が運営するお店、記憶管理店「パンドラ」。僕はここの初めてのアシスタントとして来按の元で働くこととなった。記憶の中にいる母と妹はきっと喜んでくれている。
多くの家々に囲まれた中に、特別目立つ青色の扉がある。扉の前には看板が立てかけられており、『忘れた記憶思い出しませんか?忘れたい記憶消しませんか?お値段は5000円から要相談。あとバイト募集中です。』という見たことのない文言が書かれていた。おしゃれな外観に少し気後れしながらも、扉に手を掛けドアノブを回すと、扉についた鐘が客が来たこと知らせるように、部屋の中に音が響いていく。部屋に入るとすぐ左手にカウンターがありレジが置かれている。右を見ると透明なガラスで出来た机を挟むように淡いクリーム色のソファが置かれている。目の前には扉と階段があった。扉が閉まると鐘の音がやむ。誰かが出てくる気配もないので、小さな声で「すみません。誰かいませんか?」と言うと物が少ないのか思った以上に部屋中に響いた。だれも出て来なさそうなので、もう一度誰かいないか呼ぼうとしたら二階から誰かが降りてくる音がする。降りてきた男性は、白髪の若い男性で、青い瞳に白い肌の外国人を思わせる風貌であった。先程まで寝ていたのか目を擦り欠伸をしながら降りてくる、Tシャツにスウェットのその姿さえもどこか異様な色気のある雰囲気を纏っていた。
「いやぁ~、すみません。昼においしい鰺をもらったんですけど、それ食べたら寝ちゃってて全然気づきませんでした」
「あっいえ…あの、出直した方がいいですか?」
「いやいやお構いなく。そこのソファに座ってください」
「…どうも」
先程纏っていた色気はどこにもなく、おっとりとした話し口調で腹のあたりをかくその姿に逆に少し親近感が沸いた。緊張していたのも、柔らかな雰囲気のおかげで少し落ち着いた。知ってか知らずか、未だに目の前で大きな欠伸をしながらお茶を淹れようとしてくれている青年に、断りを入れるも「遠慮しないで大丈夫ですよ」と言い紅茶と洋菓子を用意してくれる。砂糖の入った瓶と牛乳の入った小さなコップを持ってくると、青年は目の前で緑茶と書かれたペットボトルを口につけ一気にお茶を飲む。その姿があまりにも豪快さで場違いなために少し笑ってしまった。
「それで、今日はどんなご用件で?」
「…記憶を消してください」
「どんな記憶を?」
「…母と、妹……家族の記憶を全部消して欲しいんです」
「…理由を聞かせてもらってもいいですか?」
「……はい」
4月になりもうすぐ新学期が始まるので、家の中はどこか慌ただしかった。色々なところから聞こえてくる、母や妹の声を聞きながら夢見心地で、このまま自分のことなど忘れてそれぞれ学校と仕事に行ってくれればいいなと、寝相が悪くベッドの隅に移動している掛け布団をもう一度かけ直す。騒々しい声を無視して眠りに入ると頭上から大きな母の声が聞こえてきた。
「おきろぉーーー。あんた、このまま入学式すっぽかすわけ!早くしないと、布団だけじゃなく服も剥ぎ取るわよ」
「んおい!やめろ!思春期男子の心に傷をつけるきか!」
「いやならはやくしなさぁ~い」
服をすべて剥ぎ取られるのは困るのでいそいそと布団から這い出て、洗面台に向かう。鏡を見るといつもの半分も開いてない目が、未だに自身の体が起きてないことを表していた。眠い体に鞭を打つように冷たい水を顔に浴びせる。顔を上げると鏡に映った妹が誇らしげに中学校の制服をモデルのようなポーズをとって見せびらかしていた。水色のリボンに水色のスカートのセーラー服、中学生の成長スピードに合わせ作られたその制服は少し妹には大きく、背の高くない妹をさらに小さく見せていた。
「どう、お兄ちゃん。自らの妹に悩殺されそうな気分は?」
「我が妹ながら色気ゼロで悲しいよ、兄は」
「なによ!中学に入ってテンション上がってるんだから、少しぐらい褒めてよね」
「現実は非情だな。カレーこぼすなよ」
「お兄ちゃんのバーッカ」
舌を出し「べー」というと怒っているのをアピールするために、わざと大きな足音を立てて洗面所から妹は去って行った。嵐のような妹にため息をつきながら、朝の匂いがする食卓の方へ向かうと、食卓には母親が用意してくれた食パンと紅茶があり、それを口にしながらテレビを見る。テレビではすでに15人を殺している連続殺人犯のニュースが流れていた。母親は「気をつけなさいよ」と言いながらエプロンを外すと、スーツ姿になりそのまま荷物を持って玄関まで急ぎ足で向かった。
「食べたら食器片付けて」
「「はーい」」
「学校行くとき鍵閉めるの忘れないで」
「「はーい」」
「いってきまーす」
「「いってらっしゃーい」」
母が仕事に向かうために扉を閉めた音が聞こえ、玄関の方向から顔をそらしテレビを見ると時間は7時48分、あと12分で駅まで行かなければ高校入学初日に遅刻する時刻だった。持っているパンをすべて口に放り込み熱々の紅茶を口に流し込む。口の中が熱湯で燃え上がるように熱かったが、なんとか吐き出さないように口を押さえ食器を洗い場まで運んだ。その間、兄のその様子を楽しそうに指を指し笑っている妹には腹が立つが、学校に行かなくてはいけないのでさっさと制服に着替えるために自室に戻った。なんとか口の中にある食べ物を飲み込み、クローゼットの中にあるきれいな学ランを引っ張り出し、着替えはじめると妹の声が聞こえてきた。
「じゃあ、おにいちゃーん私先に行くからぁー」
「おーう、カレーこぼすなよ」
「バーカ、べー」
「べー」なんて今時朝の子供番組くらいでしか言わないだろうと、頭の中で妹の言動にツッコミを入れながら今日持って行くべき荷物をリュックサックの中にまとめて放り込むと、腕時計をつけ、扉の鍵を閉めると急いで駅まで向かう。そう遠くない距離にある駅だが、普通車しか止まらない駅のため電車に乗り遅れると次の電車まで15分ほど待たなくてはならない。改札をぬけ階段を降りるとちょうど電車がつくところであった。そのまま乗り込むと、自身と同じ制服を着ている学生がちらほら見えた。
高校の最寄り駅に着くと同じ制服を着た学生が一気に駅のホームになだれ込む。人混みの流れるままに体を任せて駅を出ると、学ランを着た生徒が同じ方向に向かって歩いていた。その流れについて行くと校舎が見え、入学式と書かれた大きな看板と門が見えてくる。これからはじまる高校生活にわくわくしながら門をくぐり、そのまま新入生歓迎会と入学式が行われた。いったん教室に集まり担任の先生とクラスの生徒がそれぞれ自己紹介をし終え、軽く今後の連絡をすると、そのまま帰宅することになった。早めに終わったので学校内を見回っていると、校舎から少し離れた駐車場のような所から声が聞こえてきた。
「中学校からの中だけどよろしくね、たけばやしくーん」
「マジでよろぴくってことで、金ちょうだいね」
「あの…ぼく…きょうは……」
「はぁ!?声小さくて聞き取れないんですけどぉ~」
「いいからさっさとだせ」
竹林と呼ばれてる男子学生の胸ぐらをつかむと、そのまま背の高い男がその生徒を殴り飛ばしていた。入学式の日に、胸くそ悪いいじめのシーンに出くわしたのは、おそらく人生において最悪な日だっただろう。気分の悪い彼らの行動につい口を出してしまった。
「おい!なにやってんだ!」
見えていたのは二人だったが、他にも五人いたためそのまま囲われて殴る蹴るの暴行を受けた。入学式の日にいきなり喧嘩になるなんて最悪の日だった。電車に乗って家まで帰るとすぐに妹が玄関まで出迎えに来た。
「遅かったね、おかえ…おにいちゃん!どうしたの顔の傷?」
「…朝急いでたら、駅のホームでこけた」
「あんた、ドジなんだから気をつけなさいよ。救急箱どこだっけ…」
母と妹には心配を掛けたくなかったから嘘をついた。こんなこと今日で終わりで明日から普通の高校生活が送れると、そう思っていたのだ。しかし、ここから先いじめの対象は自分になりどんどん加速していった。身体中傷だらけになったが、顔さえ守っていれば母や妹に傷ついた体を知られることは無いと思い、いつも顔だけは守っていた。制服は高かったからか、丈夫でどれだけ暴力を振るわれようと汚れるだけでほつれたり、切るのに支障を来すほどの損傷は負わなかった。母と妹には常に心配されたが、ずっと嘘をつき続けていた。きっと、母に話せば『学校なんて行かなくていいよ。好きなことやりな』と優しく励ましてくれただろう。母は厳しいが優しい人だと自分自身が一番よく知っていた。だからこそ、甘えないために何も言わないようにしていた。しかし、ここで母に甘えて言っていれば、あんなこと起きなかったのかもしれないと、あったかもしれない救いのある未来にどれだけ後悔しても悔やみきれなかった。このとき妹が一番心配してくれていることに気づけなかった。ある日帰ってくると、母の怒号が聞こえてきた。
「あんた学校サボって何やってたのよ?」
「だーから、ちょっとさぼっただけだって、友達と一緒にさぁ」
「友達って…今日学校休んだのあんただけだって学校の先生から聞いたよ」
「げぇ!」
「げぇ!じゃないよ。なにしてたのか言いなさい」
「ただいま」
「あっ、おかえり」
「なに?どうした?」
「今日中学校サボったのよ。私の振りしてわざわざ電話掛けて。で、なにしてたの?」
「い…いわない」
「はぁ…もうなんなの。…薬とかやってないでしょうね?」
「やってないって」
母は諦めたようでそのまま台所に行き食事の準備を始めた。このとき妹に小声で何してたのか聞いたら、「ないしょ。でも大丈夫だよお兄ちゃん」とうれしそうに言っていたのを今でもよく覚えている。その次の日からいじめはぴったりとやんだ。友達はいなかったが、いじめがなくなったおかげで学校生活は快適になった。しかし、今度は妹が非行に走るようになった。学校からの帰りが遅く、中学校の教師から無断欠勤をしていると何度も連絡が来ていると母が嘆いていた。妹と何度も話そうとしたが、母と共に拒絶され会話もままならなかった。
ある日学校から帰ってくると家の中から異臭がした。ひどい匂いのする方へ行くと、妹の部屋の前に辿り着いた。妹の部屋の扉が少しだけ開いており、中からひどい異臭がしたがなぜか開けてはいけないような気がして、すぐに扉に手を掛けることが出来なかった。小さく深呼吸し恐る恐る開けてみると、床には排泄物と吐瀉物の混じった個体とも液体ともつかない物体が広がり、その上では妹が首をつってゆらゆらと揺れていた。昼に食べた物をすべて吐き出し、つるされている妹を下ろすと焦点の合わない目をしている妹に何度も声を掛けた。
「なあ、どうした?だいじょうぶか?おきろよ、なあ?」
数時間、妹に話しかけていると母が帰ってきてすぐに救急車と警察を呼んだ。すぐには気づかなかったが、後に警察が妹の机の上にメモが置いてあるのに気づき母に渡していたらしい。そこには、『妊娠しました。悪い子供でごめんなさい』と書かれていたそうだ。数日学校を休み、体も心も芳しくなかったが学校に来てみるといつもとなんら変わりなかった。しかしその日、いじめてきた奴の一人が急に妹のことについて話しかけてきた。このときは、あんなやつでも人間らしい感情があるのだと思ったが、妹のことについて話した同級生はこの学校には一人もおらず、違和感を抱きそいつの後をつけることにした。
「いやぁ、妊娠したときはどうしようかと思ったけど、死んでくれてラッキーだわ」
「だれの子供かわかんないもんなぁ」
「人見はやってねえからずっと平気そうな顔してたよな」
「…ああ」
「あー、でももったいねぇ~。JCとやれるチャンスとかもうこないかもしんねぇのになぁ」
そこに集まって会話をしていたのはケダモノだけだった。人間では無く、人の皮を被った巨悪の集まり。自分の中で何かが落ちる音がして、奴らに殴りかかったが当然人数差で叶わなかった。帰りが遅くいつも以上に制服を汚した自分を見て母が泣きながら心配したと泣いていた。母には本当のことは話せなかった。妹が亡くなってから、母はみるみる衰弱し、痩せ細っていった。なんとか母の力になろうと、早起きして朝御飯や弁当、夜ご飯を用意して待っていたが、母は日に日に痩せていき役に立つどころか、母は作った物を残さず食べようと無理して食べ、いつも気づかれないようにトイレで吐いていた。母が泣きながらトイレで吐く音を聞いて、どうしたら母が元気になるかわからず、トイレの前で泣いていると出てきた母と目が合ってしまった。泣いている自分を見て、「ごめんね。すごくおいしかったんだけど体調わるくて。私頑張るから」そう言って頭をなでて、泣いている自分を安心させようとしてくれた。次の日、母は早起きですごく元気そうに出社したが、帰ってくることはなかった。事故死。栄養失調、ストレス、睡眠不足、色々なものが要因となり母は車で運転中に事故を起こしそのまま帰らぬ人となった。
「復讐をしたいんです。あいつらが生きて、母と妹が死ぬなんて理不尽、許せないんです。だから、記憶を消して欲しいんです」
「…ご家族の記憶を、ですか?」
「はい。全部」
「…一体なぜですか?なぜ、いじめられていた記憶や、ご家族との一部分の記憶ではなく、全部を?」
「俺の記憶の中にいる家族は、俺に復讐なんて望んだりしない。幸せに生きて欲しいって願うだけなんです。でも、俺はこんなの許せない、許せないんです。だから、復讐をするのに、俺の家族をけがしたりしないように記憶を消したいんです。この、憎しみは、怒りは家族の記憶が消えてもなくなったりしないですよね!そうですよね!!俺はっ…あいつらに復讐しなきゃならないんです!!」
胸が苦しくて仕方がなかった。家族は復讐なんて望んだりしない、幸せを望んでくれるそれほどまでに善人だった。だからこそ許せないのだ。妹の優しさを利用したこと、母の愛を侮蔑したこと、なによりもこの事態を招いた自分自身が一番許せなかった。奴らに復讐を果たして破滅すること、生きている意味も理由もそれ以外存在していなかった。
「…わかりました。それでは…記憶を消すに当たって、一番の家族との思い出は何ですか。声に出さなくても大丈夫ですよ」
話ながら横に座った青年は手を強く握りしめ質問をしてきた。一番の家族との思い出、そのことについて考えていると、いきなり周りの景色が変わり久しぶりに見る自身の家の情景となった。玄関の扉が開く音がすると「ただいま」という自分の声に素早く反応し妹が「おかえり」と返事を返してくれる。家中にカレーの匂いが充満し、台所を覗いてみるといつもより早く帰宅した母が夜ご飯の支度をしてくれていた。「今日はお兄ちゃんの好きなカレーよ」と、妹の誇らしげな顔そっくりに笑いかける母の顔は、親子であることを証明するようでおかしかった。カレーをさらによそい、それぞれ席に着くと「いただきます」の一言で一斉に食べ始める。楽しく食卓を囲む何気ない日常。何でも無いただの日常だった。それが家族との一番の思い出であり、二度と帰ることの出来ない過去だった。いつの間にか目か鼻から涙があふれ顔中を覆っていた。
「この思い出も消しますか?」
「ふぐぅ、けしたくないんです…でも、わからないんです、どうしたらいいか、わからないんです」
どうすればいいのか何も分からなかった。家族との思い出は消したくなかった。だが復讐を果たさなければ気が済まない。それでも、記憶の中にいる家族を汚したくはなかった。矛盾が矛盾をはらみ、頭の中が色々な考えで交差し自身が一体今どんな感情を抱いているのかも、分からなくなってしまった。
「ここで働きませんか?」
「…えっ?」
「看板にも書いてあったとおり、今バイト募集中なんですよ。親戚は?」
「いえ…父は早くに亡くなっていますし、祖父母もいません。つながっている親戚はだれも…」
「ちょうど良かったじゃないですか!ここで住み込みで働きましょう」
「いや、でも…」
「先程君は分からないと言った。なら分かるまでここで働けばいいんですよ。君が家族の記憶を消してでも復讐がしたいと言ったときは、私も協力します。それまでは、ここで働きましょう」
「……」
「自己紹介を。僕は高橋来按と言います。君の母親の名前は?」
「…高瀬喜代子」
「妹さんは?」
「…明里」
「…君は?」
「…一誠です」
「うん。高瀬一誠くん、よろしく」
「よろ……しく…おねがいします」
目の前にいるおそらくハーフであろう青年にほぼ強制的にここで働かされることとなった。記憶を見たり消したり出来る不思議な力を持った青年が運営するお店、記憶管理店「パンドラ」。僕はここの初めてのアシスタントとして来按の元で働くこととなった。記憶の中にいる母と妹はきっと喜んでくれている。
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その勢いは好感が持てます(*´ω`*)
頑張ってください!
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鬱気味の展開が多くなると思いますが、完結まで話は考えてあるので応援よろしくお願いします。